2018年8月17日 2876号

 

稲垣生保協会長が取り組む重点項目

 

「ソサエティ5.0」でも役割発揮を

ESG投融資のレベルアップ図る

 

110周年を迎えた節目の年、キャッチフレーズは「Greate a Brighter Future~安心と希望に満ちた未来を切り開く」──稲垣精二生命保険協会会長(第一生命社長=写真)は7月20日、協会長就任の記者会見を行った。

 

このキャッチフレーズには「人生100年時代、デジタル社会の到来により、働き方や生き方が変化する時代を安心と希望に満ちたもの『明るい』・『輝く』未来としていく」という考えが根底にある。これを踏まえ、次の4点の取り組みを推進する。

 

❶人生100年時代を見据えた金融リテラシーなどの教育推進。

❷人生100年時代を見据えた医療・介護分野における自助のあり方についての検討。

❸デジタル社会を見据え、お客さま利便性のさらなる向上などに資する取り組み。

❹機関投資家としてのさらなる役割発揮に向けたESG(環境・社会・ガバナンス)投融資のレベルアップを図る。

 

金融リテラシーなどの教育推進では、「金融リテラシーなどの教育機会の継続的な提供に向けて、業界が一丸となって進められる仕組み作りについてを検討したい」と稲垣協会長。

 

また、新社会人、若年層をターゲットにYou TubeやSNSへの展開も視野に入れ、金融リテラシーなどを楽しく学べる動画コンテンツの制作も検討。

 

デジタル社会における顧客利便性の検討では、医療データや行政データの利活用による保険金支払いなどの効率化や重要な通知の確実な提供を挙げる。単身世帯の増加や高齢化の進行を見据え、「こうした仕組みの構築は重要だ」と強調する。

 

もう一つ指摘するのが医療ビッグデータを活用した商品・サービスの開発を通じた健康寿命延伸への貢献。

 

稲垣協会長は「生保業界としてもSociety5・0を支える基盤として、利便性向上につながるサービスの提供を行う必要がある」と強調。

 

ESG投融資では、生保協会内に「ESG投融資推進ワーキンググループ」を新設する。

 

各社の取り組み事例の共有化や先進的な取り組みを行う投資家グループのベンチマークを通じて、生保業界のESG投融資のレベルアップが狙い。また、生保協会内に「SDGs推進プロジェクトチーム」も設置。

 

株主価値向上ワーキンググループは「スチュワードシップ活動ワーキンググループ」に名称を変更。現状の取り組みをより明確化する観点から変更するもので、「引き続き株式市場全体の活性化につなげるていけるように取り組みたい」という。

 

創立110周年の行事では、『110年小史』を作成しており、今年12月に刊行する予定。シンポジウムの計画もある。

(関連記事2面)

 

データの利活用で利便性向上目指す

加入率低下の若年層に「空白地帯」

 

Q 生保協会は創立110周年を迎えるが、協会長としての基本的スタンスは。

稲垣 よりロングスパンの業界発展を見据えて、「Society5・0」という政府の大きな方向性の中で、利用者コストを下げていくような行政データ、医療データの開放など、腰を据えて中長期的な取り組みをスタートさせたい。

 

Q  では、「Society5・0」における役割検討はどのような内容か。

稲垣 生保業界として、マイナンバー制度の利活用を複数年、行政に働きかけている。ただ、個人情報保護の問題があり、越えなくてはならないハードルは高い。個社で取り組んでいる住所変更の追跡などに、その情報が開放されると、業界の事業コストが下がることで、利用者コストを下げることにつながる。

医療データについては、センシティブ情報なので壁は高いが、これが開放されると、保険金・給付金を支払う時に、被保険者が同意すれば、網羅的にどのような医療を受けたかについて、アクセスが可能になると支払い漏れの可能性も低くなる。そのように可能性は非常に大きい。

「Society5・0」の中で、保険業界が担える部分は大きい。これはチャレンジだが、業界として様々な提言ができればいい、というフェイズだ。

 

