2020年7月3日 2966号

 

住友生命グループ2019年度業績

 

貯蓄性の減少を海外事業が補う

一時払終身の販売不振が響く

 

国内事業の落ち込みをシメトラなどの海外事業が補う──住友生命は5月22日、2019年度決算説明会を行った。

 

グループの新契約年換算保険料は前年度比3.4%減の2027億円。国内事業は一時払終身の販売減少の影響などで13.4%減の1151億円。うち住友生命は13.2%減の1097億円、メディケア生命が15.7%減の53億円となっている。

 

一時払終身の銀行窓販実績は、件数が31.2%減の4万4697件、収入保険料は26.3%減の3234億円と大きく落ち込んだ。年金(変額と定額の合計)については、件数が12%増の4万6901件、収入保険料が9.8%減の780億円。

 

なお、一時払終身に適用される標準利率は、超低金利の影響を受けて20年1月に0.25%から0.00%に引き下げられた。

 

住友生命の新契約年換算保険料の過去4年間の推移は、16年度の2529億円をピークに、17年度が1313億円、18年度が1265億円、19年度が1097億円と減少が続く。

 

16年度は平準払個人年金が好調で、49.5%増の2529億円と大幅な伸展を示したが、17年度はその反動の影響が大きく、48.1%減少となった。平準払いの個人年金の標準利率も17年4月に改定された。

 

また、第三分野の新契約年換算保険料も15.1%減の384億円。第三分野は16年度423億円、17年度453億円と就労不能保険「1UP」の効果があり、18年度も452億円と堅調に推移したが、19年度は二桁の落ち込みとなった。

 

一方、海外事業は米国シメトラの企業保険部門などの販売増によって13.7%の876億円。

 

2018年7月に発売した「バイタリティ」の累計販売件数は44万件を超えている。

 

保有契約年換算保険料は、シメトラが10.3%増の4624億円と二桁伸展により、グループ全体では0.9%増の2兆8065億円。住友生命は1.0%減の2兆3025億円と微減。

 

シメトラ保険料等収入は二桁の伸展

 

グループの保険料等収入は6・1%減の2兆4467億円。国内事業は一時払終身保険の販売減少が響いて、7・2%減の2兆2646億円。

 

これに対して、シメトラは保有契約の増加を主因に10・4%増の1819億円。 シメトラの保険料等収入は16年度の1195億円から17年度1510億円、18年度1648億円、19年度1819億円と右肩上がりになっている。

 

グループの基礎利益は1.3%減の3925億円。国内事業が0・4%減、海外事業(シメトラ他)が2.1%増で、ほぼ前年度と同水準を維持。

住友生命は団体保険の料率改定などの減少要因があった一方で、 外国債券の積み増しなどにより運用収支は増加した。

住友生命の利息及び配当金等収入は0.1%増の6394億円。公社債や貸付金などの利息収入は減少したが、海外クレジット資産の積み上げ効果などにより、前年度並みとなった。

 

連結ソルベンシー・マージン比率は45.6ポイント減の870.0%。「健全性について全く問題のない水準」という。

グループのヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は3兆5841億円。新契約獲得や保有契約からの収益確保など、保険事業のプラスの成果がある一方、国内超長期金利および株価の低下によるマイナスの影響で、前年度末比1148億円の減少。

社員配当は、個人保険・個人年金で一部の医療保険を対象に増配する。

 

メディケア生命の新契約業績は、件数が21・2%減の9・7万件、金額6・0%増の1597億円、年換算保険料は15・7%減の53億円。保有契約は件数が8・8%増の77・8万件、金額1・3%増の1兆3147億円、年換算保険料は8・7%増の414億円。

営業職員数は20年3月末で3万2206人。19年3月末と比べ225人増えている。

 

「バイタリティ」累計件数は44万件

 

(質疑応答は書面により行われた)

 ここ数年のマーケット動向を踏まえ、2019年度決算をどのように総括しているか。

 連結保険料等収入の減少は貯蓄性商品の販売減、特に外貨建保険によるところが大きく、ここ数年は円貨建・外貨建ともに貯蓄性商品の販売減を、海外事業などが一定程度カバーしている状況が続いてる。

減少の主因となった外貨建商品については、海外金利低下による内外金利差の縮小などを受けて商品性の魅力が低下し、マーケット自体が縮小傾向にある。

しかし、人生100年時代と言われる中で、円貨建・外貨建問わず、資産形成ニーズは引き続き根強い。こういった商品を安定的に供給していくことで、お客さまニーズに応える。

収支については、これまで取り組んできた資産運用の高度化などの効果により、安定した収益を確保できた。

ここ数年は許容されるリスクの範囲内で、相対的に高いリターンを獲得できる外貨建てクレジット資産を積み上げるとともに、内外株式やオープン外債についても機動的な運用を行うなど、ポートフォリオの収益力向上に向けて取り組んできた。厳しい運用環境でだが、引き続き収益向上に努めたい。

