時代の移り変わりとともに、法人販売にも色々な局面が訪れる。ここ、あおぞら生命保険の東京支社、東京営業所長、長さんには色々な相談事が持ち込まれる。今日のテーマは「経営者の保障分析」正編その3だ。オーナー夫人のリスクにも目配りし、しっかりと始業のチャイムまで攻略だ。
三平 おはようございます〜。気持ちを切り替えて頑張ります。同期の性格や会社の方針や通達の変更など、僕一人ではどうにもならないことばかりですからね。
(掲載時には通達発遣済となっているでしょう)
サブ おう、頑張ろうな。
長さん おはよう。はいどうもー。色々クヨクヨしててもしょうがないからね。
三平 では、お客さまのA社長から預かっていた質問「社長の保障分析」も続きをお願いしたいと思います。
サブ 通達変更に関する勉強会の前でいったん中断していた社長の保障分析は、社長の会社に対する責任、具体的には死亡保障と就業不能保障を終わったところだったな。
三平 はい、社長死亡時の❶入金リスク❷運転資金リスク❸廃業リスクと、社長の就業不能時の❹資金リスク❺経営者交代のタイミングについて考えました。次は、ご家族に対する責任・保障を考えていきたいと思います。
サブ つまり、死亡退職金だな。あと退職慰労金も含まれるかな。
三平 そうですね。
長さん 社長の奥さまにとって、ここは大問題ですね。奥さまは大きく分けて、経理などで会社にかかわっている場合と完全に主婦をしているケースに分かれるでしょう。たまに他の全く関係ない会社で普通に働いていらっしゃる場合もあるけどね。
三平 大きく分けて、
①社長死亡時のご家族の生活資金と奥さまの老後資金
②社長退職時の主にご夫婦の老後資金
③社長が就業不能になってしまった場合の生活資金・老後生活資金
が考えられます。
長さん それぞれの計算には、データを活用しての計算と考え方のみを提示してご自分で計算してもらうやり方があるわね。
三平 まず、社長死亡時のご家族の生活資金ですが、生活費や教育費用などのライフイベントから計算するのが一般的だと思います。
長さん そうよね、このライフイベント型計算は、いろいろなところからFPソフトや計算方法が出ているので、計算式などは割愛しましょう。一般サラリーマンの計算では遺族年金を引いた計算なら数千万円くらいになるわね。
サブ 一般的な退職年齢以降の老後資金計算では、奥さまの老後資金だけでもやはり数千万円かかるだろうな。
三平 一方で、会社の規定として『役員退職金規定』を定めた場合、死亡退職金が確保できます。計算例は、最終報酬月額×勤続年数×功績倍率です。この計算だと意外と高い金額となります。月額報酬200万で30年勤務の社長で一般的に最高といわれる功績倍率3倍なら、1億8000万円になります。この死亡退職金がもらえるなら、一般的には奥さまは安泰ですよね。
サブ それだけの資金を会社の資産から捻出するのは、その後の財務に響くから保険の準備が大事だ。ところが、個人でも加入しているから、会社ではそんなに準備しなくてよい、とおっしゃるケースも多い。
長さん でも奥さまの視点なら別な心配事もあるのよ。前回までに、社長の会社に対する責任保障という分析を行ったけれど、奥さまも会社に対する責任感って結構持っていらっしゃるから…。
サブ 会社の債務保証ですね。
長さん そう。奥さまは主婦であっても、債務に対する「連帯保証人」となっているケースが多くてね、社長に万一のことが起こったときに、会社が抱えている債務が大きく経営が立ち行かなくなったときはその債務返済をしなくてはならないのよ。それじゃなくても債務返済や従業員への保障を考えると重大な責任を感じていてもおかしくないんだけどね。
三平 事業保障をきちんと保全していても、想定外の大きな借り入れとか、環境の変化がありうるってことでしょうか?
