2022年5月20日 3056号

 

 

生命保険協会

 

営業職員チャネル コンプライアンス・リスク管理

フォローアップアンケートに関する報告

 

本紙前号で紹介したように、生命保険協会(高田幸徳会長)は4月15日「営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理に関するフォローアップアンケートに関する報告」について公表した。同日開催された生保協会長定例記者会見においても、高田会長からもこの「フォーローアップアンケート」についての報告があった。このアンケートは、生保協会会員生命保険会社のうち「営業職員チャネルがある」と回答した20社を対象としたものであるが、昨年1月にも同様のテーマでのアンケート調査が行われている(結果の公表は2021年4月16日)。

今回のこのアンケートは「顧客本位の業務運営」への対応を重点取組みに掲げ様々な取り組みを進めている生保協会が、その一環として実施したもので、その趣旨は「営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理に関する態勢や取組み状況等について幅広く情報収集し、そのフィードバックを通じて、協会の会員である生命保険会社の取組みの高度化を後押ししていこうというものである。今回のアンケート結果について、その概要を紹介しよう。

 

アンケート結果をフィードバック

会員会社の取り組み高度化を強化

 

●フォローアップアンケートの具体的な実施内容

⑴ 対象

  • 42社(日本国内で営業しているすべての生命保険会社。アンケートを発信した令和3年12月13日時点)。
  • その中で「営業職員チャネルがある」と回答した社(20社)の取組状況を取り纏めた。

 

⑵ アンケート項目

アンケート項目については、各社の取組みをフォローアップする観点から、昨事務年度のアンケート項目に加え「報告書」を受けた会員各社の対応状況等を確認する項目を新たに設定している。

 

●結果と考察(「報告書」を受けた会員各社における対応状況)

⑴ 自社の態勢整備状況の分析

すべての社において「報告者」における「各社取組事例」や「高度化に向けた視点等」と、自社における取り組み内容を比較してギャップ分析を行うなど「報告書」の内容を参考に、改めて自社の態勢整備の状況について分析を行っていた。

 

⑵ 自社の態勢整備の状況の分析結果、分析結果等を受けた取り組み

「報告書」も参考にして、自社の態勢整備の状況を改めて分析した結果、不十分な項目があったとした社もあったが、不十分な項目がなかったとした社も含めた、すべての社において「報告書」における「各社取組事例」や「高度化に向けた視点等」を参考にして、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理の高度化を企図した新たな取り組みや改善の取り組みを行っていた。

特に企業文化の定着・測定に向けた取り組み、金銭費消・詐取等を生じさせないための取り組み等、内部統制の強化に向けた取り組み、営業組織(1線)・コンプライアンス部門(2線)における不適正事象の予兆把握に向けた取り組み等、多くの社において、取り組み内容の強化が見られた。

 

⑶ 取り組みを通じて期待する効果

すべての社が、前記の取り組みを通じて「顧客満足度の向上」「苦情件数の減少」「不詳事件届出件数の減少」といった効果を期待すると回答した他「営業職員チャネルの持続可能性の向上」を期待するとの回答もあった。

また、ほとんどの社においては、取り組みを通じた効果について評価を行っている、あるいは今後期待する効果にについて評価を行うとしている。

 

⑷分析の結果ならびに今後の取り組み方針に係る経営陣への報告

ほとんどの社において、分析の結果ならびに今後の取り組み方針について、経営陣への報告を行っていた。

 

●総 括

今般「顧客本位の業務運営」に係る取り組みの一層の高度化に繋げるべく、営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理態勢等について、会員各社へフォローアップアンケートを実施し、昨事務年度の「報告書」を受けた会員各社の対応状況の確認を行った。

 

本「報告書」の取りまとめを通じ、すべての社において、昨事務年度の「報告書」における「各社取組事例」や「高度化に向けた視点等」の内容等も参考にし、自社の態勢整備の状況等を改めて振り返っていること、ならびに「報告書」の内容を参考に、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理の高度化を企図した取り組みが行われていることが確認された。各社の取り組みが着実に進んでおり、こうした取り組みが、顧客満足度の向上、苦情件数の減少、不詳事件届出件数の減少等の効果に繋がっていくことが期待される。

