2018年10月12日 2883号

 

アクサ ダイレクト「後追い戦略」

 

働けないときの安心」の勝算は?

効率的な事業費構造の強み活かす

 

生命保険会社の商品開発にはどのような特徴があるのだろうか。

アクサダイレクト生命は9月12日、就業不能保険「働けないときの安心」を発売した。うつ病などの精神疾患もカバーするとともに、「満額タイプ」と「ハーフタイプ」を選択できる。ハーフタイプは傷病手当金を考慮し、働けない状態になってから1年半(540日)の給付金を半額にすることで保険料を抑えている。

就業不能保険は新しいマーケットとして新規参入が相次ぎ、すでに十数社が販売している。

 

同日には「保険商品ができるまで~就業不能保険を事例に」と題するセミナーを開催した。数理・商品開発部の田中正太マネジャーは、商品開発に3つ類型があるという。

 

①新規商品の開発

②後追い戦略

③既存商品のチューニング

 

就業不能保険「働けないときの安心」はまさに後追い戦略。アクサダイレクト生命にとっての後追い戦略について、田中マネジャーはこう指摘する。

 

「他社よりも少ない事業費で運営しているので、保障内容を揃えたときに保険料で優位を取りやすく、競争力を持ちやすい。効率的な事業費構造のメリットをいちばん活かせるのは後追い戦略になる。その意味で最もベーシックな戦略で、これまでかなりの部分を後追いでやってきた経緯がある」

 

就業不能保険の商品開発のプロセスでは、引受基準緩和型終身保険とトンチン年金の3商品に絞り込まれた。その中から就業不能保険を選んだ理由の一つに市場環境の変化を挙げる。

 

「大手も参入して、積極的に宣伝しており、業態の近いライフネットでも良く売れている。就業不能保険に対する認知も変わり、比較サイトのコンテンツも充実してきた」と田中マネジャー。

 

また、公的データとして全国健康保険協会の傷病手当金の実績を分析。「既存商品の支払い水準を予想して、先行社と戦える優位なポジショニングをとっても一定の収益が出るだろう。ある程度勝算が立つ」と判断。

 

傷病手当金は被用者保険の加入者が休業したとき1年半まで、標準報酬月額の3分の2を受け取る制度だが、「1年半を超えた先のデータがなく、超長期の部分には一定のリスクがある」と指摘。

 

さらに、精神疾患の保障は他社の事例が少なく、「精神疾患の有無でビジネスケース(データに裏打ちされた未来予想図)は大きく変わりそう」と読む。

 

なお、緩和型終身医療のビジネスケースは、通常の終身医療の件数ベースで10%~20%が相場と言われ、ビジネスケースの不確実性は小さいが、逆にいえば、通常の終身医療の20%が上限という側面がある。

 

就業不能保険がビジネスケースもいちば大きく、これが上手くいった場合の収益性はとても高い、と判断して就業不能保険を最終選択した。

 

ただし、後追い戦略にも懸念材料はある。田中マネジャーはこう強調する。

 

「いつまでも続けられず、新規商品のチャレンジは必要になる。コストの優位性、IT開発にかかるコストが少なく、失敗しても再度チャレンジできるという優位性を生かして、今後は新規開発にもっと積極的に取り組みたい」

 

商品開発3つの類型-メリットとリスク

 

■新規商品─大当たりするかもしれない

競争相手がいないので、大当たりするかもしれない。既存商品とのカニバリゼーション(共食い)を起こさず純増になる。新しいことにチャレンジしている姿勢が企業ブランディングに資する。

ただ、マーケットが無かったなりの理由があり、「外れ」の確率もかなり高い。開発コストをかけて、全く売れないとリスクは大きい。

考慮すべきポイントでは、他社に先駆けての開発によって得られる優位性はどの程度か、という先行者利益の評価がある。優れた商品を出したとしても、半年間は認可の期間もあり参入されないが、1年したら少しずつ参入して、2年したら先行者利益は消滅している。