サブ そうだ、保障管理はある程度の経営環境の上限は想定しても、大きな変化にすぐには対応できないからな。
長さん 社長がお亡くなりになった時、社長がオーナーならまず会社そのものの相続があります。その時に借入があって経営不振となってしまった場合、奥さまに返済義務が生じます。このような時、会社に入る保険金は返済が優先されるから、退職金どころか個人財産から返済しなくてはならない、場合によっては莫大な借金を背負うことになるから、奥さまは心配で、心配で。
三平 なるほど、相続での借金を避けるなら「相続放棄」がありますね。
サブ だから、貸主は主婦であっても奥さまを「連帯保証人」にするんだよ。会社の借金は社長と夫人が連帯保証人になっているケースが多い。
三平 そういうことですか。ならば会社契約はもとより、個人契約でも奥さま受け取りは借金の返済に回ってしまうってことですね。
長さん そうね。だからそういう心配がある場合は、奥さま受け取り以外にもお子さま受け取りの最低限の保障を準備しておくことも重要よ。
三平 分かりました。デジタルな計算だけでなく、とっても有効な情報提供ですね。
サブ それに人生100年の今は、死ななくて就業不能や就業制限で長生きということが起こりうる時代なんだ。死亡退職ではなく、想定外の早期退職からの引退後人生を考えておかなくてはいけないだろう。
三平 つまり、退職金準備においても就業不能リスクを想定しましょうということですね。
長さん 死亡退職金も退職慰労金も事業承継に大きく関わってきますからね。今から言っておきますけど。
サブ 次回は退職慰労金についてだな。三平、今日の(異業種)慰労会の対策は万全か?
三平 あ、チャイムです。(その前に、長さんのリボンが怒りで震えていますけど、リスク対策は大丈夫ですか?)
★2019年7月5日 第2918号 6面掲載
好評連載中!
時代の移り変わりとともに、法人販売にも色々な局面が訪れる。ここ、あおぞら生命保険の東京支社、東京営業所長、長さんには色々な相談事が持ち込まれる。今日のテーマは「福利厚生の見直しをどうするべきか、考えをまとめよう」の巻だ。社会情勢を見据えて、かつ基礎から整理して、始業のチャイムまで朝勉だ。
三平 サブさ〜ん、おはようございます。あ、長さんも、おはようございます。今日も朝勉よろしくお願いしま〜す。
サブ おはよう、朝から頭脳をクリアにしてきたか?
三平 はい、そりゃーもう。吸収できるように空っぽにしてきました。ニュースも見ていません。
サブ あほか。情報は毎日しっかり蓄積しろよな。新聞もちゃんと読まないと。
三平 じょ、冗談です。
長さん おはよう、三平君。では、最近気になっているニュースや記事は何?
三平 はい、ここ最近でいちばん気になっているのは、他の保険会社のベースアップ記事です。気になってしようがありません。
サブ お前、自分のことばかりだな。
長さん まあ、そうとばかり限らないわよ。なかなか面白い目の付け所だと思います。もう少し視野を広げると、関連した記事には他にどんなものがあった?
三平 そうですねぇ。他業界の大手企業でも軒並みベースアップで、次は中小の番だ、というような記事だったと思います。
サブ 一応はちゃんと新聞もチェックしているようだな。
長さん それを他の人が見たときにどんなふうに感じているのかしらね。
三平 他の人って?
サブ われわれが気にしている人たちだよ。つまり、中小企業の社長や従業員の方たちだ。
長さん どんなふうに感じていらっしゃるのかしらね?
