2021年1月15日 2992号

 

住友生命グループ

20年度上半期業績・営業戦略

 

非接触でも「人に根ざした価値」を

バイタリティが目指す「WaaS」

 

バイタリティの目指すべき姿は「WaaS(ワース)」─。住友生命は昨年11月22日、2019年度上半期業績報告を行った。

 

「バイタリティ」の実績は54万件(18年7月発売)。角英幸執行役常務(=写真)は「バイタリティのすそ野は着実に広がっている」と自信を示す。上半期にはリワードパートナーを拡大し、バイタリティ健康プログラムのレベルアップを図った。バイタリティの目指すべき姿として「WaaS(ワース=Wellness as a Service)」を強調。

 

「ウエルネスとは豊かな人生、輝く人生を目指していきいきとしている状態を指す。『WaaSシステム』として、豊かな人生、輝く人生に向けて、バイタリティを基軸にして有機的なウエルネスサービスを提供したい」

 

2020年度上半期業績では、グループの新契約年換算保険料は前年同期比14.2%減の974億円。

 

国内事業は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う訪問活動自粛の影響などを受け、住友生命が32.6%減の400億円。これに対して、メディケア生命は4月に商品改定した医療保険「新メディフィットA」が前年同期比124.5%増と好調ぶりを示した。

 

保有契約年換算保険料は、住友生命では新契約が減少するなどの影響を受けたが、メディケア生命、海外事業(シメトラ)で保有契約が増加した結果、グループ全体では2兆8018億円と前年度末とほぼ横ばい。

 

グループの保険料等収入は6.8%減の1兆1676億円。国内事業は7.5%減の1兆759億円。メディケア生命で14.3%の増加となったが、海外金利の低下、新型コロナの影響によって、住友生命の一時払商品の販売減少が響いた。

 

グループの基礎利益は、国内事業が2.7%減の1805億円、海外事業は3.4%増の182億円で「グループ全体では1965億円と安定した水準を確保した」と角執行役常務。

 

国内事業での減少は、メディケア生命が新契約の増加に伴って契約初期費用が増加したこと、海外事業では資産運用収支の増加などが主因。

 

連結ソルベンシー・マージン比率は939.4%と、前年度末比69.4ポイントの増加。ヨーロピアン・エンベディッド・バリューは4兆2975億円。

 

角執行役常務は「新契約獲得や保有契約からの収益確保など、保険事業のプラスの成果、国内金利・国内株価上昇などによるプラスの影響があり7133億円の増加となった」と述べた。

 

1月からオンライン契約手続も

Webでリモートサポート可能

 

(以下書面による質疑応答)

Q 新契約年換算保険料は14.2%減少しているが、この落ち込みをどう捉えているか。

A 4月~6月は営業職員の訪問活動自粛や、代理店への来店者数減少などの影響で販売が大きく落ち込み、第1四半期の新契約年換算保険料は前年同期比26.0減%となったが、7月~9月にかけて販売は徐々に回復傾向にある。

 

Q 下半期に入り、どのような対策を打つているか。通年の見通しは。

 下半期からはウィズコロナ・ポストコロナを見据え、営業職員チャネルで導入したZoomやLINEWORKSなどデジタルツールを活用した営業活動に加え、2021年1月からはオンライン契約手続きも開始するなど、様々な手を打っている。

足元で新型コロナの感染再拡大の様相を呈しており、現時点では2021年3月期まで見通すことは難しい。下半期以降、経済活動の自粛・停滞などが現状に止まるという前提であれば、グループ全体の新契約年換算保険料は1割前後のマイナスに止まると見ている。

 

 非対面の営業活動では、デジタルコンタクトができるスキームをどのように構築し、その効果をどのように受け止めているか。

 デジタルツールは「単にデジタルツールを導入すれば」あるいは「単に使えるようになれば」というものではない。非接触でもこれまでの対面と変わらない「お客さまに寄り添い、親身に支える」という「人に根ざした価値」を届けることが重要だ。

