一般社団法人FP塾

 

熊本・大分復興支援研修会

「学び、寄り添うことで支援に繋げる」

パネルディスカッション

 

 

 

一般社団 法人FP塾は9月7日・8日、「熊本・大分復興支援研修会〈神戸・東北・熊本 貫く希望!〜集え! 我らが善意!〜〉」をホテル日航熊本で開催。2日間でのべ280人以上が参加した。「学ぶことが支援に繋がる」を合い言葉に、密度の濃い研修会となった。参加費(熊本・大分在住者は無料)は全額義援金とし、総額80万円を熊本市に寄付した。本紙では2日目最後のセッション、出版記念『法人FPの教科書』(弊社刊)執筆者によるパネルディスカッションの内容を紹介する。

 

パネルディスカッション出席者

 

井上得四郎

(一社)法人FP塾 代表理事・税理士

島津 悟

Office SIMADU 代表・同塾 理事

奥田 雅也

サンライズコーポレーション代表取締役・同塾 理事

 

 

●法人FPの啓発が必要

 

井上 必要保障額の基準を

 

パネルディスカッションは奥田雅也氏の司会進行で、まず井上得四郎氏が『法人FPの教科書』を発刊した背景を語るところから始まった。

 

「『法人FP』という名称、あるいは奥田さんと3年前に始めた『全日本保険FP協会』、いずれも『法人向けの生保販売の理論』が果たして日本にあるのだろうか、という思いが根底にあります。例えば、必要保障金額の計算ひとつにしても、退職金+支払手形+買掛金+人件費1年分……といった本当にお粗末な計算方法しかありません。そうした中で経営者が涙して「これだけは絶対必要だね!」というような金額をどう計算して提示していくのか。そもそも役員の退職金額は税務署が決めるものなのでしょうか。一方で、そうしたことに何の疑問も持たない業界のレベル感もあります。これを突き詰めていくと、経営者に寄り添う、法人のファイナンシャル・プランニングとは何なのか。総体として考え方のベースとなる『教科書』を作っておきたいと思い、今回その第一弾として発行しました」

 

島津 法人は身近な市場

 

続いて島津悟氏が、今回の研修会や出版にもつながる優績倶楽部の発足についてのエピソードを披露。島津氏が大同生命の研修部長だった時のこと。社内の自主研修会に井上氏をゲストスピーカーとして呼んだとき、講師料代わりに一献傾けるなかで、井上氏が初めて優績倶楽部の構想を明かした。それは現状へのアンチテーゼでもあり、衝撃を受けたのだという。

 

「『中小企業の経営者と向き合い、その成果として少なくとも年間1800万円の収入を10年間続けて得られるような営業マンを育てたい』と熱く語るわけです。私は具体的にそこまで考える方が生命保険業界の外にいたことに驚くと同時に、これを業界への問題提起として捉え、なんとかこの思いを実現したいと、ずっとお付き合をいしてきました。その後、優績倶楽部の起ち上げ、今回、書籍の発行へと流れていきます」

 

ただ一方で、島津氏は「法人営業」をスペシャリストの領域として精鋭化していくだけではなく、一般の営業職員にとっても身近な市場として裾野を広げていくべきだと説く。

 

「中小企業の経営者は孤独です。だれにも相談ができない。『まさか、こんな些細なことで顧問税理士の先生に相談できない』と思うわけです。そこで自分で考えたいと思っているのですが、考えるための材料やヒントがないんです。ではその材料を誰が提供するのか。私は皆さんだと思います。保険募集人というのは、「士」業ではありませんが、素人でもありません。この中間点にいる皆さんが話し相手になってあげることで道が拓けてきます。それが、「経営者に寄り添う営業」なのです。これなら一般の営業職員にも十分出来ることなのです」

 

●経営者と面談のとっかかり

 

井上 試算表が読めるように

 

では、経営者と会って何を話せばいいのか。井上氏はこうアドバイスする。

 

「やはり『社長、資金繰りはいかがですか?』の一言でしょうか。楽で楽でしょうがない、という会社はありませんので、どうしたら楽になるのか。福田茂夫先生の『会計事務所で働く人たちのために』や棚橋隆司先生の『財務革命』などを通じて、資金繰りとは何なのかを学んでほしい。

 

