2018年6月1日 2866号

 

第一生命 2018年度資産運用のポイント

 

インフラなど実物資産に力注ぐ

外債は39カ国・23通貨まで拡大

 

インフラ分野をはじめとして、実物資産領域に継続して力を入れる──第一生命は4月23日、2018年度上半期運用方針説明会を行った。重本和之運用企画部長(=写真)が説明。

 

まず環境認識として、重本部長は「世界的にも堅調な景気を見込んでいるが、1年以上先には、過去のデータから景気後退が示唆される時期に入ってきた」と指摘。

 

それを裏付ける米国のデータとして、コアCPI(生鮮食品を除いた消費者物価指数)が実質GDPから6四半期遅れて上昇する傾向を踏まえ、今後、GDPに沿って上昇すると、米国でもコアCPIが上昇して、2%を超えると見込まれ、「その中でFRBによる利上げ、年3回の利上げを見込んでいるが、将来の市場変動制の上昇が予想される」。

 

また、米国の雇用と景気後退局面の関係では次のように説明。

完全雇用の達成から実際に景気後退までに入る期間が1970年代以降、平均で33・8カ月程度で、今回の景気回復局面も完全雇用の達成からすでに20カ月が経過。「一年強で、景気後退局面に入る可能性がある」という。

 

そのような見通しの中で、収益力強化とリスク分散の観点から資産分散の強化を真っ先に上げる。ここ数年来取り組んでいるテーマだが、これは対象拡大と新規分野投資の二つから成る。

 

一つ目は外国債券における投資対象の拡大で、39カ国・23通貨になった。2009年度は19カ国・8通貨だった。

 

二つ目の新規分野投資は、伝統的資産とリスク特性が異なるインフラ分野をはじめとして実物資産領域で、18年度も継続して力を入れる。

 

17年度は特にインフラ分野で初のメザニン案件となる、トルコ共和国・病院整備運営事業プロジェクトに100億円を投資。

 

また、実物資産では、海外不動産を26年ぶりに再開。流動性を考慮し、さらに少額でも物件の分散投資ができる「ファンド・オブ・ファンド」の形態を取り、投資額は100億円。

 

さらに、不動産オフィス価格もだいぶ上がってきたことを背景に、オフィスから物流施設、食品スーパーなどの生活密着型のエリアへに投資を拡大した。

 

予兆管理  深層学習、ビッグデータも活用

 

将来変動に備えた予兆管理では、次のような予兆管理モデルを活用する。

 

マルチアセット=リスクオフ予測モデル活用、代表的な31の金融資産からリスク許容度を定量的に予測。

 

国内金利=金利上昇予兆管理、定量(金利上昇確率)、定性(38項目97指標)両面による判定。

 

クレジット=米国デフォルト率予測モデル、GDP・景気先行指標など8つの説明変数による将来予測。

 

「各資産の急変リスクを定量的にモニタリングする。足元では深層学習、ビッグデータという新しい技術を活用して、予兆精度の向上を志向している」と重本部長。

 

ESG投資もこれまで通り積極的に推進する。17年度からインパクト投資も開始。これまでにマイクロファイナンス運営企業、国内ベンチャー企業4社に投資した。

 

その取り組みが評価され、今年3月、環境庁「21世紀金融行動原則」で「環境大臣賞」(総合部門賞)を受賞した。

 

20年物 30年物 金利1%の可能性高くない

 

Q 投資対象の地域分散では39カ国・23通貨まで拡大しているが、どのような国か。

重本 資本規制のない国の通貨はほとんど入っている。ここからさらに国と通貨を拡大しようとすると、何らか特殊な現地のカストディを雇ったりしないと、ここから先はだいぶ厳しいエリアになる。

ギリシャとポルトガルには投資していないが、ポルトガルは投資できるようになってきた、と考え復帰させた。

一方で、ハンガリーも投資対象に追加。ただ、39カ国を常時保有しているのではなく、足元で言えばロシアは保有しづらい、という事情がある。あくまでも投資対象を拡大して、選別投資をする。

 

Q 超低金利で円債の投資ができなくなり、過去3年ぐらい運用高度化に取り組んでいる。どのような成果を挙げているか。それと2018年度の運用環境は過去3年と比べ、生保にとっての厳しさは変わらないか。

重本 新規投資分野は2017年度で1500億円。1500億円なので、これだけで30兆円の利回りをドンと上げるのは不可能だ。運用高度化の中でオープン外債、ヘッジ外債、海外クレジットを含めて、外債エリアで投資対象を拡大してきたことはそれなりの効果があった。

日本はマイナス金利で、10年国債はゼロにフィックスされているので、その先のイールドカーブが20年、30年のところですごくスティープすれば、生保としての運用は円金利で負債のデュレーションに合わせるという一番シンプルな運用手法に回帰できる。

足元、そのような状態にないので、残高はそれほど大きくならないが新しいエリアにできるだけ取り組むことと、外債の国も通貨も増やし、できるだけ工夫して取り組むしかない。

一方で、運用だけでは限界があるのではないか、という議論はある。そうなると長期に負債をどうしていくのか、という議論は別途ある。

 

Q 仮に物価が1%を超え、20年物、30年物の金利が1%に近づくシナリオをどの程度持っているか。

重本 物価が1%をちょっと超え、しばらく定着できる程度であれば、そこそこに起こり得るものだと思う。問題はその時に20年物、30年物の金利が、日銀の政策変更を織り込んで1%を超えていけるか、ということだろう。

