2019年7月5日 2918号

 

日本生命グループ 18年度業績・19年度営業戦略

 

ANP、件数、保障額とも30%増

契約者配当 日生2年連続、大樹11年ぶり

 

しゃしん あさひとりしまりやくじょうむしっこうやくいん2018年度は中期経営計画の2年目として計画達成への道筋をつけるために、日本生命での新商品発売、大樹生命との商品相互供給のさらなる推進、ニッセイ・ウェルス生命との経営統合、はなさく生命の設立、RPAなど取り組みを進めた──。日本生命は5月24日、2018年度決算説明会を行った。朝日智司取締役常務執行役員(=写真)、原口達哉執行役員営業企画部長などが説明した。

 

連結業績は前年度に引き続き増収・増益となった。グループの保険料等収入は前年度比11.9%増の6兆692億円。基礎利益も4.5%増の7551億円。基礎利益は1999年の開示以来、過去最高益を確保。「好調な企業業績を背景に、国内株式の配当金が増加したことや、外国株式も株価上昇および配当金増加によって外国株式投信の分配金が増加した」と朝日取締役。

 

国内の保険料等収入は前年度比12.6%増の5兆8365億円と二桁伸展。うち個人保険・年金は18.4%増の4兆2429億円。これは銀行窓販の2.5倍という大幅増が主因。

 

チャネル別に見ると営業職員が3.2%増の3兆4728億円。日本生命の「だい丈ぶ」の商品相互供給によるグループを挙げた販売が奏功したことで増収を確保。特定重度疾病保障保険の「だい丈ぶ」は2018年4月に発売し、上半期で30万件を超える実績を上げた。

 

銀行窓販は253・6%増の7700億円。日本生命が昨年秋に商品改定をした「ロングドリームゴールド2」、円建ての販売再開、さらに、ニッセイ・ウェルス生命の新規連結による大幅増収となった。

 

団体保険は4・8%減の2934億円。2018年4月の死亡率改定による保険料引き下げを主因に減収。団体年金は0.5%増の1兆2319億円。

 

新契約業績は「経営者向け保険の販売減少はあったが、新商品、銀行窓販、ニッセイ・ウェルス生命の新規連結によって、年換算保険料、件数、保障額はいづれも増加」と朝日取締役。

 

特に銀行窓販は、年換算保険料が713.9%増の1903億円、件数が139.6%増の14万件、保障額が178.4%増の9401億円となった。金融機関数は299。

 

契約者配当では、日本生命が約340万件を対象に増配。個人保険・年金は2年連続での増配見込み。大樹生命も財務基盤強化を進めた結果、約5万件対象に実施。契約者配当は11年ぶり。

 

2019年度の業績見通しは、グループ全体で減収・減益を見込む。基礎利益は低金利環境が続く中、国内債券の利息収入の減収が見込まれ、銀行窓販販売増加に伴う販売手数料の増加も想定されことから減少を見込む。

 

不透明な法人、しっかり個人を

育成基準「見える化」で最長5年

 

Q 「プラチナフェニックス」の販売を停止したが、2019年度は法人マーケットにどのように取り組むのか。それとリテール戦略のポイントは。

原口 販売がいつ再開できるか不明なので、2019年度の法人営業の戦略をどのように立てるか、ということは未定だ。どのタイミングで販売できるようになるか、ということに応じて考えていく。

このように法人向けが不透明な中で、個人向け商品をしっかり販売していくことが大前提になる。4月に入院総合保険「NEW in 1」発売し、4月の1カ月で4万7000件の実績を上げ、手応えを感じている。「NEW in 1」を契機に個人領域でしっかり販売する。これが現時点でいちばんの戦略となる。

 

  営業職員チャネルの制度改定を実施したが、その最大の狙いは。

原口 全国2000万人のお客さまに、フェイス・トゥ・フェイスでしっかりとサービスを展開する、その主力は引き続き営業職員。人口は全体的に減少するが、日生のお客さまは急には減らない。

営業職員チャネルの陣容をしっかり確保して、さらに高いレベルでのサービスを提供することがとても重要になる。したがって、一人ひとりのスキルアップとサービスが提供できる在籍数、これを維持、拡大していく。これが今年度の課題であるし、2、3年の間でも最も大事なことだ。