 

■後追い戦略─先行事例を参考に最適化

今まで対応のできていないニーズに対応できることで収益は拡大する。一方で、先行商品との間でカニバリゼーションが起きやすい。アクサダイレクト生命が終身医療保険を出した時に、定期型の医療保険の新契約件数が半分ぐらいに落ち込んだ。既存商品との関係性を考えなければいけない。

成功事例があり、リスクや収益性がどのぐらいあるのか、先行事例を参考に開発でき、先行他社のスペックの長所を取り込める。狙っているセグメントの保険料を安くしたり、他社を参考にすることで最適化をしやすい。

考慮すべきポイントはどの商品、どの契約条件が競合上重要なのか、という見極め。競合社のスペックを見て、そこに対して勝算が立つのかどうかを考えながら、商品スペックを設計する。価格の安さがどのぐらい訴求できるか、という商品性や競合関係をきちんと考えないと、後追いして最適化したつもりでも、最適でないスペックになることもある。

 

■既存商品のチューニング─事前予測にはどうしても限界が

この理由として、①開発時の想定から外れた状況への対応②競合関係の変化③法令などへの対応の3つがある。

支払いが想定より多いときなど、事前予測にはどうしても限界がある。死亡率や入院日数はマクロトレンド的にどんどん低下するところもあり、当初は妥当な設定でもマクロトレンド的にどんどん変わっていけば、対応しなければいけない。4月以降の死亡保険の低料化も、本質的には死亡率のマクロ的な低下を反映している。

また、重要な競合社が保険料を引き下げてくれば、それなりに対応を考えなければいけない。逆に保険料を引き上げたときはどうするか。保険料を引き上げる商品は収益性もきついものが多いが、どう対峙していくか。

新法や法令改正への対応として、約款などの改定がある。喫緊でありそうな事例は民法改正で、18歳が成人になると、加入年齢の下限を20歳から18歳に引き下げることが求められる。

 

2面 保険流通

 

横浜・川崎地区代理店座談会 ㊥

顧客ニーズに幅広く応えて生き残る

 

同じ業務内容なら下がっていく損保の手数料。経営の主体をどう建て直すのか。鍵はいちばんの財産である、これまで築いてきた顧客との向き合い方。生命保険をはじめ、絞り込んだ商材に活路を見出す。

 

3面 動機付け

 

今日から使えるセルフモチベーション

問題解決の先にある可能性を示唆

メンタルトレーナー 原 小百合

 

部下から問題発生の報告を受けた際、上司としてどう対応していますか。ここでは、部下の力を引き出す面談フローとして紹介します。あなたも部下の状況に照らしながらチェックリストを進めてみてください。

【今回のセルフモチベーション術のポイント】

部下の力を引き出す面談フロー

①現状確認」→②理由の整理→③望む結果の明確化→④解決の資源→⑤将来の可能性

 

4〜5面 法人開拓

 

中小企業経営者のLPを法人保険で支援

(47)新事業承継税制の検討は具体的な対応段階へ

保険テラス渡辺 代表 渡辺文憲

 

今年1月からスタートした事業承継税制の特例。先日、この特例をきっかけにした契約を初めていただくと同時に、ご提案のプロセスでズレのあった親子の気持ちまで修復することができました。保険の力です。

 

7面 再保険

 

RGA  生保経営と再保険の役割7

石川禎久

 

再保険会社「RGA」ではこれまで、そしてこれからも数々の「未来志向」の生命保険を提案してきた。現在、生保各社がその開発と販売に注力している「健康増進(ウェルネス)プログラム」への対応など、時代の変化にあわせて再保険のビジネスも変化している。

 

8〜9面 法人販売

 

法人FPの教科書

解約返戻金にとっての税務①

税理士 井上得四郎

 

「一定期間災害保障重視型定期保険」が売れています。大手生保では販売額が3000億円といわれ、1件300万円の保険料とすると10万件です。通達改定の時期到来か。きな臭い雰囲気が漂い始めました。