試算表(月次決算書)を見せていただければ、だいたいのことは分かるので、どこに問題があるのかを指摘できれば最高です。決算書は見なくてもいいから試算表を見るべきです。試算表には血が流れています。決算書は外部に出すから化粧をしていますが、試算表は内部で社長が経営のために作るものだから化粧はしていません。スッピンです。その中で、なぜ資金繰りがきついのか。法人向け販売を本当にしたいのならマスターしていただきたいところです」

 

そしてもう1点、社長と面談したとき、社長の後ろに社員が見えるかどうかが大切だという。「社員を大事にしない会社で大きくなった会社はありません」と言い切る。

 

「社員への愛情が見えたとき、間違いなく保険も売れます。福利厚生です。全員加入の養老保険、ガン保険など、社員の福利厚生が見えてくると、保険本来の意味が見えてくるのではないでしょうか。そして社員が加入した保険は、会社の財務体質の強化にも繋がっていきます」

 

奥田 勉強と実践を繰り返す

 

奥田雅也氏は「経営者と面談して最初に資金繰りの話を振ることができたとしても、それで出てきた答えにどう応えられるか」がいちばんのポイントで、会話を続けるためには一にも二にも知識が必要だと説く。

 

「私は元々会計事務所に勤務していたのですが、保険の担当でしたので、独立するまでは仕訳も試算表も分かりませんでした。独立して井上先生からも手ほどきを受けたのですが、まず、私自身が勉強をしました。いま、経営者への対応で生かされている〈現場の知識〉は、自分が積み上げてきた勉強の知識にほかなりません」

 

奥田氏は師匠から「子供の勉強は成績がよくなっても褒められるだけだけれど、大人の勉強はお金になる」と繰り返し言われたそうだ。

 

「売り手に知識があるとお客さま側もどんどん情報を出してくれます。『資金繰りがきつい』と言われたとき、資金繰りのきつい理由が分かっていれば、そこで話が一歩前へ進みますが、分からなければ『銀行にお金借りに行きますか』で終わってしまいます。突き詰めれば試算表が読めるか、財務が分かるかなのですが、そのためには勉強をするしかありません。私は棚橋先生の『財務革命』を10回は精読しました。初めは書いてある日本語は読めても、中身が分からなかったのですが、何回も読んでいくうちに『棚橋先生はこういうことが言いたいのかな』と何となく分かるようになってきます。あるとき、お客さまの決算書を見た瞬間『財務革命』で書いてあることはこういうことだったんだと腑に落ちて以来、保険提案のステージが上がったように思いました」

 

奥田氏は法人営業の経験とノウハウを積むために自ら実践の場を設けてきたが、最近、顧客の記帳代行を建築関係と教育関係の2社で始めた。

 

「お客さまのところで、資金繰りが『きつい』と言われるので、決算表と試算表を見せて欲しいと依頼すると『試算表はありません』とのこと。そこでまず『月次の数字を押さえるところから始めませんか。私がそのお手伝いをしますから』と提案しました。いま、翌月の5日までに月次の決算書を届けているのですが、そのプロセスを自分の手で行うと『財務革命』の内容もよく分かってきます。経営者のお金の使い方がリアルタイムに掴めると話の内容も変わってきます。その経験が、他の経営者から記帳代行の依頼も含め、お金の相談へと繋がってきています。経営者の役立つということは、こうしたことも一つなんだと思いました」

 

勉強なので記帳代行の手数料は取っていない。顧客の希望により、小さな医療保険を新規に契約しただけだと言うが、それを大きく上回る効果があったと強調した。

(注 法人の記帳代行は税理士でなくてもできますが、個人事業主の場合は税理士法に抵触するおそれがあります)

 

●人材育成について

 

島津 素直さこそ必須要件

 

次のテーマは「人材育成」。法人マーケットで実績を上げていくための必要要件は何か。司会の奥田雅也氏が島津悟氏に「延べ何万人もの法人契約を扱う営業職員と接してきて、業界に残れる人と残れない人との、最大公約数的な違いはどこにあるのか」を問うた。

 

「法人マーケットで大成功した営業職員はたくさんいるのですが、共通項を一つ挙げるとすれば『非常に素直だ』ということです。私の中に生保の営業をする人は素直でなければダメだという信念があります。言われたことを素直にキチンとやっていく。『こういう勉強方法があるんだよ』と教えられたとき、斜に構えたらそれでお終いです。

 