Q  SDGs(持続可能な開発目標)推進プロジェクトを設置するが、生保協会としてどのような役割を担うのか。

稲垣 そもそも生命保険事業は社会保障の補完という位置づけで、SDGsの目的と近いものが本業であり、親和性が高い。「適切な保障を届ける」という意味での金融リテラシー教育をしっかりと行い、国民生活の安定を生命保険面からサポートすることが大きなミッション。

加えて、持続可能な社会の構築に向け、長期の事業資金を提供できる担い手として、より環境に優しい、あるいは社会にインパクトを与える投資など、SDGsそれぞれのテーマについてベストプラクティスを共有することが、SDGsに直結する取り組みになる。

 

Q 金融庁は顧客本位の業務運営を実現する行動規範として、「ルールベース・アプローチ」から「プリンシプルベース・アプローチ」に変えている。この流れをどう受け止めているか。

稲垣 「ルールベース」から「プリンシパルベース」にという大きな流れが、ここ数年図られてきた。プリンシパルベースは生保自身が自分たちのロジックでコントロールして、それを金融庁が確認する、フォワードルッキングな行政になっており、対話型行政は非常に望ましい。

 

Q  若年層の加入率低下に対する対応は。

稲垣 特に若い世代は「簡単に簡潔にわかりやすいもの」への志向がやはり強い。では、ネットで積極的に保険を購入しているか、といえば実績はそうではない。フェイス トゥ フェイスのチャネルは敬遠するが、自分で購入するまでには至らない。そこに空白地帯があるのかもしれない。

生命保険の販売は潜在ニーズを掘り起こしていくコンサルティングなので、やはりフェイス トゥフェイスのヒューマンなコンサルティングが引き続き主要な販売チャネルであり続ける。

 

2面 生損保協会長

 

生保協会・創立110周年迎える

損保協会・第8次中期基本計画

 

稲垣精二生保協会長は、「安心と希望に満ちた未来を切り開く」をキャッチフレーズに3つの活動に重点的に取り組む。西澤敬二損保協会長は、第8次中期基本計画を踏まえ、初年度は「4つの柱」に即した重点課題に対応する施策を業界一丸となって進める。

 

3面  少短

 

少短協会2017年度事業報告

会員会社に役立つ協会活動

 

日本少額短期保険協会は6月6日に開催した通常総会で、「2017年度事業報告」について承認した。少額短期保険業ができて12年目を迎えた昨年度、協会が業界のさらなる発展を目指して取り組んできたこととその成果について紹介する。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC 235

エンディングノート・活用法㉙

全株を生前贈与しても税金はゼロ

税理士 池谷和久

 

新しく創設された「事業承継税制」で、自社株にかかわる部分の相続税がゼロとなる道が開かれましたが、今回は「贈与税ゼロ特例」について、どのように手順を踏んでいけばいいのかをみていきます。

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

「高等学校就学支援金制度」

最大月額24,750円を支給

社会保険労務士 園部喜美春

 

全日制、定時制、通信制の国公私立の高等学校だけでなく、要件をクリアすれば高専、専修学校、各種学校も支援金の対象となりますが、保護者の地方税額によっては対象から外れるケースもあります。

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

「平成29年簡易生命表」からライフプランニング

 

健康に留意し余命をコントロールしたい

厚生労働省が「平成29年簡易生命表」を公表しました。男性の平均寿命は81.09年、女性は87.26年です。男性の4分の1、女性の半数が90歳まで生きる時代に、私たちが支援できることを考えていきます。

 

10面 新商品

 

住友生命

「たのしみグローバル(指数連動プラン)」

 

アメリカ子会社であるシメトラ社のスキルを活かして開発した業界初の外貨建インデックス年金。指定通貨は米ドルと豪ドル。毎年の指数上昇率に応じて、年単位の契約応当日に指定通貨建てで積立金が増加する。

 

11面 新商品

 

三井住友海上あいおい生命

「&LIFEガン保険スマート」

 

「保障を拡大しガンに〈かしこく〉備える」を謳う終身ガン保険。ガン診断給付金は、1年に1回を限度に何度でも支払う。保険料払込期間の解約返戻金をなくすことで、保険料は従来より割安となった。