 

来年度目途に新たな方策を検討

 

一方で、依然として営業職員による不適切事案が複数の会社で継続的に発生している現状に鑑みれば、コンプライアンス・リスク管理に係る態勢は一度構築すれば終わりというものではなく、不断の高度化に取り組み、会社全体の企業風土・リスク文化を醸成し、強固な態勢を実現していくことが重要と考えられる。会員各社においては、本「報告書」等における会員各社の新たな取組事例も参考にし、引き続き、更なる高度化に向けてそれぞれ創意工夫を重ねていくことが期待される。

 

生命保険協会としても、昨年の「報告書」や今般の「フォローアップ報告書」の内容も踏まえ、来事務年度中を目途に、例えば、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理に係る適切な態勢構築について、会員各社の参考となる考え方や留意点を改めて明確化する、態勢の高度化に向けた視点・事例を取りまとめる等、各社の「顧客本位の業務運営」の高度化を更に後押しするための新たな方策を検討していきたい。また、毎年実施している「ValueUpアンケート」による会員各社の取り組みの点検・共有や「お客さま本位推進会議」による「お客さまの声・苦情情報」の分析・共有等により、社会環境の変化等に伴う業界課題の早期把握・未然防止等を推進し、業界全体でのPDCAサイクルの一層の高度化に取り組んでいきたい。

 

更なる高度化の余地を分析・検証

 

●今回のフォローアップアンケートの趣旨

今回のアンケートの趣旨について、4月15日の生命保険協会長定例会見で、高田会長は以下のように述べている。前号と重複するが、最初に今回の「フォローアップアンケート」が実施された理由と背景、さらにその趣旨について改めて確認しておこう。

昨年4月に公表した報告書では、生命保険協会会員各生命保険会社に今後期待する対応として、

  • 報告書における各社の態勢整備の水準や取扱事例等も参考に、自社の態勢整備の状況を改めて振り返ること。
  • ・対応が不十分であった項目については改善に取り組むとともに、基本敵名対応ができいる項目についても、さらなる高度化の余地がないかを分析・検証のうえ、創意工夫を重ねること。

の2点を掲げていた。

 

また、昨年4月の理事会において「報告書の内容も参考に、引き続き営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理の高度化に不断に取り組むことを確認する」旨の申し合わせを行っている。

 

これらを踏まえ、今般、会員各社の「顧客本位の業務運営」に係る取り組みの一層の高度化に繋げるために「フォローアップアンケートを」実施し、会員各社の新たな取り組み等について収集し、取り纏めた。

 

会員各社においては、昨年の報告書に加え、今般フィードバックする内容についても、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理に係る適切な態勢構築を行ううえでの参考にしていただきたいと考えている。

としている。

 

報告内容も参考に不断の努力を

 

●フォローアップアンケートを実施した理由とその背景

今回、4月15日に公表された報告書の「はじめに」において、今回の「フォローアップアンケート」が実施された背景とその目的について、次のように述べられている(一部略)。

昨事務年度には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やデジタライゼーションの進展等に伴うリモート環境での活動機会の増加や、元営業職員による金銭詐取事案の発生等を踏まえ「『顧客本位の業務運営』の高度化に資する営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理に関するアンケート」を実施し、令和3(2021)年4月16日、同アンケート結果から得られた“気づき”等を「『顧客本位の業務運営』の高度化に資する営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理に関するアンケートに関する報告」(以下「報告書」)に取りまとめ、(生保協会)会員各社にフィードバックした。

(2021年4月16日公表の)報告書では、今後の対応について「会員各社には、報告書における各社の態勢整備の水準や取組事例なども参考に、自社の態勢整備の状況を改めて振り返り、対応が不十分であった項目については改善に取り組むとともに、基本的な対応ができている項目についても更なる高度化の余地がないかを分析・検証のうえ、創意工夫を重ねることを期待している」とした。

