明治安田生命は10月25日、東京都千代田区の同社本社において2023年度下半期の資産運用計画と、同社が取り組みを推進している責任投資についての説明会を実施した。なお、説明には北村乾一郎運用企画部長があたった(写真)。
説明会では冒頭、2023年度上半期における金融市場動向について概観、中でも国内・米国金利(10年)、それに為替(円/ドル)の上昇とあわせて、ヘッジコスト(米ドル3カ月)の上昇(5・96%:9月30日時点)が目を引いた。
その後、2023年度上半期におけるポートフォリオ(速報値:決算確定前数値)についての説明があった。
北村運用企画部長の説明によれば、2022年度末簿価残高からの増減の状況は、2022年度末簿価残高からの増減で見ると総資産については簿価ベースで増加しており、貸借対照表上の計上額は44兆9400億円となっている。
なお、資産ごとの動向については以下の通り。
•一般貸付についてはESGに関連する企業の資金需要を捉え融資を実行する等により、その残高は100億円の純増となった。
•公社債については、当初4月~6月にかけて金利が上昇するという見通しを持っていたこともあって、買い入れを抑制していたが、日銀が「イールド・カーブ・コントロール」(YCC)を実施した7月に一定程度の買い入れを行った結果、その残高は2200億円の純増となった。
•株式は銘柄について入れ換えを行った結果、2022年度末簿価残高から横ばいとなった。
•外国公社債については、為替ヘッジコストの上昇を受け、利回りの低い「ヘッジ付外債」を一部売却した一方で、金利水準や為替水準を見ながら、為替オープンによる投資を機動的に進めた結果、900億円の純増となった。
•外国株式等については、当社のニューヨークの運用拠点を活用し、外国株式の“インハウス運用”を推進しており、利益の確定を目的とした売却を実施した結果、残高については100億円の純減となった。
•不動産については、立て替えや既存の物件の補・改修を計画通り実施したことで、残高は100億円の純増となった。
•その他証券については1000億円の純増となった。
2023年度末の含み損益の状況について、2022年度末と比較すると、公社債及び外国公社債は国内外の金利の上昇を受けることで、含み益は大きく減少することになったが、一方で、株式については、この間の株価の上昇を受けて大きく増加した。
このような状況の結果、2023年度上半期の有価証券含み益は前年度末から約400億円減少することになったが、依然として3兆円を超える(3兆6400億円)含み益を確保している状況である。
•国内10年金利については、上半期実績の状況から“横ばい”と見ているが、日銀による金融政策の修正に対する期待等もあり、想定のレンジは上昇方向で設定している。
•米国10年金利については、FRBによる金融引き締めによる景気の減速や、将来予想される利下げ期待を折り込むかたちで2023年度末にかけて低下していくと見込んでいる。
•日経平均株価については、海外における経済の景気減速による“下押し”圧力を受けることにはなるものの、インバウンド需要等が引き続き、経済を下支えすると思われることから、想定レンジ内に収まるものと見込んでいる。
•ニューヨークダウについては、堅調な経済状況を受けて、当面は底堅く推移していくものの、米国の景気減速の懸念から、やや下落すると見込んでいる。
•ドル/円為替については、米国の景気減速や利下げによる日米間の金利差の縮小期待を折り込んでおり、年度末にかけて円高方向で推移すると見込んでいる。
•ユーロ/円為替についても、ドル/円為替と同様に、年度末にかけて円高方向で推移すると見込んでいる。
•ドル(米)/円のヘッジコストについては、米国の利下げへの期待により、2023年度末にかけて多少は低下していくものの、均(なら)せば“高止まり”するものと見込んでいる。
なお、以上の見通しは、8月初旬の時点での設定であり、現在当社では新たな見通しについて改めて検討中である。新たな見通しについてはこれまでに示してきた“方向観”とは大きく変わることはない予定だが、現状、特に内外の金利差が足元で相当上昇している状況であること、あわせて為替についても円安の水準が続いていることから、これまで説明してきた2023年度末における実情が、やや“後ろ倒し”になっているのではないのかなという実感がある。こうしたこれまでに説明してきた一連の“水準”について、改めて再検討しているというところである。
為替(ドル/円)については、中央値を130円としているが、この見通しを基に、130円~140円の間で推移するとして、新たに検討しているところである。
2023年度下半期運用計画では、基本的な(資産の)配分計画については今年4月に説明した2023年度における年間の資産運用計画から大きな変更はない。基本的にはマーケットの変化に対しては機動的なアセットアロケーションを実行しながら、不透明な金融環境が継続していくとの見通しのもと、デリバティブを活用しながら、終始“下ブレリスク”を抑制するように運用を行っていく。
