2018年7月27日 2873号

 

富国生命グループ

18年度営業戦略・17年度業績

 

第三分野 収益基盤を安定的に下支え

新契約業績 保障性の年換算保険料は堅調

 

しゃしん さくらいとりしまりやく「個人保険について6年連続の増配を実施。2018年の料率改定により、保険料を値下げしたことをふまえ、改訂前の契約に対して予定死亡率の差相当を還元し、改定前後で公平性を確保した取り扱いをする」

 

富国生命は5月28日、2017年度決算報告を行い、櫻井祐記取締役常務執行役員(=写真)は社員配当についてこう述べた。増配額は41億円で、有配当契約の7割にあたる272万件に割り当てる。2012年度からの6年間累計の増配額は98億円。

 

新契約高(フコクしんらい生命と合算)は前年度比22・9%減の1兆3341億円。新契約年換算保険料も50・6%減の163億円。予定利率引き下げの影響で貯蓄性商品の販売減少や、一時払商品の売り止めなどが主因。

 

なお、第三分野の新契約年換算保険料は、0・2%減の78億円。「新商品発売効果のあった前年同期の水準を維持するなど、保障性商品の年換算保険料は堅調に推移した」と櫻井取締役。

 

販売件数を見ると、主力の「未来のとびら」は前年度比2・9%増の16万105件、「医療大臣プレミアエイト」も0・2%増の17万7550件。また、2011年5月に発売した「就業不能保障特約」は累計で46万件。

 

保有契約高(2社合算)は前年度末比2・1%減の27兆9777億円。「貯蓄性商品の影響により、縮小傾向にあった減少幅は若干拡大したが保有契約高の反転増加に向けて引き続き取り組む」。

 

保有契約年換算保険料も前年度末比2・2%減の5692億円。第三分野は1・5%増の1124億円となり、保障性商品が堅調に推移し、安定した収益基盤の下支えとなっている。

 

銀行窓販は、一時払終身を2017年7月から信用金庫チャネルで再開したが、57億円(初回保険料ベース)と前年度の約九分の一まで縮小。

一方で保障性商品の件数は前年度の1611件から3802件と大幅に増加。うち定期保険(取扱金庫数68)が1277件、医療保険(同57)2525件。

 

「利息及び配当金」25年ぶりの高水準

 

富国生命の資産運用では、「これまでの自己資本の充実度をふまえ、適切なリスクテイクにより安定した収益性を維持するための取り組みに注力してきた」と櫻井取締役。

 

為替ヘッジコストの上昇を受け、収益性が低下したヘッジ付外債の残高を圧縮し、相対的に金利水準の高いオーストラリアドル建て、カナダドル建て債権を中心に通貨分散を図りつつ、オープン外債を積み増した。

 

利息及び配当金等収入は、外国公社債積み増しによる利息の増加や、好調な企業業績を受けた内外株式配当金の増加により、9・9%増加の1548億円と、1992年度以来25年ぶりの高水準となった。

 

資産運用高度化の取り組みでは、社債運用に強みのある米国投資顧問ペイデン&リゲル社と提携し、外国社債運用の一部委託を開始。超低金利環境の長期化に備え、より収益性の高い資産を2017年度から5年間で5000億円積み増す方針で、初年度は約1200億円積み増した。

 

基礎利益(富国単体)で利息及び配当金等収入が増加したことで、9・6%増の974億円、2000年度の開示以来最高。

 

基盤対策 ホールセールとの連携で成果

 

Q 2018年度のリテールの戦略のポイントは。

櫻井 貯蓄性商品は、今の金利状況では伸びていかないだろう。営業職員が「未来のとびら」「医療大臣プレミアエイト」を一生懸命に販売することで、収益性を維持したい。それによって営業職員の販売力が高まることは、長い目で考えると会社にとってもプラスになる。

