2022年6月17日 3060号

 

 

生命保険協会

 

生命保険の引受・支払実務における

遺伝子情報の取り扱いについて公表

 

引受・支払の実務に遺伝子情報使わず

 

一般社団法人 生命保険協会(高田幸徳会長)は5月27日、生命保険の引き受けや支払い実務における遺伝子情報の取り扱いについて、生命保険協会会員各社への確認のもと、現在の取扱等を周知するための文書を作成し、生命保険協会ホームページ上で公開した。具体的には、生命保険の引き受けや支払い実務において、遺伝学的検査結果の収集・利用は行っていない旨を周知するというものである。

近年、遺伝学的検査結果に基づく診断や治療は飛躍的に発展しているが、今回、生命保険の引き受け・支払い実務における遺伝子情報の取り扱いについて、改めて周知するための文書を公表することになった理由について、その背景と公開された文書の具体的な内容について紹介する。

 

 改めて遺伝子情報の取り扱い周知

 

生命保険協会ではこれまで、ゲノム医療に関する技術や知見、遺伝情報に関する法整備や社会的コンセンサスの状況等を踏まえながら「自主ガイドライン」の策定を含めた遺伝情報の取り扱いに関する対応について継続的に検討を進めてきたという。

 

他方で、2022年4月6日に「日本医学会」「日本医学会連合」「日本医師会」より「『遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止』についての共同声明」が公表され、その中では、国に対して遺伝情報等の取り扱いに関する検討が求められていることに加え、遺伝情報を取り扱う可能性のある様々な事業者および関係団体に対して、遺伝情報の取り扱いに関する自主的な方策の公表等が求められている。

 

生命保険協会は、前出の「共同声明」の趣旨や内容を真摯に受け止め、その重要性に応えるため、また、これまで自主ガイドライン策定の検討を進めてきた結果として、生命保険の引き受け、支払い実務において、遺伝情報の収集・利用を行っていない点などを周知することにした。

 

「共同声明」では、遺伝学的検査を受ける際に、民間保険の取り扱いが明らかになっていないため、患者やその家族が不安を感じるような課題が示されていることから、実際に課題が生じている医療現場(医療従事者)に、この周知文書の内容を確認してもらうことが、課題の解決に繋がると考え、医療従事者に向けた周知文書となっている。

 

日本医学会 3月にガイドライン

 

日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2022年3月改定)」において、遺伝学的検査・診断については「遺伝学的検査・診断では生涯変化せず、疾患の罹患を予測しうること、血縁者にも影響を与えうることなどの特性をもつ個人の遺伝情報を扱うため、これらの特性に十分配慮した対応が求められる」とし「その前提として、遺伝子の変化に基づく疾患・病態や遺伝型を例外的なものとせず、人の多様性として理解し、その多様性と独自性を尊重して臨むこと、つまり遺伝情報・ゲノム情報による社会的不利益や差別の防止への配慮が求められる。さらに、個人の遺伝情報の取り扱いにおいては個人情報保護法等を遵守することが求められる」としている。

 

なお、同ガイドラインには、遺伝学的検査・診断を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性について、下表の項目が挙げられており「遺伝学的検査およびその結果に基づいてなされる診断を行う際にはこれらの特性を十分考慮する必要がある」としている。

 

あくまで「人権尊重」が基本

 

今回、5月27日付けで公表された「生命保険の引受・支払実務における遺伝情報の取扱につきまして」と題した「医療従事者」向けの文書の具体的な内容は以下の通り。

 

会員各社の引受・支払実務における遺伝情報の現在の取扱

※会員とは、生命保険協会の会員である生命保険会社

 

・生命保険の引受・支払実務においては、告知書や診断書等に記載された病名や手術予定の有無、投薬といった医療行為の内容等に基づき、客観的・合理的かつ公平に判断を行い、人権尊重を基本として取扱を行っています。

 

・上記取扱において、遺伝学的検査(※)結果の収集・利用は行っておりません。

なお、提出された告知書や診断書等に、遺伝学的検査結果が含まれている場合や、記載された病名や家族の病歴、医師による遺伝カウンセリング実施の記録等から遺伝学的検査結果と同等の情報を特定し得る場合についても、遺伝学的検査結果および遺伝学的検査結果と同等の情報の利用は行っておりません。この取扱については、研究として行われたゲノム解析の結果についても同様です。

 

・本取扱については、医療の進歩や社会的な議論の成熟等、環境や情勢の変化に応じ、特に今後ゲノム医療が普及し遺伝情報について消費者の正確な理解が進むことに伴い、新たな課題が認識された場合には、監督官庁の指導と医療・医学等の関係者の意見を参考とし見直しを行うことを含めて適時適切に対応してまいります。ただし、見直し時点までは本取扱を維持いたします。

