2019年12月13日 2939号

 

日本アクチュアリー会記念年次大会

 

創立120周年、今後も力強く歩む

すべて英語の特別ミーティングも

 

日本アクチュアリー会は11月22日〜24日の3日間、経団連会館、JPタワーホール&カンファレンスで「創立120周年記念年次大会」を開催した。

 

「当会は明治32年、1899年に創立された。創立後の20世紀は戦中戦後の混乱を乗り越え、経済が急速に発展する激動の時代だった。21世紀に入り世の中は劇的に変化した。金融界でも高度化・グローバル化が進んだ。長寿化の進展が社会課題となり、気候変動対策も問題となっている」

 

冒頭挨拶に立った庄子浩理事長は、120年の環境変化を次のように概観した。

 

また、2000年に保険業法上の指定法人となり、保険計理人の実務基準改正や標準生命表改定に取り組んだ。2012年にはERMに関する国際資格「CERA」の資格認定を開始。

 

▲正会員1762名

現在の会員数は正会員1762名、会員合計5170名となり、20年間で正会員は約2倍、会員合計では約1・5倍に拡大した。

120周年に合わせ、IAA(国際アクチュアリー会)の会議を20年ぶりに東京に招致。創立120周年記念年次大会に先立ち、都内で開催。日本の長寿化とその対応など「情報発信に取り組んだ」と庄子理事長。

 

今回の年次大会では日程を2日間から3日間に拡大し、2日目はすべて英語で行う「Special Meeting」を開催。英国、米国のアクチュアリー会のリーダーの講演、ERM、データサイエンスなどのプレゼンテーションが行われた。

 

庄子理事長は「国際化やICA東京開催(2026年)を踏まえ、英語セッションに触れる機会として企画した。奮って参加してください」と呼びかけた。

 

3日目は、15編の論文発表、9つのプレゼンテーション、6つのパネルディスカッションが行われた。

 

120周年記念特別講演では、河合美宏京都大学経営管理大学院特命教授(元IAIS事務局長)が「理念に基づく保険会社経営~伝統を超えて」のテーマで講演した。

 

特別講演では「IFRS第17号~アクチュアリーに期待する役割」のテーマで、鶯地隆継トーマツパートナー(元IASB理事)が講演。

 

▲ICA東京大会

今年度の主な取り組みは次の3点。

①経済価値ベースのソルベンシー規制・会計基準等への対応。

②専門能力維持向上。

③ICA2026東京大会。

 

経済価値ベースのソルベンシー規制・会計基準等への対応では、IAAへの意見発信などを通じて国際的議論に参加。金融庁が今年5月に設置した「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」にオブザーバーを派遣。

 

専門能力維持向上の取り組みでは、ここ数年、データサイエンスの調査・研究を精力的に行い、2019年度は「データサイエンス関連基礎調査WG」を新設した。

 

また、ERMやデータサイエンスに関する専門講座も新設し、教育体制の充実を図る。

 

国際的活動では、2026年に「第33回国際アクチュアリー会議(ICA)」を東京で開催する。同会議は4年に一度、世界のアクチュアリーが集う一大イベント。日本では1976年に開催され、世界44カ国から2200名が参加した。

 

なお、昨年6月にベルリンで、31回目の「ICA2018」が開催された。

 

金融庁長官 経済価値ベースは非常に有用

 

遠藤俊英金融庁長官は来賓挨拶の中で「保険会社を取り巻く環境の変化と業界への期待」を次のように述べた。

 

「保険会社を取り巻くリスクが多様化・複雑化している中で、現行のソルベンシー規制では十分に捉えられないリスクも包括的に考慮した健全性を把握する『動的な監督』に取り組むことが不可欠になっている。経済価値ベースの考え方は非常に有用なものと考えている。

 

また、保険会社は環境変化に機動的かつ的確に対応したリスク管理態勢や、持続可能なビジネスモデルを構築する必要がある。そのためには、経営全般にわたるガバナンスが有効に機能することが極めて重要だ。

 

数理業務のプロフェッショナルたるアクチュアリーは、数学的事実に基づく現状認識と将来予測をマネジメントに提供することにより、経営判断に妥当性や客観性をもたらす役割を担っている。

 

保険会社の有効なガバナンスを支える一翼としても、その役割は今後ますます広範かつ重要になる」

 

功労者感謝状を32名に贈呈

国際化の流れ、業務の広がり実感

 

功労者感謝状贈呈では32名の名前が読み上げられ、代表して寺阪元之氏(写真左=庄子理事長、右=寺阪氏)がお礼の言葉を述べた。

 

 

この感謝状贈呈は、前回は100周年で行われたと記憶している。それから20年が経ち、この20年間、記憶している範囲でも大きな国際化の流れがあり、経済価値ベースのソルベンシー規制の問題、国際会計基準の問題などがその例だろう。その他、会員のレベルアップをしなければならないテーマとして、ERM、データサイエンスなどに代表される仕事の広がりが出てきている。

 

日本では、少子高齢化という大きな構造的な問題を抱えているが、ますます社会が変化していく中にあって、アクチュアリーは業界のためだけでなく、それを超えて社会のために力を発揮する機会が増えてくる。

 

1976年にあった「ICA」が2026年に再び、東京で開催される。50年経ったが、新たなステージでのICAが東京で開始されることは大変喜ばしい。

 