 

10面 新商品

 

富国生命

「メディカルHOPE」

 

企業・団体向けの医療保険で、従来の「医療保障保険(団体型)」の保障を大幅に拡大した。保障の型は、「がん入院倍額型」「基本型」「入院限定型」の3種類で、入院給付金は入院初日から支払う。保険料は従来の約4割〜8割。

 

14面 採用育成

 

実践!営業所経営

優良契約をいかに生産するか

 

ここが3場所目の宮脇所長。かつては「入れれば後は何とかなる」である程度成功していたことから、新任地でもこれを実践。ところが結果は「大量脱落」。この危機を宮脇所長はどう克服し、4年連続年責達成を実現したのだろうか。

 

15面 拠点経営

 

営業職員のパワーを上手に引き出す

自分なりのビジョンを「高く、強く」

 

新任の拠点長は不安で一杯。初陣だけに「何をどうしたらいいのか」「オレに拠点長が勤まるのか」。何はともあれ頑張るしかない。そんな試行錯誤をしながら頑張る新任拠点長に、ベテラン支社長から珠玉のアドバイスを送る。

 

[トピック]

 

生命保険協会設立110周年記念式典

今年で設立110周年を迎えた生保協会は、来年2月25日に「生命保険協会設立110周年記念式典」を開催する。

会場は東京・内幸町のイイノホール&カンファレンスセンター。時間は14時~17時。

「設立110周年を契機に、次の10年そしてその先の未来を見据え、こうした諸取り組みを通じた社会課題の解決などに向けて、業界として果たすべき役割について、同式典などを通じて積極的に情報発信していきたい」という。

 

7月豪雨で5.5万件・1657億円の支払い

損保協会は9月20日、6月から9月に発生した地震・風水災害にかかわる保険金の支払い実績を発表した。

大阪北部地震=11万4632件・866億円(9月10日現在)。都道府県別では大阪府の9万9627件・749億円が最も多い。

平成30年7月豪雨=5万4914件・1657億円(9月12日)。火災保険が2万5609件・1300億円、車両保険が2万4806件・272億円。

平成30年台風21号=事故受付件数は48万5659件、うち火災保険が40万3014件。

北海道胆振東部地震=同1万2279件。

 

生体認証を活用したスマホアプリを提供

日本生命は9月から、生体認証を活用したスマホアプリの提供を開始した。 同アプリでは次のような生体認証によるログインが可能となる。

iOS :Touch ID にて「指紋」、Face ID にて「顔」でログイン可能。

Android:「Polarify アプリ」と連携することで、「指紋」「顔」「声」でログイン可能。

生体認証の導入によって、パソコンやスマホからマイページにログインする際に必要なお客様 ID、暗証番号(パスワード)などの入力が不要となる。

このような生体情報を用いた認証の導入は業界で初。また、同アプリでは手続きが簡単に利用でき、 契約者が利用できる「契約貸付」の手続きからサービスを開始し、 順次搭載機能を拡充する。

 

70 歳以上の契約者向けに「ユニボイス」提供

コープ共済連は、「ご契約のお知らせ」に2018年度から「UniーVoice(ユニボイス)」を導入した。対象は長期契約の「あいぷらす」「ずっとあい」に加入している高齢契約者(70 歳以上)。

ユニボイスは、日本視覚障がい情報普及支援協会が開発した音声コード。無料アプリで二次元コードを読み取ると、テキスト表示と音声の読み上げができ、保存するといつでも再生が可能。

視力の低下により通知物の小さな文字が判別できない、あるいは判別が困難な場合でも、「契約内容を的確に把握・確認できるようになり、契約者サービスの向上を図れる」という。

 

バンカシュアランス

◇太陽生命

三菱UFJ銀行=「100歳時代年金」。「長寿生存年金保険」と「終身生活介護年金保険」を組み合わせたもの。金融機関での円建・平準払いのトンチン型年金は初めて。9月25日。

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

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