2021年3月19日 3000号

 

チューリッヒ生命が描く

「2030年ビジョン」

 

コスト下げ、募集品質上げ勝ち残る

乗合代理店シェア32%まで高まる

 

しゃしん おおただいひょうひと言でいえば「より身近な存在になる」こと。2030年までの変化の波に乗り遅れずに、波乗りをしたい──。4月に日本法人化するチューリッヒ生命は2月18日、これまでの成長の軌跡、日本法人化の狙いを説明するとともに「2030年に向けてのビジョン」を明らかにした。

 

太田健自代表者兼最高経営責任者(=写真)は「2030年までに日本の生保市場に大きな変化が来る。大胆かつ少し無責任な予測」と前置きして、3つのトレンドを指摘。

 

  1. チャネル
  2. 保障性商品領域のイノベーション
  3. 運用・貯蓄と保障の分離(アンバンドリング)

 

チャネルの変化では、乗合代理店のシェア拡大、オンラインの躍進を挙げる。乗合代理店の占率は18年の約18%から30年には32%までに高まり、オンラインの占率は10年前は1%弱だったが、18年は3%、30年までに8%まで伸びると予測。

 

保障性商品領域でのイノベーションについては、次のポイントを挙げる。

 

  • ウェルスケア・ヘルスケアを組み込んだ商品。
  • シンプルで分かりやすく入りやすい安価な商品。
  • 定期保険の重要性の再認識。
  • 就業不能保険。
  • 富裕層のエステートプランニングに合わせた生命保険ソリューション。

 

そして、太田代表は「チューリッヒ生命は変化の波に乗り遅れずに、波乗りをしたい」と強調する。

 

金融サービス仲介業にも商品提供

 

では、チューリッヒ生命はどのような戦略・戦術で臨むのか。一つ目のチャネル戦略では、乗合代理店、金融機関代理店、インターネットへの参画度をさらに高める。

 

また、より手軽なオンラインチャネルとして金融サービス仲介業が2021年内には誕生する。「これに伴い、たくさんの異業種、プレーヤーが参入するので、手軽な商品比較・見積り・購入ができる形になる。チューリッヒ生命は商品供給者として、金融サービス仲介業チャネルに参画したい」。

 

二つ目の商品とサービスのイノベーションでは、シンプルで分かりやすい、手続きが簡単の商品を提供する。そして、予防・治療・再発防止の段階ごとのサービスの開発にも力を入れる。

 

三つ目はコスト効率のアップ。競合することになる「安価な保険商品」が今後ますます出てくることを踏まえ「安価な商品を提供するためには正確にリスク量を測り、付加保険料から安くできるように会社のコストを下げる必要がある。情報技術を活用しながら邁進したい」と強調。

 

現在、ビジネスフルールエンジン、アンダーライティングエンジンを購入して、機械学習のシステムを契約査定プロセス、保険金支払いプロセスに導入しつつ、募集プロセスの品質を上げ、コストを下げるという業務プロセスの構築に取り組む。

 

四つ目が異業種の独立系プレーヤーとのコラボレーション。

各分野で最良のハードウェアやソフトウェアを選択し、その組み合わせでシステム構築を行うアプローチ「ベスト・オブ・ブリード」で対応していく。

 

「ベスト・オブ・ブリードの仲間を自分たちの輪に入れて、それぞれの業態の優れたプレヤーと手を組み、最良のサービスを提供したい。お客さまの目線で見れば、そこで商品を買えば安心という形にしたい」

 

投信会社、オンライン証券、オンラインバンク、運用系の保険会社なども含めたコラボレーションを想定している。

 

「世界の知見」を活用して差別化を

 

 生保業界が直面する課題に今後の人口減少がある。現在42社あるが生保マーケットが縮小、競争が激化する中で、ニッチプレーヤーとしてどのように生き残っていくのか。

太田 人口減少は間違いなく進み、2030年には1億1900万人以下になるだろう。現役世代は6900万人ぐらいになるが、現役世代には特に保障性ニーズが根強い。チューリッヒ生命は現役世代を中心にターゲットにしているが、シニア層もガン保険、定期保険に加入している。

若年層は減少傾向にある。しかし、これまでとは違う消費者文化「カスタマーファースト」が根付いており、合理的に商品やサービスを選ぶ。お客さまにとって魅力的な商品・サービスをきちんと提供できれば、まだまだチューリッヒ生命の伸び代はある。

 

 過去3、4年のインシュアテックの流れの中で、新しい商品・サービスが出てきても、例えば健康増進向けのアプリなどは他社が追随して、すぐに均質化してしまう。このような中で、自他共に認める差別化はできるか。

太田 これまでにいろいろな試みがあったが、成功事例はそれほどない。、お客さまのニーズにきちんと刺さるサービスが開発できていない証だ。お客さまが魅力を感じる商品・サービスは差別化になるので、今後、チューリッヒ生命は他社としのぎを削り、いろいろなソリューションを提案したい。

チューリッヒはグローバルに215以上の国と地域で活動している。世界の知見を活用しながら、日本でも受け入れられるサービスを提供したい。

 

 チューリッヒ生命では社内的にどのような体制を組んで、いつ頃までに提供しようとしているか。

太田 現在、検討しているところで、チューリッヒグループとグローバルなコラボレーションを開始している。日本では1月に専門チームを立ち上げ、検討している段階だ。

 

