2018年6月8日 2867号

 

明治安田生命 2018年度資産運用のポイント

 

投資財源 65%は「可変枠」で機動的に

「サスティナビリティ」にも注力

 

しゃしん やましたとりしまりやく国内は3300億円で3カ年計画に対する進捗は約40%、海外が2400億円で、約30%──明治安田生命は4月24日、2018年度資産運用計画の説明会を行った。山下敏彦取締役執行役副社長・資産運用部門長(=写真)が説明した。

 

同社は昨年4月に「クレジット投資部」を新設し、クレジット投融資態勢を強化した。

 

「超低金利環境の中で、少しでも利回りを向上しようということで、資産運用改革を昨年度から始めた。その一つとして取り組みを開始した」と山下取締役。

 

国内では発行体の信用力に留意しつつ、AT1債、ハイブリッド債、TLAC債、証券化商品などへの投融資を通じて、高利回り資産の積み上げに注力。

 

海外クレジットについては、昨年6月から海外公募社債の投資も開始し、先進国を中心としたプロジェクトファイナンス、証券化商品などへの投融資、アウトソースの活用などによって、高水準の利回りを確保できる良質な案件に厳選して投資した。

クレジット投融資の投資額は3カ年計画累計で、国内が8000億円、海外8000億円の合計1兆6000億円。

 

2017年度の実績は、国内が3300億円で3カ年計画に対する進捗は約40%、海外は2400億円となり、約30%という状況。

 

「やや低めの進捗率だが、計画に沿ったもので順調に推移」と山下取締役。2018年度も引き続き高利回り資産の積み上げに注力する。

 

また、「サステイナビリティ投融資」も2017年度から開始。3カ年計画で累計5000億円の投資を予定し、持続可能性に貢献する投資として環境、地域・社会、エネルギー、経済の4分野を挙げる。初年度は1500億円の目標に対して、実績は約2000億円と着実に進捗。

 

2018年度も1500億円を目標に、山下取締役は「融資、出資、ファンドなどの様々の投融資形態の取り組みを通じて、資産運用手法の高度化、多様化を進めたい」という。

 

17年度実績 外債残高は6900億純増

 

2017年度一般勘定資産残高(速報値)は37兆7000億円。うち安定収益資産(国内貸付、円建債券)が21兆6300億円(構成比57%)、価格変動資産(株式、外国株式等、外貨建債券、不動産など)は14兆6800億円(同39%)。

 

外貨建債券の残高は決算取引を除いたベースで約6900億円純増、うちオープン外債は約800億円増加、ヘッジ付外債が約6100億円増加。オープン外債は第4四半期に円高局面で積み増した。ヘッジ付外債も海外金利水準を考慮して、主に第4四半期に重点的に積みました。

 

2018年度の投資財源は約2兆5000億円を見込む。投資財源は保険収支に加え、債券の償還、貸付の返済、利息配当金収入など、手元に入ってくるキャッシュのこと。この配分は次のとおり。

 

①約20%を国内・国外のクレジット投資に配分。

②約15%を国内貸付、国内外の株式に配分。

③残りの財源は二つの「可変枠」を設定。

 

可変枠の一つは内外金利、為替水準に応じて円建債券とヘッジ付外債に効果的に配分。もう一つは円高や株安などの局面を捉えて、オープン外債や国内株式に配分する。

 

ヘッジ付き外債については「ヘッジコストなどを考慮したトータルリターンで見て、円建債券との比較で妙味があれば積み増しを行う。ここに投資財源の約5割を当てるが、円建債券はやや増加、ヘッジ付き外債は増加の計画だ」という。

 

また、オープン外債と国内株式につては、「それぞれのリスクを見極めつつ、配分の調整を行い、収益を積み上げていくことを目指す。オープン外債は投資財源の15%を当てる。やや増加の計画だ」。

 

クレジット投融資 積極的姿勢を内外に発信

 

Q 二つの可変枠は、どのような状況になると、減らしたり増やしたりするのか。

山下 可変枠のそれぞれ主要な資産として2つ指摘したが、国内債券を買える状況が来れば、可変枠の一つは円建債券にかなりのウエートを置いていくことになる。

しかしそれは、見通しからいってもかなり厳しい。20年、30年の国債の金利が上がったときに、一部投資をすることはあるかもしれないが、大きくこの可変枠の中で、円建債券に投資をすることは、この見通しの下ではなかなか難しい。

株式とオープン外債はリスク係数が若干違う。国内株式に投資をしたほうがリスクは多くカウントされる、やや円安、株価はやや上昇という見通しを持っているので、その都度の相場を見ながらよさそうなほうに投資をする。

 

Q クレジット投融資に力を入れているが、良質な案件をどうすれば取れるのか。

山下 積極的に投資をします、という姿勢をいろいろな局面で対外的に発信することによって、いろいろな案件情報が集まってくる。苦労をしながらこの1年、いろいろな案件を持ってきたり、投資をする経験を初めてした。1年を振り返ると、これからも積極的に取り組んでいくことがかなり理解され、それが次の案件につながっていく。

 

Q いつごろ販売した商品の予定利率が、特に運用の重しになっているのか。それが解消するまでにどのぐらい時間がかかるのか。

山下 もっとも予定利率が高かった頃、特に個人年金については容易に解消しない状況の中で、それに対応する責任準備金を追加で積むという対応をこれまでに数回している。責任準備金を追加で積み、ある程度緩和した上で全体的に低くなっている。