その中で、今年度から営業職員チャネル制度を変えた。これまでの画一的な育成から個々人の状況や特性に応じてきめ細かく育成できるように変える。これがが大きな考え方だ。

 

 具体的には。

原口 入社後2年間を採用育成期間と位置付けていたが、個々人の成長状況を見ていく中で最長5年間にする。育成期間の柔軟化を図った。それによって一人ひとりのスキルを上げ、2000万人のお客さまにサービスを提供できる陣容を維持、拡大する、という趣旨で取り組む。

 

 5年間育成は大手各社が取り組んでいる。育成コストと5年間在籍することによる継続率との関連で、5年間育成はペイをするということか。

原口 単に育成期間を伸ばすだけでは意味がない。これまで机上教育中心だったが、より実践に即したロールプレイング型の研修を取り入れている。

また、3カ月間でこのようなスキルを身につけるだろう、という想定で育成体系を組んでいたが、具体的にここまでできる、ということを明確に基準化して「一つひとつのことのできる、できない」を見極めながら育成をする。2年間で見える化した基準に満たなければ、2年を超えた形で育成に取り組む。

一人ひとりの状況に応じた育成をすることで、長く在籍でき、スキルを身につけることがでる。それによって継続状況も改善し生産性も上がる、という全体感の中での取り組みになる。

 

2面 ライフスタイル

 

原稿用紙7枚! 毎朝「EJ」を発信し5000号突破

「作品型情報」でワンテーマ掘り下げ

平野 浩氏

 

22年前、部内でIT関連の技術情報を共有する目的で始めたものですが、退職後はテーマを政治や経済から科学、文化にまで広げ、精力的に執筆を続けています。保険会社OBのライフスタイルにスポットを当てます。

 

3面 動機付け

 

今日から使えるセルフモチベーション術

メンタルトレーナー 原 小百合

 

ヤル気、意欲というのは定点的なものではなく「変化域」があります。ヤル気不全の状況において、自分でできる意欲回復法が「裏目的の設定」です。3人のケースを紹介します。ポイントは将来につながるなどです。

 

6面 法人営業

 

法人営業舞台裏のレッスン帳

経営者の保障分析③

 

社長の勇退や万が一の備えに対し、注目したいのがオーナー夫人のリスクです。連帯保証人になっている場合、会社に負債があれば奥さまに返済義務が生じます。遺された奥さまの生活はどう守られるのでしょうか。

 

7面 育成

 

私が新人を育て上げます!

夏休み前の情報管理と提案スケジュール

育成トレーナー 堀尾 美佐子

 

7月はキャンペーン月の進行となり、会社が主催するイベントをいかに利用するかが見込客を増やし、成約へとつなげていく大切なステップとなります。では、どう誘えばお客さまが「参加したい」と思うのか。

 

8〜9面 FP販売

 

教えてFP相談室

老後資金2000万円不足問題

壽FPコンサルティング 代表 髙橋成壽

 

金融審議会の報告書に端を発した「老後資金の2000万円不足問題」が話題です。タカハシFP事務所でも老後資金についての相談が増えています。年金制度を整理し公助と自助をどう組み合わせるかを考えていきます。

 

10〜11面 決算

 

2018年度 生命保険各社決算

新契約ANP、全項目で10%超え

収入保険料  4.4%増加で33兆円

 

〈新契約〉

■個人保険

2018年度の個人保険新契約高は、対前年同期比(以下同じ)16.4%増の66兆7346億円だった。

大手では日本が32.7%増と大きく伸ばしたが、第一は44%減と大きく後退し、明治安田は7・2%減だった。住友は455%超伸展しているが、金額的には伸び悩んでいる状況。

中堅では、損保ジャパン日本興亜ひまわりが186・0%増、大同が39.9%伸ばした。

■個人年金

個人年金は10.4%増の5兆3027億円。日本は10.2%増で唯一1兆円を超えた。

第一フロンティアが11.3%増の7473億円で、金額では日本に次いでいる。明治安田42・6%減で1000億円を割り込んだ。

 

〈保有契約〉

保有契約高の増減率は対17年度末を表す。

■個人保険

個人保険の保有契約高は、0.5%減の848兆6900億円。保有契約10兆円以上会社は22社。うち、かんぽは1.2%増だが、日本、第一、住友、明治安田の大手4社は揃って2〜7%前後減少した。

