2020年9月4日 2974号

 

JA共済連 令和元年度事業概況(上)

 

「ひと保障」に向け着実な第一歩

自然災害共済金 2245億円で4番目の規模

 

JA共済連は令和元年度から「JA共済3カ年計画」をスタートした。推進活動では「生命保障を中心とするバランスのとれた総合保障の提供」を打ち出した。初年度の成果について、柳井二三夫代表理事理事長(=写真)はこう述べた。「強固な事業基盤の確立に向けて取り組んでいる生命保障について、初年度のスタートとして少しづつ着実に進んでいる。まだまだ道半ばだが、しっかりと踏みしめながら取り組みたい」と述べた。

 

JA共済連は7月30日、通常総代会を開催し、令和元年度決算を承認。その後、記者会見を行い、事業活動および決算の概要を説明した。

 

柳井理事長は、ここ数年自然災害の激甚化、多発化していることに触れ「令和元年度も九州北部豪雨(8月)や台風15号(9月)、17号(9月)、19号(10月)により、河川の大規模な氾濫が被害をもたらした。自然災害共済金の支払額は2245億円となり、過去4番目の規模となった」と指摘。

 

今年2月後半から始まった新型コロナウイルス感染症の対応では、共済掛金の払い込み猶予期間の延長、感染者の宿泊施設、自宅療養における入院保障の取り扱い、災害による死亡共済金の取り扱いなどを実施。

 

コロナウイルス感染症に伴う共済金支払いは、入院が246件・3796万円、死亡が14件・8541万円(7月21日時点)。また、共済証書貸付による金利減免は2875件(6月末時点)。

 

新契約業績では、生命総合共済の件数は前年度比0・4%増の118・9万件、保障共済金額は2・7%増の2兆9603億円とそれぞれ微増。

 

件数の推移を見ると、平成26年度の191万件から27年度186万件、28年度167万件と減少が続き、29年度はさらに77万件も大幅減となり、ついに100万件を切った。30年度は30・9%増の118万件と100万件を回復した。

 

保障共済金額の推移を見ると、平成25年度が10兆702億円、26年度が8兆7315億円、27年度が7兆3395億円、28年度6兆6414億円、29年度2兆5718億円と減少傾向が続き、30年度は2兆8811億円と反転した。

 

基礎利益は4644億円と堅調

 

建物更生共済は件数が19・6%減の118・4万件、保障共済金額は22・1%減の18兆8982億円。

 

なお、平成28年度は熊本地震の影響もあり、96万7000件に伸展。29年度は大きな仕組み改定を行い「実損てん補方式」を導入。これをバネに一気に160万件と急増した。

 

自動車共済は件数が0・4%減の817万件、掛金は0・1%増の2668億円とほぼこの水準を例年維持している。

 

保有契約は「万一の保障分野」については、生命総合共済・建物更生共済合計で2・9%減の245兆3957億円。24年度に300兆円の大台を割り、その後も微減が続く。なお、件数は3154万件。

 

解約・失効率は、生命共済が前年度と比べ0・09ポイント増え、2・38%。建物更生共済は0・02ポイント改善して2・12%。

 

共済金支払は事故共済が7・4%減の1兆671億円、満期共済が9・6%減の3兆700億円で、総額は9・0%減の4兆700億円となった。

 

基礎利益は前年度から102億円増の4664億円。内訳は危険差損益が166億円増の3207億円、費差損益が145億円減の953億円、利差損益が81億円増の502億円。

 

コロナ対応 「3Qコール」で不安を解消

 

 新契約高は生命総合共済が微増で、建物更生共済が2割減となっているが、どのように受け止めているか。

柳井 前3カ年計画では建物更生共済の仕組み改定が大変好評で、大きく飛躍をした事業実績だったが、その補償見直しが一巡した。

「ひと・いえ・くるま」という3つの柱を持っている共済なので「ひと保障」にしっかりと取り組むことで、事業基盤をより強固にしたい。その1年目の動きなので、これまでの「ひと保障」の低下傾向に比べると、若干なりとも着実に進んできている。目指すところはまだ先なので、この取り組みをしっかり定着をしたい。

また、全体的に満期を迎える共済が数年続いている。生命共済、建更それぞれ大量な満期、3兆を超える満期が発生している。満期で消滅する契約をなかなか取り戻せず、保有減少が続いている。「ひと保障」を地道にしっかりと提供しながら、事業基盤の再構築を進めたい。

 

 コロナ禍の中で、対面中心の推進活動をどのように変えていくのか。

鹿嶋伸行代表理事専務 不安解消、解約防止など、組合員、利用者に寄り添ったフォロー活動は大変重要だ。具体的には新型コロナウイルスの感染状況が地域によって異なるので、各地域ごとに取り組んでいる。

緊急事態宣言下では、契約の継続業務を中心に特に電話を活用した非対面のフォロー活動を展開した。「3Qコール」と呼んでいるが、これは「3Q訪問」を電話で行うもの。また、DMを活用した契約者の不安、感染者の宿泊施設、自宅療養における入院保障の取り扱いなどの不安の解消に努めた。

自動車共済などについては、郵送手続きに取り組んだ。特に医療保障ニーズの高まりにもしっかり取り組んだ。

緊急事態宣言の解除後では、感染防止対策を徹底した上で、訪問許可を得た後で訪問をしている。今後は非対面による活動の研究をさらに重ね取り組みたい。

 

