一般社団法人生命保険協会(高田幸徳会長=写真)は4月15日、定例の記者会見を行った。記者会見の冒頭、生保協会の伊藤事務局長から、7月15日をもって高田協会長の任期が終了するのに伴い、次期協会長として第一生命の稲垣精二社長が内定したことなどについて、同日開催された理事会で決定した旨の報告があった。その後高田協会長から以下に紹介する3つの取り組みについての説明とあわせて、新型コロナウイルス感染症に関する生命保険業界全体の特別取り扱いに対する申込状況や保険金等の支払状況につての近況報告があった。なお、今回は対面形式での開催だった。当日の記者会見の内容と、記者会見参加者からの質問の一部をまとめた。
当日の記者会見で、高田会長から報告のあった生保協会の取り組みは次の3点。
新型コロナウイルス感染症については、まだまだ予断を許さない状況が続いており、引き続き慎重に取り組んでいくべき課題ではあるが、感染拡大から2年以上経過した年度の節目において、これまでの生命保険業界の取り組みについて報告書として取りまとめた。
この報告書では、感染防止対策や顧客向けの特別取り扱い等の対応のほか、コロナ禍において促進された生命保険業界の「デジタル化」の取り組みや海外主要国の状況についても整理している。
生命保険業界として、後世の危機管理に役立てるとともに、生保協会会員会社のデジタル化等への取り組みの一助とすることも視野に入れて作成している。
“ポストコロナ”の時代においても「顧客に信頼され、確かな安心をお届けする」という生命保険業界の役割を果たし続けることができるよう、生保協会では今後とも、会員会社とともに、各種の取り組みを推進していきたいと考えている。
〈アンケートの趣旨について〉
昨年4月に公表した報告書では、生保協会会員会社各社に今後期待する対応として、
の2点を掲げていた。
また、昨年4月の理事会において「報告書の内容も参考に、引き続き営業職員チャネルにおけるコンプライアンス・リスク管理の高度化に不断に取り組むことを確認する」旨の申し合わせも行っている。
これらを踏まえ、今般、会員各社の「顧客本位の業務運営」にかかる取り組みの一層の高度化に繋げるために「フォローアップアンケート」を実施し、会員各社の新たな取り組み等について収集し、取りまとめた。
会員各社においては、昨年の報告書に加え、今般フィードバックする内容についても、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理に係る適切な態勢構築を行ううえでの参考にしていただきたいと考えている。
なお、アンケートの対象については、国内で営業をしている生命保険会社のうち「営業職員チャネルがある」と回答した20社の取り組み状況等を取りまとめている(この点は昨年の「報告書」と同じ)。
〈アンケートの結果および考察〉
•「自社の態勢整備状況の分析」について
すべての社が、昨年の報告書において共有した「各社取組事例」や「高度化に向けた視点等」と、自社の取り組み内容を比較して“ギャップ分析”を行うなど、改めて自社の態勢整備の状況に関する分析を行っていたことを確認している。
•「自社の態勢整備の状況の分析結果、分析結果等を受けた取り組み」について
これについては、自社の態勢整備の状況を改めて分析した結果、すべての社が、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理の高度化を企図した新たな取り組みや改善の取り組みを行っていたことを確認している。
•「取り組みを通じて期待する効果」について
すべての社が「顧客満足度の向上」「苦情件数の減少」「不詳事件届出件数の減少」と回答したほか「営業職員チャネルの持続可能性の向上」等を期待するとの回答もあった。
•「分析結果ならびに今後の取り組み方針にかかる経営陣への報告」について
ほとんどの会社が、分析結果、および今後の取り組み方針について、経営陣に報告を行っていたことを確認できた。
〈「今後の総括」について〉
この「報告書」の取りまとめを通して、(アンケート対象となった)すべての社において「自社の態勢整備の状況を改めて振り返っていること」、そして「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理の高度化を企図した取り組みが行われていること」を確認することができた。したがって、これらの取り組みが、顧客満足度の向上、苦情件数の減少、不祥事件届出件数の減少等の効果に繋がっていくことを期待している。
