2019年4月19日 2908号

 

JA共済連・新3カ年計画重点取り組み事項

 

「生命回帰」でバランスよい総合保障へ

対象別に「仕組み・届け方・サービス」を

 

安心と信頼の「絆」を未来につなぐ~地域の暮らしと農業を支えるJA共済──。JA共済連は「平成31年度から33年度  JA共済3カ年計画」を明らかにした。3月18日に事前説明会を行い、20日の臨時総代会で承認した。

 

まず、新3カ年計画の基本方向について、次の2項目を打ち出す。

 

Ⅰ、組合員・利用者への保障提供の徹底した深掘りと新たなJAファンづくりによる強固な事業基盤の確保。

Ⅱ、(これを支える経営的な部分として)永続的な保障提供に向けた効率化を追求と健全性の強化。

 

この基本方向に沿った取り組み事項をまとめたのが「重点取り組み事項」。基本方向Ⅰに沿って、重点取り組み事項⑴と⑵がある。

 

⑴ は契約者数の確保に向けて、「生命保障を中心とするバランスのとれた総合保障の提供」に取り組むことの必要性を強調。

 

この背景には建物更生共済がある。2年前の大きな仕組み改定を10年ぶりに実施。早水徹経営企画部長(=写真)は「待ちに待っていた仕組み改定で、建更を中心とした保障提供が進んでいる。推進のマンパワーの関係もあり、生命が手薄になっている部分がある」と指摘。

 

さらに細かく3つのポイントを挙げる。

 

①地域特性に応じた推進・保全両面でのエリア戦略の強化と体制整備。

②対象者ごとのニーズに合わせた施策の一体的展開。

③保障提供の拡大に向けた推進力の強化。

 

この中で早水部長が強調するのが「推進・保全両面でのエリア戦略と体制整備」。

 

「支店単位では人口が減少し、高齢化が進んでおり、推進の一辺倒で施策を打っても実態に合わない。既契約を守るべきところはきちんと守る。『攻めと守り』をきちんと位置付けたエリア戦略を展開したい」

 

ニーズに合わせた施策の一体的展開にも力点を置く。対象者ごとにニーズが異なるので、ニーズに合わせた「仕組み・届け方・サービス」を含め、対象者ごとの展開も新3カ年計画の特徴。

 

⑵ では、JAの自己改革として「新たなJAファンづくりに向けた農業・地域に貢献する取り組みの強化」を挙げる。

 

「組合員・地域住民などの理解促進に向けた取り組みをもう少し強化したい。これまでもそれなりの効果を上げているが、自己満足では意味がない」と早水部長。

 

重点取り組み事項の⑶では、新しい技術の活用による事務の効率化、契約者対応力を指摘。デジタルテクノロジーの動きが予想を上回るスピードで進み、それを実務に取り入れる動きが活発化している。「これをやらないと、本当の意味で他より優れた保障・サービスの提供はできなくなる」と危機感を募らせる。

 

なお、新3カ年計画では、特別な項目として「中長期的な事業展開に向けた取り組み事項」を追加。今後の事業環境変化を見据えた検討に取り組むことを明記する。

 

「我々の事業をどう考えるか、ということを足元から検討を始めたい。連合会の中ではこの点を意識して検討する」と意欲を示す。

 

現3カ年で事務負担は3割削減

 

JAグループが自己改革を進めることに対して、共済事業はどのように後押しするか。早水部長はその全体像をこう説明する。

 

「連合会が事務・電算システムを見直したり、いろいろな手続きを見直して、事務負荷が軽減する施策を打つ。それから連合会の組織も見直し、支援強化のできる体制を組み、JAに出向き支援やサポートを強化する。

事務負荷軽減による余力を、各JAに判断によって契約者対応力の強化に充てるなり、それぞれが判断する自己改革に振り向ける。農業や地域の活性化では、各JA単独ではやりきれない部分もあるので、全国的な施策なり、地域・農業活性化積立金により資金も用意して後押しをする」

 

事務負荷軽減では、タブレット端末「ラブレッツ」で、ペーパレス、キャッシュレスの手続きを進めてきた。

 

その効果として、終身共済の新契約手続きが約30分から13分に短縮(12JAの平均値)。

 

新契約のペーパレス割合は生命共済で約77%、建更で約86%(31年2月現在)に達する。

 

自動車損害調査体制の業務分担見直しでは、326JAが体制移行(31年2月現在)し、33年度までに全県体制移行を終了する。

 

新3カ年計画の農業リスク分野の保障強化では、農業施設の大型化に対応して、建物更生の3億円を20億円に引き上げる。

 

JAの事務負担軽減については、次のような事務全体のイメージ図を示す。

 

共済事業を100とすると、事務が半分を占め、推進40.6%、管理9.4%の比率。さらに事務を100として、その内訳(27年以前)は長期・短期事務などが62.7%、集金・収納が16.3%、支払事務が21.0%。長期。短期事務などを現3カ年計画で約3割削減した。

 

今後の削減目標については、「JAの事業環境も厳しさを増しているので、その点にも貢献できるぐらいの削減まで行くにはどうすればよいか」と検討を進める。

 

地域・農業活性積立金は、実情に応じて活用され、30年上半期までに累計128億円の実績。新3カ年計画でも継続する。

 

農業事故の未然防止にも力注ぐ

 

現3カ年計画での農業経営に貢献する取り組みでは、農業リスク診断活動の実績は約28万件(28年4月~31年2月)。タブレット端末「ラブレッツ」の活用は30年度から全国で開始した。

 

