セールスパーソン

 

個人増税 法人税減税の時代だから

終身保険を基本に提案

 

ケーズ・アセットメント(立川市)

清原 稔之 代表

 

バブル経済が終焉する頃、食品スーパーに勤務していた。「自分の力を試そう」とアリコジャパン(現メットライフ生命)の直販社員に応募、転職した。1か月ほどマンツーマン指導を受けたのち、友人知人中心のイニシャルマーケットから営業活動を開始。20年が過ぎた。現在独立し、JR立川駅近くに「ケーズ・アセットメント」(立川市曙町1丁目)を構える清原稔之ケーズ・アセットメント代表に、法人開拓の要諦と今後の保険販売について聞いた。

 

適切な保障提案〝無頓着の勧め〟

 

イニシャルマーケットは、数年で一当たり一巡した。

「富裕層をターゲットに、DMとテレアポ主体の販売に切り替えました」

紹介を得ることを心掛けた。とはいえ、紹介を受けた事業主に既契約がないとは考えづらい。どういった保険を勧めるのか。

「まずメンタルブロックを外すことです」

保険営業の心得をこう切り出す。

「他人の懐と割り切ってください」

要するに〝無頓着のすすめ〟

「サラリーマンに接するときの尺度で、開業医や事業主のみなさんを推し量ることはできません」

保険料を斟酌することはない。

「どんな保険に加入しているかはファクターですが、その延長線上で保障を提案することはありません」

何を提案するのか。

「お客さまに必要な保障です。既契約の見直しは、契約者ご自身の問題です」

保険料も、既契約を基準に考えることはない。

「お客さまの収入や家族構成、将来展望に沿って保険設計します」

結果的に、保険料は膨らむこともある。

「保険料が膨らんだからといって、成約に至らないわけではありません」

提案した保険料が膨らんだ契約者が既契約を解約するかといえば、そうとは限らない。

「継続率は良好です。保険料の未納や解約失効はほとんどありません」

売り上げ優先の営業は、自ずと立ちいかなくなる。

「お客さまのお話にとことん耳を傾け、希望に沿います」

 

●客数×単価で

たとえ高額な保険でも齟齬が生ずることはない。

「末長いお付き合いは、お互いのメリットです。医療法人マーケットと、建設業および不動産業以外の経営者マーケットを軸足に営業展開します」

建設業や不動産業は、マーケットの仕組みが呑み込めない。地の利のない分野は手掛けない方針。

「〈客数×単価〉が売り上げです。私の営業スタイルは効率重視です」

いわゆる件数は追わない。あくまでも紹介を優先。

「大きな目標は掲げません。毎月1件成約できるとよいといったスタンスです」

2000万円、3000万円の契約を1年に数件獲得すると経営は安定する。

「直販社員を始めた当初、毎週何件、毎月何件と目標を立てました。先ほどお話しした通りで、売り上げは〈客数×単価〉です。翻っていえば、単価を上げれば客数が落ちても支障を来たすことはありません」

1500万円の契約を10本獲得するのも、3000万円の契約を5本獲得するのも、要するに同じ。

「長年、医療法人や中小企業経営者マーケットで営業活動を続けていると自ずと低廉な契約は少なくなります」

既存客の追加契約や紹介等から派生する低廉な契約は、もちろん引き受ける。

 

独立後も社員時代と同一スタンス

 

「朝9時前に事務所に出勤し、一日の予定を確認します。独立したとはいっても、基本的に社員時代と何も変わりません」

独立を聞いたお客から、他社商品などに関する問い合わせや相談がある。

「私は、乗合代理店ではありません。他社商品を取り扱うことはできませんとお伝えします」

乗り合い代理店は、今後の検討課題。

「お客さまの意向に沿って、知り合いの募集人を紹介することはあります」

保険販売の肝、要点は何か。

「入口は知識力と提案力、契約後はフォローアップ体制です」

定期的に、お客に情報発信する。

「eメールで情報を発信します。お客さまによってはスマートフォンやタブレット、パソコンになじまない方もいらっしゃいます。紙媒体も併用します」

ニーズはまちまち、常時情報発信するのは200名ほど。

「経営者や開業医に役立つ情報と主婦が好む情報は異なります。有料情報も活用します」

経営層には、雇用など人を巡る問題や税金問題をぶつける。

「税理士や弁護士、会計士らが契約者や仲間にいます。そうした情報も活用します」

井上得四郎税理士が主宰する生保営業従事者の研鑽の場〈優績倶楽部〉に所属、会員向け〈元気塾〉で情報などを蓄える。

「毎月の研修会で情報収集します」

 

●生損兼営が得策

アリコジャパン立川支社の同期社員は3名だった。ただ一人残った。

「保険募集になじめない人もいます」

向き不向きがある。

「生保募集人は、どちらかといえば損保販売が苦手です。損保販売が得意な募集人は、生保営業が不得手だったりします」

それを分ける資質は果たして何か。

「損保系代理店でも、もちろん生保営業に長けた募集人はいます」

特筆するべきは、〈客数〉×〈単価〉。

「損保の客単価は総じて小さく、そのうえ事故が起きると煩雑な側面を有しています」

費用対効果、効率営業が生保販売の秘訣。

「生保で成功する損保代理店は、大口契約を軸に営業展開するようです」

損保の哲学〝小口多数による安定経営〟は、生保営業にはなじまない。

「損保を取り扱う生保系代理店では、基本的に自動車保険を取り扱わないところもあります」

損保に乗り合っても、自動車保険の取り扱いは避けたほうがよいといったアドバイスを受ける。

「生保系代理店は、企業向けや個人事業主向け損保商品に絞ったほうがよいと思います」

D&O保険や企業財産包括保険、企業費用・利益総合保険を念頭に置く。

「独立の狙いは生損保兼営です。ところが委託型募集人問題が俎上に上りました」

当面、静観の構え。

「優秀な人材を確保し事務を任せ、生損保販売に舵を切るほうが得策のようです」

長く節税商品が売りやすい時代が続いた。

「この先、個人は増税、法人は減税の流れです。終身保険の販売など、税制に振り回されない提案が主流になるでしょうか」

(小柳博之)

 

 プロフィール おおやぶ・くにつぐ きよはら・としゆき= 1956年8月生まれ、57歳。法政大学経営学部卒。食品スーパーからアリコジャパン(現メットライフ生命)の直販社員に転職、のちに独立。

 

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