残念ながら物価が1%をちょっと上回った程度では、日銀はおそらく政策を変更することはないだろう。日銀は「物価上昇率2%」と言い切っているので、少なくとも1.5%を超え、それなりに2%に近づいていきそうな数字にならなければ、政策変更はできないだろう。

そこまでこないと、20年物、30年物の金利が1%を超えるという可能性はそれほど高くない。ただ、なって欲しいが…。

 

2面 再保険

 

RGA 生保経営と再保険の役割6

一定条件で自動出再しコスト下げる

 

出再するにあたって、1件ずつ再保険会社が査定するのは手間がかかるが、あらかじめどの範囲まで再保険で引き受けられるのか分かれば、自動的に出再できる。これを「アドバンテージプログラム」という。

 

3面 トンチン

 

共同体から資本による生活扶助へ

慶應義塾大学大学院 理工学部特任教授 山内恒人

 

トンチン年金は死者の残余財産を生存者で再配分するという仕組みで語られます。原型トンチン年金については、資本の設定によって個人が結び付けられるという近代的な生命保険の素地が生まれた、という歴史的評価があります。

 

4面 中小企業開拓

 

開拓するための基礎知識

中小企業のインバウンド対策と外国人雇用

行政書士 石井亜由美

 

観光客として、また労働力として、今後も増加が見込まれる外国の方々とうまく付き合っていくにはどうしたらいいのか。後者で言えば、まずは就労の要件を満たしているかの確認から始まります。

 

5面 市場開拓

 

白地だらけの市場を開拓

⒁店舗窓口での声掛け時のポイント

メイン化のため、店舗での声掛け

地域金融機関営業課長 酒井薫

 

早く用事を済ませたいと考えている方が殆どですので、商品やサービスを勧めれば「余計なことは言わずに早く処理しろ」という苦情にも繋がります。どのように声掛けをするのがいいのでしょうか。

 

7面 育成

 

杉ちゃんと恵ちゃんの紙上出張トレーニング

⑼言い換え話法とイメージを作っていただく

杉本恵子

 

三大疾病・七大疾病と診断され一時金が受け取れることを説明する場合、対象となる疾患や2回目以降の給付金の有無、課税関係などと併せ、高額療養費の払い戻しについてもお話していますか?

 

8〜9面 FP販売

 

ゼロからの法人開拓物語

⑷自治体営業の基本を抑える

寿FPコンサルティング 髙橋成壽

 

巨大な「官公需」マーケットから法人契約のきっかけをつかむにはどうしたらいいのか。まずは「自治体営業」のルールとペナルティを確認し、特殊な世界であるがゆえの立ち振る舞い方を学びます。

 

10面 新商品

 

損保ジャパン日本興亜

「親子のちから」

 

近年、要介護認定者が増え、子が親を介護するケースが多い。このため、親の介護のために離職する人も増えている。この商品は、「仕事と介護の両立」を支援できる業界初の商品。

 

11面 販売状況

 

販売好調の生損保

「新契約・保有」更なる伸展は?

 

新契約や保有が順調に伸びている会社が、声高らかにその好調ぶりを公表している。今回、生損保合わせて4社ではあるが、その数字を紹介した。ただし、4月以降に公表した会社の公表時点の数字である。

 

 

[トピック]

 

DCサポートアプリを企業に提供、初めて

明治安田生命は2018年9月、確定拠出年金情報提供アプリ 「DC@MY(ディーシーアットエムワイ)」の提供を開始する。運営管理機関として、事業主(企業)や加入者 (従業員)をサポートするアプリを提供するのは業界初。

確定拠出年金法改正が2018年5月施行。これまで配慮義務だった「継続投資教育」が努力義務となり、加入時はもちろん加入後も、加入者が資産運用について十分理解できるよう、必要かつ適切な投資教育を行なうことが求められる。

「DC@MY」は「情報」「把握」「実行」「学習」の4つの視点からサポートするアプリで、それぞれの内容は次のとおり。

情報=加入者の年齢や運用割合、市況変化をふまえたメッセージを配信。 また「安定的」「積極的」といった運用例をシミュレーショングラフで表示 。

把握= 加入者の保有している運用商品の内訳・残高・運用利回りの確認が可能 。

実行=運用商品ごとの評価益目標を設定し、達成状況を通知する機能を搭載。 拠出金の配分変更・資産のスイッチングといった加入者の行動をサポート。

学習=加入者が自学自習で、投資関連知識を習得できるコンテンツを格納 。

 

がん経験者支援プラットフォーム

アフラックは、「がん経験者支援プラットフォーム」を立 ち上げる。

第一弾として、今年夏にガン経験者同士が多種多様な情報を交換ができるコミュニティサイト(専用 SNS )の提供を 開始する。

同プラットフォームの3つの機能・テーマは次のとおり。

①仲間を見つける=つながる、つぶやく、まとまる。

②記録する=身体、こころ、治療・服薬

③情報収集=生活、仕事、お金

今回、プラットフォームを立ち上げる背景について、「ガンの治癒率が向上するなど、ガン治療中の方々をはじめとするガン経験者を取り巻く環境が大きく変わるなか、ガン経験者自身の身体、こころ、お金、仕事に関する不安や悩みなど、さまざまな課題が新たに認識 されるようになってきた」という。

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

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