2020年2月21日 2948号

 

ジャストインケースの狙いは何か?(上)

 

保険料事後払い「わりかん保険」

ガンで80万円、保険料には上限設定

 

しゃしん はたしゃちょう保険をインタラクティブ(双方向)にして、保険で助ける楽しみ、助けられる喜び、を感じることのできる商品、と自負している──。少額短期保険業者のジャストインケースは1月28日、国内初のP2P保険「わりかん保険」の取り扱いを開始した。同日、記者会見を行い、畑加寿也社長(=写真)は「わりかん保険」に賭ける思いをこう述べた。販売を支援するパートナー企業も8社のうち6社が参加して、それぞれの期待を語った。

 

「わりかん保険」は初めてガン(上皮内ガン含む)と診断確定されると「がん診断一時金」を一律80万円支払う。なお、待ち期間は2カ月。

 

特長の一つが保険料の支払いタイミング。毎月後払いになる。ガンになった人に保険金をジャストインケースが支払い、そのあと、保険金と運営管理費の合計額を残りの加入者全員で割って、保険料を算出する。

 

例えば、1月の加入者が1万人。1月にガンと診断された加入者2人から請求があり、同社で適正と判断した場合に、がん診断一時金80万円を支払う。2人分なら160万円。そして、2月に160万円と「運営管理費」の合計額を9998人で割ると、後払い保険料は229円、というモデルケースを示す。運営管理費は保険料の30%を占める。

 

これを毎月計算して、支払いが4人だったら、これの約2倍の保険料になり、保険料は毎月変動する。では、10人になったら2290円払うのか。

「ここはジャストインケースがリスクを取り、20~39歳では500円を上限保険料と設定。類似のガン保険として提供する場合の営業保険料を500円になるように商品設計しているので、類似のガン保険より必ず安くなる」

と自信を示す。

 

加入者数も開示

 

この30%は、ユーザー数が増えれば増えるほど低くなる。当初は35%からスタートして、契約者が2000人増えるごとに1%ずつ減り、2万人なら25%になる。

 

もちろん、加入者数も開示する。「何人で割り勘するのか、を加入者が知る権利がある。少し経てば開示する。これが一番重要で、助け合いの見える化になる」。保険金を支払う個人を特定する情報は開示しない。年齢、性別、ガンの種類ぐらい。例えば、29歳、女性が上皮内ガンになり、80万円が支払われたと明示する。「この人に使われるんだ、ということが明示化される」と畑社長。

 

なお、上限保険料は20~39歳で500円、40~54歳990円、55~74歳が3190円。営業保険料の水準に相当する。また、死亡保険金もあり、交通事故の死亡でも支払う。男性では200万円が最高で、20歳~24歳、40~44歳が該当する。最低は70~74歳の5万円。

 

日生などパートナー8社が販売支援

 

「わりかん保険」は、2019年7月に金融庁からP2P保険のサンドボックス認定を受けた。内閣官房のサンドボックス制度は、生産性向上特別措置法に基づく実証実験のこと。

 

「金融庁、内閣官房と議論を重ね、実証実験の形で1月28日から1年間行う。保険では初めて。金融分野では2件目になる」と畑社長。

 

今後の展望では「従来の個人保険は、保険会社からの観点では1対1の契約。わりかん保険は概念的には全契約者と保険会社で、助け合いをするものになる。保険会社1社で全てのリスクを取るわけではない。契約者とリスクをシェアするので、今まで作れなかった商品が作れる。生損保との協業により広めていきたい」と抱負を語る。

 

今回、販売開始にあたりパートナー企業8社と協業。「資本力もないし、消費者に届けるためにもパートナーの力が必要になる。共感をしていただき、ユーザーに知ってもらいたい」と期待を込める。

 

パートナー企業はアドバンスクリエイト、SBI少額短期保険、クラウドワークス、新生銀行、チューリッヒ少額短期保険、ディー・エヌ・エー、日本生命、LINEフィナンシャル。

 

1万人の加入で助け合いを実感

 

 加入者はどのぐらいまで増えれば、P2P保険として安定するのか。今後1年間の目標は。

 新しい仕組みなので確固とした数字はなかなか難しいが、成功の定義・失敗の定義ぐらいの販売目標はある。ガン患者は入れないし、健康状態がとても悪い人も入れない。中国でもそうだが、当初はガンにはならず、だんだん保険金請求が出てくる。