■個人年金

個人年金は1.1%減の104兆3582億円。

日本は1.5%増だが、第一は0.8%減、住友は2.0%減、明治安田は4.0%減でだった。かんぽは2桁減少の15.1%減。

 

〈保険料等収入〉

保険料等収入(保険料・再保険収入)は4.2%増の35兆2051億円。うち保険料は33兆8811億円で4.4%の増加だった。1兆円以上は12社だが、4社が減少し8社が増加した。

〈資産運用関連〉

資産運用収益は2.7%減の9兆2065億円(うち特別勘定資産運用益は2761億円)。資産運用費用は16.7%減で2兆1325億円(うち特別勘定資産運用損は85億円)だった。

 

〈解約返戻金〉

18年度の解約返戻金の支払いは1.8%減の6兆2925億円。

(一覧表は下段にあります)

 

12面 拠点長

 

拠点経営のための活動指針

9月 安心感・納得感に自信は?

 

9月は上半期の締めくくり、11月戦に向けた態勢づくり。原点は既契約者の管理であり、組織づくり。キーワードは「安心感」と「納得感」。これをしっかりやることで、新しい展望が開けてくる。

 

14面 採用・育成

 

統率力と拠点経営 60

深い愛情が高定着率支える

 

在籍3名の組織を、約2年間で10名にまで拡大した横川園子さん。「仕事をしていて本当によかった」とこれまでを振り返る横川さんは、採用は「人間関係」ができている人に焦点を絞り、自信を持ってこの仕事に誘っている。

 

[トピック]

 

「バイモ」のスマホアプリを活用した実証実験を開始

住友生命とアビームコンサルティングは、スタートアップ企業「バイモ」が提供するスマートフォンアプリを活用した実証実験を開始した。

バイモのソリューションは GPS の位置情報を活用し、法人営業担当者の効率的な営業活動を支援する。加えて顧客企業や営業活動の情報の一元管理を通じ、営業活動の効率化や生産性の向上を図る。

また、人工知能によって営業担当者に最適な営業ルートや、行動を提案する機能も有しており、今後、実用化を視野に検証を予定。

今回の実証実験は住友生命が国内初。アビー ムコンサルティングはバイモの日本におけるパートナー。

 

人生100年時代におけるライフマネジメント

生保文化センターは「人生100年時代におけるライフマネジメント」研究会を発足した。

座長は西村周三前厚生労働省社会保障審議会会長、京都先端科学大学経済経営学部学部長。研究期間は2019年5月~21年3月。

同研究会では、20年~30年後の日本の社会について、行動経済学・社会保障・医療経済学・老年精神医学・社会心理学・保険論など学際的な観点から多角的な分析を行い、問題解決策を検討。加えて、それらの解決策に対し生命保険がどのように貢献できるのかも併せて検討する。

初回研究会は5月28日に生保協会で開催。2回目以降は、東京研究会および関西研究会でそれぞれ開催する。研究会終了後、6カ月以内に報告書をまとめる予定。

 

産学連携・クロスイノベーションに参画

アフラックは大阪大学大学院医学系研究科および医学部附属病院と「研究・事業化連携の推進に関する協定書」結んだ。

同研究科および付属病院は、医療・健康分野における企業・研究機関などとの連携強化、事業化の加速、社会活用の促進を目的に、国立大学医学部では初の産学連携・クロスイノベーションの推進組織を立ち上げた。

「産学連携・クロスイノベーションイニシアティブに参画し、医療・健康分野におけるサービス強化に向けた共同研究とともに、組織や分野を越えた多様な連携の推進、人材 の育成・交流、学術研究の振興などにも取り組みたい」という。

 

YOTSUYA TOWERに本社移転

朝日生命は本社機能を集約・移転する 。

移転先は東京・新宿区四谷の「YOTSUYA TOWER 」。移転時期は来年9月頃を予定。

現在、都内の大手町と代田橋(杉並区和泉)に分散している本社機能を集約して、業務の効率化、コミュニケーションの活性化を図る。

所在地は東京都新宿区四谷一丁目50番地 、地区名称はCO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)。入居階数は16 階〜20 階。

 

 

