2020年8月28日 2973号

 

根岸生命保険協会長

 

「コロナ禍」にどう対応するか?

寄り添うことが業績を反転に導く

 

根岸秋男生命保険協会長(明治安田生命社長)は7月17日、協会長就任の記者会見を行った(2972号掲載)。質疑応答では、新型コロナウイルスによる対面活動の自粛、その業績への影響、既契約者へのアフターフォロー、テレワークを常態化させるための施策の必要性などを語った。

 

 

保障の必要性と「家計」のジレンマ

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で、第1四半期の業績はどのぐらい落ち込むだろうか。

根岸 4月単月の生命事業概況が発表(7月17日)されたが、個人保険の保険金額ベースでは前年同月比3分の2の水準だった。第1四半期業績は8月上旬に各社から明らかにされる。

もう一つの見方として、減少契約(解約、失効、減額など)の縮小を挙げることができる。いい面もあれば悪い面もあるので、これらがどのように影響してくるのかをきちんと整理していきたい。

足下では感染者が急増しおり、今後、対面活動の自粛による影響がどのように現れるかは不透明だ。

 

 減少契約が縮小している理由は。

根岸 一番の理由はパンデミックのリスクを全国民が感じていることだ。パンデミックの特徴として、自分自身の保障に対するニーズを「自分ごと」として受けてめている。そこのニーズが高まっている部分と、家計の収支が厳しい、これから厳しくなるだろう、というジレンマに対して、われわらが寄り添って何ができるか。

生保協会としては保険料払込みの猶予であったり、契約者貸付の利率をゼロにするなどの特別取扱いがある。あとは個別に向き合って調整をする。

 

 もし、業績の低迷が下半期も続くと、経営が悪化する生保も出てくるのではないか。

根岸 2020年3月末の経営状況を見ても、各社の健全性は強固なレベルで維持されている。リーマン・ショックの時と比べると、リスク耐久力は非常に高まり、リスク管理手法も高度化している。その意味では、各社はコロナ感染症のこれまでの影響、これからの影響も見据えてしっかりと柔軟に対応すると思う。

 

既契約者をしっかり守り抜く

 

 明治安田生命は2020年度の業績目標を立てずに「とことん!アフターフォロー特別計画」を打ち出している。この狙いは。

根岸 感染拡大の防止と業務の継続を両立させることから導かれた方針として、既契約者をしっかり守っていきたい。既契約者なら会える可能性や非対面でもコミュニケーションができる可能性が非常に高い。お客さまのニーズとして非対面が高まってっいるし、保障に対するニーズも上がってきている。

それから、保険料払込猶予期間の延長が多くなっていることは、家計が「コロナ」に直撃され、保険を継続することが難しくなっているお客さまが増えていることの表れだろう。やはり、既契約者にしっかりコンサルティングをすることが、将来につながる。

過去、東日本大震災、豪雨災害などいろいろな災害が起きたが、被害を受けたお客さまにしっかりと向き合ったことで、業績の反転につながっている。

足下のお客さまの不安に対して、一生懸命に寄り添っていくことが、来年以降の業界の発展につながっていくだろう。

 

テレワーク 常態化に向け問題点を精査

 

 コロナ禍によって、保険会社もテレワークを取り入れている。テレワークの動きは今後どのようになっていくか。定着させるために必要の施策は何か。

根岸 テレワークは足下では2、3割でしかない。ただ、大きな反省をしないといけない。非常時の在宅で、常態化した中でのテレワークを考えていたわけでなく、非常時に一時的に避難するための入り口として在宅を考えていた。

欧米のような「ジョブ型」であれば、生産性に必ず結びつくということで、テレワークが当たり前のスタイルとして常態化している。

テレワークを常態化して位置付けるには、いろいろなことを見直さないといけない。今後、在宅勤務に向けた処遇や評価のありかた、労務問題などすべて整理をして、そこで、在宅勤務の環境を整えてからシフトすることになる。明治安田生命として高速モードで整備をしたい、という進行形の状態だ。

 

 生保協会では、6月に「代理店業務品質のあり方等に関するスタディーグループ」の第1回会合を開催した。どのように受け止めているか。

根岸 乗合代理店の特性を踏まえると、比較推奨が歪まないような体制整備をすることが顧客本位の業務運営の一つの取り組みだ。これまで、生保協会は自主ガイドラインの改正を通じて、募集資料やインセンティブの適正化を推進してきた。

今年4月には、代理店の業務品質というテーマをもって、スタディーグループを新たに設置した。スタディーグループのメンバーには保険会社、代理店、代理店団体、消費者団体の関係者が参加。このスタディーグループでは、顧客が第一に期待しているものは何か、理想の代理店とは何かというテーマについて議論を開始した。

2020年の年末まで、4、5回開催する予定だ。この議論を通じて、代理店の業務品質が高まっていくことを期待している。

 

 台風、豪雨、地震など大規模災害が頻発している。生命保険会社としてどのように対応していけばよいか。

根岸 ひと言でいえば顧客本位の業務運営だ。お客さまのニーズ、要望がどのように変化していくか。基本的にはお客さま一人ひとりの声に耳を傾ける。この姿勢で前に進んでいかないといけない。

生命保険業界として、各社のいろいろな情報、好事例を共有して、それをフィードバックしながら、よいところを真似ながら切磋琢磨していく。これが基本だ。

それと、リスク耐久力を高めるためにどうしたらいいか、を一方で考えないといけない。経済価値ベースの資本規制が2025年から導入されることが示されているので、これもしっかりと取り入れ、前に進んでいくことが大事だ。

 

2面 引受査定

 

コロナ禍  保険医学的には想定内の動き

内山アンダーライティング

内山武史氏に聞く

 

「死亡保険金も入院給付金も、想定していた範囲の中でも、最も少ない数字でこれまでのところ推移している以上に『少ない』という印象」だと語る一方、後遺症などについては全体像が掴めておらず「未知の部分もある」と指摘します。

 

3面 マーケティング

 

新・消費者心理を探る

非対面チャネルで加入する人はどんな人たちか?

