2021年11月19日 3032号
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郵政民営化委員会は10月22日「かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用に係る郵政民営化委員会の方針」(令和3年10月)(以下「委員会方針」)を公表した。新規業務が「認可制」から「届出制」となったが「委員会方針」の内容についてみてみよう(一部略)。
利便性の向上
(前段略)
今般、日本郵政がかんぽ生命の株式の二分の一以上を処分したことにより、日本郵政は、かんぽ生命の経営上の事項に係る決議(例えば取締役の解任決議)を単独で行うことができなくなる。さらに、日本郵政は、保険持株会社でなくなり、かんぽ生命を子会社とする保険持株会社である場合に適用される保険持株会社規制の適用除外の特例措置を受けることもなくなる。
この結果、かんぽ生命だけでなく、日本郵政も、相互に独立性、自主性が相当程度確保され、日本郵政公社の資産等を承継した経緯を考慮すべき必要性が相当程度低下して、ひいては他の生命保険会社との適正な競争関係を阻害するおそれも低下する。 (以下略)
届出制の意味
(前段略)
かんぽ生命が新規業務を行うにあたり、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出た場合には、形式上の要件に適合しているならば、到達したときに届出の効果は発生している。
届出制における当委員会の役割
届出制において、郵政民営化法は、かんぽ生命が新規業務を行うに当たっては、他の生命保険会社との適正な競争関係と利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないと規定する。かんぽ生命には保険業法による規制も課せられているが、かんぽ生命の郵政民営化法上の配慮義務のうち、適正な競争関係が確保されているかどうかについては、保険業法が「保険契約者等の保護」(第1条)を図るとの考えを基本としていることに鑑みれば、郵政民営化法の枠組みの中で、郵政民営化委員会において検証することが必要である。
この配慮義務については、郵政民営化法において、内閣総理大臣及び総務大臣は、かんぽ生命が同義務に違反し、または違反するおそれがあると認める時は、監督上必要な措置を命ずることができることとされている。
これまでの認可制においては、当委員会の意見は内閣総理大臣及び総務大臣の認可プロセスの一部を担っていたが、届出制においては、既に届出の効果は発生しており、当委員会の意見は内閣総理大臣及び総務大臣の行う監督上の措置を命ずるプロセスに関わることになる。すなわち、これまでの認可制における当委員会の法的な位置付けと届出制におけるそれとは異なることに留意が必要である。そのため、当委員会がこれまで新規業務導入の先後関係を検討する際に考慮してきた事項は、これまでの認可制を前提とした考え方であり、届出制に移行した以上、配慮義務に違反しない限り、かんぽ生命は新規業務を行うことができるのであるから、届出制においてこれまでの認可制を前提とした考え方を維持することは困難である。
内閣総理大臣及び総務大臣が監督上の措置を命ずるに当たっては、その要件に該当する事実を確認する手段として、郵政民営化法上、報告徴求や立入検査が規定されている。届出制の趣旨やこうした法体系を前提とすれば、届出制への移行後に当委員会に期待される役割としては、届出内容を踏まえ、かんぽ生命が配慮義務に違反し、または違反するおそれがあると疑うに足りる事情が認められる場合に、郵政民営化推進本部長を通じ、内閣総理大臣または総務大臣に対し、配慮義務に関して事実確認を求め、その結果を踏まえ必要な対応を講ずるよう意見を述べることが想定される。
なお、郵政民営化法は、これまでの認可制においては、適正な競争関係の確保と役務の適切な提供の観点から、認可の是非を判断することとし、その際の考慮事項として、議決権比率等とかんぽ生命の経営状況を挙げていた。届出制においては、かんぽ生命には新規業務を行うに当たり、これまでの認可制のときの審査事項と同様の観点で、適正な競争関係の確保と役務の適切な提供の配慮義務が課されている一方で、これまでの認可制において挙げられていた考慮事項が規定されていないことについて留意が必要である。
また、新規業務のうち新しい保険の引き受けについては、届出制となっても、郵政民営化法上の限度額規制の枠組みに留意することが必要である。
新規業務に関する調査審議の方針
当委員会は、届出を受けた行政当局から通知があり次第、速やかに調査審議の必要性を判断する。調査審議が必要な場合、以下のとおり簡略化して実施することにより、これまでの認可制に比べて期間を短縮する。
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