一方、依然として営業職員による不適切事案が複数の会社で発生している現状に鑑みれば、コンプライアンス・リスク管理態勢について、不断の高度化に取り組み、会社全体の企業風土・リスク文化を醸成し、強固な態勢を実現していくことが重要であると考えている。
生保協会会員各社においては、この報告書等における会員各社の新たな取組事例も参考にしてもらい、引き続き、更なる“高度化”に向けて、それぞれ創意工夫を重ねていくことを期待している。
そして、生保協会における今後の対応としては、この「報告書」等も踏まえ、会員各社の「顧客本位の業務運営」の高度化を更に後押しするための新たな方策を検討していきたいと考えている。
また、毎年実施している「Value Upアンケート」や「お客さま本位推進会議」等を通じて、社会環境の変化等に伴う業界課題の早期把握・未然防止等を推進し、業界全体でのPDCAサイクルの一層の高度化に取り組んでいきたいと考えている。
生命保険協会では、1974年から48年間にわたり、コーポレート・ガバナンス、経営戦略、株主還元方針等の幅広い観点から、企業および投資家双方へのアンケートを実施している。
これらの分析結果をもとに、企業や投資家などに対する提言等をとりまとめた「報告書」を作成した。今年度は、新型コロナウイルス感染症や気候変動対応を重要なテーマの一つとして提言でも取り上げている。
最後に、新型コロナウイルス感染症に関わる生命保険業界全体の保険金等の支払い状況に関しての最新状況をご報告する。
2021年4月から2022年2月までの累計で、死亡保険金は約1万1575件、約729億8千万円、入院給付金は60万2300件、約618億8千万円をお支払いしている。
ちなみに入院給付のうち、宿泊・自宅療養等のいわゆる「みなし入院」での支払いは51万782件、約508億7千万円となっており、入院給付金額に占める割合は約80%となっている。なお、昨年末以降に急増した感染者に対する支払い状況は、今後判明する実績において顕著に現われてくることが想定されるが、今後も動向を注視していく。
引き続き、生命保険業界を挙げて「お客さまに寄り添った対応」に取り組むとともに、感染防止に努めていく。
質疑応答
Q:フォローアップアンケートの報告書のところだが、去年からの変化という意味で、このアンケートの中でどこが良くなって、どこが悪くなったのかというところをいま一度整理して伺えればと思う。
A:昨年4月の協会記者会見でも、このアンケート報告書を出し、この1年間のそれぞれ各社の取り組みについて、今回取りまとめをしている。
1年間の取り組みの中では、営業職員チャネルを有している生命保険会社20社すべての会社において、昨年度発表した取組事例あるいは高度化に向けた視点を参考に、それぞれ進捗しているということについて確認をしている。とりわけ、企業文化の定着や測定に向けた取り組み、それから金銭費消や詐取等を生じさせないための内部統制の強化、そして不適正事例の予兆把握、こういったところについて、多くの社においてそれぞれ取り組みの強化が見られる。
その意味では、各社の取り組みは着実に進んでおり、結果として、苦情の減少であるとか、あるいは顧客満足度の向上にそれぞれ繋がっていくのではないかと期待している。
Q:悪くなっていたところとか、改善があまり見られなかったみたいなところがもしあるのなら(なければないでよいので)、この部分はどうか。
A:悪くなったかどうかというのは、それぞれ個社の判断なので、十分か不十分かというようなところについては各社で判断してもらっている。各社の取り組みについては、それぞれ確実に進捗をしているということで、一定良くなっているであろうということなのだが、必ずしも不祥事がゼロではないというところで、まだ不十分であると考えた会社もあったということになると思う。つまり、中身はかなり進捗しているけれども、目線とかレベルが非常に上がっているので、そのラインに対しての進捗がそれぞれ個社ごとに各々あったと認識している。
Q:アンケート調査なので基本的には20社のうち何社が取り組んでいると答えたかどうかと、数字は定量的に出ると思うが、生保協会や各社へのフィードバックの段階では、数字が分かる形になっているのか。生保協会の中ではもちろん分かると思うが、各社のフィードバックはこの報告書と同じものなのか、また、全然違うものなのか。このあたりの運用はどうなっているのか。
