顧客本位の業務運営を進めることに徹底して、全力で取り組んだ1年だった──清水博生命保険協会長(日本生命社長)は6月12日、協会長として最後の記者会見を行った。
清水協会長は2019年7月の就任挨拶で「生命保険業界に対する視線が大変厳しい」と強い危機意識をにじませ、外貨建て保険、経営者保険、代理店手数料などの重要課題を中心に、顧客本位の業務運営の一層の推進に取り組むことを強調した。
そして1年間の取り組みを経て、次の具体的な3つのポイントを挙げる。
①昨年9月、顧客本位の業務運営に向けた会員各社の体制や取り組みのアンケートを実施。会員各社にフィードバックすることで、顧客本位の業務運営を一層高度化する取り組みを進めた。
②外貨建て保険の苦情削減では、金融機関によるアフターフォローの強化、そして適合性確認の強化に向けて、銀行業界にベストプラクティスを提供。
2020年4月にはガイドラインを改正。募集人教育の向上に向け、外貨建て保険に関する教育の標準化を図るとともに、外貨建て保険販売資格試験を導入。10月から試験を開始して、2022年中に販売資格登録制の開始を目指す。
③代理店手数料問題については、代理店の業務品質のあり方を調査研究するために、2020年4月に生保協会内にスタディーグループを立ち上げ、検討を進める体制を整えた。
外貨建て保険の苦情については「いまだ減少が見られないことは大変残念に感じている。引き続き銀行業界と生命保険業界が一体となって、より一層緊密に協力し、二人三脚で苦情の削減に努めることが大変重要だ」と述べた。
また、人生100年時代における生命保険業界の役割に係る報告書を4月に公表した。「わかる安心」「もしもの安心」に加え「自分らしく生きるための安心」の3つの安心を届ける重要性が増す、と指摘する。
保険教育の推進に向けた小学生まんがコンテンツも4月に公表。『みんなを支える生命保険~生き方と自助のひみつ』を学研プラスと共同制作した。全国の小学校に約2万2300部、公立図書館に約3200部を寄贈。書籍版に加え、生保協会のホームページでもデジタル版を公開。
新型コロナウイルス感染症では、4月7日には首都圏など7都道府県を対象に、インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出され、16日になると全国にこれを拡大。不要不急の外出自粛や営業停止などが要請された。
緊急事態宣言は5月14日に39県で解禁され、25日には全国的に解除された。
なお、6月25現在の感染者数は1万8110人、死者968人、退院など1万63208名(厚生労働省調べ)。
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新型コロナウイルス感染症による保険金、給付金の支払額(5月末現在)は約20億円、うち死亡保険金が約16億円(250件)、入院給付金約3億5000万円(約2700件)。ちなみに、東日本大震災の保険金、給付金の支払額は約1600億円だった。
清水協会長は「この数字が大きいか小さいかは評価はできない。重要なことは、これからの感染拡大への状況、それに伴って死亡保険金、給付金の支払いがどのように推移していくか。それをきめ細かく見ていくことが大事だ」。
生保協会では対策本部を立ち上げ、契約者向けの救済措置として、次のような対策を打ち出した。
こうした業界での取り組みに加え、会員各社でもさまざまな対応を実施。主な取り組みは次のとおり。
では、どのぐらい利用されているだろうか。保険料払込猶予期間の延長の申し込みは約17万件(5月末現在)。新規の契約者貸付(26社)の申し込みは約70万件で、約4060億円を新たに貸し出す(同)。
この数字を東日本大震災(2011年3月11日)と比較すると、日本生命の場合、保険料払込猶予期間の延長は約1万5000件だったが「このペースで増えると、東日本大震災の3万6000件と同程度の件数になるだろう」と清水協会長。
契約者貸付は、日本生命の場合で16万件・590億円。東日本大震災の時の約2万件に対してすでに8倍になる。
16万件のうち、法人契約は約7000件、350億円となり、件数はそれほど多くないが、金額ベースでは過半数を占める。
今回の法人契約については3月、4月、5月と、すべての月で対前年より増加した。
「保険料払込の一時停止ニーズや一時的な資金ニーズが増え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が幅広く及んでいることを改めて認識している。今後、一人ひとりの状況を伺い、契約の継続に向けた丁寧なアフターフォローが特に必要だ」という。