歸山好尚代表理事専務 タブレット型端末機「ラブレッツ」を活用したフェイス・トゥ・フェイスの取り組みが困難な場面がある。コロナ禍を超えていく次の施策が必要になる。契約者のPC、スマホを活用しながら、フェイス・トゥ・フェイスの強みを活かし、それを補強する仕組みを用意したい。

 

〈3Q訪問活動〉

契約者へのありがとう(サンキュー)の気持ちをこめた訪問活動で必ず3つのQ(質問)をする。

Q1 最近、ご家族のみなさまにおかわりありませんか。

Q2 最近、ご自身やご家族の保障について気になったことはありませんか。

Q3 現在ご加入の保障内容で、ご不明・ご心配なことはありませんか。

 

2面 少短決算

 

日本少額短期保険協会

保有件数883万件  前年比106%

 

日本少額短期保険協会は2019年度の少短業界の決算概況を発表した。保有契約と収入保険料ではそれぞれ対前年を上回り、業者数についても2社増えて103社に、また、少額短期保険募集人資格者も24万人に迫るなど、保険業界での地歩を確実に高めつつある。

 

3面 代理店

 

代理店業務品質SG

なぜこの項目が必要か、顧客の理解も

 

「ペーパーレスは早期成立のメリットはあると思うが、複数加入時など煩雑な面があるので、よりお客さまに利便性を感じてもらえる環境整備を進めてもらいたい」。生保協会は7月22日「代理店業務品質のあり方等に関するSG」の第2回会合を開催。こんな意見も出た。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます!

㉓情報収集活動も“クライマックス”へ

育成トレーナー 堀尾未佐子

 

コロナ禍の影響を誰もが多かれ少なかれは受けていますが、富裕層でなくとも収入が安定しているのが、公的年金の受給者です。しかしこれからの受給者はどうなのか。個人年金の話題と結びつけて提案していきます。

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

キャッシュフローを圧迫せず最適な保障を

 

「新しい時代の生命保険法人契約」の5回目は、売上低下対策と役員報酬について考えていきます。ただ、減益は、経営責任というより天災に近いものもあるため、決定には今後の見通しと計画が重要になってきます。

 

8〜9面 FP販売

 

教えてFP相談室

⒄コロナで需要が生まれたオンライン面談での保険相談

寿FPコンサルティング 代表取締役 高橋成壽

 

今まで対面営業を続けてきたベテランの佐藤さんが、コロナの壁にぶつかりました。会って面談なら7割の成約率だったのが「面談そのものが難しくなった」と言うのです。タカハシ所長とオンライン面談による解決策を探っていきます。

 

10面 新商品

 

太陽生命

「感染症プラス入院一時金保険」

 

新型コロナウイルス感染症を含む所定の感染症などにより入院した場合「入院一時金保険」と組み合わせることで保障額が従来の2倍の入院一時金額を受け取れる。同社のインターネットチャネル「スマ保険」でも加入できる。

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

11月  会えない時こそ絆作り

 

今年の11月戦は、昨年までとは様相がとても異なる。環境の厳しい今だからこそ、既契約者をメイン顧客化にすることに全力を注ごう。顧客と会えない時間をどのように使うのか、今こそじっくり考えてみよう。

 

14面 採用・育成

 

統率力と拠点経営

本質を突く「急がば回れ」の指導

 

長年にわたり数名の優績者に依存してきたことから、増員による組織の一層の拡大といったテーマについてはほとんど無関心だった営業職員の意識を180度転換させ、採用協力を引き出した秘策は何か? 新任拠点長の取組を紹介する。

 

[トピック]

 

病院の領収証などの書類点検作業を自動化

日本生命とニッセイ情報テクノロジーは8月11日、個人保険の保険金・給付金の請求情報のデーター化に使用している「帳票読取システム」で特許を取得した。特許取得は5件目。

同システムは、病院の領収証などの非定型書類をAI技術を用いて項目と値をペアリングし、デジタル利用が可能となるようにデータ化するもの。

今回、導入することで、非定型書類の領収証についてもデータ化することが可能となり、これまで日本生命の事務担当者が目視で行っていた書類点検作業を自動化した。

同社の特許取得は「保険金・給付金の請求勧奨案件生成システム」(2013年度)「営業支援システム」(15年度)「訪問準備システム」(16年度)「保険手続支援システム」(17年度)に続き5件目。

 

ダカドゥ社の健康アプリをカスタマイズ

SOMPOひまわり生命は、スイスのデジタルヘルスケア企業「ダカドゥ社」と業務提携をした。

同社は、ダカドゥ社の提供する健康アプリを日本の利用者向けにカスタマイズして、契約者・被保険者向けに提供する。

ダカドゥ社のヘルススコアのテクノロジーを活用することで、日常生活における健康活動と予測・予防の活動をつなぎ、健康増進に向けた活動を促すとともに、健康意識の向上や健康に対する気づきを与えることを目指す。

 

「医療従事者応援プロジェクト」を開始

コープ共済連7月22日「CO・OP共済医療従事者応援プロジェクト」を開始した。

コープ共済の契約者向けWebサービス「共済マイページ」の利用登録、または「共済マイページ」上で、指定の手続きを行ってた件数に応じ、寄付をするもの。

対象の手続き1件につき、50円をコープ共済連から件数に応じて、日本医療福祉生活協同組合連合会へ寄付をする。

指定の手続きは共済マイページ利用登録 、ケガ通院共済金請求書類の取得 「あいぷらす」割戻金の請求、掛金振替口座の変更 、契約者変更書類の取得など。

 

 

 

 

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