 

また、2021年4月16日開催の理事会において「営業職員チャネルを有している生命保険協会会員各社は、コロナ禍のもとでリモートワークをはじめとした新たな活動スタイルが拡大していることや、元営業職員による金銭詐取事案が発生していること等、近時の経営環境の変化も踏まえつつ、本日取り纏めを行った報告の内容も参考に、引き続き営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理の高度化に不断の努力に取り組むことを確認する」旨の申し合わせを行った。

 

これらを踏まえ、今事務年度においては、会員各社の「顧客本位の業務運営」に係る取り組みの一層の高度化に繋げるべく、生命保険協会として新たな方策を行っていくため、フォローアップアンケートを実施し「報告書」も参考にした会員各社の新たな取り組み等を収集した。今般、フォローアップアンケートの実施結果を本「報告書」に取りまとめたので、会員各社にフィードバックする。

 

会員各社においては、昨年の「報告書」に加え、今般フィードバックする内容についても、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理に係る適切な体制構築を行う上での参考としてもらいたい。

 

3面 生保の買取

 

「生命保険の買取」の現状と展望5

まとめ その1

 

欧米では生命保険の「ごく当たり前な活用法」として認知され、普及している「生命保険の買取(ライフセツルメント)」だが、わが国においてはほとんど知られていないし、実現していない。その理由は何なのか。これまでの連載をまとめた。

 

4面 再保険

 

RGA  生保経営と再保険の役割  23

石川禎久

 

再保険契約はプロとプロによる契約。それだけに「協約書」の内容をしっかりと確認し、かつ理解しておくことが大切。協約書に記載されているべき事項の漏れを見逃したり、あいまいな箇所を楽観的に解釈したりすると、それが思わぬクレームになることがある。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC

「知らない」では済まされない

『インボイス制度』の落とし穴②

税理士 池谷和久

 

「インボイス制度」が始まると、私の手取り額は変わらないのに、会社から見ると「報酬」(施工代)が100万円から110万円へ10%値上げされたことになるのですね。どうして、その様なことになってしまうのですか?

 

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

建設アスベスト給付金制度

特定社会保険労務士 園部 喜美春

 

すでに国から補償をもらった方なども含め、次の3つの条件に当てはまる方が対象となります。①特定石綿ばく露建設業務に従事し、②石綿関連疾病にかかった、③労働者や一人親方、中小事業主やその家族従事者など。

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

教育費からライフプランニング

 

大学の卒業生58.3万人の1割以上の6.8万人が大学院等に進学しています。高等教育の学費を親がどこまで賄うのか。多少の無理をしてでも…といった親の思いもあります。「前向き」なアクシデントにどう備えていきますか。

 

10面 新商品

 

T&Dフィナンシャル生命

「ハイブリッド つみたて ライフ」

 

「投資信託」と「生命保険」の融合により自助努力による資産形成をサポートする「ハイブリッドシリーズ」の第3弾。特長の一つとして、家計に合わせて積立額の増額・減額が可能であること。また、いつでもスポット増額も可能。

 

11面 月保険

 

三井住友海上・ispace

「月保険」実現に向け合意

 

両社は打ち上げ以降、月遷移軌道上でロケットから月着陸船が切り離され、月までの航行の期間や月面着陸するまでの間に発生する損害を補償する保険について引き続き協議を行い、2022年中に月保険を契約予定。

 

14面 優績への道

 

優績へのナビゲーション

保険の話せずとも来意が伝わる場作り

 

私は人とお会いしてお話をするのが大好きなのです。仕事は楽しくやってきました。苦しんで仕事をしない方法を常に考えてきました。苦痛に思っていると顔や口調に出ます。お客さまの心の鏡にそれが映ります。よい結果には決して繋がりません。

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

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電話 03-3317-0391

 

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