日本アクチュアリー会は11月6日「2020年度年次大会」を開催した。今回はコロナ禍のために初のオンライン開催となった。
庄子浩理事長(=写真)は、今年度の主な取り組みとして次の3点を挙げる。
①経済価値ベースのソルベンシー規制・会計基準等への対応
②専門能力維持向上
③ICA2026東京大会
経済価値ベースのソルベンシー規制・会計基準等への対応では、IAAへの意見発信などの活動を通じ国際的議論に参画し、金融庁の経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議にはオブザーバーを派遣。
今年6月には同会議の報告書が公表され「今後、日本アクチュアリー会が担う役割も期待されている。専門職団体として積極的に取り組み、その役割を発揮したい」と庄子理事長。
専門能力維持向上の取り組みでは、ここ数年、データサイエンスに対する調査・研究を精力的に行ってきた。2019年度には「データサイエン ス関連基礎調査WG」を新設。
その後、さらに規模を拡大し、基礎的事項の調査・研究を進め、アクチュアリージャーナルに3本の記事を掲載した。
教育体制の充実として、アクチュアリー講座や例会など、集合研修のオンライン化を図り、会員の利便性を向上。19年度に新設したERMやデータサイエンスに関する専門講座を始め、新しいフィールドの内容を扱った講座もオンラインで継続実施している。
また、19年度には「専門職制度検討WG」を新設。庄子理事長は「アクチュアリーの業務・役割が複雑化・多様化する中、これからも専門職として社会の負託に応えていくため、当会の行動規範や実務基準について、今日的視点から検討する組織として新設した。WG内で継続的検討を進めている」と述べた。
試験・教育制度については、2017年のIAA教育シラバスの改訂を契機に、データサイエンスの分野などの現行の試験・教育制度では十分にカバーできていない学習分野への対応の検討を実施。
上田泰史試験・教育企画委員長から「IAA教育シラバスの改訂を踏まえた検討状況」の報告も行われた。
国際的活動では、2026年に「第33回国際アクチュアリー大会(ICA)」を東京で開催する。
同会議は4年に一度、世界のアクチュアリーが集う一大イベント。日本では1976年に開催され、世界44カ国から2200名が参加した。
2018年6月にはベルリンで、31回目の「ICA2018」が開催され、106カ国から、過去最高の約3000名のアクチュアリーが参加した。日本からも約70名が参加。
2022年に開催を予定していたシドニー大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期され「ICA2023シドニー大会」となる。
庄子理事長は「今後、オーストラリアのアクチュアリー会とも連携を取りながら、ICA2026東京大会の成功に向けて、学術・運営の両面で一層の取り組みを進めたい」と抱負を述べた。
なお、同大会に向けた基盤、環境作りでは、2018年度の年次大会で次のポイントを挙げている。
①学術活動のさらなる促進
②新しい分野、特にデータサイエンスの研究
③国際レベルの論文発表・情報発信
④大学や研究機関との連携強化
11月6日にはオンラインで論文発表、プレゼンテーション、パネルディスカッション、さらに英語のセッションが行われた。
内容は「経済価値ベースのソルベンシー規制の導入を踏まえたERMのあるべき姿」「経済価値ベースの負債に関する一考察」や「新型コロナから学ぶ視座、保険業界の向き合うシステミック・リスクの本質」「感染数理モデルとCOVIDー19」など、今日的なテーマが目立った。
なお「経済価値ベースのソルベンシー規制~」では、その要旨を次のように述べている。
◆ ◇ ◆
報告書は保険会社に対し、規制への準備とともに経済価値ベースのERMの高度化を示唆。アクチュアリーやリスク管理の専門家は、この高度化推進を強くコミットすることが求められるだろう。
一方、保険会社からは「存続する保険業法会計は無視できない」「マスコミやステークホルダーの理解不足」「高すぎるESRには説明責任が生じる」「ESRの制御能力とはどういう考え方か」などの疑問や本音も聞かれる。これに対してアクチュアリー・専門家はどう答えるべきか。
(ESR=経済価値ベースのソルベンシー規制)。
金融庁の池田賢志保険課長は来賓挨拶の中で、保険会社を巡る環境の大きな変化について、長期的な人口減少や低金利環境の継続、コロナ禍の世界的拡大や自然災害の多発、激甚化に加え、デジタライゼーションの進展などを指摘。
「保険会社は顧客ニーズに応じるため、商品・サービスの設計、各社の特性に応じたグループガバナンス、リスク管理や業務運営の観点から、既存のビジネスモデルを改めて見直していくことが重要」と強調した。
