2020年2月7日 2946号

 

保険エコシステムを新たに形成

「Insurance API Organization」

第1回会合

 

利便性や技術的課題の理解深める

マーシュジャパンなど3社が幹事

 

しゃしん なかにししゃちょう保険業界におけるAPIの促進のために、その利便性、課題、運営方法について協議、討議を行い、すべてのステークホルダーがその利益を共有できるように、結果的に保険エコシステムを新たに形成していきたい──。「Insurance API Organization」は1月16日、第1回会合を開催した。マーシュジャパン・中西主社長(=写真)は冒頭、同会の目的をこのように述べた。

 

APIは「Application Programming Interface」の略。「あるアプリケーションのデータや機能を、ほかのアプリケーションから部分的に呼び出して活用するための仕組み」で、企業と企業のサービスをつなげていく仕組みとして注目されている。

 

参加者は100名程度を予想していたが、約150名も参加。その内訳は3割が保険会社、3割は保険代理店、残りは隣接業界、ITベンダー、スタートアップ企業など。同会のミッションは次の2つ。

 

  1. 保険業界でのAPIによる利便性や技術的な課題・運営についての理解を深め、参加者同士や隣接業界でのAPI接続を模索する。
  2. 将来的にOpenAPIを視野に入れて、全てのステークホルダーとメリットを共有し、新たな保険エコシステムの形成を目指す。

 

「保険業界のAPI接続というと、保険会社のシステムとAPI連携をすることをイメージすると思うが、それに限らず、例えば、参加者同士のAPI接続や、隣接業界とのAPI接続も対象として考えている」と事務局。

 

同会の運営は、マーシュジャパン、hokan、アイリックコーポレーションの3社が幹事となり、共同開催運営を行う。参加費は無料。開催は年1~2回、次回は今年夏頃を予定。

 

講演「API連携に対する取り組み」、パネルディスカッション「損保業界でAPI接続とその展望について」、対談「保険APIがもたらす一般消費者へのインパクト」が行われた。

 

パネルディスカッションのメンバーは5名。モデレーターはマーシュジャパン・樫井庸佐 Commercial Market Teamleader。

 

パネリストはSOMPOシステムズ・小澤淳氏(取締役副社長執行役員CTO)、Chubb損害保険・ノエルケレイタ氏(リージョナルCIO兼執行役員)、東京海上ホールディングス・渡部光明氏(事業戦略部部長兼デジタル戦略室長)、三井住友海上・加藤大輔氏(デジタル戦略部デジタルビジネスチーム長)。

 

デジタル戦略の第一人者が集う

 

樫井氏はパネリストについて「デジタル戦略のキーワードでは第一人者。つなぎたいというニーズはあるが、どうしたらいいのか。それをズバリ聞けるいいチャンスだ」と述べた。テーマは3つ。

 

  1. API連携をすると、今の仕組みがどのように変わるか?
  2. 日本のマーケットでメジャーシェアを占める日系損害保険会社の立場としてAPI連携によるメリットは?
  3. 伝統的なビジネススキームからの変化は?

 

三井住友海上は「ヤオフク!修理保険」(16面関連記事)の提供を開始した。API接続した保険販売では、損保ジャパン日本興亜とLINEフィナンシャルは「LINEほけん」、東京海上日動とANAはウェブ完結型「明日へのつばさ 親介護保険」をそれぞれ協業で開発。この分野で三井住友海上は出遅れていた。

パネルディスカッションで、加藤氏は「ついで買いを誘発する意味で利用していただきたい。個人情報を入力する必要もないし、決済手段を選ぶ必要もない。保険単独で入るより楽だ」と述べた。

(パネルディデスカッションの詳細は2/14付、2/21付紙面で紹介)

 

アイリック「API連携の取り組み」

連携して業界共通課題の解決を

 

アイリックコーポレーション・建部賢二郎氏(取締役兼ソリューション事業本部長)は「API連携に対する取り組み」をテーマに、API連携に至る変遷、API連携効果、今後の方向性などを説明した。

