2020年2月14日 2947号

 

損保業界でのAPI接続とその展望(上)

革新的モデル作りたいが、ネックも

 

損害保険会社とAPIをつなぎたいというニーズはあるが、どうしたらいいのか。それをズバリ聞けるいいチャンス──「Insurance API Organization」は1月16日、第1回会合を開催。パネルディスカッションではデジタル戦略の第一人者たちが「損保業界でのAPI接続とその展望について」のテーマで語り合った。

 

〈パネルディスカッションの出席者〉

モデレーター:

マーシュジャパン・樫井庸佐氏(Commercial Market Teamleader )

パネリスト:

SOMPOシステムズ・小澤淳氏(取締役副社長執行役員CTO)

Chubb損害保険・ノエル ケレイタ氏(リージョナル CIO兼執行役員)

東京海上ホールディングス・渡部光明氏(事業戦略部部長兼デジタル戦略室長)

三井住友海上・加藤大輔氏(デジタル戦略部デジタルビジネスチーム長)

 

システムの一部切り出し難しい

 

樫井 3メガ損保はどにようにすればAPI連携に協力するか。そのメリットデメリットは何か。

渡部 デジタルなくして新たなビジネスは生まれない。デジタル戦略が経営戦略の1丁目1番地。デジタルを活用した生産性向上、新たなマーケット開発を一生懸命に考え、いろいろな分野で取り組んでいる。

一方で正直な話、もともと持っているシステム、仕組みは非常に複雑怪奇。まずは横の広がりでは、チャネルごとのシステムがあり、奥まったところでは営業成績を管理するシステム、収益を分析するシステム、さらに会計、証券発行、契約管理、決算とつながっている。多額のコストをかけて、システムの入れ替えを定期的にしている。

まだまだチャネル、種目、契約者がとても多いという特性もあり、それほど身軽ではない。その意味では過渡期にある。

そうした中で、一つひとつのお客さま、マーケットを見て個別に対応し、優先順位を付けながら取り組んでいるのが実情だ。

小澤 現在の保険会社のシステムは非常に「密結合」なシステムに出来上がっている。代理店が計上ボタンを押すと、計上データを送信するのはもとより、顧客データ、成績データが出来たり、いろいろなデータが連携してできる仕組みになっている。それが昭和、平成の時代は、営業現場ではやりやすかった。

しかし、一部を切り出してAPIサービスとして提供することが非常に難しいレガシーの構造になっている。APIサービスを切り出して提供するとなると、複雑なシステムをひも解いて、必要な部分を切り出す作業がそれ相応に時間もコストもかかる。

もう一つ大きな問題がある。保険会社が提供するなら、個人情報が漏洩しないようにセキュリティをかなり意識しないといけない。セキュリティを担保するために、どんなネットワークを使うのか。どんなプロトコルを使うのか。この辺りをかなり意識しないといけない。

 

優先順位 大きく稼げる可能性しだい

 

樫井 外資系はレガシーシステムが無いようにみえるが。

ケレイタ 世界のどこを見ても保険会社、銀行には何らかのレガシーシステムがある。この課題をどう乗り越えて、API戦略をどう実行するかだ。

その解決を待ってからAPIをすることはできない。20年前、銀行で働いていてメインフレームを外す話があったが、まだメインフレームはある。このまま進まなければいけない。

樫井 では、レガシーシステムに移行、もしくは特定領域においてはレガシーシステムに関係なくAPIでつなげることを進めるために、どのようなことがあれば優先順位は上がるのか。

加藤 レガシーシステムの問題は大きく、何かを開発しようとすると、費用対効果や収支を問い続けられる。これをクリアをするため、ビジネススピードを上げないといけないし、コストも非常にかかる。パラレルで走りながら、基幹システムと関係ないところで何かをやることは本当に必要だ。

優先順位を上げるには大きく稼げる可能性をきちんと伝えなければいけない。

レガシーシステムには、決算や精算などの仕組みをどうしても繋がないといけないので、完全に切り離すことはできない。レガシーシステム開発をどう抑えつつ、ということを考えながら進めることが必要になる。

樫井 いろいろなものを始めているが、収支の取れているものはあるか。

渡部 基本的に収支の取れないものにはリソースが配分されないので、収支が取れているものにフォーカスする。今、伝統的なメガ損保は何を恐れているか。振り向いたらマーケットが変わっていて、伝統的な保険会社が衰退していくことを恐れている。

だから、革新的なモデルを自ら作る案件はチャレンジングで、非常に意義がある。それは真っ先にできる可能性がある。ただ、それはマーケットがあり、みなさんと一緒に進めていくという方向性ではないか。

 

具体的な標準化の動きは見られず

 

樫井 いろいろなプレーヤーが個々に保険会社に打診していたのでは、保険会社もどこにどのようにつなげばいいのか、個々に吟味しないといけない。そこに標準化の動きがあってもいいのではないか。

小澤 具体的な標準化の動きはないが、利用者からすると保険会社のAPIを使うときに、どのようなことが必要になるだろうか。

セキュリティを担保しないといけないし、新たな戦略を実現するためにいきなり本番環境に向かわず、POCをしたりする。それを保険会社が提供するのか、ニュートラルな会社が提供するのか。どこが提供するかを決めないといけない。