そのため、営業職員のITスキル・リテラシーの向上はもちろんのこと、より高度な知識に裏付けられたコンサルティングスキルの向上に努める。

また、デジタルツールを活用することにより、保険商品に専門性を有した人材によるWeb上でリモートでのサポートが可能になるなど、さらに高品質なコンサルティングが提供でき、より一層お客さまの満足度向上につながる。

 

 バイタリティを軸にした保障性商品の販売は、コロナ禍の中で、どのような施策を展開したのか、どのような成果を上げているか。また、3月に発売した「認知症PLUS」の販売件数はどのくらいか。

 バイタリティでは4月にバイタリティ健康プログラムの健康増進メニューに「歯科健診」「ゴルフ」を追加。また、リワードは9月からティップネスのフィットネスジム特典、11月からイオンのヘルシーフード特典をそれぞれ提供。今後もパートナー企業の提携先を広げていく。

また、よりお客さまにバイタリティによる健康増進を体験していただくために、バイタリティ単品型発売に向けたトライアルを実施している。保険契約者以外にも「健康増進」という価値を提供することで、健康長寿社会の実現へと繋げていきたい。

「認知症PLUS」の上半期実績は2万4000件となっており、訪問活動自粛期間の影響を考慮すると、初動としては好調だ。

 

 2020年のコロナ禍は、将来どのような転換点として語られるだろうか。

 転換点となったかどうかは今分かることではなく、後から振り返って分かることだ。新型コロナウイルス感染拡大以前より、検討事項であったデジタル化をコロナ禍が後押した。対面と非対面を組み合わせた新たな営業スタイル構築のスピードを早めたことは一つの事実だ。

 

2面 中間決算

 

少額短期保険業界

2020年度中間決算概況

 

少額短期保険協会が業界の中間決算概況を発表した。保有契約は914万件で前年中間期比108%、収入保険料は565億円で前年中間期比110%と、コロナ禍の影響下にあっても順調な成長を維持しているのが注目される。

 

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

2019年生命保険事業概況からライフプランニング

 

2019年度の生命保険事業概況から、ガン保険の新契約推移、個人保険地方別の平均保険金、保険種類別の性・年齢群団別の新契約件数分布をピックアップし、ガンの予測罹患者数や都道府県別の上位死因順位と組合せてニーズを掘り起こしていきます。

 

 

10面 販売技術

 

新セールステクノロジー 169

LINEでスキマ埋める活動を模索

 

コロナ禍で対面営業の原則が崩れ、非対面の活動を模索し始めました。コンタクトの有力な手段は8600万人のユーザーがいるLINEです。どのような手順で顧客との接点を強化していくのか、身近な体験を例示していきます。

 

16面 業界動向

 

第一生命 金銭の不正取得で再犯防止

 

契貸一定以上の職員は「請求」制限

予兆をAIで分析しモニタリング

 

2021年度は「お客さま視点からの業務運営に向けた改革の1年」と位置づけ、新契約実績などの評価を行わずに、徹底した意識改革に集中的に取り組む──。

 

第一生命は昨年12月22日「元社員のよる金銭の不正取得」事案に関する報告を発表して、再犯防止策などを明らかにした。

再犯防止策は次の3段階で実施。

 

即時実施=同じような金銭不正行為行為がないかを総点検するための「全契約者への確認」「類似手口の可能性のある契約にフォーカスした確認」。

 

2020年度内=金銭不正行為の撲滅のための体制の整備・充実のために①金銭授受②役員および社員の意識・行動等③管理・監督・牽制・モニタリングを行う。

 

中長期=金銭不正取得行為の背景となった企業風土・体質の改善として「あるべき姿の設定と追及」などに取り組む。

 

さらに、これらの対策を実施するために「経営品質刷新プロジェクト」を発足する。

 

「管理・監督・牽制・モニタリング」の主な取り組みは次のとおり。

 

