2019年9月6日 2926号

 

JA共済連 平成30年度事業概況

 

攻めと守りで事業基盤を強固に

 

JA共済連は7月25日、通常総代会を開催し平成30年度決算を承認。その後、記者会見を行い、事業活動および決算の概要を報告した。 前3カ年計画の総括、推進総合実績と保有契約の関係をどう捉えるか、エリア戦略の進捗状況、 ニューパートナーへのアフターフォローなどを聞いた。

 

建更が大伸展「生命」低調気味

 

 前3カ年計画(28年度~30年度)の遂行状況をどう総括するか。

柳井二三夫代表理事理事長(=写真) 事業推進では建物更生共済の改訂が功を奏して、建更が大きく伸びた。これが特徴的な3カ年だったが、逆にそれは課題でもあり、相対的に生命系が若干低調だった。

これを踏まえ、新しいJA共済3カ年計画(31年度~33年度)では生命保障を中心に事業基盤の回復をしたい。これを中心に据えた事業展開をする。

また、自己改革の中でJAの事務負荷軽減の取り組みを実施。ペーパーレス、キャッシュレスは順調にその占率を上げ、この3カ年で30%程度の事務負荷軽減はできた。この後も時間をかけながら、向こう6年ぐらいで50%を実現したい。

もう一点は健全性。自然災害の甚大化により支払いが増え、とりわけ30年度は大きな支払いがあった。長期の保障を提供する機関として、しっかりとした担保力の確保、とりわけ地震保険に加入していないので、単独でしっかりと支払いのできる体制を構築する。

内部留保に加え、再保険の拡大を計画的に進め、その結果、南海トラフ地震に対する担保力は整備できている。しかし、日本列島は複合的な災害が発生する地域なので、一つの災害の担保力の確保に止まらず、複数の災害が起こっても盤石な体制を固めたい。

 

保有ポイントも整備

 

 推進総合実績は8年連続で全国目標を達成したが

、新契約に偏った評価でもある。一方、保有契約高は2.8%減の252兆円(生命と建更の合計)とマイナス。推進総合と保有契約をどのように捉え、そのバランスをどう取っていくのか。

柳井 その年の事業量について長期、短期を横串に入れた「推進総合実績」に加え、新規契約の指標を立てている。これが重点施策目標。つまり、事業基盤に対してどれだけの取り組みをするか、という指標。推進総合実績と合わせて目標化しながら取り組む。

保有も重要な視点であり、内部管理指標として「保有ポイント」も整備。新契約の取り組みがどのような形で、保有として成果を挙げているかを検証しながら取り組みを進める。

足元の評価として、満期契約がとても増加していることもあり、新契約を取ってもなかなか保有が復元しない状況が続いている。

契約を獲得する攻め一辺倒の取り組みだけではなく、解約の未然防止や必要な保障に対する保全のアプローチを、日常的に実施することが保有に対して効果があり、新規の契約獲得にも効果がある。

新3カ年計画では攻めと守りの両輪での取り組みを掲げ、都道府県でこの両輪の展開を進めている。

 

 すべてのJAにエリア戦略を導入したが、進捗状況はどうか。成功事例の共有化は進んでいるか。

秋元雅博代表理事専務 エリア戦略の考え方は浸透しているが「推進の方策・目標・体制」の3つをしっかりと取り組んでいきたい。

ただ、高齢化、人口減少によって事業量は減少しているが、保障充足率は高まっているエリアもある。情報の共有化も進んでいる。

 

複数リスクの顕在化にも備える

 

 ニューパートナーの獲得が前3カ年の累計で120万人いるが、その後のアフターフォロー、クロスセリングなど、展開はどうしているのか。

秋元 既契約者の中からニューパートナーを見つけたり、こども共済、自動車共済の資料請求からつなげている。

3Q訪問活動で既契約者を回り「契約の状況について満足していますか」と質問しながら「こういうことも提供できます」とアフターフォローをする。契約世帯は約860万あり、3Q訪問活動では1年間に594万世帯なので、2年間で回りきれる。3Q訪問活動を通じて、新規に加入した人のアフターフォローも行う。