 

※遺伝学的検査:日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2022年3月改定)」の定義による。

 

(表)遺伝学的検査・診断を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性

  • 生涯変化しないこと
  • 血縁者間で一部共有されていること
  • 血縁関係にある親族の遺伝型や表現型が比較的正確な確率で予測できること
  • 非発症保因者(将来的に病的バリアント(変異)に起因する疾患を発症する可能性はほとんどないが、当該病的バリアント(変異)を有しており、次世代に伝える可能性がある者)の診断ができる場合があること
  • 発症する前に将来の発症の可能性についてほぼ確実に予測できる場合があること
  • 出生前遺伝学的検査や着床前遺伝学的検査に利用できる場合があること
  • 不適切に扱われた場合には、被検者および被検者の血縁者に社会的不利益がもたらされる可能性があること
  • あいまい性が内在していること(「あいまい性」とは、結果の病的意義の判断が変わりうること、病的バリアント(変異)から予測される、発症の有無、発症時期や症状、重症度に個人差がありうること、医学・医療の進歩とともに臨床的有用性が変わりうること等である)

 

2面〜3面 生保協会

 

令和3年度・第4四半期

ボイスリポート(全社版)公表

 

この5月に公表された令和3年度 第4四半期ボイス・レポートは、令和4年1月~3月の間に生保協会に寄せられた苦情に関するデータを集計したもの。この間寄せられた苦情について、その内容と販売チャネルごとの苦情項目と内容について紹介する。

 

5面 調査

 

MDRT  米国金融サービスにおける

テクノロジーの活用実態を調査

 

MDRT米国本部が、アメリカの金融サービスにおけるテクノロジー活用に関する消費者調査結果を発表。回答者の56%は個人資産の管理において保険営業パーソンに加え、ネット保険サービス等のデジタルツールを組み合わせて利用したいと考えているという。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC

「知らない」では済まされない『インボイス制度』の落とし穴④

税理士 池谷和久

 

「下請法」や「独占禁止法」に訴えてまで戦うのは現実的ではなく「上下の力関係で決まる」ケースも想定されるため、国税庁では「インボイス」制度の導入に伴う悪影響を緩和する「経過措置」を設けています。

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

キャリアアップ助成金について

特定社会保険労務士 園部喜美春

 

パートを正社員にするともらえる「助成金」の「正社員化コース」は、事業主による非正規従業員の正社員化を促進するためのもので、一人当たり最大72万円が助成されます。ただしたくさんの要件を満たす必要があります。

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

不慮の事故からライフプランニング

 

不慮の事故と私たちはどう向き合っていけばいいのでしょうか。交通事故のうち「歩行者」と「自転車乗員」の死亡者は、25年前と比べると3分の1から4分の1程度まで減少してきていますが、直近では双方で1900人程度が亡くなっています。

 

10面 新商品

 

太陽生命

「事故割増死亡保険」など

 

若年層などにおいて死因占率の高い不慮の事故または所定の感染症などによる災害死亡に対して、定期保険よりも低廉な保険料で死亡準備ができる。併せて「告知緩和型死亡保険」「選択緩和型先進医療保険」も発売した。

 

11面 新商品

 

チューリッヒ生命

「終身医療保険プレミアムZ」

 

基本保障に加え13種類の特約があり、ニーズに合わせて自由な商品設計が可能な終身型の医療保険。特に「特定疾病保険料払込免除特約(Z02)」は、該当する疾病の範囲や免除事由を拡大した。さらに「健康還付給付金特約」を新設した。

 

14面 優績への道

 

優績へのナビゲーション

どんなことを言われても悪く取らない

 

鈴木淳子さんが新人にかける言葉は、自分自身への戒めでもあります。「たとえ断られても、あなたが拒否されているんじゃないんだよ。今は保険はいらないって言われているだけなんだから。断りを受けた時は、自分が否定されたと思っちゃダメだよ」。

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

○掲載内容の複写などにつきまして

 当ウェブサイトのコンテンツを無断で複写等することはできません。

○ 掲載内容につきまして

 当ウェブサイトの掲載内容は精査をしていますが、これを保証するものではありません。

 ○個人情報の取り扱いにつきまして

 当ウェブサイトを通じて取得した個人情報は厳重に管理し、当社からの連絡・通知以外の用途以外には使用しません。

 

→プライバシーポリシーについて

 Copyright 2016 Hokensha. All Rights Reserved.