 

Q オープン外債は増やす計画だが、為替変動リスクへの対応は。

山下 為替もかなり高いリスク係数になっている。ある時点で全体のリスクを見る中で、自ずとこれ以上為替リスクは負えないところは出てくる。これは耐久力との比較で、内部留保が増加するなど耐久力が増せば、また為替リスクを取っていける。リスク管理部門と話をしたり、ストレステストをしながら、ある程度は取っていきたい。

 

2面 保険流通

 

3年先の生き残りを掛け今やるべきこと

結心会・上野直昭会長に聞く㊤

 

5月末に新著を上梓。激変の渦中にある保険市場をどう捉え、どう進路を取ればいいのか。「10年先は見通せませんが、3年先に生き残っているために今やらなければならないことを網羅しました」。

 

3面 年金

 

年金の意味、年金制度の見直しの動向

定社会保険労務士 遠藤忠彦

 

年金の話題が最近、多くなってきた。見直しの時期が近いからである。公的年金の理解の難しさの原因は、制度の見直しが常にされ、制度が複雑だからである。そこで、年金の意味と役割、その上で最近の見直し動向についてQ&Aで概観する。

 

6面 法人開拓

 

エンディングノート・活用法㉔

遺留分の損害金を生命保険で賄う

 

次期社長の長男が遺留分の〈損害金〉を支払うことで次男が納得すれば、株式を渡す必要はなくなります。お金で解決するためには、長男が遺留分の〈損害金〉を支払うだけの財力が必要となります。

 

8〜9面 法人販売

 

法人FPの教科書 退職金⑽

損金算入額の根拠

税理士 井上得四郎

 

何を基準に退職金を支払うべきなのか。①必要な退職金額か? ②遺族のための退職金か? ③損金算入限度額か? ④会社への貢献に対する支払いか?この4方向からの「見え方」は違いすぎます。

 

10面 新商品

 

三井住友海上プライマリー生命

「あしたの、よろこび」

 

通貨選択型でトンチン性を高めることで年金額を増やせる米ドル建て・豪ドル建ての個人年金保険。「楽しみながら生きる」を謳う。終身年金と確定年金があり、終身年金には死亡時保証型で3種類がある。

 

12面 拠点長

 

成長拠点のメソッド 50

頼れる自分の補佐を作ろう!

 

拠点長はまず何でも一人でやろうとしないこと。そのためには優秀な補佐を意識して育てること。一方、非協力的な職員に対しては、そのキャリアと能力を尊重・評価し、拠点の経営に参画させる。

 

14面 採用育成

 

実践!営業所経営

採用は普遍的なポイントを重視

 

「入れたら落とさない」ためには、まず第一に厳選採用。採用にあたっては、決して甘言を弄せず、入社後は厳しく育てる。そして、「組織ぐるみ」での育成ができる環境を作ることだ。

 

15面 拠点経営

 

「拠点経営」に関する方法論

拠点を魅力ある職場にするためには

 

拠点経営成功の要諦は、何よりも「働く場」である拠点を魅力ある職場にすることだ。そのためには、まず経営者である拠点長が変わる必要がある。「変わる」ために小さなことから取り組んでみよう。

 

[トピック]

 

保有契約数が7万件突破、死亡保険が増加けん引

SBI いきいき少額短期保険は5月11日、2018年4月末時点の保有契約数が7万件突破、と発表した。

2013年にSBIグループに入り、その後の増加率は毎年度20%前後で推移し、保有契約は急速に増加した。

なお、 2015年3月と2018年3月の保険種類別の保有契約件数を比較すると、増加要因の9割以上は死亡保険。

死亡保険保有契約の男女別・年齢別構成比を見ると、60歳以上は全体の82%に達し、男女別では全体の69%が女性 。

昨年 9 月に新発売したペット保険は、インターネットからの申し込みを中心に保有契約は3月末で1338件となった。

 

KUMONと認知症啓発セミナー開催

フコクしんらい生命保険は、公文教育研究会(KUMON)と認知症啓発セミナーの開催などに関して業務提携を行う。

同社は、高齢者の脳機能の活性化と認知症の進行抑止・改善および予防の取り組みに関するKUMONの経験・知見を活用し、信用金庫(257金庫と提携)と共にセミナーを開催。

さらに、KUMONが展開する「学習療法」と「脳の健康教室」を同社の契約者などに推奨する。新たな保険商品・サービスの開発への活用などについても検討を進める。

KUMONの「学習療法」は認知症の維持・改善効果だけでなく、それに関わる介護施設職員の成長や学習者の家族との信頼づくりができる。

「脳の健康教室」では「教室」が認知症予防の効果をもたらすだけでなく、高齢者の新たな「仲間づくりの場」「地域の通いの場」の役割を果たす。

なお、同社は2018年4月、認知症診断給付金付「介護保障定期保険特約」を発売した。

 

「インテグレート・アフリカ」の債券に投資

富国生命は、アフリカ開発銀行が発行する「インテグレート・アフリカ」をテーマとする債券に投資した。投資額は49億2000万円。

同債券はアフリカ開発銀行が世界で初めて発行するもので、同社は発行債券の全額を購入。

同債券によって調達された資金は、「インテグレート・アフリカ」、すなわちアフリカの統合を促進することを目的としたプロジェクトへの融資案件に活用される。

 

 

 

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