 

 30年度は自然災害が多発し、最終的な支払額は3092億。その影響もあり、危険差収支が大幅に減少して、基礎利益は2902億円減の4561億円となった。新たな時価ベースの健全性規制導入も検討されているが、健全性に対する取り組みは。

村山美彦代表理事専務 ERM委員会を設けて、国際基準よりも保守的な数値を持って対応している。JA共済のリスクで大きなものは自然災害リスクや地震リスク、それと金利などのリスク。これをウォッチしてストレレステストをしている。大きな地震があった後で金利低下や次の地震があったりするので、複数のリスクが顕在化しても大丈夫なように準備を進める。

 

 農業リスク診断活動では、前3カ年で28万件の実績があるが、この数字をどう評価しているか。

村山 この取り組みは始まったばかりで、十分な保障提供まで進んでいない。ニーズを聞きながら、リスクについてもお互いに啓発をし合う活動に取り組んでいる。

ここをしっかりやることで、保障にきちんと加入して安心して、農業に取り組めるように進めたい。

 

■ ■

〈平成30年度決算データ〉

①タブレット型端末機「ラブレッツ」を活用した「3Q訪問活動・あんしんチェック」に取り組む。3Q訪問活動の実施世帯数は前年度比8.6%増の594万8845世帯。前3カ年計画(28年度から30年度)の累計は1690万5554世帯。

②新規契約の獲得に向けた「こども共済資料請求キャンペーン」、未加入組合員などとの接点拡充に向けた「アンパンマン交通安全キャラバン」などを実施。ニューパートナー(新規加入者)は11・4%増の36万6947人。3カ年の累計では120万48人。

③推進総合実績は73億5299万ポイント。8年連続で全国目標を達成、目標達成

率は105.6%。

④JAの事務負荷軽減の取り組みでは、ペーパーレス契約割合が長期共済(生命・建更)81.9%、自動車共済が83.6%に達した。長期共済は前年度の74.0%から7.9ポイント上昇。

⑤農業者を対象にした「農業リスク診断活動」を実地。リスクチェック実施件数は17万7331件件で、前年度の2.1倍。3カ年では28万997件。

また、農業リスクに対する保障提供を共栄火災と連携して取り組む。「農業者賠償責任保険」の加入者は8.6%増の7706名「農業応援隊(食品事業者総合保険)」の契約件数は40.9%増の648件。

 

□お詫びと訂正□

本紙9月6日号1面のJA共済連「攻めと守りで事業基盤を強固に」の記事で、誤りがありました。お詫びして訂正します。

❶写真:「柳生代表理事理事長」→「柳井代表理事理事長」

❷1段目4行目:「柳生二三夫代表理事理事長」→「柳 井二三夫代表理事理事長」

❸3段目17行目:「柳生」→「柳井」

 

2面 消費者動向

 

チューリッヒ生命

「保障に関する認識」調査

 

チューリッヒ生命とオックスフォード大学によるこの調査では、老後の生活資金の不安、働き方の多様化、テクノロジーの進化による失業の可能性といった不安を、世代を超えて多くの人が抱えていることが浮き彫りになっている。

 

3面 海外事情

 

最新海外保険レポート

ニッセイ基礎研究所 松岡博司

 

米国の個人生保事業はじり貧なのだろうか。90年代半ばから金融危機の2000年まで、新契約高、新契約保険料は一貫して拡大した。金融危機でいったんマイナスに転じたが、2010年までに下げ止まり、以降、安定的に推移している。

 

5面 市場開拓

 

銀行での事業所開拓深耕指導法

社長との最初の面談時のポイント① 最初の目標

地域金融機関 営業課長 酒井薫

 