創立された1899年以来、先輩が培ってきたアクチュアリー学というかアクチュアリーの技術というかアクチュアリーのものの考え方、そのような良いものを踏襲をしているだろうが、さらに、新しい時代に向けて、一人ひとりが足元を築き、前進することで、さらなるアクチュアリー会の発展があると期待する。

 

2面 営業支援

 

高齢者住まいアドバイザー協会

満田  将太

 

同協会が運営する資格である「高齢者住まいアドバイザー」は、高齢者の住まいやその選び方、介護保険や年金などの社会保険の知識を有する高齢者相談のスペシャリスト。「介護系商品の販売に役立つ資格」として「取得奨励資格」にする生命保険会社もある。

 

3面 マーケティング

 

新・消費者心理を探る

ニッセイ基礎研究所 井上 智紀

 

今回は、複数の保険契約を保有している層に焦点をあて、その特徴について概観します。男性で「3件以上」が、女性で「1〜2件」がそれぞれ高く、年代別では20〜30代で「1件」が、50代で「4〜5件」がそれぞれ1割を超えて、高くなっています。

 

4〜5面 法人開拓

 

中小経営者のLPを法人保険で支援

(60・最終回)社長の年代別 法人市場開拓へのメッセージ

保険テラス渡辺 代表 渡辺文憲

 

中小企業経営者のLPを法人保険でどう支援していけばいいのか。法人税の通達改訂で混乱しているのは売り手だけで、当の経営者たちは目の前の事業に集中し、リスクも大きくなっています。市場は縮小していません。

[30代社長] 会社と個人と完全に分離して契約

[40・50代社長] 損金貯蓄型保険を全て分析・確認

[60・70代社長] 100歳まで生きるシナリオを組み立る

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC

Eノート活用法60  総資産価額は社外秘

税理士 池谷和久

 

経営者から「総資産価額」を聞き出すのは簡単ではありませんが、エンディング・ノートを一緒に作成していく場を設けられれば、決算書も見せてもらいやすいはずです。自然に聞き出せるような工夫が必要です。

 

7面 事業承継

 

エヌエヌ生命

「事業承継に関する調査」

 

9月、全国の中小企業経営者などを対象に調査。事業承継を多少なりとも考えている人に「誰に事業承継させたいか」聞いたところ「親族の取締役・役員」が約30%だったが「任せられるものはいない」が18%で、比較的多かった。

 

 

8〜9面 FP販売

 

まるっとわかる! FPサプリ

⑽ 事業承継と遺産分割の関係

フコクしんらい生命 丸山浩

 

自社株の贈与で後継者に親の財産が集中してしまうと、他の相続人との公平性が問題になります。「争族」にならないようにするにはどうすればいいのでしょうか? 「自社株の贈与と遺産分割」について解説します。

 

10面 仕組改訂

 

JA共済

「自動車共済」の保障、さらに充実

 

来年1月、農業者向けの保障拡大と、顧客のニーズが高い自賠責下積み保障を追加する。特に、自動車共済に関連して「車両新価保障特約」を新設する。これは、新車買替えニーズへの対応も図っている。

 

15面 採用

 

組織長への道

イニシャルと職域併用戦略で

 

組織長歴6年の徳永美佐子さんの育成法は、職域での活動では販売技術指導に重点を置くとともに、人間関係の構築を省略できるイニシャル人脈を、募集のマーケットとしてではなく、見込客情報の提供や紹介を依頼するための「協力者」として組織化するよう指導する。

 

[トピック]

 

「オンライン医療相談サービス」を全ての契約者に

アフラックは11月18日から、契約者向けサービスとしてメディカルノートの「オンライン医療相談サービス」を提供。対象も全ての契約者に拡大。

同サービスは、症状や治療方針に不安を抱える契約者の健康相談に対して、 専門医を中心とした医療従事者に、パソコンやスマートフォンなどからいつでも手軽に、直接質問ができる。利用方法は次のとおり。

①契約者専用サイトに登録・ログインして「オンライン医療相談サービス」にアクセス。

②月10回まで無料。

③一つの相談に対して、納得のいくまで何回でも質問可能。

これまで、同サービスは「アフラックの健康応援医療保険」の契約者に限定していたが、契約者向けサービスとして新たに追加した。

なお、今回のサービスの追加にあたって、契約している保険の保険料に変更はなく、手続きも必要ない。

メディカルノート社は、約2000名の医師や専門家の協力のもと、ヘルスケアプラットフォーム「Medical Note」を運営。 月間約2000万ユーザーが利用している。

 

DCセミナー向け講師派遣で業務委託

三井住友海上は、 三井住友DSアセットマネジメントと、企業型確定拠出年金のセミナー向け講師派遣に関する業務委託契約を結んだ。

同社を運営管理機関とするDC加入企業から、市場環境や投資手法に関連する専門性の高いセミナーの開催希望があった場合は、三井住友DSが専門スキルを有する社員を講師として派遣。三井住友海上はDC制度や取扱商品に関する説明を行い、両社で役割を分担して継続投資教育を実施する。

DCを導入した企業は、自社の従業員に対して、定期的に「継続投資教育」を実施することが DC法で義務づけられ、多くの企業は運営管理機関などの外部機関に委託している。

 

 

 

 

 

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