2020年3月6日 2950号

 

MDRT・吉田進終身会員の

「ホールパーソン・コンセプト」

 

バランスの取れた人生で「貢献」

 

MDRTアメリカ本部は2月13日「メディアラウンドテーブル」を都内で開催した。テーマは「トップ営業マンに求められる『ホールパーソン・コンセプト』」。スピーカーの吉田進MDRT終身会員(ソニー生命 =写真)は、ライフプランナー、マネージャーとしてのキャリア、ボランティア活動「4つのエンジン」など30年間のわたるエピソードを語った。また、Q&Aでは、求められる数字への向き合い方、デジタル化が進め中でのライフプランナーのあり方などにも示唆に富む意見を述べた。

 

お客さまを幸せな気分にさせる

 

1962年のアニュアルミーティングで、モーティマー・アドラー氏が「ホール・パーソンコンセプト」を提唱した。彼は「保険業界に入り、職業として成功して豊かになる人は少なくない。だが、人生をより豊かに生きるためには、仕事の成功以外に、他とのバランスが絶対必要だ」と問うた。

 

彼は7つの大切なことを語る。まず知識、経験、財産がなければ成功しない、それ以外に健康、家族、奉仕、そして精神、これは信仰のことでしょう。この7つのバランスをどう取るかによって「人間の価値が決まる」と言う。

 

私も転職する前から、4つのことを守ろうと思っていた。この4つのエンジンがあるから「吉田進という車」は動いていくのだから。仕事が1番のエネルギー。2番目は家族・友人。家族と友人に囲まれた人生でいたい。

 

それから、生命保険は究極の社会貢献であり、これで報酬を得て、時間に余裕ができたら社会貢献をしなければいけない。最後が余裕のある人生を過ごしたい。ホール・パーソンコンセプトに似ている。

 

バランスの取れた人生を持つことが、お客さまに貢献することになる。では、お客さまが幸せになるための担当者とは何だろうか。

一つはお客さまの立場になって考えてくれること。それから、話を聞いてくれる人、気軽に相談しても邪険にされない。そして的確なアドバイスをきちんと返す。これが最適なアドバイザーと思う。

 

それ以外に「あの人と会っていると幸せな気分になれる」と思われる担当者。それはどんな人か? まず夢を持っている、あるいは愛に満ち溢れている。尊敬できる人であったりエネルギーを持っている人。こんな人と会うことはきっといいことだろう。

 

大前提の数字の先にある「目的」

生き残りの関係性をどう作るか

 

 7つのバランスが取れた人生を提唱しているが、バランスを取るためにどのようなことをしているか。

吉田 簡単ではない。転職した当時は何が何でも数字を挙げないと話にならないので、数字に追いかけられていたことはもちろんある。この業界はそこを避けて通ることはできない。数字をクリアすることが大前提だ。

ただ、それは目標。数字的目標とよく言うが、何件やらないといけない、いつまでにこれをする、という数字的目標は毎年毎年、自分で作る。でも、目的はその先にある。

「その先の人生の目的は何か」。これが絶対に必要だ。これが人生の標語だと思っている。私の標語は「尊敬されよ、愛されよ、どちらも無理なら、まず尊敬されよ」。米国プルデンシャル生命のライフプランナーで、社長になった人がずっと言っていた。

 

 しかし、若手の中には、無理をして数字を出さざるを得ないこともあるのでは。

吉田 成功するパターンと失敗するパターンがある。クリアしなければ次のステップにいけないので、同じようにみんな無理をする。

失敗するパターンはだいたい自分に嘘をつくかお客さまに嘘をつく。同じ保険を販売するにしても、コミッションを優先した販売方法も当然ある。件数を挙げるために、本来なら2万円の保険料なのに1万円で妥協してしまう。そのようなことを繰り返している人は絶対に次がない。だから、自分に嘘をつかない、お客さまに嘘をつかない。

「ここをクリアしないで数字を挙げても次はないよ。一歩引いたとしても、それが力になる」と常に言う。ここは人間としての資質が問われている。無理な仕方とはやはり違う。

 

 保険業界ではデジタル化の動きがいろいろな業務プロセスで進んいでいる。販売プロセスにもAIを導入する動きもある。では、ライフプランナーにとってその中で変わっていくもの、変わらずに残すものとは何だろうか。

吉田 僕の世代と30代は確実に全く違う。「これはアドバイスできない」と時々思うことがある。僕が転職したとき、転職の案内を400通出した。アポイントを取るにも社内の電話しかなく、社内で恥ずかしい思いをしながら、断られる作業をしてきた。その中で、先輩のスピーチを聞いて「こうやれば断られず、うまくいくのか」とノウハウを身に付け成長していった。

今、転職してきた後輩に、転職の手紙を何通出したと聞くと、1通も出していないと言う。「年賀状は3通ぐらいですかね」とも。アポは電話はせずにメールでやっている。だから、多くの人はメールで簡単に断られている。

「なるべく電話しなさい」と言うが「電話番号知らないし」「住所わからないし」と言う話になり、大きく変わってきている。

ただ、30代、5年目で成功している人を見ていると、たくさん電話して、いっぱい人と会っている。最初の関門は難しいが、結局はフェイス・トゥ・フェイスしかない。

5年先、10年先に、いろいろなデータを打ち込むと、AIが最適な保障額、保険料をたちどころに提示する日がくるかもしれない。そしたら、ライフプランナーはいらないのか? 私は違うと思う。ライフプランナーが「この人の本当の心の思いはどこか」と探っていったり、本当に困っていることを聞き取るのは、ライフプランナーしかできない。