 

保険会社とのAPI連携は2010年からで、損保系生保から始まった。その後、大手生保の新設子会社「最近は外資系とも連携している」。登録保険会社は21社、うちAPI連携が12社、ペーパレスが5社。システムに連携をするとどんなメリットがあるか。直近のデータ(2019年1月から12月)を示す。

 

医療保険で月に350件の販売実績があるA社は、API連携だけでなくペーパレス連携もしている。B社は2019年に新設されたばかりで、取り扱いはあるが、現時点ではAPI連携されていない。売り上げも低い水準でしかないが、API連携する方向で検討を進めている。「このようなことが保険会社にとってのAPI連携ではないだろうか」と強調。

 

今後の方向性については「自社の強みは活かしつつも、他社のサービスと連携しながら、共通課題を解決できるようなエコシステムを目指す方向に進んでいきたい」と強調。

 

アイリックの強みの一つがOCRによってデータを呼び込むシステム。保険会社はは紙ベースによる手入力でのプロセスがあることを踏まえ「ここはアイリックのソリューションを活用してほしい。紙からOCR、データ化、高度化することを共通化して、保険業界全体の共通課題を解決することができればいい。われわれはその一部の機能という位置づけ」という。

 

さらに、将来的なアイリックのポジショニングを次のように述べた。

「保険証券OCRの具体的なソリューションがあるが、それだけでは業界共通の課題解決にはならないだろう。コンサルティング会社、システムインテグレイター、スタートアップ企業などほかのサービスとエコシステム的に連携しながら、具体的なソリューションを業界に活用してほしい。このようなことを今後取り組みたい」

 

2面 法人開拓

 

令和の法人保険販売「節税保険」の挽歌

井上得四郎氏 特別寄稿

 

万が一の場合の保障コストを考えていないから「実質負担」等の考え方になる。解約返戻金に対して検討すべきは、税負担軽減額ではなく、保障コストではあるまいか─井上得四郎氏が節税保険への挽歌を綴ります。

 

3面 動機付け

 

今日から使えるセルフモチベーション

女性活躍推進の流れと個人の想いにギャップ

メンタルトレーナー 原 小百合

 

会社としては女性活躍の施策を各部署、部門に浸透させていくための方針を打ち出し、それにふさわしい人材を抜擢したいという意向があるはずです。しかし、この大きな流れに対してまだまだ現場の意識、とりわけ個々人の想いとのギャップがあるようです。

□ □

〈今回のセルフモチベーション術〉

仕事の充実感を感じる傾向を知る。

 

  1. 達成動機:報酬よりも成し遂げたい、前回よりもうまくやりたいという気持ちが強い。自分の進捗に関心があるので、何事も自分の手でやることを望む。
  2. 権力動機:働きかけられるよりも自分が相手に影響力を駆使したいという気持ちが強い。責任ある立場であることも楽しむ。
  3. 親和動機:友好的な人間関係を持ち、人からよく思われたいという気持ちが強い。誰かの役に立ちたいと努力する。

 

まずは自分の傾向に気づくこと。その後、部下や関係者のことをあてはめると個々人のやる気のスタイルがわかりやすい。

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

法人契約の経理処理③

 

従来は払い済み時に、資産計上の再計算は必須であり、繰り延べ作用の期間は限定的でしたが、これが契約終了まで繰り延べ作用があるのはどうなのか。「同種類の保険」についての定義もあいまいな部分があります。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます!

