2020年3月20日 2952号

 

オリックス生命

なぜ、直販を立ち上げたか(上)

 

第3分野偏重から「第一分野」主軸へ

直近6年間で全ての指標が2倍に

 

しゃしん かたおかしゃちょうオリックス生命は2016年4月、直販チャネル「コンサーブアドバイザー」を立ち上げた。同年7月に第1期生を採用して、10月から営業活動に入り、すでに3年以上が経過。この間、1期生から3期生までが育成期間を経て「一人立ちするステージ」に入り、3期生までの一人立ちした後の実績が見えてきた。

 

2020年3月期で人員は317名になり、新契約年換算保険料は18億2000万円(見込み)まで着実に成長してきた。

同社は2月20日、東京・渋谷の首都圏コンサルティング支社で「直販チャネルの現状報告」「直販チャネルの組織運営」をテーマに説明会を行った。片岡一則社長(=写真)、西林肇コンサルティング業務企画部長、佐々木貴広首都圏コンサルティング支社長がそれぞれ報告を行った。

 

同社はこれまで、通販、保険代理店、銀行窓販のチャネルを展開していたが、なぜ、4年前に直販のコンサーブアドバイザーを立ち上げたのか。

 

今回は、これまでの業績や営業戦略を振り返るとともに、マーケットを取り巻く環境変化を踏まえ、その危機感からどのような経営戦略を導き出したか、をまとめてみよう。

 

◆        ◇        ◆

保有契約は、3年ごとに100万件を積み増すスピードで推移し、2019年度末は455万件の見込み。片岡社長は2014年1月に着任し、その年の3月の保有契約が200万件だった。

 

2006年当時、ビジネスモデルの転換を打ち出した。逓増定期を使った法人ビジネスから医療保険「キュア」を前面に打ち出し、リテールビジネスに転換した。

 

「ここから個人顧客をとにかく増やそうと、件数を追ってきた。件数は450万件だが、契約者数は300数十万人まできている」と片岡社長。

 

保有件数の増加基調に合わせ、収入保険料も3352億円(2018年度)まで増加。保有契約高は12兆7271億円(同)となり、2019年度末時点では14兆円近くまで積み上がる見込み。

 

業績拡大と比例して社員数もほぼ2倍に増加。「直近6年間で、全てのものが2倍になった」と片岡社長。

 

新契約業績では6期連続で50万件突破。件数ベース(2018年度)では個人保険で業界8位(53万8523件)、医療保険では32万3386件でトップの座を獲得。

 

2020年度以降の見通しでも、新契約は50万件を上回り、年換算保険料が600億から700億で、今後5年ぐらいはこの水準で推移すると見通す。

 

特化したビジネスモデルに危機感

 

4年前の同社には、新契約にこのような偏りがあった。

第三分野、医療単品の占率がとても大きく、チャネルでは代理店が95%を占めていた。

 

顧客接点は多く持っていたほうがマーケット基盤は強い、という観点で考えると、代理店チャネルに激変があったときに受ける経営的なダメージはより大きくなる。

 

この状況状に対して、片岡社長は次のような経営課題を指摘する。

「マーケットパイが大きくなる中では、何かに特化することはその部分も大きくなるので強みになるが、逆にマーケットが縮小する中では、特化したビジネスモデルがリスクになるのではないか…。高齢社会がさらに進展することを考えると、第三分野商品がリスクを抱えることは間違いない。ガン単品についても、診断技術が進歩することで逆選択を招く可能性も高くなる、と考えていた」

 

そして、次のような戦略にたどり着く。

「第三分野に過度に偏ることなく第一分野もきちんとできる会社にするために、それができるチャネルを持たないといけない。新たなチャネルとして直販チャネルを構築する」

 

同社は、新聞広告などの通販ビジネスでは業界で一番大きな売上げボリュームがある。資料請求をする消費者から「最後は相談したい」というニーズも多くあるという。この層にコンサルティングをするためにも、直販チャネルを持っていたほうが成約率をより高めることが期待できる。

 

商品戦略では、2019年4月に米ドル建終身保険「キャンドル」(平準払い)を発売。同社では初の外貨建保険になる。これを第一分野の柱として推進しており、新契約に占めるウエートも高まっている。

 

単なる「商品供給会社」から脱皮

 

「想いを、心に響くカタチに~私たちは『お一人おひとりの想いに共感し、心地よい距離感で寄り添う存在』を目指しています」。オリックス生命は2019年度に企業理念を制定した。

 

「お客さまのことをきちんと考え、寄り添うことが必要だということから企業理念を制定した。コストパフォーマンスのよい商品を提供する、正確に事務処理を行う、これは当たり前のこと。保険会社としてもう一歩先に進み、お客さまに寄り添うことをやらないといけない」と片岡社長。

 

保険金支払いでは、遺族の気持ちに寄り添った手紙も出す。それに対して、契約者から感謝の手紙をもらうことが増えている。「これを通じて単なる商品供給会社、事務処理会社ではないことが、社員にだんだんと広がってきている」と手応えを感じている。

お客さまに寄り添ったサービスにも力を注ぐ。2019年10月に相続支援サービス、入退院安心サービス(家事代行サービス)の提供を開始。

 

デジタルを活用したサービスでは2020年度に、問い合わせ・契約照会・給付金請求などをWEBで対応できる体制の構築、申込書類のデータ化業務に「AI-OCR」を導入などを予定。

 

片岡社長は「件数志向から、いわゆる中身志向に徐々に転換していきたい。具体的には第三分野主力の会社から第一分野をメインとする会社に舵を切りつつあるのが現状だ。社員のマインドを醸成しつつ、総合的に評価される会社になろう、という動きをしている」と抱負を述べる。