これが標準化ということで、どこに接続すればテストできるのか、どういうやり方、どういうプロトコルを使えば、セキュリティを担保も担保され、かつ安全にAPIが呼び出せるのか。このようなことを決めていくことが標準化だ。

樫井 そのような動きをリードしている組織、団体はあるか。

小澤 具体的に一緒になってやる、という動きはない。

(以下次号16面につづく)

 

2面 ヘルスケア

 

SOMPOひまわり生命

新ヘルスケアサービス先行展示

 

SOMPOひまわり生命は1月7日から米国・ラスベガスで開催された、世界最大規模の家電見本市「CES2020」に日本の保険業界として初めて単独出展した。2020年にリリースを予定している新サービスの概要、今後の展開などを発表した。

 

3面 生保労連

 

2020春闘の方針決定

月例給与「全層一律の引上げ」要求

 

生保労連は1月14日、第53回中央委員会を開催した。当日の中央委員会では「総合生活改善闘争(2020春闘の取組み)・春季方針」(案)について活発な議論が交わされたが、全会一致でこの方針について決定した。その概要を紹介する。

 

4〜5面 募集手法(社会保障)

 

社会保障の知識がなぜ生命保険の募集に必要なのか

⑵妊娠出産時の「出産手当金」と「育児休業給付金」

社会保障アカデミー協会 代表理事 青木隆憲

 

妊娠が分かった時点で退職する人がいますが、例えば、給料が20万円なら、出産、育児休業をした場合の所得補償である「出産手当金」と「育児休業給付金」の総額は約165万円にのぼります。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC 270

Eノート活用法64 経済の鏡である株価は社長も注視

税理士 池谷和久

 

多くの社長さんは「今の株式相場をどの様に捉えるべきか?」を常に考えているので、その疑問の解決に役立つ情報を欲しがっています。株式に詳しくなるにはどうすればいいのか、ポイントをお伝えします。

 

8〜9面 FP販売

 

まるっとわかる! FPサプリ

第12回 社長に保険を提案しよう!②

フコクしんらい生命 丸山浩

 

今回は「経営者にとっての借入金がいかに負担の重いものであり、その借入金がある期間に起きる経営者の死亡リスクを回避するためには生命保険はもっとも適切である」ということを解説します。(提供シート4枚)

 

10面 新商品

 

明治安田生命

「認知症ケアMCIプラス」

 

「みんなの健活プロジェクト」の第2弾。主契約の終身医療保険に「認知症終身保障特約」「軽度認知障害終身保障特約」をセットした。認知症への進行予防に取り組むためのMCI(軽度認知障害)保障を準備できる。

 

11面 新商品

 

メットライフ生命

「ウェルスデザイン」

 

米ドル建の一時払終身保険で、介護保障と資産形成機能を備えている。告知は2項目に限定しているので、既往歴のある人や健康に不安のあるシニア世代にも申し込みやすい商品。「そなえる」「ふやす」「のこす」を謳う商品。

 

15面 採用

 

組織長への道

所長は建前を、私は本音を…

 

木下チームは12名を抱える大所帯であるが、採用については組織長本人が奔走するというよりも、営業職員が積極的にやってくれるという。「頼りない組織長」を自任する木下チーム長を、みんなが盛り上げている。

 

[トピック]

 

新たな有価証券運用システムを開発

日本生命とニッセイ情報テクノロジーは、ブルームバーグと協業し、新たな有価証券運用システムを開発・導入した。同システムは「証券取引システムパッケージ」と「ポートフォリオ管理システム パッケージ」で構成。

日本生命の保有する独自データとブルームバーグ内のデータを組み合せ、資産全体や債券・株式などの個別資産での利回り分析、リスク分析といったポートフォリオ管理をより高度に行い、緻密なリスク管理や迅速な意思決定を可能にする。

また、ニッセイ情報テクノロジーの提供する有価証券運用管理システム「NISSAY IT−XNET」と、ブルームバーグの提供する証券取引・ポートフォリオ管理機能との間でデータ連携する仕組みを開発することで、包括的な 自動化・効率化を実現した。

なお、ニッセイ情報テクノロジーとしては、 初のブルームバーグとのシステム連携となる。

 

ライフプラン・マネープランの作成サポート

auフィナンシャルパートナーは1月16日、FPがライフプラン・マネープランの作成をサポートする事業を開始した。

一部のauショップやauWALLETアプリなどから相談を申し込め、希望の時間・場所で対面相談を無料でできる。今後、東名阪でのFPの採用を強化する。

同社は、auアセットマネジメントとFPパートナーが昨年10月1日に、合弁会社として設立。KDDI、auフィナンシャルホールディングスと共に「スマートマネー構想」を推進。

保険代理店のFPパートナーは2009年12月の設立。全国47都道府県に90拠点を構え、約1500人のFP社員を抱える。無料FP相談サービス「保険ビュッフェ」を昨年10月14日から「マネードクター」に名称変更した。

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

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電話 03-3317-0391

 

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