 

15面 拠点経営

 

拠点経営総集編

長寿時代だからスタートは遅くてもOK

 

拠点経営の肝はなんといっても「採用と育成」による組織の拡大だ。ところがこの「採用と育成」がなかなかうまくいかない。そこで今回は、まず「採用」について、どうすればできるかについて、いくつかの成功事例を紹介する。

 

[トピック]

 

アフラック・イノベーション・ラボ開設

アフラックは8月1日、「アフラック・イノベーション・ラボ」を開設した。

新規事業推進部とデジタルイノベーション推進部を「アフラック・イノベーション・ラボ」に移し、フィンテックおよび新規事業の推進拠点として活動を強化する。

同社は2016 年4 月、「事業開発室」を立ち上げ、スタートアップ企業との協業をはじめ、さまざまな事業の検討、実現に取り組んできた。なお、現在の名称は「新規事業推進部」。

また、今年1月には「デジタルイノベーション推進部」を新設。総合的なデジタル戦略の企画・立案を担うチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)の下に設け、デジタル技術の研究・活用に取り組んできた。

同ラボの所在地は東京都港区南青山3ー1ー31 NBF 南青山ビル4F。スペースは482.7㎡。人員は新規事業推進部が20名、デジタルイノベーション推進部が18名の合計38名。

「ワークスペースやアジャイル型の開発手法を取り入れるなど、 従来型のワークスタイルから大きくシフトチェンジすることで、イノベーティブな事業ならびに組織横断のプロジェクト活動の拠点としたい」という。

なお、同社は8月1日付で「国際情報室」(部格)を新設した。

 

データサイエンティストなどを育成

三井住友海上は、東洋大学情報連携学部(INIAD)と提携し、専用の研修プログラム「MSデジタルアカデミー」を創設した。デジタル事業創造人財やデータサイエンティストなどの即戦力人財の育成が狙い。

同プログラムはIoTの先駆者である坂村健 氏(東京大学名誉教授)が学部長を務めるINIADのハード面、ソフト面双方のリソースを活用し、社員が専門的な知識や技術を習得する機会の創出を図る。 同アカデミーは次の3つコースを開設。

「ビジネスデザインコース」=デジタル事業創造人財を育成。

「データサイエンティストコース」=多種多様なビジネス課題にハイレベルな分析業務を遂行。

「ビジネスデータサイエンティストコース」=データ 分析手法を理解し、販売系データの分析業務を遂行。

今年度は3コースで約200名が受講予定。

「今後も外部の知見を活用した人材育成プログラムを通じ、デジタライゼーションの取り組みを推進していきたい」という。

 

「ジャスト」が約4カ月で30万件

第一生命は7月17日、「ジャスト」の販売件数が30万件を突破したと発表。

3月22日に発売し、1カ月で10万件を突破し、過去最速のペースと言われているが、約4カ月で30万件も突破した。

加入者を対象にしたCS調査によると、加入の決め手は「自分に合った商品内容」 「保障範囲の広さ」「健康診断書などを提出するだけで受けられる保険料割引」の3項目という。調査は6月6日~18日実施。5月から6月に加入した人。有効回答612名。

ジャスト 30 万件突破を記念して、8月3日から「新商品ジャスト 30 万件突破記念キャンペーン」を実施している。

なお、「ジャスト」は必要な保障を組み合わせて加入するタイプで、ラインナップは死亡、三大疾病、介護、医療など17種類。「健診割」は死亡、三大疾病を保障する商品が対象。契約時には、健康診断書などの提出とは別に健康状態の告知が必要となる。

 

支払保険金は442億と789億

損保協会は7月23日、大阪北部地震の地震保険の支払保険金、7月27日には平成30年7月豪雨による災害にかかわる支払保険金をそれぞれまとめた。

大阪北部地震=件数は6万463件で保険金は442億7535万円(7月17日時点)。このうち大阪府は5万3219件・約390億円。なお、事故受付件数は10万9277件。

7月豪雨=件数は4万7875件で保険金は789億2774万円。

 

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