2022年7月22日 3065号

 

 

【おしらせ】次週は7月の第5週のため、7月29日付の発行はお休みします。次号(3066号)は8月5日付になります。あらかじめご了承ください。

 

生命保険協会  定例記者会見

 

「人生100年時代」に向け3Cを重点課題に

 

一般社団法人 生命保険協会(高田幸徳会長=写真)は6月10日、定例の記者会見を行った。記者会見の冒頭、生命保険協会の伊藤理事事務局長から、当日の理事会において、この4月に就任が内定している稲垣精二次期協会長のもとでの副会長及び各委員会の委員長が内定したこととあわせて「SR報告書2022」を作成・発行したことについての報告があった。この7月15日をもって、生命保険協会長としての任期が終了する高田会長にとって最後となった当日の記者会見から、この1年間の生保協会の様々な取り組みの概要と、記者会見参加者からの質問の一部をまとめた。

 

今後、長期的な課題に目が移っていく

 

■質疑応答

グローバルな視点持つ次期会長

Q:今年1年を振り返っての生保業界の課題と次期会長に就任される稲垣会長に期待されることは。

高田会長:この1年間、継続してコロナ禍の影響を受け、協会運営においても判断が難しい場面もあった。ただ、改めて協会の在り方や、生命保険事業の必要性を認識したところであり、ここまで取り組んできた諸施策や、デジタル化の取り組みなどは今後も更に進んでいくのではないかと期待している。

今後を見据えれば、新型コロナ禍は徐々に収束に向かいつつあるものの、まだまだ予断を許さない状況の中、2030年、2050年に向けたカーボンニュートラルといった長期的な課題に対して目が移っていくだろう。生命保険事業は息の長いビジネスモデルであり、長期の視点を持って取り組んでいく必要があり、グローバルな課題解決に向けて、しっかりとプレゼンスを発揮していかなければならない。

次期会長に就任される稲垣社長は、グローバルな視点をお持ちの方であり、2030年、2050年に向けて注目が集まっている「SDGs」等の課題の解決、すなわち持続可能な社会の実現に向けて、業界を牽引いただき、各社の取り組みがより一層加速していくものと考えている。

また、DX促進という点でも、個社の社長として先進的に取り組まれていることから、業界の発展やお客さまからの信頼の更なる向上に向けて、大きく貢献いただけるものと期待している。

Q:4月単月の新型コロナに関する保険金・給付金の支払額が過去最高となっているが、今年度の支払いと会員各社への影響についてどう見通しているか。また、支払額の大部分を占める「みなし入院」への給付を見直す考えはあるのか。

高田会長:足元では感染者数は減少傾向にあるものの、引き続き「第6波」により急増した感染者の方々からのご請求を多数いただいている状況が続いている。

会員各社においても支払いがピークに達している時期ではないか。

住友生命について申し上げると、感染から1~2カ月後にご請求をいただいているようであり、4月~5月にかけて非常に多くの請求をいただいたが、足元ではピークを越えた兆し(きざし)が出てきており、今後は1日当たりの請求件数は落ち着いていくのではないかと見ている。

「みなし入院」への支払いについては、医療逼迫により本来であれば入院し、通常の医療提供を受けられたであろう方への対応として、医師の管理下のもと、自宅療養や宿泊施設にて療養を行われた方に対して「入院」とみなして給付を行っている。

従って、給付請求件数が多いからといって「みなし入院」の取り扱いをやめるという考えはない。

引き続き、生命保険の必要性をご理解いただくためにも、遅滞することなくしっかりとお支払いを進めていき、お客さまのお役に立てるように取り組んでいきたい。

 

評価をしっかりと行ない次に繋げていく

Q:代理店業務評価運営について、代理店からの申込状況について教えていただきたい。

高田会長:50を超える代理店からの申込みをいただいているところである。

Q:もともと100~150程度の代理店からの申込みを想定しており、来年度は200を超える代理店からの申込みを想定されていたと認識している。その数から比べると少ないという印象だが、受け止めは。

高田会長:100~150程度というのは、事務局の体制を踏まえた対応可能なキャパシティとして設定した水準である。代理店が(業務品質評価の)申込みを行う際には、業務品質評価基準の基本項目を自己チェックし、クリアする必要があることと、有償調査(30万円)である等、申込みにあたっては一定の制約がある。

こうした中で、運営初年度から、50を超える代理店から申込みをいただいたことは、決して少ないとは考えていない。

初年度の運営を着実に行うためにも、申込みのあった代理店の評価をしっかりと行い、次に繋がるように取り組んでいきたい。

なお、代理店からは、評価基準を確認した結果、今年度は達成が難しいが、整備したうえで申込みをしたいという声もいただいている。引き続き、当運営の周知に取り組み、申込み代理店の増加に繋げていきたいと考えている。

