2024年2月2日 3138号

 

 

生命保険協会

「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み

及び次のパンデミックに向けた経験の継承」を作成・公表

 

未だ完全終息には至っていないが、約3年間にわたって世界的に猛威を振るった「新型コロナウイルス感染症」は、これも全世界的に大流行し、わが国を始め全世界的に多くの感染者、犠牲者を出した1918年に発生した「スペイン風邪」以来の未曽有のパンデミックとして記憶されることになるだろう。

一方、生命保険協会では、コロナ禍対応の第一線にあって、保険金・入院給付金の請求・支払いを中心に契約者対応をしてきた生命保険業界の、この間の取り組みについて、この間のコロナ禍における生命保険業界の取り組みを振り返るとともに「パンデミック」に対する経験として今後に活かすことを目的に、2023年11月17日「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取り組み及び次のパンデミックに向けた経験の継承」(以下「本報告書」)を作成・公表した。その概要を取り纏めて紹介する。

 

約3年間の対応を総括

 

この報告書の内容を見れば、多くの人が2011年3月11日に発生し、こちらも大きな人的・物的被害をもたらした「東日本大震災」の際と同様に、未曽有の大災害に遭遇した時の、万一の際の備えとしての生命保険(損害保険、各種共済)の効用について、あらためて強く認識することになるのではないか。

 

折から、この1月1日には、能登半島を中心とする広い範囲において、人的・物的に甚大な被害をもたらしている「能登半島地震」が発生している中で、生命保険協会(会員生命保険会社)始め、損害保険協会(会員生命保険会社)、少額短期保険協会、各種共済は迅速に対応している。

 

なお、生命保険協会では、本報告書に先行して「新型コロナウイルス感染症」が猖獗をきわめていた2022年4月、コロナ禍下における生命保険業界の取り組みや、その中で進展することになったデジタル化の取り組み、海外主要国の状況等について「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み報告書」として取り纏めている。

 

その後、新型コロナコロナウイルス感染症の新規陽性者が爆発的に増加するなど、急激な環境変化が続く中で、生命保険契約者等からの期待に応えるために、生命保険業界は文字通り一丸となって対応し、約3年半で延べ1136万件、1.3兆円にのぼる保険金等を支払ってきたが、一方で、保険金や給付金の請求が殺到したことにより、関連する事務手続きが逼迫したことに伴い、保険金や給付金の支払いが遅延するといった事態も出来することになった。

 

「本報告書」を作成・公表した理由について生命保険協会では、こうした経験や課題をしっかりと受け止めることによって、将来、同様の事態が生じた場合に、こうした経験を踏まえたよりよい取り組みに繋げるためにも、いま一度、コロナ禍下における生命保険業界の取り組みを振り返り、あらためて「後世への経験の継承」を行うことが重要であると考えて、本報告書を作成したのだという。

 

なお、生命保険協会は、コロナ禍の次のパンデミックにおいても契約者等の「お客さま」に信頼され「確かな信頼をお届する」という生命保険業界の役割をこれからも果たしていくことができるよう、これからも生命保険協会の会員である生命保険会社とともに、各種の取り組みを推進していくとのことである。

 

前述のように、この1月1日には、大規模な地震が発生し、能登半島を中心に甚大な被害をもたらしているが、この間、生命保険協会(協会会員である生命保険会社)、損害保険協会(協会会員である損害保険会社)、少額短期保険会社(協会会員である少額短期保険会社)、各種共済は、この事態に呼応して迅速に様々な施策を打ち出しているのは言うまでもない。

 

以下、本報告書の内容を見ていこう。

 

■生命保険業界の対応概要

⑴ 新型コロナウイルス感染症を巡る一連の対応において、生命保険業界は、未曽有のパンデミックに対応してきた全ての人々とともに「お客さま」に寄り添って、一丸となった取り組みを推進した。

 

⑵ 行政と連携しながら、関係各省庁や自治体と協議を行い、自治体や保健所・医療機関の実務にも配慮しながら、新型コロナウイルス感染症対応体制を構築のうえ、確実な業務運営を図るとともに「みなし入院」による入院給付金の支払い等、各種顧客向け特別取り扱いを実施し、合計約1兆3144億円にのぼる保険金等の支払いを実施した(2011年3月11日の東日本大震災における保険金等の支払いは約1599億円)。

 