 サービスフィーの問題だが、付帯サービスのレベルでは類似したものしか出てこない。有料化して、プレミアム世代やZ世代に刺さるものはできないか。

太田 付帯サービスの小さな枠の中で展開する場合は限界がある。今後は商品に組み込んだ形で、サービスの部分も保険料体系に反映した形で商品認可を取得する方向になり、より踏み込んだ形でのサービス提供ができるだろう。それは今後の一つの流れになる。

 

2面 四半期決算

 

T&D保険グループ

四半期純利益、前年同期比が大幅増加

 

T&D保険グループが第3四半期の決算について発表した。新型コロナウイルスの影響はあったものの、対面と非対面を組み合わせた営業活動や新契約手続きを推進したことにより、新契約業績は前年同期並みの水準となった。

 

3面 先進医療

 

「多焦点レンズ」削除による波紋

慶応義塾大学大学院特任教授 山内 恒人

 

2020年の6月30日までの1年間の「先進医療技術の実績報告」があった。多焦点レンズを削除した効果は極めて大きいが、同時に今期報告分はコロナ禍による受療控えがあると考えられ、62億円という数値を単純に将来推計に用いることはできない。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC

R2年確定申告の改正点と節税法⑨

税理士 池谷和久

 

今年の税制改正で、公的年金以外の所得水準で区分するようになったので「老体にむち打って、現役で社長業を頑張っている社長さんほど増税」となってしまいました。一生涯を通したライフプランの重要性が増しています。

 

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

労災保険特別加入者の拡大

特定社会保険労務士 園部喜美春

 

今回の改正で「雇用契約」という契約形式ではなく、いわゆるフリーランスを対象に、労災保険の特別加入制度の適用が拡大になりました。労働基準監督署ではなく、労働保険事務組合や、特別加入団体を通して加入申請します。

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

「就業不能」とライフプランニング

 

傷病手当金の制度全体では2019年に、協会けんぽ=110万件、健保組合=70万件、共済組合=10万件の合計約190万件が支給されました。これだけの人が仕事に就けなかった状況を捉え、ニード喚起をしていきます。

 

10面 新商品

 

オリックス生命

「がん保険Wish(ウィッシュ)」

 

ウィッシュは定期型のガン保険で、最高保険金が600万円の一時金保障に特化した商品。主契約保険金は100万円のみで、初めてガンと診断された場合などに「がん一時金」を支払うが、1年に1回を限度に何度でも支払う。

 

11面 新制度

 

チューリッヒ生命

「条件付解約制度」導入

 

4月1日、新ガン保険を発売するが、同社の従来型ガン保険に加入している顧客が新ガン保険へ乗換の際、乗換後契約の不てん補期間中にガンに罹患した場合、乗換後契約を無効とし、乗換前契約を元に戻す制度を同日から導入する。

 

15面 育成

 

組織長への道

徹底して基本活動を叩き込む

 

新人時代、職域活動で一度失敗したことがある組織長の梶谷さんは、後輩にその轍を踏ませないために、新人に基本活動を徹底的に叩きこんだ。自分の苦い経験から、それが育成にとって何よりも重要であると確信していたからだ。

 

[トピック]

 

コーポレートコミュニケーション部を新設

第一生命(4月1日)

①「東日本代理店営業部」「首都圏代理店営業部」「中部・関西代理店営業部」「西日本代理店営業部」を新設。代理店チャネルのさらなる成長・拡大に向けた代理店営業担当者の管理体制などの強化、意思決定の迅速化などが狙い。「代理店営業第一部」・「代理店営業第二部」を廃止し、各地域における体制を強化。

②「コーポレートコミュニケーション部」を新設。従来の「広報部」「DSR推進部」を廃止。社内外との双方向のコミュニケーションを一体的に担い「CXデザイン」の取り組みを通じたお客さまQOL向上への貢献などをより一層進める。

 

払込満了後終身保険の既契約ブロックを出再

第一生命は、保有する払込満了後終身保険の既契約ブロックを出再する。

取引額は約3000億円(責任準備金ベース)、再保険料は約3834億円。3月末までに再保険契約を結ぶ予定。

同社では、金融市場変動の影響を受けにくい財務体質の強化を目指し、金利・株式などの市場関連リスクの削減に継続的に取り組んでいる。その一環として「外部への再保険を通じた戦略的な金利リスク削減を継続的に実施している」という。

クライメイト・アウェアネス・ボンドに105億円を投資

明治安田生命は、欧州投資銀行が発行する「クライメイト・アウェアネス・ボンド」に約105億円を投資した。償還期限は2036年2月19日(15年)。

同債券による調達資金は気候変動を緩和するプロジェクトに充当される。温暖化ガスの排出低減、除去、それらを可能にする技術や製品のイノベーションを通じ、大気中の温暖化ガスを安定化させることでパリ協定において定められた長期目標の達成に貢献する。

 

東京・千代田区に介護付き有料老人ホーム

太陽生命保は、東京・千代田区に介護付き有料老人ホーム「アリア一番町」を竣工した。

所在地は東京都千代田区一番町10ー1。地上9階地下1階建て、延べ床面積は4090㎡。「自立」から「要介護5」までの人が入居でき、看護職員は24時間常駐。運営はベネッセスタイルケア。同社は全国300カ所以上で老人ホームを展開している。

太陽生命は、これまで藤が丘(神奈川・横浜市)、江坂(大阪・吹田市)、浦和(埼玉・さいたま市)に有料老人ホームを建設しており「アリア一番町」が4番目になる。

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

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