また、収益性の強化に向けては、当社のニューヨークの運用拠点を活用しながら、海外投資を拡大し、収益力の強化に取り組んでいく。2023年度下半期運用計画は、これらの一連の取り組みを通して、総合的な収益力の向上を図ることで、全体として健全性と収益性のバランスを両立させた計画となっている。
•円建て債券については、前述のように上半期は日銀がYCCの柔軟化を実施したこの7月に一定度の買い入れを行っているが、2023年度末にかけて、買い入れのペースは「平準買い入れ」を基本としつつ、国内金利が上昇した局面においては積み増しを計画している。したがって、残高は増加するという見通しだ。
•国内貸付は、現状、企業が“脱炭素”に向けた「ESG」投融資を強化しているが、貸し出しを上回る返済が見込まれることから、残高は減少する見通しだ。
•ヘッジ付外債については、ヘッジコストの高止まりを受けて、投資を抑制していくという計画だ。したがって残高は減少する見通しである。
•オープン外債は、為替と金利の見通しに着目したうえで、通貨を選別した投資を進めていく計画なので、現時点では増加する見通しである。
•外債(クレジット)は、当社のニューヨークの運用拠点を活用しながら、米国を中心に積み上げていく計画であることから、残高は増加する見通しだ。
•外株については、インハウス運用やファンドへの取り組みを強化することで残高は増加する見通しだ。
•投資用不動産は、当社の投資要件に合致した物件について、戦略的に投資を行う。残高については増加の見通しである。
•国内株式については、2020年度から2023年度まで、簿価ベースで1500億円削減するという当社の計画に沿って、売却を進めていくので残高は減少する見通しである。
以上、2023年度下半期の資産運用計画について資産ごとの投資計画を説明したが、2023年度半期におけるマーケット環境も引き続き不確実性が高く、あわせて先行きについては見通しが難しいという状況が続くと考えられることから、適宜・適切に資産運用計画を見直しつつ取り組んでいきたい。
当社では、ESG投融資を通じた社会的価値と経済的な価値の創出に向けて2023度の初めにESG投融資の重要取り組みテーマとして「脱炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「ソーシャル」「健康寿命の延伸」「地方創生の推進」の5つのテーマを設定し、ESG投融資とスチュワードシップ活動を両立させる責任投資を推進している。
当初、ESG投融資については、2021年度から3カ年で5000億円の目標を設定していたが、この3カ年目標を1年前倒しで達成することができたことから、改めて目標を8000億円以上に引き上げて現在取り組んでいる。なお、2023年9月末時点でのESG投融資の累計実績はさらに増えて8900億円と、上方修正した目標をさらに上回る状況である。
ESG投融資市場については「社会や環境に対してポジティブなインパクトをもたらすことを目的とする投融資でインパクト評価、モニタリングとその結果の開示をともなうもの」というインパクトファイナンスが拡大傾向にある。当社においては2021年度以降「脱炭素」分野を中心にインパクトファイナンスに取り組んでおり、2023年度末までにインパクトファイナンスの累計残高については300億円以上を目標としている。
なお、当社におけるインパクトファイナンスの累計実績は、2023年9月末までの時点で260億円と順調に進捗しているほか、2023年度からは投融資ポートフォリオのインパクトファイナンスに向けた提案型対応についても開始する。
経済的価値と社会的価値の好循環に向けて、アウトカム(短・中期的効果)、そしてアウトカムについてのKPI(編集部注:重要業績評価指標)設定であるとか、モニタリングを提案するなど、対応した企業との幅広い意見交換をしていきたいと考えている。
なお、2023年度から、当社が推進してきた責任投資のうち、社会に与えたポジティブインパクトを計測・開示する取り組みを始めている。具体的には「CO2排出量削減」「再生エネルギーによる発電量」「社会インフラ支援による受益者数」といったアウトカムを可視化することによって、責任投資からこうしたインパクトの確認を取っていく。
当社では現在、来年度から始まる次期中期経営計画の策定に向けた作業を進めているが、この時期中計では、こうしたアウトカムの中で、目標を設定する方向で検討しているところだ。
当社では、引き続き、責任投資によるインパクトの計測・把握について高度化を進めていく。
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