あまりにも加入者が少なく、保険金支払いの実績がゼロ円では「本当にわりかんしているのか」となる。数千件の加入ではガンにならないと思うので、最低でも1万人に早急に達し、それ以降になれば、保険金支払いの体験を1万人が感じてもらえる。1年間で3000件では、求められている商品特性ではないだろう。

 

 サンドボックスの期間が終わった後「わりかん保険」はどうなるのか。

 1月28日に申し込むと、2月1日から契約が開始するので、来年1月末までがサンドボックスの期間となる。その期間が終わった後は、実証実験が成功すれば、今日加入した人も、今年12月に入った人も自動的に更新できる。実証実験の後に加入することもできる。

万が一、不都合が生じて「これはよろしくない」となれば、1年間の契約はできるが更新はできない。加入者みなさんが12カ月加入して終わりになる。

 

 日本生命のサポート・支援とは具体的な何をするのか。

関正之総合企画部イノベーション開発室担当課長 協業パートナーとして送客をする。サンドボックスの性質を踏まえ、うまくいくかどうかはまず、顧客群をいかに形成するかどうかだ。

併せて、畑社長と活発にコミュニケーションしながら、日生がこれまで培ってきた堅牢な保険ビジネスの運営や、実証実験の期間中に何かあったときに様々な形でサポートしたい。

 

 P2P保険に対する受け止め方は。

 P2P保険はグローバルに見ても相応の拡大をしている。関心は高い。

(次号に続く)

 

2面 海外事情

 

最新海外保険レポート

稼ぎ頭の個人年金、変額と定額の浮き沈み

ニッセイ基礎研究所 松岡博司

 

米国生保業界における年金(個人、団体)の事業ウエイトは大きく、保険料、責任準備金、営業利益とも生命保険事業の倍以上のボリュームとなっている。今回は、個人年金の90年代以降の販売動向を、定額年金と変額年金という大きな括りに注目して見ていく。

 

3面 再保険

 

RGA 生保経営と再保険の役割14

逓増定期保険 2つの問題解決に再保険活用

 

かつて一世を風靡した2段階逓増タイプの逓増定期保険だが、この商品にはリスク管理上、2つの問題があった。この2つの問題を解決するために、多くの生保会社が再保険を活用した。保険金額が高額になる場合のみ出再する任意再保険や逓増定期保険を対象にする自動再保険などだ。

 

5面 活動指針

 

Q:3場所目、心機一転で臨みたい

2場所の経験を棚卸しして新任地へ

 

相談者の拠点長は、2場所・計7年間の経験を積んだものの、今年度もややマイナスの成績で終わりそうだと言います。新任地では同じ轍を踏みたくないとの思いに対して、見逃しがちな拠点経営のポイントを伝授します。

 

6面 法人開拓

 

法人営業のABC 271

Eノートの活用法 65

株や土地が多いと「類似」が使えない

税理士 池谷和久

 

「類似業種比準方式」による評価方法は非常に有利なものだけに、税負担の公平性を保つために、いろいろなハードルが設定されています。今回はどのような制約があるのかを詳しく見ていきます。

 

7面 社会保障

 

社会保障なんでも相談センター

令和2年度 区切り年齢による公的年金の諸手続き

税理士 園部喜美春

 

公的医療・年金制度の区切りである40・65・70・75歳に注目し、何を情報提供していけばいいのかを整理していきます。年金の繰下げは年金額が増えますが、国民健康保険の保険料などがどうなるのかも注意が必要です。

 

 

8〜9面 販売支援

 

コミュニケーション・ツール

「認知症に関する世論調査」からライフプランニング

 

内閣府が1月に公表した調査結果から認知症に対する国民の意識を知り、介護保障のニード喚起を模索していきます。提供するシートは自分と家族、それぞれの立場で認知症になったときの不安を尋ねた結果など3枚。

 

 

10面 商品改定

 

ネオファースト生命

「ネオ de いりょう」改定

 

主力商品である「ネオ de いりょう」について、同社は繰り返し改定を実施している。今回は「死亡保障特則」を新設。また「特定疾病保険料払込免除特約」に新たなタイプを設けた。なお「ネオ de いりょう健康プロモート」も併せて改定する。

 

15面 育成

 

組織長への道

「組織の力」に開眼する

 

超優績者だった城所明美さんが組織長になることを決心したのは、城所さんが病欠した影響で営業所の業績が大きく落ち込んでしまったことだった。それ以降、城所さんは組織長として後進の育成、指導に力を入れている。

 

16面 損保API

 

損保業界でのAPI接続とその展望(下)

最後は人でしかできない価値提供を

 