そのための追加措置を6月10日に公表した。
未納保険料は9月末までに全額を払い込む必要があるが、来年の4月末まで7カ月間延長して、分割払いなどの方法で払い込むことができる取り扱いを開始。
また、医療現場の最前線で対応に尽力している医療従事者への支援として、日本医師会、日本看護協会、その他感染拡大防止に取り組む団体などに、助成を行うクラウドファンディングに過去最高額の総額10億円を寄付した。
朝日生命は2019年度決算(案)を発表した。新契約業績では、同社が注力する介護保険等の販売が好調だったこともあり堅調な内容となった。また、営業職員数が対前年同月比で800人以上増加しているのが注目される。
5年に1回行われる年金制度の改正として、5月29日に法律案が参議院で可決・成立し、6月5日に公布された。日本年金機構などでの実務上の改善なども含まれる。改正の特徴は、公的・私的年金の加入可能年齢、受給開始時期など一体で見直されることである。
生命保険文化センターは「2019年度版生命保険相談リポート」を公表した。同センターが2019年度に受け付けた、消費者からの生命保険に関する相談件数は1,195件。一般相談の1位は「生命保険の仕組みについて教えて欲しい」というものだった。
持続化給付金は「月間売上が前年同月比で半減以上」の条件を満たさないと貰えない、と諦めてしまう経営者も多いのですが、売上の落ち込みはこれからです。判定対象月が12月までなのも第二波、第三波に備えてのことです。
昨年、法人税基本通達が改訂になり、従来からのセールストークが使えなくなりましたが、経理処理が変わったまでのことです。保険商品自体は以前と同じで、法人のリスクから守るための機能は不変です。
この商品は、南都銀行に口座を有する顧客が加入できる制度で、主に「自転車事故で加害者となった場合」を補償する。また「自転車事故の被害者となった場合」のケガの補償、相手方との交渉に関わる弁護士費用も補償する。
コロナ禍で見込客を思うように作れなくなりました。まず、アポイントを取って面談するスタイルがネックのようにも言われますが、商慣習としてもはや当たり前のものです。ならば、誰にどう声を掛けていくのか…。
自分と組織長が両輪となって仕事に対して前向きな姿勢を見せれば、職員は必ずついてくると確信する松村所長。そんな松村所長の目下の一番の悩みは、営業職員と顧客との接点づくり。それこそが自分の責務だと、しっかり認識している。
明治安田生命は、契約社員の「正社員化」を行う。2000名規模の試みは 大手生保では初めて。
定型事務を担当する契約社員約2500名が対象で、2021年4月から総合職(地域型)に移行する。「一人ひとりの実績および意欲・適性にもとづく成長・活躍をいっそう後押しすることを目的に、原則として希望者全員を移行する」という。
正社員化の背景として、デジタル技術を活用した業務プロセスの大幅な見直しなどを挙げる。その効果としては、次の3ポイントを指摘。
①事務サービスを中心とした幅広い職務への登用を通じた人
材育成。
②ダイバーシティ&インクルージョン(女性活躍)の推進。
③雇用の安定・処遇改善による地域経済の活性化および地域
雇用の安定化。
定型事務の契約社員は5月現在、約2500名だが、初年度は2000名程度を正社員化する。
同社は来年4月、新たなサービス・サポートを行う新しい職務を新設する。その要員約600名を正社員化した契約社員から登用する。
なお、新しい職務の業務は手続きサポート、高齢者サポート、遺族サポートなど。
ソニー生命は6 月から、ライフプランナーによるリモートコンサルティングシステムを導入した。
インターネット上で、担当ライフプランナーの画面を共有しながら非対面でのコンサルティングができる。インターネット環境と指定のブラウザがあればどこでも利用可能で、アプリなどのインストールは不要。
同社は、ライフプランナーによる対面でのコンサルティングに注力してきたが、面談の場所の確保が難しいなどの制約が一部の顧客に生じている。
同システムの導入によって「時間、空間、距離による制約がなくなり、お客さまにとって最適な環境での コンサルティングができる」という。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、非対面でのコンサ ルティングを希望する人にも、対面同様の質の高い、きめ細やかなコンサルティングが提供できる。
ソニー生命は医療関係機関に1億円を寄贈した。新型コロナウイルス感染症の治療、感染拡大防止に役立ててもらう。
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