ニッセイ基礎研究所 井上智紀

 

「コロナ禍」で、対面営業も積極的に再開できない中で、非対面チャネルの業績が目立ちます。2017年以降の加入者では「非対面」は20%と、2015~2016年の18%から僅かながら増加しています。では、非対面チャネルの加入者にはどんな特徴があるのでしょうか。

 

4~5面 保険市場

 

法人保険  新時代の提案ポイント

中小企業経営者の退職金準備と生命保険の関係

小山浩一

 

退職金は生存退職金と死亡退職金に分かれます。生存退職金を生命保険の利用により事前準備することについては、令和元年法令解釈通達の影響の検討ふまえつつ、その有効性を検討していく必要があります。

 

6面 法人営業

 

実践!法人契約獲得のケーススタディー

最高機密だった社長のガン罹患

奥田雅也

 

社長は、ガンに罹ったことを銀行に知られてしまい、大口融資への影響が出たら大変だとの思いから箝口令をしいたのですが、同時に保険金の請求や保険料免除の手続きもしていませんでした。表面化しない事例を取り上げます。

 

8〜9面 活動確認

 

ランクアップチェックシート

税理士との連携を深める

 

コロナ禍において、顧問税理士によるアドバイスが強く求められています。その税理士との提携は、企業財務面から生命保険を検証した新たな提案につながっていきます。改めて関係の構築を探ります。

 

10面 新商品

 

東京海上日動あんしん生命

「メディカルKitエール」

 

引受基準緩和型医療保険であるが、削減期間がなく、給付金などは1年目から全額支払う点が特長の1つ。入院・手術だけでなく、3大疾病、死亡保障、健康祝金なども保障する。なお、従来商品より保険料を大幅に引き下げた。

 

11面 新商品

 

楽天生命

「楽天生命スーパー終身保険」

 

解約返戻金の水準を低く設定し、手頃な保険料となった。保険金額は100万円から100万円単位で設定できる。この商品も楽天ポイントの対象で、月払保険料の1%分の楽天ポイントが付与される。

 

15面 採用・育成

 

組織長への道

仕事への心構えをしっかり植え付ける

 

ベテラン組織長である伊地知さんが語る育成のコツは、商品知識や募集技術を教える前に、まずは新人に「これから一から勉強するんだ。何でもしっかりと吸収してやろう」という心がまえを持たせることだという。

 

[トピック]

 

保険データとAIを活用して個人向けローンを審査

三井住友海上とセカンドサイトは、保険データとAIを活用した新たな個人向けローン審査モデルを開発した。7月から試行的に開始し、2020年度中の本格展開を目指す。

同モデルは、 同社が保有する保険データと、セカンドサイトが保有するSXスコアなどにもとづくAIを活用したもの。

同社は、提携先企業の従業員によるオートローンなどの申し込みに対して同モデルを活用する。これによって、従来2日程度要していた個人ローンの審査を瞬時にできる。

今後、両社は同モデルを活用し、個人向けオートローンなどの商品を強化する。また、同社は顧客が自動車を購入する際にローンと保険の 双方を提供し、顧客サービスの向上を目指す。

 

オセアニア地域の株式運用で覚書締結

富国生命は7月28日、豪州の資産運用会社「ペンダル社」と、オセアニア地域の株式運用に係る覚書を締結した、と発表。

覚書の主な内容は次のとおり。

  1. 一般勘定資産における豪州株式運用の一部をペンダル社に委託。
  2. 同社または同社の海外資産運用子会社から、ペンダル社への定期的なトレーニー派遣。
  3. アジアおよびオセアニア市場における資産運用に係る意見交換。
  4. ペンダル社の日本におけるビジネス展開に際しての協力。

ペンダル社は1971年の設立。運用残高は約9.6兆円(2020年6月)。主な拠点はシドニー、ロンドン、シンガポール、ニューヨーク、ボストン。

 

サステナブル・シティ・ボンドに104億円投資

日本生命は、国際開発金融機関の米州開発銀行(IDB)が発行するサステナブル・シティ・ボンドに104億円投資した。サステナブル・ シティ・ボンドの発行はIDBにとって初で、日生も初の投資になる。

IDBは1959年の設立。中南米・カリブ諸国の生活の質の向上を目指し、SDGs(持続可能な開発目標)達成に取り組んでいる。

 

生活習慣病発症リスクを6年先まで予測

東芝と東芝デジタルソリューションズは7月13日、健康診断結果から生活習慣病発症のリスクを6年先まで予測する「疾病リスク予測AI」サービスの提供を開始した。

疾病リスク予測AIは、SOMPOホールディングスと共同開発したもの。SOMPOひまわり生命は同日からサービスを開始した「リンククロス 健康トライ」の機能の1つとして採用。

今後、東芝グループは、疾病リスク予測AIに加え、糖尿病性腎症重症化予、心疾患などへのAI活用を進め、食生活や運動習慣改善などの行動変容を促すためのソリューション開発を進める。

 

 

 

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