A:この点については、それぞれの会社がどうであったということを、各社にフィードバックはしていない。あくまで全体の取りまとめ結果を各社にフィードバックし、それぞれの会社がコンプライアンス・リスク管理態勢として、内部統制も含めて取り組みを進めていくということだ。どこの会社が良くなって、どこの会社が良くなっていないとか、個社名を示すものではなくて、各社の重要な経営判断の材料として活用してもらうものと考えている。
Q:コロナ対応として「みなし入院」への給付金の支払いについて伺いたい。契約者に対して大きな役割を果たしてきたと思うが、一方で、現在感染が広がっている「オミクロン株」については重症化のリスクが小さいとされていて、比較的軽傷であっても給付金が出るという事態もあると聞いている。これからどんな新種の変異株が流行して、毒性の強いものが出てくるのか予断を許さない中ではあるが、一方で「感染症法」の改正議論も出てきている中で、そろそろ「みなし入院」の措置について見直してもよいのではないかという議論もあると思う。この必要性について、改めて考え方を聞かせていただいてもよいか。
A:毎回、資料としてコロナ関連の保険金・入院給付金の支払い状況を提示している。
第6波以降、感染が拡大しているので、今ご指摘のあった「みなし入院」を含めて入院給付金の支払いが増加しているというのは事実だ。
この「みなし入院」に対する(給付金の)支払いについては、そもそも医療逼迫という状況において、本来であれば病院に入院することができるという人たちが、医療事情や病院の事情により、施設、あるいは自宅等で医師の管理下で療養を受けることになり、それを「みなし入院」として(入院給付金を)支払ってきたということであり、これは生保協会会員各社がそれぞれ判断して支払いをしているということと思う。
したがって、通常の治療、医療提供を受けられたはずの人が病院に入院できないということによって、(入院給付金の)支払いを受けることができないということになると、生命保険の果たす役割という観点から課題も出てくるので、直ちに「みなし入院」の取り扱いが「感染症法」上の分類変更によって、すぐに見直されるかということについては、一定の議論が必要になるのではないかと思う。
自分に対して自信が無くなると、いつの間にかそれが「自己否定」へと繋がり、前に進めなくなってしまうことが、特に新たな状況や環境(職場や仕事)に直面した時などよくある。今回はこうした自己否定感のマネジメント法を紹介する。
1.自分を評価する心の呟きに気付く
力を奪うセルフトークは何か、力を付けるセルフトークは何か
2.典型的なセルフトークを特定する
自動反応になっている十八番のセルフトークを見つける
3.力を奪うもの、力付けになるトークに変換する
自分のボキャブラリーになるまで、普段の生活でも意識をして繰り返す。実際に声に出してみる。
「仮に夫が65歳まで厚生年金被保険者として働く場合、その期間も妻が第3号で未払期間が補えるなら未納分を払っても払わなくても満額になるのか、その際の妻の年齢制限はあるのか」について検証していきます。
令和5年10月1日から「インボイス制度」という新しい消費税の仕組みが導入されます。「生保募集人」自身が直接的に影響を受けるもの「顧客」が直接的に影響を受けて、間接的に影響を受けるものについて見ていきます。
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「特定疾病一時給付特約(22)」など、がん等の重い病気や女性のための特約を新設した。特長として、がんの再発・転移や継続治療の場合には、所定の通院でも保障するなどが挙げられる。また、心疾患・脳血管疾患は日帰り入院から保障する。
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「営業部長としてマーケットを1つひとつ現場を歩き、それを実践していくことが役目でした」。拠点長を一堂に集める場はあまり設けてきませんでした。それより営業部長が出向き、個別の問題や課題を語り合ったほうが効果的だったからです。
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