商品認可制度は、個人的な意見として、開発担当者が保険商品に対する考えを深めるインフラになっている│アクサダイレクト生命は3月22日「生命保険に関する規制と商品開発」と題するセミナーを実施した。田中正太数理・商品開発部マネジャー(=写真)は、商品認可制度の意義をこう指摘し、商品認可で金融庁が求める4つの論点を挙げる。
①公平性│性別、年齢、人種、保険に詳しい人とそうでない人の公平性、加入経路などいろいろな切り口がある。
②公序良俗│保険契約は働かずにお金を受け取れる契約なので、どうしても公序良俗の問題を生じる。赤の他人の命や財産に保険をかけることは、何がいけないのか。保険は博打と何が違うのか。
③分かりやすさ│きちんと分かりやすい商品性にしなけらばいけない。これは表面的な話ではなく、かなり高いレベルを求められる。
④健全性│受け取った保険料で保険金、解約返戻金などを支払えることが大原則。まず、適切な基礎資料をもとに正しく発生率などを設定するという、妥当性の論点。
まず、公平性については、保険業法第5条第1項第3項の「保険契約の内容に関し、特定の者に対して不当な差別的取り扱いをするものではないこと」を挙げ「不当な」という部分がポイントという。
こんな事例を挙げる。 年齢別保険料率は一種の差別的取り扱いになるが、これは認められている。職業による危険選択では、同社の死亡保険の場合、格闘家やレーサーは入れないが、これには統計学的な妥当性がある。
EUでは男女別保険料率が廃止された。統計を見れば疾病率、死亡率などのかなり明確な男女差があり、男女別保険料率の設定がある種の差別なのか、といろいろな意見が戦わされたという。
では、公平性をめぐり、商品認可のプロセスはどのように進めるのか。
「社会的な容認可能性や統計学的に妥当であることは大前提だが、不当に差別的ではないというのはかなりフワフワした概念なので、当局とのコミュニケーションの中で、『この商品性なら許されのではないか』と、商品性との見合いの中でコミュニケーションをして、認可を取ることになる」
公序良俗については「偶然の事象による経済的な損失に対する補償」という正当な目的で、保険が使用されることを商品設計の段階で担保する。損保には「保険利得禁止の原則」があり、生保では過剰な給付にならないか、被保険者の範囲などの議論が必要になる。
トンチン性年金で、当局に相談したケースを挙げる。大手生保の解約返戻金は30%削減されるが、これをゼロにして、40歳男性が加入して、満期の85歳まで生きていたら、給付水準が保険料総額の1・5倍になる商品性を打診。回答は「ちょっと賭博になっているのでは……」。
販売されている生存型のトンチン性年金は、超低金利のために70歳満了ではほとんど増えない。
「そもそも今の時代の長生きとは何か。男性なら平均余命が80歳を超えている中で、90歳を超えたところから長生きではないか、という気もして、満了年齢を高めに設定した。そこまで生きた人の生存者総取りは、ほとんど博打では、と言われた」
分かりやすさは、契約者の理解と密接な関係にあり、きちんと分かりやすい商品性をが求められる。これは表面的な話ではなく、かなり高いレベルを求められる。
たとえば、無解約返戻金型商品、低解約返戻金型商品において、解約返戻金がないことは分かるが、それだけではいけない。解約返戻金がないことはどういう意味(責任準備金の没収)か、ということまである程度「理解させましょう」と当局は要求するという。
第一分野の無解約返戻金型商品について、同意書の取得に加え、しおり・重要事項説明書・約款での説明など、特別の説明処置が求められ、厳しい規制が引かれている。ただし、第三分野はここまで求められていない。
分かりやすさの追求と、契約者がどうすれば読んでくれるか、というジレンマも抱える。
「丁寧な説明をしようとスペースを割いても、契約者は読んでくれないという問題もあり、どのような説明をすれば分かってもらえ、本質的な理解をしてくれるのか、かなり難しいところがある。長々書くことが顧客説明ではない。このあたりのバランスの取り方は悩ましい」
健全性については、保険料で保険金、解約返戻金などを支払えることが大原則であり、まず、適切な基礎資料をもとに正しく発生率などを設定するという、妥当性の論点。
死亡保険については業界としての実績があり、それを使用して算出すればそれほど間違えることはないだろうが、第三分野商品では、新しい給付や公的データがあまり充実していない領域に踏み込もうとすると「そもそも妥当な発生率は何かということから始まり、これがなかなか難しい。第一義だが簡単ではない」という。
また、商品認可の中でどこまで健全性を担保できているか、という問題については「認可のプロセスよりは、標準責任準備金制度、ソルベンシーマージン規制などの財務に関する規制のほうが、健全性を担保する上では本質的に機能している」と指摘する。
最後に田中マネジャーは商品認可制度の意義をこう強調する。
「認可を取るとなると、4つの論点についてすごく考える、そのプロセスを通じて『そもそも保険とは何か』『どうしたら契約者を保護するのか』『契約者の利益は何か』などについて考えを深めるインフラになっている。これは各社共通だろう。社会的な意義を持ったインフラだ」
本紙で連載中の『杉ちゃんと恵ちゃんの出張紙上トレーニング』の筆者である杉本恵子さんを司会に、首都圏と中部地区で活躍する現役組織長2人を招き、新人育成のポイントやノウハウ、仕事上の悩みについて語ってもらった。吉田光恵さん(仮名45歳)は入社15年で組織長歴11年、藤宮純子さん(仮名 43歳)は入社16年で組織長歴13年と、ともにベテランだ。3回目の今回は育成の理論と現実の使い分けを、現場の知恵と経験を通して語ってもらう。
杉本 同行指導ではどんなところに気を遣っていますか。