■新型コロナウイルス対応体制

●生命保険協会では、2009年に策定(随時改定)した「新型インフルエンザ等対策要綱」に基づき、2020年2月「新型コロナウイルス感染症にかかる協会対策本部」(以下「協会対策本部」)を設置した。

 

なお、この「協会対策本部」で決議が可能な事項は以下の通り。

•生命保険協会の業務の休止・継続および再開

•業務の継続・再開のための経費等に掛かる臨時会費拠出

•社会的に必要な新型インフルエンザ等対策への援助

•その他、総合的な対策として緊急の対応等が必要なもの

 

保険金支払い1136万件、1.3兆円

業界で取り組み事例を共有化

 

●生命保険協会長を本部長とする「対策本部役員会」(構成員は副会長、常勤役員でその機能は緊急の対応策の決議)において、緊急時の対応について機動的に判断・実施。

 

●新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更や、生命保険協会・会員各社の対応状況等を踏まえ、2023年5月「協会対策本部」は解散した。

 

⑴ 感染防止に向けた取組推進

①生命保険事業の公共性も踏まえ、顧客や従業員等の感染防止対策を講じつつ、必要な業務の継続ができるよう「新型コロナウイルス感染症ガイドライン」を策定し、会員各社に「参考」として提供した。

 

②会員会社の取り組みについてアンケートを実施し、取り組み事例を共有した。

 

⑵ 緊急事態宣言下での事業継続

①緊急事態宣言が発令されるなど感染状況が悪化した場合、または緊急事態宣言が延長または解除された場合に、速やかに意思決定が行えるよう、協会業務の休止・継続・再開等の手続き(本部長一任)について、対策本部役員会において事前に決議し、業界として円滑な対応を実施した。

 

②なお、政府からも、金融システムの機能維持や顧客保護の観点から、地域の状況や業務内容、規模、特性に応じて、必要な業務の継続が可能となるよう、臨機かつ柔軟なBCP対応の要請があった。

【生命保険協会における事業継続】(2020年4月7日緊急事態宣言発令時)

 

●継続業務

•心身障害者扶養保険の追加加入、保険金の支払い

•新型インフルエンザ等対応に関する消費者への情報提供

•契約内容登録制度運営、支払査定時照会制度運営

•LINCシステム運行業務

•相談・苦情受付業務、裁定審査会業務 等

 

●休止業務

•社員総会・理事会等の会議の対面での開催

•試験運営業務(緊急事態宣言が発令された当該地域) 等

【会員(生命保険会社)各社における事業継続】

•2020年4月、対策本部役員会にて、緊急事態宣言の区域における対面営業等の消費者等との対面を要する業務(以下「対面業務」)の自粛を決議。これを踏まえて顧客への周知を含めた対応を会員会社にて実施。

•以降、緊急事態宣言の区域の変更や期間の変更等に合わせ、適切に対応。

 

顧客に寄り添った対応を実施

「見なし入院」対応に照会・件数増加

 

■お客さま向けの柔軟な対応と社会への支援

•顧客や従業員等の感染防止対策を講じた上で「万一の際に安心をご提供する」という生命保険の使命を果たすべく、確実な保険金・給付金の支払いに加え、非常時の社会環境等を考慮して柔軟な「お客さま」対応を実施した。

•また、社会への影響を考慮し、社会の一員として、医療従事者をはじめとする困難に直面している人々に対して、寄附等の支援を実施した。

 

⑴「お客さま」向け柔軟な対応

①生命保険協会は、保険料払込猶予期間の延長措置および保険金等各種支払いに関する措置(簡易支払い)の実施を決議し、また「新型コロナウイルス感染症の対応に係る保険金等各種支払に関するガイドライン」を定めるなど、会員各社の取り組みをあと押しした。

 

②会員各社は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、当局からの要請等も踏まえ、前例にとらわれることのない、柔軟な保険約款の解釈・適用を行うことで、顧客に寄り添った対応を実施した。

 

【保険料払込猶予期間の延長】(2023年9月末現在)

●累計件数

40万1106件

•2020年3月より、緊急事態宣言が発令された際、該当区域の契約者から申し出があった場合に、保険料払込猶予期間を最長6か月延長する特別取り扱いが会員会社の判断で実施された。

•2020年6月には、保険料払込猶予期間の延長に関する追加措置を実施された。

 

【新規契約者貸付に対する利息減免】(2023年9月末現在)

•累計件数

97万8923件

•累計残高

約6285億円

会員各社において、新規の契約者貸付について、利息を免除する取り扱いが会員各社の判断により実施された。

 

