一般社団法人 生命保険協会(高田幸徳会長)は5月27日、生命保険の引き受けや支払い実務における遺伝子情報の取り扱いについて、生命保険協会会員各社への確認のもと、現在の取扱等を周知するための文書を作成し、生命保険協会ホームページ上で公開した。具体的には、生命保険の引き受けや支払い実務において、遺伝学的検査結果の収集・利用は行っていない旨を周知するというものである。
近年、遺伝学的検査結果に基づく診断や治療は飛躍的に発展しているが、今回、生命保険の引き受け・支払い実務における遺伝子情報の取り扱いについて、改めて周知するための文書を公表することになった理由について、その背景と公開された文書の具体的な内容について紹介する。
生命保険協会ではこれまで、ゲノム医療に関する技術や知見、遺伝情報に関する法整備や社会的コンセンサスの状況等を踏まえながら「自主ガイドライン」の策定を含めた遺伝情報の取り扱いに関する対応について継続的に検討を進めてきたという。
他方で、2022年4月6日に「日本医学会」「日本医学会連合」「日本医師会」より「『遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止』についての共同声明」が公表され、その中では、国に対して遺伝情報等の取り扱いに関する検討が求められていることに加え、遺伝情報を取り扱う可能性のある様々な事業者および関係団体に対して、遺伝情報の取り扱いに関する自主的な方策の公表等が求められている。
生命保険協会は、前出の「共同声明」の趣旨や内容を真摯に受け止め、その重要性に応えるため、また、これまで自主ガイドライン策定の検討を進めてきた結果として、生命保険の引き受け、支払い実務において、遺伝情報の収集・利用を行っていない点などを周知することにした。
「共同声明」では、遺伝学的検査を受ける際に、民間保険の取り扱いが明らかになっていないため、患者やその家族が不安を感じるような課題が示されていることから、実際に課題が生じている医療現場(医療従事者)に、この周知文書の内容を確認してもらうことが、課題の解決に繋がると考え、医療従事者に向けた周知文書となっている。
日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2022年3月改定)」において、遺伝学的検査・診断については「遺伝学的検査・診断では生涯変化せず、疾患の罹患を予測しうること、血縁者にも影響を与えうることなどの特性をもつ個人の遺伝情報を扱うため、これらの特性に十分配慮した対応が求められる」とし「その前提として、遺伝子の変化に基づく疾患・病態や遺伝型を例外的なものとせず、人の多様性として理解し、その多様性と独自性を尊重して臨むこと、つまり遺伝情報・ゲノム情報による社会的不利益や差別の防止への配慮が求められる。さらに、個人の遺伝情報の取り扱いにおいては個人情報保護法等を遵守することが求められる」としている。
なお、同ガイドラインには、遺伝学的検査・診断を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性について、下表の項目が挙げられており「遺伝学的検査およびその結果に基づいてなされる診断を行う際にはこれらの特性を十分考慮する必要がある」としている。
今回、5月27日付けで公表された「生命保険の引受・支払実務における遺伝情報の取扱につきまして」と題した「医療従事者」向けの文書の具体的な内容は以下の通り。
会員各社の引受・支払実務における遺伝情報の現在の取扱
※会員とは、生命保険協会の会員である生命保険会社
・生命保険の引受・支払実務においては、告知書や診断書等に記載された病名や手術予定の有無、投薬といった医療行為の内容等に基づき、客観的・合理的かつ公平に判断を行い、人権尊重を基本として取扱を行っています。
・上記取扱において、遺伝学的検査(※)結果の収集・利用は行っておりません。
なお、提出された告知書や診断書等に、遺伝学的検査結果が含まれている場合や、記載された病名や家族の病歴、医師による遺伝カウンセリング実施の記録等から遺伝学的検査結果と同等の情報を特定し得る場合についても、遺伝学的検査結果および遺伝学的検査結果と同等の情報の利用は行っておりません。この取扱については、研究として行われたゲノム解析の結果についても同様です。
・本取扱については、医療の進歩や社会的な議論の成熟等、環境や情勢の変化に応じ、特に今後ゲノム医療が普及し遺伝情報について消費者の正確な理解が進むことに伴い、新たな課題が認識された場合には、監督官庁の指導と医療・医学等の関係者の意見を参考とし見直しを行うことを含めて適時適切に対応してまいります。ただし、見直し時点までは本取扱を維持いたします。
※遺伝学的検査:日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2022年3月改定)」の定義による。
(表)遺伝学的検査・診断を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性
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