以前は融資が難しかった信用リスクの高い中堅先にまで渉外担当者が回るようになり、訪問を受ける社長の対応も、上から目線の強気のものが見られるようになってきました。どのように接すればいいのでしょうか。

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

連続贈与の難問を有効に解決

 

今回の事業承継税制改正で承継計画の届出件数が2900件となりましたが、年間2.5万社が廃業する実態からすれば少ないような気がします。二の足を踏む理由の一つとして連続贈与の難問を考えていきます。

 

8〜9面 FP販売

 

教えてFP相談室

⑸今だからコンプライアンスに則った募集

壽FPプランニング 代表 髙橋成壽

 

かんぽ保険の問題が大きく取り上げられていますが、顧客との間に実際どのような行き違いがあったのか。翻って、自分たちの活動は完璧と言えるのか。ニュースを他山の石として、全契約のご確認提案を実施します。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます

⑾消費税アップを話材に落とし込む

育成トレーナー 堀尾美佐子

 

保険セールスは一にも二にも情報収集の精度がものを言います。お客さまの本音を知ることできちんとご提案ができます。その核となるアンケートですが、テーマの設定と回答後のリアクションがポイントになります。

 

11面 新商品・サービス

 

ソニー生命

「無選択失効取消規定」を導入

 

契約が失効した場合に、一定期間内に保険料を払い込むことで保障が継続する規定。長年同社で契約を継続しながらも「保険料払込の失念」といった一過性の事情により保障を継続できない可能性もあることから導入した。

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

11月  4月の希望をもう一度胸に!

 

4月に打ち上げた夢やビジョンが色褪せたり、マンネリに陥っていないか。拠点長の情熱がなければ職員に対する動機付け、目標の共有化、活動計画なども形式に流れる。今一度、4月の希望を胸に刻み、活力のある集団にしていこう。

 

[トピック]

 

ネットによる保険申込手続き開始

ネオファースト生命は8月2日、インターネットによる保険申込手続きを開始した。

同社では、インターネットでの見積もり、資料請求を取り扱っていたが、保険の申し込みもできるようにした。対象商品は「ネオdeいりょう」「ネオdeいりょう 健康プロモート」 「ネオdeいちじきん」「からだプラス」の4商品。

なお、インターネットで申込みを検討する際には、コールセンターで質問や相談などを受ける。

 

「ダイドウハートライン」を導入

大同生命は、SNSを活用したメンタ ルトレーニングプログラム「ダイドウハートライン」を導入した。

メンタ ルトレーニングプログラムは、全国心理業連合会が監修し、アイディア社が提供するプログラムで「モチベーション向上」「パフォーマンス最大化」を目的にしている。

同プログラムの概要は次のとおり。

①利用者は、SNSで直接アイディア社のメンタルトレーナーに相談。

②相談・コミュニケーションを通じてメンタルコンディションを整え、モチベーションの向上、およびパフォーマンスを最大化。

③アイディア社は相談対応に加え、モチベーションの維持・向上に向けたプッシュ情報を定期的に配信。

同社は、これまでアイディア社によるメンタルトレーニングを「モチベーション向上」のカリキュラムとして、入社初期層の研修に導入。

今回「メンタルトレーニングプログラ ム」を企業として初めて導入した。

 

「東京海上グループ健康憲章」を制定

東京海上ホールディングスは「東京海上グループ健康憲章」を制定した。東京海上グループ全体の健康に関する社員行動規範となる。

同憲章では、社員の健康みならず家族の健康も重要という考えのもとで取り組みを推進。また、 健康増進に向けて社員主体的な取り組みと会社支援双方が必要であることを謳い「健康に関する取り組みはコストでなく、企業価値向上に資する投資そのもである」ことを明確にした。

そして、お客さまや地域・社会に対する健康面での支援によって「社会課題解決や健康で豊かな未来実現に貢献する」ことも宣言した。

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

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