グループ保険料は前年同期比で7954億円増(+38.4%の2兆8688億円)。一方、グループ基礎利益は18億円減(△0.6%)の2859億円。また連結ソルベンシー・マージン比率については前年度末差で187.9ポイント減の947.6%だったが、引き続き高い健全性を維持。明治安田生命は2月10日、2022年度第3四半期業績を発表した。その概要についてとりまとめた。
一向に完全終息の気配を見せない新型コロナウイルス感染症だが、生命保険各社の新契約業績は回復基調にあるように見える。一方で、第3四半期はちょうど“第8波”によって、感染者が急増していた時期とほぼ重なることになる。昨年9月26日には、この間、生命保険各社に大きな影響を与えることになった、コロナ禍によるいわゆる「みなし入院」による支払いの対象を「重症化リスクが高い」とされる65歳以上等4類型に限定することにはなったものの、今後、特に2022年度の決算数字、特にその「基礎利益」にどのような影響をもたらすことになるのか、引き続き注目される。
以下、同グループの第3四半期決算について、その概要を見ていこう。
・グループ保険料
外貨建一時払保険の販売量が増加したこと、また、スタンコープ社の増収等を主な要因として、グループ保険料は2兆8688億円で、前年同期比で7954億円(+38.4%)増加した。
・グループ基礎利益
明治安田生命単体の利息及び配当金等収入の増加はあったものの、新型コロナウイルス感染症に関する保険金等の支払いの増加を主な要因として、基礎利益は前年同期比で18億円(△0.6%)減の2859億円となった。
・オンバランス自己資本・連結ソルベンシー・マージン比率
オンバランス自己資本は前年度末から795億円増加。一方、連結ソルベンシー・マージン比率については前年度末差で187.9ポイント減の947.6%だったが、健全性を示すこの二つの指標については、いずれも高い水準を維持している。
・業績の見通し
グループ保険料は「増収」、一方、グループ基礎利益は「減益」の見通しで、2022年度第2四半期(上半期)報告時から修正はない。
・グループ保険料
グループ保険料は、明治安田生命単体における外貨建一時払保険の販売量が増加したことに加え、38.4%増収の2兆8688億円となった。
・グループ基礎利益
グループ基礎利益は、明治安田生命単体の利息及び配当金収入の増加があったものの、新型コロナウイルス感染症に関する保険金等の支払いが増加したことによる影響などにより。2859億円と前年同期比で0.6%の減益となった。
一方、グループ会社であるスタンコープ社では、アセットマネジメント事業が好調だったこと、また、新型コロナウイルス感染症に関する保険金等の支払いが減少したことにより、前年同期から37.7%の増益となった。
・健全性指標(連結ソルベンシー・マージン比率)
連結ソルベンシー・マージン比率は、内外金利の上昇による国内及び外国公社債の含み益の減少等により、前年度末から△187.9ポイント低下した。なお、2021年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は1135.5%だったのに対し、2022年度第3四半期末の連結ソルベンシー・マージン比率は947.6%だった。
・保険料等収入
保険料等収入は、営業職員チャネル及び銀行窓販チャネルにおける外貨建一時払保険の販売量が増加したことにより、前年同期比で37.5%増収の2兆4848億円となった。
・新契約年換算保険料・保有契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険)
新契約年換算保険料は、外貨建一時払保険の販売量の増加と、2022年度に新たに発売された終身医療保険とがん終身保険の販売が好調だったことにより、前年同期(778億円)から64.3%増加し、1279億円となった。
また、保有契約年換算保険料は、新契約が好調であったことを主な要因として、前年度末(2兆1679億円)から0.3%増加し、2兆1736億円となった。
なお、表中の「保障性商品新契約年換算保険料」「保障性商品保有契約年換算保険料」は、同社の「MYリンクコーディネーター」等(営業職員)チャネル・法人営業チャネルで取り扱う保障性商品(「ベストスタイル」等総合保障型保険、医療・介護保険等)を対象にしている。
また、同じく表中の「第三分野」については、医療保障給付、生前給付保障給付、保険料払込免除給付等に概要する部分を計上しているという。
・基礎利益
基礎利益は、円安による外国公社債の利息及び配当金等収入の増加があったものの、新型コロナウイルス感染症に関する保険金等の支払いが増加したことによる影響等により、前年同期(2654億円)から3.3%減益の2566億円となった。
・契約クオリティ(解約・失効・減額率、総合継続率
解約・失効・減額率は、円安の影響で外貨建保険の解約が増加した結果、前年同期を上回るものの、主力商品については前年同期よりも良好な水準となっており、依然として低位な水準を維持している。
総合継続率については、前回次(13・25・61月目)ともに高水準を維持している。
なお「解約・失効・減額率」は、年度始保有契約年換算保険料に対する解約・失効・減額年換算保険料の割合。
・新型コロナウイルス感染症に関する支払状況
新型コロナウイルス感染症に関する支払状況は、第6波、第7波による感染者の急増により、支払い件数・支払金額ともに増加した。
・保険料等収入
保険料等収入は、堅調な新契約実績と団体保険の良好な更新により、3494億円と前年(2493億円)よりも40.1%の増収となった。
・基礎利益相当額
基礎利益相当額及び当期純利益は、好調なアセットマネジメント事業に加えて、新型コロナウイルス感染症に関する保険金等の支払いが、2022年4月以降減少傾向にあることから、前年同期より増加した。
なお、現地通貨ベース(※)での前年同期比については「保険料等収入」が+8.3%、基礎利益相当額は+6.4%だった。また、基礎利益相当額は、税引前利益から、キャピタル損益や買収会計に伴う無形資産償却費用等を控除したものである。
※2021年度第3四半期は2021年9月末の為替レート(1米ドル=111・92円)、2022年度第3四半期は2022年9月末の為替レート(1米ドル=144・81円)で円換算している。
2022年度業績見通しは、2022年度上半期報告時から変更はない。
・グループ保険料の見通し
グループ保険料は、外貨建一時払保険の新契約業績の好調により「増収」となる見通しで、3兆5000億円程度になる見込みである。なお、グループ保険料が3兆円を超えるのは2018年以来のことである。
・グループ基礎利益の見通し
グループ基礎利益は、新型コロナウイルス感染症」に関する保険金等の支払いの増加、標準責任準備金の積み増し負担の増加及び為替に係るヘッジコストの上昇等により「減益」となる見通しである。
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