例:2020年3月16日から同年6月30日までの新規の契約貸付について、同年9月30日まで利息を免除する取り扱いを実施した。

 

③一般的に入院給付金は、❶治療の必要性、❷病院または診療所に入り、常に医師の管理下にあることがその要件とされているが、新型コロナウイルス感染拡大期「病院または診療所に入ること」が難しいケースがあったため、入院が必要であるにもかかわらず、前記の事情により、臨時施設または自宅にて医師等の管理下で療養を行った場合には、医師等の証明書類に基づき入院と「みなす」特別取り扱いを会員各社の判断において開始した。(=「みなし入院」)

 

④2023年5月に新型コロナウイルス感染症が、感染症法上の「5類感染症」に移行するまで、入院・勧告措置や発生届出の取り扱い等、支払いの判断において準拠・考慮する政府等の対応が変遷したが、都度、時々の各種実態を総合的に考慮して対応した。

 

⑤みなし入院による給付金の支払いは、新規陽性者数の拡大とともに増加した。

 

⑥給付金の請求に際し「療養証明書」の提出を求めることが、保健所等の逼迫につながることから、当局からの要請や、負担の軽減の観点から「療養証明書」の発行を求めない事務(代替書類等)を会員各社で構築した。

 

⑦また、神奈川県では「自主療養届出制度」として、医師の診断や発生届出が行われなくても、所定の条件のもとで、自治体が自主療養を証明する対応が行われ、会員各社の判断によって活用された。

 

⑧会員各社では、被保険者が不慮の事故または所定の感染症により死亡した場合等に、災害死亡保険金等を支払う特約等を提供。

 

⑨新型コロナウイルス感染症の感染拡大や感染症法上の位置づけなどを踏まえ、会員会社は、新型コロナウイルス感染症を直接の原因とする死亡等について、災害死亡保険金等の対象とする取り扱いを実施した(会員各社によって、特別取り扱いの根拠や2023年5月8日以降の取り扱いは異なる)。

 

⑵ 医療従事者・地域社会への貢献

①生命保険協会では、医療現場の最前線で尽力している医療従事者などへの支援として、2020年5月に会員会社から資金拠出を受け、10億円の寄附を実施した。

 

②一方、地方協会でも、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、計3499万円の寄附・寄贈を実施した。

 

③また、会員各社でも、新型コロナウイルス感染症対策に尽力している団体・事業者・医療機関等に対して様々な形で寄附・寄贈がなされた。

 

医療従事者等に10億円を支援

 

■取り組みに対する情報発信

①2020年4月、生命保険協会ホームページに新型コロナウイルス感染症に関する特設ページを公開し、生命保険契約に関する特別取り扱いや生命保険会社の相談窓口等についての情報提供を実施した。

 

②また、会員各社でも、同様に特設ページを開設し、適宜必要な情報提供が行われた。

 

■取り組みに対する評価

①こうした生命保険業界の対応について、顧客からは、多くの感謝の声が寄せられた。

 

②一方で「みなし入院」を巡る対応においては、新規陽性者の増加に伴い、照会・相談件数の増加がみられた。

 

③特にコロナ禍の「第7波」においては、給付金の支払遅延やコールセンターに電話がつながらない等といった、事務手続きの逼迫に伴う不満が多くみられたが、2022年9月26日に支払いの対象が限定されたこととあわせて、会員各社による査定やコールセンターの体制整備が進む中でこうした不満は減少した。

 

④また、2022年9月26日の支払対象限定に対する不満も一部にみられた。

 

■次のパンデミックに備えて~安心をお届する生命保険業界であり続けるために~

●今回の新型コロナウイルス感染症を巡る一連の対応に係る経験の継承

⑴ パンデミック下において、生命保険に期待される役割は大きい。そのため、平時からデジタル化等により効率的な業務プロセスへの改善を行うとともに、感染症の拡大後も適切な対応を維持する頑健性を確保していくことが求められる。とりわけ、支払い態勢を中心とする「BCP」については、今回の経験を踏まえ、会員各社において適宜見直しを行い、次のパンデミックに備える必要がある。

 

⑵ 新型コロナウイルス感染症が変異を繰り返し、感染力や重症化率が変化したことや、パンデミックが長期に及ぶことにより、感染症対策と社会経済活動とのバランスが求められたことなど、これまでにない状況下での取り組みは貴重な経験である。次のパンデミックにおいても、生命保険業界として、柔軟かつ機動的な対応が求められるが、こうした社会的要請に応えていくためには、本報告書等をもって、今回の経験をしっかりと継承し、生命保険協会と会員各社が一体となって、以下の①~④に取り組むことが重要である。