⒃体調管理をしっかりと寒さに負けない活動対策

育成トレーナー 堀尾 美佐子

 

継続的に訪問し、雑談を通して情報収集することは大切な仕事の1つです。雑談でお子(孫)さんの将来の夢であったり、どんな部活動をしているかなどを聞いておくと、スムースに次の雑談もできるようになります。

 

8〜9面 FP販売

 

教えてFP相談室

⑽都心部のサラリーマン家庭の相続対策

寿FPコンサルティング 代表 髙橋成壽

 

ここ数年、毎年のように地価が上昇し、都市部では相続税がかかるケースが増えています。今まで相続税など無縁だと思っていた人たちが、漠然とした不安から相談に訪れます。今日は都内に実家のある50歳男性の事例です。

 

11面 代理店手数料

 

第一生命

「代理店手数料」改定

 

4月から代理店の評価を向上させる為に手数料体系を見直す。まず、理想の代理店像を設定。そして、理想の代理店像の実現に向け、理想を具現化する評価項目を導入し、募集品質の向上の取り組みを評価する手数料体系に改定する。

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

4月職員がヤル気を起こす演出を

 

新しい事業年度が始まる。拠点長は、①新年度のビジョンをはっきりと打ち出す②4月〜7月をワンサイクルとする計画を立案する、という重点課題から取り組む。営業では「動機づけ」と「自主管理」がキーポイントだが、4月は希望・夢を最大限生かす。それが動機づけに繋がる。

 

14面 採用・育成

 

統率力と拠点経営

これから超優績者は育てられない

 

新しく着任した営業所の陣容は在籍が7名だった。しかも営業所には人をもっと増やして営業所を今よりももっと大きくしていこうといった雰囲気や意識がまるでなかった。こんな状況の中で着任した営業所長は、どのようにしてここを優績拠点に変身させたのだろうか。

 

[トピック]

 

少額短期保険分野に参入、コミュニティー向け

第一生命は1月20日、少額短期保険分野に本格的に参入することを明らかにした。

その準備会社「第一スマート」を1月に設立した。100%子会社で資本金は5億円。社長には盆子原明博氏。同準備会社は2020年度上半期の営業開始を目指して準備を進める。

「第一スマート」は、同じ嗜好を持つコミュニティーに対して、コミュニティーごとのフルオーダー型の柔軟な保険商品を提供する。また、契約から請求までの手続きをデジタル完結で行う。

将来の保障中核層として見込まれるミレニアル世代やZ世代(1995年以降出生の世代)は、保険に求めるニーズが「必要な時に必要な分だけ」へと変化しており「CtoB(Consumer to Business)の視点での商品提供がより一層重要」という。

 

「マイページ」を全面リニューアル

チューリッヒ生命は1月8日「マイページ(Z−Life)」を全面リニューアルした。

「Z−Life」は、同社商品を検討している人向けに「保険料のシミュレーション」や「商品の申込」「資料請求」などができるWEBサービス。

今回、新たにWEB上で、これまでは同社への電話が必要だった手続きの一部を契約者自身で行うことができる機能を追加した。

営業時間に関わらず、登録情報の変更などの手続きや、支払い方法の変更などが可能になる。「これにより、電話で依頼していた内容のおよそ9割をWEB上で完結する」という。

「Z−Life」へのログイン方法は、ユーザID・パスワード方式を改め「名前」「生年月日」「携帯電話番号」の入力とSMSによる2段階認証を採用した。

 

エジプトの生保タカフルの株式を一部売却

東京海上ホールディングスはエジプトの生保タカフル会社の株式を一部売却する。2020年7~9月頃の完了を予定。

同社グループが100%保有するエジプト生保タカフル会社「Tokio Marine Egypt Family Takaful S.A.E.」(TMFT)の株式の75%を「EFG Hermes FinanceS.A.E.」(EFG)「GBCapital for FinancialInvestment S.A.E.」(GB)にそれぞれ37.5%ずつ売却する。

「今後の事業展開を改めて検討した結果、エジプトの大手企業グループであるEFGおよびGBに対して75%の株式を売却し、TMFTを3社による合弁会社として運営する」という。

TMFTの設立は2008年10月。取扱保険料は2.7億円(2019年6月期)。売却先2社の事業は、EFGが金融事業(投資銀行、マイクロファイナンスなど)、GBは自動車・二輪車販売・修理およびファイナンス業。

 

 

 

 

 

 

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