堀川拓営業企画部課長 昨年度から貯蓄性商品は厳しい状況で、今年度も状況は変わらないだろう。主力販売の対策として昨年度に引き続き、成績計上を引き上げている。

それと陣容を維持することも非常に重要なことで、昨年度から企業主導型保育所との提携を進め、入社時の就業環境を整えている。全国に約2000カ所あり、うち231施設と提携し、利用している営業職員は135名。さらに利用実績は積み上がるだろう。

また、保育支援手当として、未就学児を対象に月5000円、認可外保育所についても1万5000円の手当を上乗せしている。

 

Q 基盤面では官公庁を中心とした職域募集が強いが、新しい基盤対策は。

堀川 昨年度から力を入れているのがホールセールとの連携。企業の福利厚生保険の販売に取り組んでおり、契約が取れると、そこに営業職員が出入りできるケースもある。団体保険と個人保険との連携による取り組みを強化する。

 

Q 今年4月、「認知症診断給金付介護保障定期保険特約」を発売したが、信金業界初のこの特約をどのように販売していくのか。

フコクしんらい生命総合企画部・大河和之グループ長 関心も高く、着実に広がっている。定期保険の特約で付加しているので、すでに定期保険を導入している信金は継続して取り扱うことができるので、追加研修ということで販売のしやすさがある。

付加率はだいたい3割程度。9月から公文教育研究所と提携した認知症啓発セミナーを地方で開催する。地域貢献を含めて、この商品を伸ばしていきたい。

 

Q インターネットとの連携、損保のクロスセリングなどの状況は。

堀川 いろいろなサイトに学資保険を掲載して、営業職員につなぐというスキームだが、学資保険が低迷しているので、ネット活用は少しよくない。

損保とのクロスセリングでは共栄火災の代理店になっているが、2017年度で収入保険料も24億5600万円と着実に伸び、自動車保険を販売して、その世帯に生命保険をお勧めするクロスセリングを展開。27年度の新規の自動車保険は4800件、生保につなげられたのが1300件で、2年間でのクロスセリング率は約26%。今後も推進を強めていきたい。

 

2面 保険流通

 

どん底で辛酸を舐め、地元での再起誓う(前編)

㈱ネクサス 大谷克憲氏

 

保険ショップチャネルの創生期に水戸で開業した。紆余曲折を経て現在4店舗を構える。直販部門も含め地元・茨城での営業展開にこだわる。前編では狭く・深くの戦略が軌道に乗るまでの物語を紡ぐ。

 

3面 マーケティング

 

新・消費者心理を探る

ニッセイ基礎研究所 井上智紀

 

学資保険・子ども保険は、低金利環境下では必ずしも魅力のある商品とはいえないようですが、加入者は加入時期によらず安定的に加入者全体の3~5%程度を占めています。では、加入者にはどのような特徴があるのでしょうか。

 

4〜5面 保険市場

 

保険は誰にどのように利用されるのか

⑿介護保障分野の私的準備状況は

ブレークオンスルー 代表 小山浩一

 

介護に対する私的準備には2つの「不確実」の問題をクリアにする必要があります。すなわち〈期間〉と〈金額〉です。実際の準備状況はどのようになっているのか、現状を確認していきます。

 

6面 法人営業

 

実践!法人契約獲得のケーススタディー

報酬が定められている介護事業

奥田雅也

 

数年前、介護事業を法人化し順調に売上は伸びているのに、なかなか利益が出ず、資金繰りもよくありません。報酬が国によって決められている中にあって、家賃や複数加入している生命保険が負担になっていました。

 

8〜9面 活動確認

 

ランクアップチェックシート

事業承継税制の全体像を押さえる

 

本紙連載『法人営業 舞台裏のレッスン帳』との連動企画。事業承継税制の改正を受け、自社株相続の環境が大きく変わりました。保険セールスの現場として押さえておくべき全体像を解説していきます。

 

10面 新商品

 

T&Dフィナンシャル生命

「長寿プレミアム」

 