金融庁は今年6月に「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」の報告書を公表。
新たな規制を2025年4月から施行することを念頭に、池田課長は
「報告書においては保険負債の計算・検証方法について、規制と整合的な一定のガイダンスを設けることや、そのガイダンスの作成に当たって、金融庁と日本アクチュアリー会などが連携して検討を深めていくことについても触れられている」と述べた。
また、根岸秋男生保協会長は「国内外の会計や資本規制の議論において重要な局面が続く中、保険負債の計算・検証方法を中心にアクチュアリーがプロフェッショナリズムを発揮して業務に当たることが極めて重要だ」と述べた。
日本少額短期保険協会は11月4日「少額短期ほけん相談室レポート」を出した。今回のレポートでは、2020年度上半期(2020年4月~同9月)に受け付けた相談・苦情・紛争解決手続きの運営状況ならびに事例が開示されている。
民間の介護保険商品の開発も進みつつあり、近年では認知症やその前段階であるMCI(軽度認知障害)の状況への保障に焦点をあてた商品も発売されている。では、こうした民間の介護保険商品の普及状況はどうなっているのだろうか。
2020年の年金制度改正において、老齢年金の繰上げ・繰下げの改正が行われました。施行は2022年4月からです。受給を早めれば最大30%減額、遅らせれば最大84%増額。老後プランの提案には必須の確認事項です。
営業職員も電子化された「生命保険料控除証明書」を利用したデジタル「年末調整」の手順をマスターすれば、導入を検討しているお客さまの信頼を得られるだけでなく、年末調整を絡めた新たな提案も生まれてきます。
今回のコロナ禍だけでなく、11年の東日本大震災では「1000年に一度」、08年のリーマンショックでは「100年に一度」と言われた想定外の事態。どうやって資金繰りを確保していくのが有効なのか考察していきます。
経営者向けの商品で、経営に重大な影響を与える重篤なガンを重点保障する。従来型は保障範囲が広く保険料も高めだったが、今回のタイプはガンの保障範囲が限定的で、低廉な保険料で高額な保障が確保できる。
5疾病などにより就業不能状態となった場合、保険期間満了まで毎月給付金を受け取ることができる。「家計保障定期保険NEO」では死亡保障とセットで就業不能保障を提供していたが、この商品では就業不能保障単独で加入できる。
組織長として、その育成法が高く評価されていた星野智美さんだったが、これを成功に導いたのは営業所長との良好な連携関係があったればこそだった。そこには「営業所長と組織長は運命共同体である」という確固たる信念があったという。
第一生命は10月、新たに「第一生命オンラインビジネスマッチングサービス」を全国的に開始した。
WEB上で登録した企業同士のオンライン交流によって、新たなビジネスチャンス創出を支援する。同社との取り引きの有無は問わない。
「商材・サービスの魅力をPRする」「全国から商談相手を探す」「商談相手とチャットやオンライン面談で気軽につながる」などの機能をすべて無料で利用できる。期間は2021年3月まで。
「これまでのビジネスマッチング・イベントでは、地域ごとの企業交流に留まっていたが、今回は全国的な情報交換、ビジネスチャンスの共有が可能になる」という。
コープ共済連は10月26日、コープ共済の加入者が900万人を超えたと発表。
6商品の加入者は2020年7月末時点で900万人を超え、9月末時点で904万人 となった。なお、元受共済4商品では861万人。
1984年に「たすけあい」を発売し「組合員の声をもとに、保障内容の改善や加入引受基準の緩和など 商品の見直しを重ねて加入者の輪を広げてきた」という。
同連合会の「2030年ビジョン」の事業目標では、元受共済事業で加入者の輪を1000万人に広げることを掲げる。
目標達成に向けた取り組みでは、特に若い世代に力を入れ、40歳未満で160万人増加、うち学生総合共済で84万人増加を目指す。
なお、コープ共済は2006年から18年までの12年間に、40歳未満の加入者を165万人増加させている。
元受共済4商品は「たすけあい」「あいぷらす」「ずっとあい」「新あいあい」。
こくみん共済coopグループは「今できるたすけあい募金」を実施し、事業体寄付分と合わせ、総額1000万円を寄付した。
コロナ禍で甚大な影響を受けている大学生協や医療生協における諸対策や、中央労福協がコロナ禍に伴う休業や失業等を支援する「生活・就労応援基金」を支援するのが目的。
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