 

遺族に寄り添い、心のこもった事業運営を

Q:「グリーンケアハンドブック」を作成したことについて、この取り組みに対する想いと、各社に向けた今後の期待や、生保協会としての今後の展望があれば教えてもらいたい。

高田会長:今年度の「顧客本位の業務運営」の一環として取り組んだものであるが、生命保険会社として単に死亡保険金をお支払いして終わりではなく、いかに遺族に寄り添うか、ということの大切さに気づいていただくことを目的に、この「グリーンケアハンドブック」を作成した。

会員各社からは、教育に使用したり、支払対応の時の参考にしているという声をいただいており、また、遺族に寄り添った対応も進んでいるのではないかと思っている。

さらに「日本クリーフケアギフト協会」からも、保険会社自らがグリーフケアに向けて大きな一歩を踏み出しているということで、大変高い評価をいただいている。

こうした取り組みは1年で終わるものではなく、今後の支払対応や、あるいは「人生100年時代」における“人の価値”の発揮として、遺族に寄り添い、心のこもった事業運営に繋げていきたい。

■ ■

 

「みなし入院」等、引続き重要課題

 

■2022年度に重点を置いて取り組んできた4つのテーマ

協会長に就任した際の所信でも述べたが、今年度(2021年度)は、主に次の4つのテーマに重点を置いて取り組んできた。

具体的には、

●「人生100年時代の到来」に向けた取り組み

生命保険協会がこれまでも継続して取り組んできた「人生100年時代の到来」に向けた取り組み。これについては生命保険業界にとっての長期的・継続的課題として捉えて取り組んできた。

 

●「3つのC」への取り組み

また、今年度は「人生100年時代の到来」に向けた取り組みとともに、次の「3つのC」を重点課題と位置づけ、各取り組みを進めてきた。

•一つ目のC:コヴィット19「新型コロナ」対応

感染防止と業務の継続は当然ながら「みなし入院」に代表される特別対応、また“非接触”に対応するためのデジタル化等が引き続いての重要課題であった。

•二つ目のC:カーボンニュートラル

気候変動問題や持続可能な社会の実現に向けた取り組みだ。政府による2050年に向けてのカーボンニュートラル宣言が行われたほか、サスティナブルファイナンスについて、国内外で活発な議論が行われている。

また「SDGs目標」に関連するところでは、コロナ禍の影響もあり、健康への意識がこれまで以上に高まった1年でもあった。

•三つ目のC:カスタマー

「顧客本位」については言うまでもなく、これに対応しない会社はもはや市場で信認を得ることはできないことから、生命保険業界として、不断の取り組みを継続していくべき課題である。

以上、これらのテーマに重点を置いて、生保協会会長就任時から取り組みを進めてきた。

 

保険教育に動画使った「モデル授業」

 

■課題認識を踏まえた主な取り組みについて

●新型コロナウイルス感染症

新型コロナについては、生命保険業界として様々な対応を進めてきたが、これらのパンデミックに関する危機対応について、後世に役立てることができるよう“レガシー化”することを企図して「新型コロナに対する取り組みをまとめた報告書」(「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取り組み報告書」:この報告書の内容については本紙3058号にて既報)を作成した。

 

同「報告書」では、各社の参考となるよう、(コロナ禍下にあって)同時に進むことになった「(業務の)デジタル化」の好事例を紹介しているほか、主要国(米・英・独・仏)のコロナ対応についても紹介している。

 

●気候変動

気候変動については、様々な対応が求められている中、特に難易度が高いとされる「シナリオ分析について解説した各社向けのハンドブック」(「はじめての気候変動シナリオハンドブック」)を作成した。

 

シナリオ分析については、国内外で活発な議論が行われている中ではあるが、このハンドブックでは、基本となるポイントがまとめられており、生命保険業界全体での底上げに繋がればと期待している。

 

あわせて「気候変動」と「人生100年時代」に跨る対応として「SDGsシンポジウム(持続可能な社会の実現に向けた生保業界の役割)」)を開催した。このシンポジウムでは「健康寿命の延伸」と「サスティナブルファイナンス」について、有識者による講演会やパネルディスカッションが行われたが、このシンポジウムの模様については、我々の知見を高めるとともに、多くの皆さまに(この課題についての)生命保険業界の取り組みを知っていただけるよう「YouTube」でライブ配信をした。

 

●保険教育

生命保険協会が「人生100年時代」に向けて継続して取り組んでいる「保険教育」については、今年度は中学生ぐらいの年代層についても、その将来や金融・保険について考えてもらうキッカケを提供することができるよう「アニメーションによるわかりやすい解説動画(「生命保子の未来の授業」)を作成し「YouTube」チャンネルで公開した。あわせて、首都圏の中学校でこの動画を使った「モデル授業」を行い、好評をいただいた。