僕たちが生き残るすべはある。そのために関係性をどう作るか。それがものすごく大事になるので、ライフプランナーの人間力が試される、ということがとても大きい。

 

2面 業界動向

 

生保文化センター2020年度事業計画

社会基盤の変化に多面的に対応

 

生命保険文化センターは、この2月、第10期(2020年度)事業計画を発表。「消費者啓発・情報提供活動」「学術振興事業」「調査研究活動」それぞれの項目について、具体的な取り組みの内容が示されている。

 

3面 社会保障

 

退職金とその積立制度の現状と傾向

特定社会保険労務士 遠藤 忠彦

 

退職一時金制度は、ほとんどの企業で導入され定着しているが、企業の費用負担増、従業員の価値観の多様化から少しずつ変化している。今回は直近の調査結果を使って、退職金制度の傾向と水準などを紹介する。

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

法人契約の経理処理 ④

 

経理処理区分が変わる際のきわどい数値を小数点以下2位で表示している場合、たとえば85.01%だと、小数点1位表示の設計書なら85.0%となり、経理区分が変わります。損得は一概に言えませんが注意が必要です。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます!

お別れとスタートの気持ちに寄り添った活動

育成トレーナー 堀尾未佐子

 

春は卒園・卒業、そしてすぐに入園・入学・入社とお客さまのライフステージが大きく変るシーズンです。「お花見はどちらへ」など春のイベントと連動したアンケートも実施し、4月、5月の見込客を作っていきます。

 

8〜9面 FP販売

 

先生! どうしたらいいのでしょうか?

⑾ 30代男性、生涯独身の生涯設計

壽FPプランニング 代表 髙橋成寿

 

今回の相談者は、結婚する意志がないわけでありませんが、このまま独身だと生活リスクに対して何をどう準備しておけばいいのか、不安になって訪ねてきました。結婚したときのリスクも併せて考えていきます。

 

10面 新商品

 

アフラック生命

「生きるためのがん保険Days1 ALL−in」

 

従来商品「生きるためのがん保険Days1」に新特約「がん治療保障特約」を追加した。この特約は、ガン治療に関する給付金(手術、放射線、抗ガン剤治療など)を一つにまとめたもの。これにより、治療の多様化や長期化に備えられる。

 

11面 損保新商品

 

楽天損保

「(新)ホームアシスト」

 

火災保険「ホームアシスト」を、4月1日以降に保険開始となる契約から商品・料率改定を行なう。主な特長は、従来、全国一律だった水災リスクに対する保険料を、建物の所在地における水災リスクに応じた保険料設定であること。

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

5月  「FVS」失速防止のチェック

 

5月はフォーカス(F)、バリュー(V)、スピード(S)の3つのポイントで4月の総点検をしっかり行なう。ここが中途半端では組織力が生まれてこない。5月は組織の重大月の気持ちで取り組もう。それが7月戦の戦力強化につながる。

 

[トピック]

 

「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」

ライフネット生命はセブン・フィナンシャルサービスと業務提携契約を結び「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」の販売を今春開始する。

同社は、パートナー企業のブランド力と顧客基盤を活用して、生命保険を提供するホワイトレーベルの拡大を図っている。

すでに、KDDIと「auの生命ほけん」に取り組んでおり「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」はホワイトレーベル第2弾となる。ターゲットは、セブン&アイグループの利用者。

なお、セブン・フィナンシャルサービスは、同社開業前の2007年から株主となっている。

◇  ◆  ◇

ライフネット生命の1月新契約業績は過去最高を更新した。件数は前年同月比24%増の8030件、年換算保険料は22%増の3億3800万円。

この結果、保有件数は35万件を突破して35万4244件、保有契約高(死亡保険)は2兆5079億円となった。種目別保有件数は次のとおり。

定期死亡保険=17万651件、終身医療保険=9万7370件。

定期療養保険=9162件、就業不能保険=5万3747件。

がん保険=2万3314件。

 

チャットボットで自動車保険の住所変更手続き

三井住友海上は 2月17日、チャットボットで自動車保険の住所変更手続きが完結するサービスを開始した。

同サービスは、AIを活用し、同社のオフィシャルWebサイト上で24時間365日、契約者からの問い合わせに自動応答する。 対象はGKクルマの保険、GK守るクルマの保険(ドラレコ型)、自動車保険・一般用。

これまで自動車保険の住所変更手続きでは、契約者が代理店に依頼する必要があった。

同システムの導入には、富士通が提供する「CHORDSHIP」の技術を活用し、MS&ADシステムズがプロジェクト管理を行った 。

「今後、AIがチャットボットの問い合わせ対応結果を学習することで、応対精度の向上を図るとともに、チャットボットでのサービス対象範囲を拡大したい」という。

 

JA共済とJAバンク「タブレット端末」を共同利用

JA共済とJAバンクは1月「タブレット端末」の共同利用を開始した。

タブレット端末の共同利用は、JAの共済業務とJAバンクの信用業務の双方を担当する渉外担当者の負荷軽減が狙い。

新たに共同開発したタブレット端末は、JA共済のタブレット端末をベースにして「保障提案」や「ペーパーレスによる契約申込み手続き」などに、新たにJAバンクの「ローンや資産形成・資産運用のシミュレーション」や「集金サービス」などを追加。

JA共済連と農林中央金庫が共同開発したもので、組合員・利用者の接点をより一層強化することを目的にしている。

これによって「業務効率化による渉外担当者の負荷軽減とともに、組合員・利用者の利便性向上を図りたい」という。

なお、タブレット端末は1月時点で43県・344JAで計約1万5500台導入。新たに追加した信用業務のアプリケーションは、1月から一部県域で利用を開始。今後、順次利用県域を拡大する。

 

 

 

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