 

2面 少短協会

 

第6回おもしろミニ保険大賞コンテスト

最優秀賞は「産後ママ保険」

 

日本少額短期保険協会は3月2日、今回で6回目となる「おもしろミニ保険大賞コンテスト」優秀アイデアを発表した。これは「こんな保険あったらいいな」と思うアイデアを一般から募集するもので、実際に商品化されたものもある。今回は2,072通の応募があった。

 

3面 マーケティング

 

新・消費者心理を探る

ニッセイ基礎研究所 井上智紀

 

保険料や保障額の相場感は、総じてあるほうが満足度、継続意向ともに高くなっていることから、消費者に相場感を持ってもらうこと自体は、売り手にとってもよい傾向であるといえそうです。ただし、相場感をもったとしても、正しい知識が伴っていなければ……。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC 273

E・ノート活用法  67 筆頭同族の一員でも配当還元可も

税理士 池谷和久

 

自社株評価について勉強を進めていきます。今回は、一般に最も評価額が低くなる「配当還元方式」が適用となる「少数(零細)株主」となる条件についてですが、流れを押さえれば丸暗記する必要はありません。

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

就労パスポートについて

社会保険労務士 園部喜美春

 

「就労パスポート」をご存知でしょうか。障害のある方が、働くうえでのご自身のアピールポイントや特徴、配慮してもらいたい事項について、事業主などに伝えるためのツールとして第三者と協同で作成します。

 

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

認知症の現状からライフプランニング

 

前回に続き、認知症についてアプローチポイントをまとめました。要介護が必要となった原因の1位は認知症ですが、若年性の認知症も10万人当たり47.6人おり、現役から老後まで通してのプランニングの必要性を再確認します。

 

10面 サービス

 

大樹生命

「約款規定の改定について」

 

2015年7月1日以前契約の個人年金・愛児進学保険等に適用される約款で、復活時の延滞保険料に含まれる利息に関する規定を4月1日に改定する。これは、4月1日に施行される民法の一部を改正する法律の改正内容を踏まえて行なうもの。

 

11面 内容変更

 

住友生命

〈「Vitality」スペシャルサイト

一部コンテンツ〉変更

 

「歩数・心拍数のポイント獲得対象となるウェアラブルデバイス・スマートフォンアプリ」を変更した。「Vitality」に接続できるデバイスは、歩数・心拍数の計測機能を備えたメーカーの製品で、各メーカー専用アプリにデータ同期できるものに限る。

 

15面 採用育成

 

組織長への道

理屈で裏付け行動を起こす

 

入社以来、まわりから「とにかくいい人」だと評価されてきた。それだけに部下に注ぐ愛情は、子どもに対する母親と同じ。あわせて上司からの指示や指導は素直に受け入れこれを実行、こんな性格だから採用にも育成にも損得なしで取り組むことができた。

 

[トピック]

 

「照会対応業務」にチャットボットを導入

第一生命は、「照会対応業務」にチャットボットを導入する。

同社では、1日に約2万件の手続きを受け付け、その中には契約者からの質問もあり、営業職員が迅速に対応できるように、営業オフィスの事務担当者や本社サポートデスクなどによるサポート体制を設けている。

今回、RPA導入だけでは効率化が困難だった「照会対応業務」にチャットボットを開発・導入して、3月から全国で利用を開始。これにより、契約者からの質問に対して営業職員がその場で迅速に回答ができ、回答内容の標準化による回答品質の安定が図れる。

さらに、同システムの導入に合わせて、サポートデスクなどにおける書類作成の事務をRPAで自動化することで業務を効率化を図る。

この結果、1営業日あたり約330時間(約40人分の業務量)効率化できる。「効率化によって生まれた業務時間を接点業務の拡大や品質向上に充てることができる」という。

同社は2017年からRPAを導入。現時点までに定型的な業務を中心に約16万時間分の業務を効率化してきた。

 

確定拠出年金向けアプリ「NISSAY DC Station」提供

日本生命は4月1日、スマートフォンアプリ「NISSAY DC Station」の提供を開始する。

対象は、同社が運営管理機関を受託する確定拠出年金制度の加入者。アプリの特長は次のとおり。

①加入者向けページにログインするたびに入力が必要だった「ユー ザーID」「暗証番号」を同アプリに登録するとことで、都度入力が不要。

②市況見通しや掛金投入タイミングをプッシュ通知で配信。

③同社オリジナルの継続教育コンテンツを定期的に配信する。

④「Nーアシスト」で提示された具体的な商品の組み合せ例から、自

身で決定した資産配分割合に合わせて、運用商品変更の手続きが

できる。

なお、ダイレクトスイッチングは、確定拠出年金向けでの提供は同社が初めて。

 

「太陽生命少子高齢社会研究所」を設立

太陽生命は4月1日、「太陽生命少子高齢社会研究所」を設立する。

同研究所は、「疾病の予防・早期発見・早期治療」の観点から、学術機関などとビッグデータを活用した共同研究を行い、その成果を広く公表。

さらに、その共同研究の成果や研究所が発掘する新技術・新サービスなどを保険商品・サービスへ展開するなど社会実装を推進する。

同研究所の主な業務内容は次のとおり。

①健康、福祉および医療に関する調査・研究およびコンサルティン グ。

②新たな保険商品や保険関連サービスの開発につながる新技術な どの調査・研究。

③新技術の事業化に取り組む研究者・企業の活動状況の調査およ び当該事業の活用に関する提言。

同研究所は、太陽生命の100%子会社で資本金は2000万円。代表は浅見磨孝氏。社員は約10名。所在地は東京都中央区日本橋2-11-2。

 

 

 

 

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