 

●顧客本位」の業務運営の取り組み

⑴「グリーンケアハンドブック」の作成

“「顧客本位」の取り組み”として、保険金等の支払い時における「グリーンケアに関するハンドブック(「保険金・給付金支払時にお客さまの心情に寄り添うためのハンドブック」)を作成し、各社に提供している。あわせて生命保険各社担当者向けの勉強会を開催したが「自分の会社でも研修を行いたい」といった声が寄せられるなど、大変ご好評をいただいた。「顧客本位」の業務運営の更なる推進の一環として、生命保険各社のサービス向上の一助となればと考えている。

 

⑵営業職員管理態勢の高度化に向けたフォローアップアンケートの実施

「顧客本位」の業務運営に関しては、昨年から継続する取り組みとして「営業職員管理態勢の高度化に向けたフォローアップアンケート」を実施し、報告書を取りまとめている。

 

これらの結果を踏まえて、(生命保険協会)会員各社における営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化を期待するとともに、今後、更なる実効性の向上に向けた新たな方策についても検討していく。

 

⑶新型コロナウイルス関連

新型コロナウイルス感染症に関する入院給付金等の支払いについては、2022年4月末までの累計実績で、約169万件、金額にして約1658億円以上をお支払いしてきた。このうち、医療機関に入院することができず、自宅療養等になられた方についてお支払いをしている「みなし入院」の割合は約9割となっている。

 

お客さまの状況は様々ではあるが、生命保険業界として、国民の皆さまの生活を支える上で、一定の役割を果たしてきたものと考えている。

 

(新型コロナウイルス感染症拡大の)第6波を受けて、支払い件数も大きく伸びている。足元では、感染状況は徐々に落ち着きを見せつつあるようにも見えるが、予断を持つことなく、引き続き状況を注視していく。

 

3面 生保協会

 

生命保険乗合代理店「業務品質評価運営」

第1回業務品質調査に54代理店が申込み

 

生命保険協会はこの4月4日から、生命保険乗合代理店を対象に「業務品質評価運営」を開始した。消費者にとって理想的な代理店である「基準」を示そうという試みだが、今回初めてとなる業務品質評価のための調査に54の代理店が申し込んできた。

 

4面 リスク

 

相続と贈与 問題を考える

適切な準備手段として生命保険への流れをつかむ

㈱資産とリスク研究所 代表取締役小山浩一

 

預貯金保有の中に遺産動機目的が存在しています。特に60~69歳層の顧客で「子供世代のほうが自分(達)より貧しくなりそう」という心配を持っている人は、その対策動機が強いため、適切な商品として生命保険を選択する可能性があります。

 

5面 営業情報

 

デュアル営業時代に磨くセールスリテラシー

電子帳簿の義務化で顧客接点を強化

KIネットワークパートナーズ代表 石川浩司

 

税理士の長友先生、保険代理店経営の久保さんとの「インボイス、電子帳簿保存法への対応について」のオンラインセミナー。長友先生のインボイスのセッションが終わり、次は石川さんが担当する電子帳簿保存法についてのセッションをお届けします。

 

6面 かんぽ生命

 

生命保険協会

かんぽ生命の「契約更新制度」導入へ認識表明

 

かんぽ生命はこの6月16日、新規業務を行うことについて「郵政民営化法」に基き「届出」を行い、それを公表した。これに対して生命保険協会は6月28日、改めて郵政民営化に関する生命保険協会の基本認識について表明した。

 

8〜9面 活動確認

 

ランクアップチェックシート

損保を切り口に生保を提案

 

生損クロスセリングを上手く活用している募集人は少なくありません。こまかなニーズに、即対応できる損保商品が強力なドアノック商品となっているからです。今回は、損保商品から開拓する生保提案について考察していきます。

 

10面 新商品

 

三井住友海上プライマリー生命

「しんきんらいふ終身MSP〈やさしさ、つなぐ2〉」等

 

生存給付金の受取人を家族とすることで、スムーズに資産を家族に繋げる「生前贈与」と、生存給付金を自分で受け取れる「自分年金」の2つの活用法を備えていることが特長で、信用金庫業界の制度商品として販売される。

 

14面 募集活動

 

生命保険販売の原点を学ぶ

所属員と一緒に成長軌道描く

 

ある人が出社しなくなり電話をすると「私の居場所がない」「自分が取り残されている気がする」「誰も声を掛けてくれない」と訴えてきました。安藤さんはできるだけ声を掛けているつもりだったから、わが身を振り返らされた。そして取った行動は…。

 

 

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