据置期間中の災害死亡保険金を、一時払保険料の100%に設定。また、普通死亡保険金、解約払戻金を一時払保険料の70%に抑制することで「トンチン性」を高め、年金原資を増加させる。一時払保険では業界初。

 

11面 新商品

 

アクサ生命

「スマート・ケアwith You」

 

従来の「OKメディカル」になかった3つの特約を追加した医療保険。契約前からの持病(既往症)の悪化・再発による入院・手術も保障する。また、特約を付加することで「入院治療一時金」を受け取ることができる。

 

15面 少短決算

 

2017年度少額短期保険業界の

決算概況

 

日本少額短期保険協会は2017年度少額短期保険業界の決算概況を発表した。保有契約件数と収入保険料はいずれも前年比で110%を超え、協会に加盟する少額短期保険会社は前年比で9社増えて97社となっている。

 

[トピック]

 

「お客さま」「デジタル」「業務改革」からなる三本の矢

マニュライフ生命は6月19日、2018年度からスタートする3カ年の「中期経営計画」を公表した。

同計画では、「お客さま」を中心に「デジタル」そして「業務改革」からなる“三本の矢”を策定し、「これらの三本の矢がまとまって一本の矢となることで、お客さまに常に寄り添い、変わりゆくお客さまのニーズに応えたい」という。

各項目の主なポイントは次のとおり。

①お客さま=NPS(ネット・プロモーター・スコアおよびシステム)やカスタマー・パネルを通じてお客さまの声を収集・分析。商品開発、マーケティング、営業・販売、契約保全・支払請求からなるバリューチェーンにお客さまの声を反映し、よりニーズに応えられる商品とサービスの提供。

②デジタル=複数のデジタルチャネルで一貫したシームレスなお客さま体験を提供、高度なお客さまデータ分析を行い、データに基づいた経営判断のサポートなど。

③業務改革=コンサルティング力を高めるのと同時に、コンプライアンス意識を強化・徹底、マニュアル業務の自動化、働き方改革のさらなる推進など。

 

給付金支払査定でAI活用実証実験

TISは、大同生命の給付金支払査定業務でのAIを活用する実証実験の支援を行った。

実証実験の概要は次のとおり。

①2017 年10月~2018 年2月までの約5カ月間。

②給付金支払査定業務における過去の入院との因果関係の確認業務。

③大同生命から支払履歴データ(個人情報除く)の提供を受け、AI モデルを構築。

AI による判定結果の正解率が約 90%となり、目標を上回る結果を得られた。大同生命はこの成果を評価し、給付金支払査定業務へのAIの導入を決定。

支払査定を支援する AI は、大同生命から教師データとして過去 2 年分の支払履歴データの提供をうけ、TIS のデータサイエンティストが構築した。

TISは今後、この成果を活用した「AIサジェストサービス」としてサービス開発を進め、2018年10月から他の保険会社へも提供していく予定。同時に、大同生命の業務における本格利用に向けて引続き協働する。

TISは、AIに関する技術・知識と、システム構築・運用の実績で培った企業の業務プロセス・システムの理解を組み合せ、課題解決に向けた各種ソリューション・サービスを提供している。

 

契約後の各種手続き問合せにAIチャットボット

チューリッヒ生命は、AI技術を用いた対話型自動応答システム(AIチャットボット)の利用を6月20日から開始した。主に契約後の各種手続きに関する問合せが対象。

従来のコールセンターでの対応に加え、AIチャットボットが24時間365日、自動かつスピーディに回答。これにより、今まで問合せができなかった夜間および日曜・祝日の時間帯は、AIチャットボットが対応する。

また、平日のチャット営業時間内では、AIチャットボットから有人チャットにシームレスに切り替え、さらに詳しい問合せ対応も可能。

さらに、コールセンターに多く寄せられる一般的な問合せには事前に回答を準備し、スピーディに適切な回答をする。適切な回答ができない場合には、オペレータが直接、質問に回答するチャットサービスに切り替えて利用することもできる。

 

 

 

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