  1. 営業職員に貸与するデジタルデバイスを活用した、管理監督者による活動状況の適時把握・管理を可能とするシステムの導入。
  2. 「半有事」(元特別調査役の2017年事案など)の事象があった場合、コンプライアンス統括部などが継続的にモニタリングする。
  3. 契約者貸付、据置金引出しの契約者数が一定以上の営業職員は、本社・支社で情報共有を行い、出金請求手続きの制限をする。
  4. 優績者の活動にフォーカスした個別の内部監査を実施。
  5. コンプライアンス統括部に「コンプライアンスリスク分析室」を設置。
  6. コンプライアンスリスク分析室が集約した情報についてAIなどで分析。様々な視点・発生確率によるコンプライアンスリスク管理を行う。

 

コンプライアンスリスク分析では、各組織が把握する予兆を横断的に集約し、予兆が認められる管理対象の営業職員およびその管理者・ 組織の統制状況をモニタリングするとともに、統制状況に応じた指導・勧告を行う。

 

さらに、スリー・ライン・ディフェンスの内部統制において「半有事」の事案が発生した場合は、その内容についてコンプライアンス統括部(セカンド・ディフェンス・ライン)から、内部監査部(サード・ディフェンス・ライン)に報告。

内部監査部が当該報告に基づきリスクベース・アプローチによる内部監査を実施する体制を確立する。

 

NPSを最重要指標として導入

 

企業風土・体質の改善では、営職職員の「あるべき姿」を策定し、全営業職員の指針とする。

 

営業職員チャネル改革では「お客さまからのダイレクトな評価」を数値化した指標(NPS)を最重要指標として導入。

NPSは「Net Promoter Score」の略で、顧客の潜在的な声の把握などを通じて、より一層の顧客目線での企業活動の改善を推進するための指標。

 

各支社のNPSは全社で定例的にフォローを行い、確実にPDCAを回す仕組みを構築する。

 

新契約実績等の営業目標は、本部と支社との対話により営業目標を策定する。さらに、営業目標の達成状況だけで評価せずに、そのプロセス・取り組み内容を加味して「お客さま視点での営業活動を評価」すると指摘。

 

2021年度は「お客さま視点からの業務運営に向けた改革の1年」と位置づける。新契約実績などの評価を行わずに、徹底した意識改革に集中的に取り組む。

 

なお、内勤職員については昨年7月「インテグリティ(高潔性)」 を評価する人事制度を導入した。

 

「元社員による不祥事案対策本部」は改組して「経営品質刷新本部」として、全役員が参画する。全社員向けにアンケートを実施し、また各層(エリア、部門、職層など)における「タウンホールミーティング」を行う。

 

「会社の風土が世の中の常識と乖離していないか、お客さま視点でなく内向き志向となっている点がないかなどの意見を集約し、これらの意見を踏まえた改善策を洗い上げ、各種取り組みを実行・実現する」と強調する。

 

経営品質刷新プロジェクト発足

 

経営品質刷新プロジェクトを発足する。これは稲垣社長が本部長となる全社横断的なプロジェクトで、被害状況調査対策本部と被害者救済対策本部を設置。

また、ワーキンググループとして「行動変革WG」「次世代生涯設計デザイナーWG」「事務品質向上WG」「コンプラライアンスWG」も設置する。

 

◆ ◇ ◆

〈同報告の構成〉

①元「特別調査役」(山口県)事案についての状況。被害調査の結果・被害者対応状況等、発生原因分析(全体像)。

②その他の発生事案に係る状況。事案の概要、発生原因分析。

③再発防止策。発生原因分析を踏まえた対応策「経営品質刷新プロジェクト」。

④責任・処分。

 

 

年頭所感

 

11面

●生命保険協会 会長 根岸 秋男

●生保労連 委員長 松岡 衛

 

12面

●T&Dホールディングス 社長 上原 弘久

●太陽生命 社長 副島 直樹

●大同生命 社長 工藤 稔

●T&Dフィナンシャル生命 社長 板坂 雅文

 

13面

●損害保険協会 会長 広瀬 伸一

●日本アクチュアリー会 理事長 庄子 浩

 

14面

●少額短期保険協会 会長 渡邊 圭介

●TLC会 会長 田久保 耕一

●こくみん共済coop 理事長 廣田 政巳

 

15面

●JAIFA 理事長 石井 清司

●MDRT日本会 会長 千葉 博道

●生命保険文化センター 代表理事 浅野 僚也

 

 

 

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