 

 一時払終身は不振だったが、保障性商品の販売動向はどうか。

 総合保障型商品も前年比マイナスとはなっているが「バイタリティ」の累計販売件数については足元で44万件を突破している。

今年3月には「認知症PLUS」を発売し、バイタリティの付加対象商品に追加。4月からは認知症予防に有効とされている「歯科健診」「ゴルフ」をバイタリティ健康プログラムのメニューに追加した。

バイタリティはお客さまのニーズや環境変化にあわせて進化する保険。今後も新たなパートナー企業との提携も含め、さらなる進化に向け検討している。引き続き、バイタリティを軸に保障性商品の販売を伸ばしていきたい。

 

9月まで 19年月平均給与の全額保証

 

 2019年度の中で、一番予想外のマイナスの出来事と、予想外に良い結果を残した出来事は、それぞれ何か。

 予想外のマイナスの出来事としては、新型コロナウイルスによる影響が挙げられる。

3月時点では営業活動を全面自粛するまでには至らず、販売面への直接的な影響は示しづらい。当然ながら営業活動への制約にはなっている。ただし、対象期間も1カ月強であるため、2019年度決算への大きなインパクトはない。

他方、プラス面としては、新型コロナ感染症拡大に伴い、出社抑制が求められる中、働き方改革の一環として推進してきたテレワーク・在宅勤務をこれまで以上に推進している。今後も職務を問わず多様な職員の柔軟な働き方を実現し、生産性向上に向けた取り組みを行っていきたい。

 

 新型コロナへの対応をふまえ、2020年度のリテール営業戦略の重点ポイントは何か。

 2020年度からの新たな3カ年計画「スミセイ中期経営計画2022」では「社会に『なくてはならない』保険会社」を目指す。

営業職員チャネル戦略では、特にお客さまの健康に貢献するため、バイタリティを軸とする「人生100年時代」に対応したコンサルティングに注力する。

また、優秀人材の採用と継続的な育成強化を通じたコンサルティング力の向上の取り組みを着実に進める。それに加え、営業職員の強みを生かしながら、デジタルマーケティングのような新たな技術革新も積極的に取り入れ、バイタリティを軸として新たな価値を提供し、お客さま、社会との共有価値の創造を実現していきたい。ポストコロナを見据え、幅広く検討する。

 

 4月からの活動自粛期間の対応について、営業職員の給与はどのように扱うのか。

 営業職員の給与は、新型コロナによる営業活動自粛の影響をふまえ、9月給与まで2019年の月平均給与を100%保証する。

 

 訪問活動ができない中で、顧客接点をどのように取っているか。

 新型コロナの状況下における特別対応として、お客さまに対面提案済で、保険加入の意向確認も完了している場合や、保険契約の更新など、お客さまからの強い要望がある場合、といった限定した範囲で、郵送による申込手続きを実施している。

 

コロナ後の社会的変化をふまえ、お客さまの要望に沿って柔軟に対応していくことは必要であり、加入手続きを拡大する方向で検討を進める。

 

また、アプリなどを通じて、既にデジタルコンタクトが可能なバイタリティのお客さまに対しては、自宅での運動動画などを提供するなど、この環境下でも加入者の健康増進活動を促進することで、バイタリティの魅力を高める取り組みを展開している。

 

デジタル技術の幅広い活用を

 

 新型コロナは、今後の生保経営にどのような影響を与えるか。それをふまえ、勝ち残るために最も必要なことは何か。

 消費者の行動変容に伴い、今後、デジタライゼーションが加速度的に進むことが予想され、これは生保業界においても当てはまる。

こうした流れの中で、ネット経由の保険加入も伸びていくことも考えられるが、長期的にお客さまを支えていく生命保険の性質を考えれば、今後も営業職員が販売の中心であることに変わりはない。

現在、お客さまとデジタルコンタクトができるスキーム構築に向けて、デジタル技術の活用は幅広く検討している。お客さまの利便性向上、営業職員のパフォーマンス向上など、様々な面でその利点を取り入れていきたい。

 

 住友生命、メディケア生命、アイアル少額短期保険の3社による連携をどのように活用して「マルチチャネル・マルチプロダクト戦略」を実現していくのか。

 金融機関窓販においては、今後も住友生命・メディケア生命両社の商品開発力を活かし、商品フルラインアップ化を図ることで、多様なお客さまニーズに対応する。

 

加えて、メディケア生命やショップ型代理店のライフデザイナーズを傘下に持つ住友生命グループとして、培ってきたノウハウを活かし、保険事業を通じたマーケット拡大を志向する金融機関などの課題を解決するビジネスモデルを提供し、市場におけるプレゼンスの向上を図る。

 

また、国内の生命保険市場は、少子化・高齢化の進展に伴い、お客さまニーズが多様化・細分化しており、いわゆる「ニッチな分野」への保障提供の必要性も高まっている。

 