■2018年度 生保各社決算集計表について

〈ウェブ版では一部該当しない項目があります〉

①【会社名】:2019年3月末日現在。

②【増減率】:「保有契約」および「総資産」は17年度末比。その他の項目は前年同期比。

③【有価証券含み益】:売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものの差損益。合計は各社の単純合計。

④【合計金額】:「有価証券含み益」「基礎利益」を除き、生命保険協会「生命保険事業概況」より。

⑤【単位】:金額=億円(億円未満切り捨て)、ソルベンシー・マージン比率(SM比率)・増減率=%。

⑥個人保険および個人年金保険の新規契約件数には転換後契約の件数を含み、新規契約金額には転換による純増加金額を含む。

⑦特別勘定資産運用益欄のカッコ内数字は、特別勘定資産運用損を表す。

*664PX以上でご覧ください。

 

会社名(’19年3月末) 新契約 保 険 料 等 収 入
個人保険 増減率 個人年金 増減率   増減率
アクサ 14,909 -4.8 -6 - 6,079 1.9
アクサダイレクト 1,105 21.5 - - 49 16.7
朝日 1,590 24.1 -165 - 3,967 3.1
アフラック 2,548 -11.9 - - 14,310 -0.9
アリアンツ - - - - 15 1203.5
SBI 565 64.7 - - 92 11.8
エヌエヌ 17,986 -20.5 - - 5,382 13.1
FWD富士 21,833 172.1 - - 2,662 18
オリックス 23,589 34.1 - - 3,352 10
カーディフ 102 - - - 571 3.8
かんぽ 55,638 1.8 19 -34.2 39,599 -6.5
クレディ・アグリコル - - 65 -69.5 190 -38.3
ジブラルタ 38,370 8.7 276 -10.7 11,727 4.9
住友 14,974 455.9 3,738 -16.4 24,053 -4.1
ソニー 55,735 13.5 5,769 53.5 11,361 7.3
SLエイゴン 21 - 259 -48.3 543 -38.5
SJひまわり 42,443 186 - - 4,444 1.4
第一 11,711 -44 4,218 15.6 23,149 -0.3
第一フロンティア 11,518 47.5 7,473 11.3 18,760 16.7
大同 41,592 39.9 111 -52.2 8,280 4.7
太陽 11,403 -31.2 563 91.2 7,151 39.7
チューリッヒ 985 -54.9 - - 616 26.2
T&Dフィナンシャル 3,028 -14.3 113 673.1 1,278 -27.6
TNあんしん 34,154 -13.3 - - 9,067 -0.2
ニッセイ・ウェルス 1,509 -13.2 2,322 33.7 2,936 25.7
日本 69,212 32.7 15,081 10.2 47,751 6.4
ネオファースト 2,328 61.5 - - 1,811 636.4
富国 15,445 11.8 215 1.9 5,256 -7.3
フコクしんらい 708 197.1 6 -45.7 518 73
プルデンシャル 51,758 28.3 - - 9,081 5.7
PGF 3,999 -24.8 10 -80.6 3,911 -13.7
マニュライフ 13,054 -32 5,563 -7.6 10,602 12.3
三井(現大樹) 9,849 15.6 1,483 -13.4 7,677 10.5
MSあいおい 31,072 18.2 73 -28.8 5,201 5.3
MSプライマリー 7,399 -8.6 3,783 83.3 11,297 6.6
みどり 295 12.4 - - 86 14.8
明治安田 13,334 -7.2 936 -42.6 27,708 1.9
メットライフ 35,084 23.9 1,110 43.8 21,221 18.8
メディケア 1,507 -65.2 - - 355 21
ライフネット 3,419 85 - - 121 14.5
楽天 1,556 28.9 - - 297 -8
総合計 667,346 16.4 53,027 10.4 352,051 4.2

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

○掲載内容の複写などにつきまして

 当ウェブサイトのコンテンツを無断で複写等することはできません。

○ 掲載内容につきまして

 当ウェブサイトの掲載内容は精査をしていますが、これを保証するものではありません。

 ○個人情報の取り扱いにつきまして

 当ウェブサイトを通じて取得した個人情報は厳重に管理し、当社からの連絡・通知以外の用途以外には使用しません。

 

→プライバシーポリシーについて

 Copyright 2016 Hokensha. All Rights Reserved.