例えば、みなさんもいろいろなセミナーを受講する機会があると思うのですが『この程度の話か』と思って寝てしまったり、途中退席してしまったりすることはないでしょうか。優績になっていく人はここが違います。

 

どんな状況であっても『何かつかめるものがあるのではないか』と素直な気持ちで向き合っています。裏を返せば情報に対して貪欲で、そうした姿勢こそが、多面的な情報を蓄積させて社長との対話を実りあるものにします。社長の話からもいろいろな情報が収集できるようにもなります。『社長の情報』というのは意外と聞き漏らしが多く、ほとんど記憶に残っていないような会話の中に大切な情報が隠されていたりします。それに気付くには『受け止める力』、すなわち素直であることが大切だと思います。優績者になるための必須要件だと思います」

 

井上 研修会参加者ほど優績

 

続いて同じ質問を井上得四郎氏にぶつける。

 

「優績倶楽部の会員さんに限定して考えると、研修会にいつも出てこられる方は優績ですね。それは優績倶楽部が他と違って、刺激を『仕合う』勉強会だからではないでしょうか。講演会後の懇親会に─昨日(9月7日)は70名が参加してくださったそうですが、他の勉強会ではそこまで懇親会に参加されないでしょうし、毎回のことなのですが、やはり懇親会の中で今日の講師の先生と酒をくみ交わしながら本音を聞く、または聞きたいという姿勢が活動の肥やしになっています。

 

一方で、講師の先生も壇上では格好をつけているところがありますから(笑)、後日談などが聞けるメリットも見逃せませんし、そこで人間関係を作って個別の案件を相談する、といったケースもあります。講師の先生はその道では超一流ばかりですから、強力な後ろ盾となります。主宰者としては懇親会まで楽しく飲んでいただき『懇親会でも得られるものがあった』とみなさんに稼いでいただく勉強会を今後とも続けていきたいと思います。

 

もう1点、経営者とお付き合いする場合、エクセルの鈴木善和さんが素晴らしいことを言いました。『みなさん方は経営に関する智恵をプレゼンできますか』と言ったのですが『経営に関する智恵』、これ、凄い言葉ですね。

 

これをみなさんが、経営者や資産家やドクターにどのようにお届けするのか。あるいは今後の経済動向や世界情勢についてどういうふうな情報を提供するのか。

 

そうはいっても密度の濃いものを提供するには手が回わらない部分でもあり、2年前に『フォルテッツァレポート』をスタートさせました。いま、それぞれの分野におけるスペシャリスト、16人の先生方に執筆していただいたものをメルマガとして配信、会員の方が印刷してお客さまに届けられるような仕組みになっています。

 

中小・零細企業の経営者は情報を待っています。特に地に足のついたような経営情報を、日常活動の中でみなさんがどう手に入れ、どう届けていくか。みなさん方が好かれ、頼りにされるような、訪問するのを待ってもらえるような活動をサポートしていきます。

 

実際、優績倶楽部の人たちは、これをうまく日常活動に落とし込んでいます。月1回の定期訪問。会計事務所は毎月1回顧問先企業を訪問します。このままでは生保マンは会計事務所に勝てません。定期訪問によって信頼関係ができているからです。新契約のときだけ、というのでは繋がりが弱すぎます。毎月1回訪問する習慣、それが優績者への近道です」

 

奥田 智恵は積み上げていく

 

二人の発言を受け、奥田雅也氏が月1回の定期訪問がいかに効果的かは、記帳代行(上編を参照)をやるようになって実証済みだと補足した。ツールがあることで定期訪問が可能となり、それが経営者との距離を縮めたと言う。

 

「鈴木善和さんではありませんが、私も『経営に関する智恵』という部分では、マニアックな保険の活用方法を研究し、そのスキーム自体はメルマガにも書いてオープンにしています。ただ、実際に現場でどう活用するかは各々が智恵を働かせる部分であり、それは個々の状況によって変わってきます。ですから、その前の段階までならいくらでも情報提供やお手伝いをさせていただきますが、そこから先は各々が勉強し、経験を積んでご自身のものにしていく部分だと思います」

 

そう言って奥田氏は、法人営業の情報として真っ先に思いつく「保険税務」へと繋げた。なかんずく節税のスキームについてはニーズも大きいが同時にリスクも背負うからだ。井上氏はここ数年、税のコンプライアンスに対する警鐘を鳴らし、保険業界の対応を戒めてきたが、実際はどうなのか。GHTとMHPを引き合いに出し、税務の根源的な解釈に迫った。