三平 たしかに、そうですね。聞いてみたい気がします。想像ですが、経営者からすると「売り上げがどんどん上昇していればよいけど、ベースアップはできるだけしたくない」というのが本音じゃないかという気がします。
長さん そういう本音の方も多いかもしれないわね。一方で家族経営というか、できるだけ利益は従業員、という方針の経営者もいらっしゃるわね。いずれにしても、利益や売り上げが上昇していてベースアップの体力が充分にあることが条件となるのでしょうね。
サブ 三平、一方で従業員側はどうだろう。
三平 僕も気になるように、上げてくれないかな、というように気になっていると思います。上がらなかったら不満でしょうし、上がっても他と見比べてしまうかもしれません。
長さん みなさん、本音はそうなんでしょうね。経営者から遠い立場の従業員は本音が言えても、経営者に近い立場の人は、本音を言えないし経営状態がある程度分かっていたら上げてほしいとも言えないし、複雑かもしれないわね。でも、上げてほしいのは間違いないと思うわ。
サブ 来年には消費税のアップが控えているだろう。だからだよ。デフレで物価が下がったりしてベースアップがなくても何とかつないできたけど、消費税アップ・消費(景気)拡大・ベースアップと、連携された仕組みだからね。
三平 つまり、ベースアップしないと取り残されていくと……。消費税が2%上がるのだから、ベースアップも2%だと、そういうことですか?
長さん 経営について一側面からは何とも言えないけど、従業員の士気が最終的に売り上げに響いてくるケースもあるって聞いたことがあります。2%がよいのか1%で充分なのかって問題も企業ごとで企業風土や労働条件が違うだろうし、ベースアップしなかったからすぐに不満が爆発するってことでもないでしょう。でも従業員満足度の影響から労使の思惑にずれが生じていくことになるのでしょうね。
三平 実際、中小企業ではどうしていくんでしょうね。
長さん 動けない会社が多いかもしれないわね。経営ではベースアップ問題が大きいだろうとは分かっていても、その前にやらなければいけない問題があるからよ。
三平 何でしょう?
サブ お前もさっき言っていただろう。消費税問題だよ。
長さん そうね。どの企業もというわけではないでしょうけど、来年の消費税アップによって売り上げにどれだけ響くか、あるいは値段設定を変更するか、ということに悩んでいらっしゃるようね。ベースアップ以前に売り上げと利益確保がどうなるか、下がらないかということが気になっていらっしゃるのではないかしら。
三平 たしかにそうですね。消費税率が変わるたびに悩まれるのでしょうけど、価格据え置きなら、利益ダウンで売り上げを伸ばさなければならない。消費税分価格アップなら単価の利益は確保できるけど、売り上げがダウンする恐れがある。
サブ ベースアップの原資となる利益が確保できるか、これから上乗せでベースアップを考えるには厳しい環境だよな。
長さん 大企業においては、経済全体を見て判断していかなければいけないと思うけど、中小企業においては、実際の売り上げや利益を見ていかなければいけないから、すぐには動けないという企業も多いのではないかしら。
サブ ところで三平、ベースアップと手当増額、経営者が好むのはどちらだ?
三平 サブさん、それは初級すぎませんか? 手当増額です。
ベースアップは一度上げたらなかなか下げられないからです。手当なら、額を下げたり廃止したりすることがベースアップほどは抵抗がありません。
長さん そうよね、だから、中小企業において強いベースアップの要求の反面で動けないのなら、あえて福利厚生制度について今までの内容を確認しながら見直しを行い、「ちゃんとベースアップも考えているけど、今はここまでです」と従業員満足度を下げない努力を示していくことも重要なのではないかしら。
三平 なるほど、総合的な観点から企業のニーズが少し見えてきたような気がします。
★2015年5月1日 第2718号 6面掲載
好評連載中!
制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム
住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階
電話 03-3317-0391
○掲載内容の複写などにつきまして
当ウェブサイトのコンテンツを無断で複写等することはできません。
○ 掲載内容につきまして
当ウェブサイトの掲載内容は精査をしていますが、これを保証するものではありません。
○個人情報の取り扱いにつきまして
当ウェブサイトを通じて取得した個人情報は厳重に管理し、当社からの連絡・通知以外の用途以外には使用しません。
→プライバシーポリシーについて
Copyright 2016 Hokensha. All Rights Reserved.