アイアル少額短期保険については、少短会社ならではの機動的な商品開発力を活かして、住友生命グループ全体のマーケティング戦略に貢献すると共に、今後、マーケットの拡大が期待できる「ニッチ分野」に対しても保障を提供していく。これによって「マルチチャネル・マルチプロダクト戦略」のさらなる推進が図れる。

 

2面 JA共済

 

重点施策、全国目標を達成

令和元年度362の優績組合を表彰

 

JA共済連は5月21日、令和元年度JA共済「優績組合」を発表した。今回「JA共済大賞」を始めとする受賞組合は延べ362組合、また、延べ35組合が「普及活動特別賞」を受賞した。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます!

㉑改めてエンジンを掛け直して元気に活動再開

堀尾未佐子

 

コロナ禍による自粛で顧客との距離ができてしまいました。「めげました」とぼやく新人に、トレーナーの堀尾さんは「大丈夫です。それがふつうですから」と活動の再開のきっかけに「『マスクの種類』アンケート」を提案します。

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

新しい時代の生命保険契約③

 

コロナ禍からゆっくりと日常活動に戻りつつある営業現場ですが、自粛期間の売上が前年比3割とか、再開後も7割とか悲痛の叫びが聞こえてきます。先の読めない経済状況の中、元気の出る決算分析手法を展開していきます。

 

8〜9面 FP販売

 

教えてFP相談室

家計急変にともなう教育費への対応

寿FPコンサルティング 代表取締役 高橋成壽

 

コロナ禍で急に生活が苦しくなった人は、通常の家計見直しではとても対応できません。聖域の教育費を削るのは親として抵抗があります。まず習い事の整理や、日本学生支援機構の給付金等を検討してみましょう。

 

10面 新商品

 

太陽生命

「月額利用料サポートプラン」

 

ビジネスホテルなどを運営する共立メンテナンスの高齢者向け住宅入居者向けに導入する。加入日に89歳以下であれば加入可能で、一括で保険料を支払うことで、一定期間経過後後から終身、毎月年金を受け取ることができる。

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

9月  全員同じスタートラインに立つ

 

今年もはや9月。コロナ禍による営業への影響は甚大だが、泣いてばかりではいられない。20年度上半期のまとめ、来たる11月戦も見据えながら、独自色を出して拠点経営に当たりたい。

 

14面 採用・育成

 

統率力と拠点経営

愛情の掛け方が定着率を変える

 

力強く生きていくために「扶養される身」から脱皮して、仕事に生きがいを感じることができる、生活力のある逞しい女性になろう。渋谷陽子さん(組織長)は採用活動の中でこう訴えている。経済的に自立することで、万一に備えようというのがその主旨だ。

 

[トピック]

 

ライフネットの5月新契約も9000件台

5月の新契約件数は9017件──ライフネット生命は5月の新契約業績を発表した。

4月は1万1078件で過去最高を記録し、5月は1月に次ぐ実績となった。前年同月は6718件だったので34%増と好調さを持続。

5月の新契約年換算保険料は、前年同月比29%増の3億7200万円。また、保有契約件数は38.1万件、死亡保険の保有契約高は2兆6831億円。保険金および給付金支払額は12%減の2億300万円。

なお、4月に過去最高の新契約を獲得した要因について、5月15日の決算説明会で次の3点を挙げる。

 

  1. 新型コロナウイルス感染症の拡大により、保険に対するニーズが顕在化した。
  2. 政府の外出自粛要請により在宅率が上昇し、保険を検討する時間ができたことに加え、非対面で保険に加入するという行動様式の変化も影響している。
  3. 他の生命保険会社が、対面営業を自粛している。ただし「5月以降の新契約トレンドの持続性は非常に不透明感が強い」という。

 

豪MLCの第三者割当増資引き受ける

日本生命は、豪州の連結子会社「MLC」による第三者割当増資を、ナショナルオーストラリア銀行とともに引き受ける。発行額は約293億円。増資後の資本金は約1946億円で、出資比率は日本生命が80%、ナショナルオーストラリア銀行が20%。

豪州では、所得補償保険の支払増加などが業界課題となっており、MLCは昨年12月に策定した事業計画に基づき所得補償保険の改定や事業の効率化を推進。

しかし、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大などを受け、今後の支払い・解約の増加による業績下押しリスクへの対応が必要となる。

「今後も厳しい状況が続いた場合、さらなる資本対応の必要性も想定される。日生として、MLCと連携を密に図り、状況を注視するとともに、MLCへのサポートを行う」という。

 

東京都で31店目の有明ガーデン店

◇保険クリニック(アイリックコーポレーション226店舗)

有明ガーデン店=6月17日。東京都では31店目。江東区有

明2-1-8 有明ガーデン4階。10時~20時。

 

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