「農業応援隊」は共栄火災の保険を活用した仕組みで、申込書1枚で賠償責任から経営管理までを保障提供できるのが特長。契約実績は37県本部494件(30年12月末)。「まだまだ十分に案内しきれていない部分もあるが、大規模な経営体、法人などにはヒットする」と早水部長。

 

労働災害保障制度の契約実績は360件(30年12月末)。「リスク診断活動をする中で、労災への意識が薄かったが意識が変わりつつある」。

 

新3カ年計画で特に力を入れるのは農業事故の未然防止活動。農業は事故の多い業種になっているという。JA共済連は膨大な支払いデータを持ち、これを活用することで、「ここは危ないとアラームを出せれば未然防止できる。新3カ年ではさらに少し力を入れる。組合員をケガをさせないことに力を入れたい」。

(3面に関連記事)

 

2面 保険流通

 

小倉・日車協連会長×上野・結心会会長

[対談]保険と協業し、いかに顧客を囲い込むか㊦

 

車を擦った、ぶつけたといったときにお世話になる鈑金・塗装。事故のときは損保会社が間に入ることが多く、ユーザーとの接点は限られています。このギャップを保険を通して埋められないのでしょうか。

 

3面 経営戦略

 

「推進・保全」でエリア戦略強化

JA共済連

 

3カ年計画の重点取り組み事項では「推進・保全両面でのエリア戦略の強化」を打ち出した。また、中長期的な事業展開の方向性として、「寄り添う、届ける、繋がる」というコンセプトを掲げる。デジタルイノベーションの動きも見据え、どのような事業体を目指すのか。

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

成年後見制度

社会保険労務士 園部喜美春

 

認知症や知的障害、精神障害などの理由で財産の管理や契約ができなくなった場合、ご本人の権利などを保護し守るのが成年後見制度です。今回は制度のあらましと利用するまでの手順を解説していきます。

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

成年後見制度からライフプランニング

 

7面との連動企画。2018年に成年後見制度の利用者は約21.8万人。制度利用の報酬を個人年金や介護保険で賄うだけでなく、何を大切に生きたいのか、その経済的裏付けもプランニングしていきます。

 

10面 新商品

 

日本生命

「NEW in 1(ニューインワン)」

 

従来の「総合医療保険」を刷新した商品。入院給付金の支払いは、日額方式ではなく一時金方式である点が特長。日帰り入院から支払われ、また、入院を伴わない外来手術や先進医療も保障する。

 

11面 新商品

 

大樹生命

「大樹セレクト  働く人応援ほけん」

 

この商品は、新特約「くらしエール」を付加し、2セレクト以上で構成された「大樹セレクト」の呼称。特長は、入院または所定の在宅療養が30日以上継続した場合、毎月給付金を支払う。病気やケガだけでなく、精神疾患も保障する。

 

12〜14面 特別紙面講座

 

高齢者住まいアドバイザー検定

監修・執筆 満田将太

 

介護保険や認知症保険が保険会社各社から続々と発売され、好調な販売実績を示している。「高齢者住まいアドバイザー」資格は、こうした商品の販売に大きな力を発揮する。ぜひ、この検定試験にチャレンジしてみよう。

 

15面 採用

 

組織長への道

拠点長に言うべきことは躊躇なく伝える

 

生保営業の最前線で営業職員を率いて日々奮闘している組織長。そんな組織長だが、一方で拠点長と営業職員の間にあって、人知れぬ悩みを抱えているケースも少なくない。そんな組織長にアドバイス。

 

[トピック]

 

企業主導型保育所の活性化に取り組む

日本生命は3月15日、グローバルキッズと業務提携し、企業主導型保育所の活性化の取り組みを進める、と発表した。

具体的には、企業主導型保育所のサービス内容や空き状況などを専用のサイト上にまとめ、 子育てと仕事の両立支援策を検討する企業に福利厚生サービスとして案内する。

第一弾として、グローバルキッズの「えんマッチ」を活用する。首都圏を中心に同社が支援する企業主導型保育所の空き状況を管理し、 企業の担当者が空き状況を把握できるもので、2018年6月からサービスを開始。

今後、全国の設置事業者や企業の参画を募りつつ、 今後の事業化を視野に入れた検討を進める。

また、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターと共同研究を進める。 企業主導型保育所に関する調査研究などに基づき各種情報提供や研修を行う予定。「保育の質の向上に資する取り組みを進めたい」という。

さらに、子育て世代の従業員に対して、各種子育て関連情報の提供を進める。ベネッセコーポレーションの 協力を受ける。

 

少額短期保険「Mysurance」が開業

損保ジャパン日本興亜は3月6日、少額短期保険会社「Mysurance」を開業した、と発表。資本金は12億5000万円。

Mysuranceは3月11日から、LINEのトーク上でメッセージカードと一緒に保険が贈れる「贈るほけん 地震のおまもり」の引受・提供を開始した。

なお、損保ジャパン日本興亜とLINEフィナンシャルは「LINEほけん」を共同開発しており、このシステムを活用したもの。

本店所在地は東京都新宿区西新宿1-26-1。社長は川上史人氏。設立は2018年7月。

 

アフラック・イノベーション・パートナーズ合同会社

アフラック・インコーポレーテッドは、「アフラック・イノベーション・パートナーズ合同会社」 を設立した。

新会社は、日本を含むアジア地域において、 インシュアテックやヘルステック、バイオテックを中心に、アー リーステージからレイターステージの成長ステージに位置づけられるベンチャー企業を対象に投資する。

また、投資先との協業によって、投資先及びアフラックのさらなる成長に寄与する保険以外の事業も創出する。

 

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