 

●法人契約と保険税務

 

井上 最後の課税まで確実に

 

「保険税務の対応について大きなきっかけとなったのは『逆ハーフタックスプラン(GHT)』の最高裁判決です。あれを巡って、満期時の課税問題としてだけ捉えるのか、それとも2分の1給与課税にして、残った2分の1は損金でOKだったと捉えるのか。解釈はさまざまでした。

 

もう一つ、奥田さんが細かい部分まで体系立てたと言ってもいい『名義変更プラン(MHP)』があります。これも名義を変更するにあたって、経済的合理性がなければダメだと考えていたのですが、実はこれまでのところ税務上問題になったケースはありません。問題になったことがないものを、いち税理士がストップを掛ける必要もないだろう、と最近思うわけです。

 

つまりGHTもMHPも取り扱いOKなのですが、問題なのは最後の課税関係まできちっと処理させられるかなのです。ここが重要です。GHTの場合なら満期まで手を触れないこと、途中で変更しないことを前提に、満期保険金を個人に移し課税も完結させます。資産が法人から個人に移って課税が完結するということは『税務署が予定した課税関係が終わる』ということです。それがよいとか、悪いとかではなく現行税法で求めている課税関係の全てなんです。だからGHTはOKなんです。

 

MHPも税務的なコンプライアンスから言いますと『名義変更後解約をしないこと』です。解約をしないで払い済み保険に変更して個人名義でずっと置いておけば、絶対に否認されません。税務署が調査に入って『否認したいんだけれど』と指摘されたら『分かりました。それなら法人契約へ戻します。それでいいですか』と。現金化したときが問題なわけです。この息遣いをぜひ体に覚えさせてほしいと思います」

 

個人の資産となった保険契約を相続対策の視点からどのように処理をしていけばいいのか。井上得四郎氏はまず、「贈与税は高い」という先入観を捨てないと有益なアドバイスができないと危惧する。

 

「たとえば、名義変更で社長個人の契約となった何千万円の払済保険を、直後でもいいですから長男の名義に変更します。2回目の変更です。そして減額します。減額の払戻金は契約者である長男がもらいます。これは相続税法第5条2項によって「みなし贈与」に該当します。

 

このお金をどうするか。父親を被保険者にして再び保険に加入します。将来、これが一時所得に変わります。終わったら、3回目は次男に名義変更をします。次男も同じように減額の払い戻しを受け、新しく、父親を被保険者にして保険に加入します。4回目、三男に名義変更し、減額して…とやっていきます。

 

もちろん、それぞれについて全部贈与税は払います。110万円引いて200万円までが10%の税率です。相続税から考えると贈与税は安い。ただ、みなさんが贈与税を高いと思っているから、贈与税による相続対策が進みません。贈与税による相続対策は110万円と最初から決めてかかっていませんか。

 

ところで、死亡保険金の非課税金額は法定相続人1人あたり500万円です。たとえば子どもが3人と奥さんなら2000万円までは非課税ですが、超えたら全部一緒くたに相続税がかかります。果たしてこうして入る必要があるのでしょうか。それなら子どもの一時所得、あるいは死亡保険金が贈与税の課税対象になるように保障を確保すべきではないでしょうか。つまり証券分析です。

 

死亡保険金の非課税の問題についてもう一度考えるべきでしょう。大事なことは一時所得、贈与税の課税対象、亡くなったとき死亡保険金が入って、これが母親からの贈与税の課税対象となれば最高です。これが生命保険を使った相続税対策の全てではないでしょうか」

 

島津 損金話法からの脱却

 

続いて島津悟氏が今までの経験から「保険税務」の問題と絡め、安易に保険料の損金算入を販売話法に落とし込むべきではなく、保障を必要とする背景に目を向けるべきだと忠告した。

 

「法人保険を長いこと扱ってきたなかで、常々、企業のお金の流れがよく分からない人たちが、損金算入の話を気軽に持っていってしまっていいのか、という思いはありました。保険料を損金で落とせて、実質負担額をこう、解約返戻金はこう、といったレベルで経営者と話せると思うのは間違いです。やはり企業経営者の思いにいかに寄り添うか。法人営業でいちばん大切な部分で、ややもすると売る側の立場、企業経営者のところに軸足がなく、とにかく売ることしか考えない。まず最初に商品展開ありき、のきらいがあります。