 

①お客さまに安心をお届けするためのお客さま視点に立った取り組み

•非常時の社会環境等を考慮した柔軟なお客さま対応(保険料払込猶予期間の延長等)の検討

 

②行政や専門機関をはじめとする各ステークホルダーとの緊密な情報共有・連携

•社会情勢の変化に機動的に対応するための情報共有・連携を実施

 

③特別取扱を実施する際の事務態勢・リスク管理等についての十全な事前検討と機動的な調整

 

•ウイルスの変異等による入院の必要性の変化等もありうることを念頭におき、他の疾病との公平性なども考慮した柔軟な対応の検討

•事務態勢・リスク管理等についての検討として、例えば、ベースインフラ・処理工程の高度化、有事発生を想定した応援体制等のシミュレーション、情報共有体制等の事前準備等

 

④お客さまへの事前・事後の丁寧な情報提供

•スムーズな支払いにつなげるため、保険金・給付金請求に係る事務取扱や支払い基準等について、各社において丁寧な情報提供を実施する。

 

4面 中小企業開拓

中小企業を開拓するための基礎知識

行政書士 石井亜由美

 

総務省は「地域創造グループ施策」として、地域活性化の推進に地方公共団体が積極的に取り組んでいけるように、様々な支援を行っている。さらに観光庁も地域の観光資源の活性化を促進するための支援制度を展開している。今回はこれらに感染する3つの支援制度を紹介する。

 

6面 法人営業

舞台裏のレッスン帳

新しい時代の生命保険法人契約㊻

 

今回は、事業承継対策の一環としての「金庫株」対策について考える。この「金庫株」は、自社株を、当該会社が買い取るというもの。自社が買い取った株式は「金庫に眠らせておく」というイメージから「金庫株」と言われる。これを相続時の納税資金の準備手段として活用する。

 

7面 育成

私が新人を育て上げます!

育成トレーナー堀尾 未佐子

 

新年早々、能登半島沖地震や羽田空港での航空機衝突事故など、大きな災害・事故が相次いでいるが、これからもこうした災害や事故の発生が想定される中で、もしも、その顧客がこうした災害・事故に遭遇した場合、生命保険営業職員には何ができるのか。その役割を再確認する。

 

8面 相続

お金と介護と相続の話

税理士 鈴木 美帆

 

「遺言書を書くなんて縁起が悪い」「相続事案が起きたら相続人が集まって話しあえばいいじゃないか」。そんなふうに考えている人は少なくないが、イザとなると、たとえば分割協議の際にモメたりすることは少なくない。そんな事態を避ける意味でも「遺言書」は有効だ。

 

9面 少短

少額短期保険協会

2023年度 少額短期保険業界の

中間決算概要

 

少額短期保険協会が発表した「2023年度 少額短期保険業界の中間決算」の概要について紹介する。少額短期保険業が生まれて20年近くなるが、その保有契約は1115万件、少額短期保険会社は119社に上っている。最近では、既存の生・損保会社からの参入も増えている。

 

10面 商品

マニュライフ生命

「こだわり個人年金(外貨建)」

 

老後生活への備えとして、万一の場合の保障に加え、より柔軟に資産形成を求めるニーズに応えた。保険料は最低1万円から、毎年一定額の「円」で保険料の入金が可能。積立利率は市場金利の動向により、毎月更改するが、米ドル、豪ドルともに年1.5%を最低保証する。

 

11面 商品

日新火災海上

「空き家専用保険」

 

空き家所有者が抱える様々な不安に応える商品で、空き家の所有に伴う損害賠償責任への備えや、火災発生時の近隣トラブルの回避などに対応する。具体的には、法律上の損害賠償責任の負担や空き家の解体費用、失火見舞金費用などを補償する。

 

 

12面 拠点長

拠点経営のための活動指針

4月 課題を絞り込み実践的な戦術を考える

 

いよいよ新年度を迎える。今回は、この1年間を戦い抜いていくために、少し視野を広げて、より高い見地から、これからの1年間の拠点経営のあり方、戦い方について考えてみる。具体的には戦い抜くための「戦略」とその戦略を有効たらしめる「戦術」等について考える。

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

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