吉田 出しゃばらないように傍から見ていて、必要だなと思うときに、ちょっと間に入って「一箇所だけ教えて下さい」とアドバイスするとか。案件に基づいた同行もしますが、それより大切なこととして、職域に行ってどう動くかです。職域は大きな所も小さな所も含めて、たまたま中に入れないときは「お客さーん」と声を掛けて、簡単なアンケートを取ってみせたり、そういうことは机上の研修でもやるのですが、やはり現場でやらないと取れるようになりません。そして同行で大切なのは道中の時間です。プライベートなことなど色々と話します。
藤宮 お客さまとの会話の「間」の取り方は気にして見るようにしています。聞き過ぎる子もいるから、このタイミングで切り上げたほうがいいといったときに、会話に割って入って引き取るなどサインを出します。ただ、ご提案は本人にきっちりとさせます。そこらへんを調整しないと頼りきりになってしまいます。
吉田 ただ「上司が来る」と言うと、お客さまはたいてい嫌がりますので「話がつかえたりしたときのために、ちょっと先輩を連れてきます」って、この話法も教えて、同行先でも空気を乱さないように「この辺りに座りますね」と自分の場を作るようにします。
組織長になりたてのころは、待っていられなくて、つい自分で話してしまっていましたが。キャリアを積むと、そこは耐えられるようになります。
藤宮 そうそう。「今月は査定があるし、この1件を成約しないと」とつい力が入りそうになるのですが、それだと、そこを通過するだけで終わってしまいます。その場で何をどう言えば、指導にもなり契約にもなるのかを判断していきます……
Kさんは突然の辞令で長年の人事畑から営業管理職へと抜擢されましたがうかない様子です。「予期不安が大きくてやる気が起きない」という状態のようです。Kさんが取り組んだのがモチベーションのセットアップ用チェックリストです。
今回は介護状態になったときの「資金準備」についてみていきます。介護期間・費用が平均以下の場合は預貯金で賄えるケースもありますが、これを上回った場合はどうするのか。リスクを想定した対策が必要です。
よく働いてくれるパートタイマーの時給をアップしたいが、103万円の壁にぶつかります。勤務時間を調整したのでは、逆にクリニックの生産性が落ちてしまいます。そこで、パート専用の退職金制度を提案しました。
今回は、個人契約では主力商品と医療保障の変遷を、法人契約では節税商品開発経緯と課税強化の推移を整理していきます。単なる生保商品史と捉えず、過去の流れを押さえつつ、新たな提案のヒントを考えていきます。
保険料払込期間を通じて、外貨建ての保険料を円に換算するレートを固定する機能は国内生保では初。運用通貨は米ドルと豪ドル。また、目標到達特約を付加した場合、あらかじめ設定した金額に到達すれば自動的に円建ての積立保険に移行する。
従来商品よりも保障内容を充実させた医療保険で、手術の支払事由を明確化した。また、入院・手術などがなかった場合、既払保険料相当額を受け取れる「メディカル・ベネフィット リターン」も併せて発売する。
「魅力のある、みんなが働きやすい拠点をつくろう」と考えた時、一番大切なことは拠点長自身の「変身」である。これまでのやり方を少しでも変えてみると拠点の雰囲気がけっこう変わるものだ。
生命保険協会は4月20日の理事会で、次期生保協会長(56代)に第一生命の稲垣精二社長を内定した。7月20日の臨時社員総会終了後の理事会で選任する。
損保ジャパン日本興亜は4月27日、4月に発売した収入保障保険「リンククロス じぶんと家族のお守り」の申込件数が1万件を突破した、と発表。
同商品は、新たな価値「インシュアヘルス」(Insurhealth)の提供を目指す、「健康応援企業」への変革を具現化する戦略商品という位置付け。
最大の特長は「健康チャレンジ」を通じた健康支援。契約日から2年以上5年以内の期間、喫煙状態または健康状態などが改善し、同社の定める基準に適合した場合、適用保険料率が変更され、保険料が安くなる。さらに、契約日にさかのぼって計算した保険料差額相当額を契約者に支払う。
また、就労不能時などの保障も充実させた。
日本生命は「ハンコック・ナチュラル・ リソース・グループ」(HNRG社)が運用する海外農地投資ファンドに約100億円(1億1900 万豪ドル)を投資する。
HNRG社はマニュライフ・アセット・マネジメント・グループ傘下の運用会社で、農地投資ファンドの投資は日生にとって初めて。
農地投資は、安定的な農作物の売上収入・農地リース料をベースとして、金融危機時も含め歴史的にトータルリターンは良好。今後も人口増加に伴う需要の高まりなどから高い収益性が期待できる。
さらに、株や債券などの伝統的資産と相関性が低いことから、分散投資効果による運用資産全体の収益安定化も図れる。
同ファンドでは、オーストラリアの農地への投資から開始し、その他の国への投資についても順次拡大する。
なお、同社は中期経営計画「全・進-next stage-」(2017〜2020年度)で、4年間に1兆5000億円の成長・新規領域への投融資を目指す。その中で、ESG債などへの投融資額目標は2000億円。
◇SBI生命
飯能信用金庫=「全疾病保障」の団体信用生命保険。6月1日。地域金融機関との提携第1号。同社は2017年6月、住信SBIネット銀行と同商品の提携販売を開始。今回、飯能信用金庫との提携を皮切りに地域金融機関との連携を深めて行く。
◇T&Dフィナンシャル生命
京都銀行=「生涯プレミアムワールド4」(無配当外国為替連動型終身保険、積立利率更改・通貨選択Ⅳ型)。4月19日。取り扱い金融機関は50。
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