そこは知識を深め、社長の懐にしっかりと入り込んだ上で、専門的なプロセスに入っていくことが大切です。税務は毎年変わってくるので、しこたま勉強をしてほしいと思います。年末には翌年度の税制改正大綱案が出ます。少なくともこれだけはしっかりと押さえておく、という認識は持ってください」

 

奥田 医療法人と社長借入金に着目

 

奥田雅也氏が名義変更プランの補足として、第七次医療法改正に伴い、医療法人経営の透明性・ガバナンス強化が求められていくなかで平成29年4月2日以降に始まる会計年度から『理事、理事長との取引で、特別損失として1000万円以上発生させた取引』は都道府県への報告の義務が課せられ、保険募集人とって具体的な影響として、逓増定期保険の名義変更について注意を喚起した。

 

「差損で1000万円以上は一発です。医療法人の理事長はかなりの人が名義変更プランを加入しているのですが、契約のとき、適切な説明を受けていません。実際、全国から相談を受けています。この話をするだけで理事長は興味を示しますし、証券分析・決算書の入手までスムーズにいきます。

 

4月20日の医政局長発の通達に細かく書いてあるのですが、その意味を理解し、保険営業的に何ができるのか。ここを徹底的に勉強をすることで、いま医療法人に入り込める大きなチャンスが訪れています。すでに加入している逓増定期をどうするのか。われわれの腕の見せ所です」

 

続けて奥田氏が「社長の借入金」と相続対策を絡めた話題提供の反応がいいことを披露し、中小企業訪問の切り口の1つとして推奨した。

 

「多くの中小企業では社長が会社にお金を貸しているわけですが、この対策を突き詰めていくと、合理的なのは生命保険の活用しかありません。これはいくらでもやり方があります。

 

例えば、役員報酬を50万円もらっていたら、20万円減らし30万円として、毎月20万円ずつ返済していくケースなどですが、もし、社長に万一のことがあったら、社長側からは債権になるので相続財産に入れなければいけません。

 

相続税の負担が大きければ、遺族は社長が貸したお金の返済を放棄するとに、法人では債務免除益が上がり、課税されることとになり、結局どっちかで納税しなければなりません。

 

なんとか手当てをしなければいけませんが、社長に万一のことがあったとき法人に死亡保険金が入れば借入金の返済ができますし、個人に入れば相続税が支払えます。だから生命保険。これをうまく組み立てると月々の保険料を返済に充当しながら保障もできるようになります。

 

私は会計事務所の先生にも話していますし、訪問先の企業では『一般に中小企業の経営者は会社にお金を貸していますが、その対策はやっておられますか』と話のフックとして使います。そして『相続の問題や債務の順位の問題があるのをご存知ですか?』。ここまで言うと社長の目の色が変わってきますし、保険の話になり、決算書、試算書が見られるようになります」

 

島津 9割の企業で社長借入金あり

 

ここで島津氏が社長の借入金に対して興味深いデータを引き合いに出した。

 

「ある調査によれば社長借入金は全国平均で1社あたり3000万円あり、9割の会社がこれに該当するといわれております。訪問する大多数の企業に社長借入金があるということです。そこで私は必要保障額の算出において、企業の借入金のための保障額に3000万円をオンしています。本来の借入金が5000万円なら3000万円をオンして8000万円とします。『俺の所はこんなに借金がない』となるのですが『社長、借入金をいくらとは聞いていなかったので、取りあえず全国平均を仮に乗せておきました。社長のところはおいくらですか?』と。そこで本当の数字を聞き、改めて必要保障額を算出していきます」

 

奥田 経営者から逃げない

 

最後に奥田氏が2日間の研修会の総括も含め、保険営業のあり方をいま一度訴えた。

 

「自分はみなさんと同じ保険営業をしているわけですが、常に心掛けているのは経営者から逃げないことです。まず、このお客さまを徹底的にアドバイス・お世話するんだ、という覚悟が必要です。それがあれば勉強もしますし、情報提供やお役に立つことなら、合法的なもので、喜ばれれば何でもしていく。そして大切なのは保険業界に残り続けることです。お客さまを守ろうとしても本業でしっかり儲けていかないと生き残れません。ここのメンバーとも切磋琢磨して、お互い成長しその果実を顧客に還元していきたいと思います」

 

 

 

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