5年ぐらいですごく変わるというターゲットを置きながら、自社の革新的なシステムやモデルの構築を進めている──「Insurance API Organization」は1月16日、第一回会合を開催。パネルディスカッションでは「損保業界でのAPI接続とその展望について」のテーマで語り合った。

 

〈パネルディスカッションの出席者〉

モデレーター

マーシュジャパン・樫井庸佐氏(Commercial Market Teamleader )。

パネリスト

SOMPOシステムズ・小澤淳氏(取締役副社長執行役員CTO)

Chubb損害保険・ノエル ケレイタ氏(リージョナル CIO兼執行役員)

東京海上ホールディングス ・渡部光明氏(事業戦略部部長兼デジタル戦略室長)

 三井住友海上・加藤大輔氏(デジタル戦略部デジタルビジネスチーム長)

 

大量のデータをどう扱うかが課題

 

樫井 どのような変化が、どのぐらいの時間軸で起こるだろうか。

加藤 変化自体は非常に早い。2年から5年ぐらいの間に目に見える形で、何かが変わっていくという予感はある。

渡部 パーツ、パーツで変化が起きている。また、新たなマーケットで新たな保険やサービスの提供の仕方がいろいろな形で起きている。それが全体に広がり、保険業界そのものが変わっていくことはいつになるか分からないが、5年ぐらいですごく変わるというターゲットを置きながら、自社の革新的なシステム構築やモデルの構築を進めている。

ケレイタ 変化は絶対にある。いま、アップルウォッチなどのヘルスメーターを付けている人がたくさんいる。IoTによってこれまで見られなかったデータへのアクセスができる。私たちも消費者とのやりとり中でもたくさんのデータにアクセスできる。それをどう扱うかが、大きな課題だ。

小澤 変化するためには10年ぐらいかかるだろう。では、どこからやっていくのか。「LINEほけん」は全種目カバーしているわけではなく、ニーズの高いものから取り組んでいる。リテール、ホールセールもニーズの高いものから段階的にチャレンジしていくのではないか。

樫井 伝統的な自動車保険、火災保険はAPI接続でどのような変わるか。

加藤 自動車保険、火災保険のAPI接続は検討していない。

樫井 ウェブで何かを買う、という購買フローのあるほうが馴染みやすい。

加藤 将来的に自動車も住宅もデジタル上で購買することになれば、同じような話が出てくるかもしれない。

 

「デジタル販売」は選択肢の一つ

 

樫井 では、代理店を介する保険流通の仕組みは、どのように変わるか。

加藤 社内の優先順位として、代理店とのビジネスに重きを置いていることは変わっていないし、代理店ビジネスをサポートする仕組みを新たに導入する。AIを活用して、このような属性のお客さまなら、こんな保険提案をしたらどうか、ということにも非常に投資をしている。

デジタル化が進むことは止められない。お客さまの購買行動がデジタルに移っているので「デジタルで保険を販売すれば」という一つの選択肢で、保険会社も生き残るための一つの動きだ。

渡部 ネット・トゥ・ネットで面白いビジネスモデルもあるが、経営を揺るがすようなビジネスはまだない。AI、デジタルマーケティング、データベースマーケティングなどいろいろなことを、われわれもやっている。しかし、それほど成功例はない。

基本のビジネスは今でも代理店を介した保険の提供だ。今後はまずは既存のビジネス、代理店、ブローカーが商品を提供しやすくなる、選びやすくなる仕組みを提供して、どんどんデジタルに任せるが、最後は人でしかできないことそのものが価値の提供になる。

 

Z世代はレコメンド見ながら判断

 

樫井 そうですね、結局は人でないとできない価値は何かにたどり着く。そういう時代を見据えて、上手くITを使いこなせるリテラシーの高い代理店になることが必要になる。

ケレイタ グローバルでもチャブの9割ぐらいのビジネスがパートナー経由で展開。日本も同じように代理店が非常に重要だ。日本では文化的に代理店とお客さまの関係は、保険だけでなく他の業界でもとても重要で、旅行業でもそうだ。

保険はかなり複雑で、自分の保険を理解していないお客さまもたくさんいる。代理店との関係を持つことで、保険の理解を深めることが可能だし、それより重要なことは給付の段階。

ただ、お客さまも変わってきている。ここがわれわれの課題だ。若い人、明日の私たちのお客さまは考え方が違う。チャットであったり、テキストを使いたいと考えている。そこで、API戦略が代理店にとってもよく、お客さまをサポートするためにもとてもいいプログラムだ。

小澤 代理店は大事だが、一方で代理店経由で契約するのには「この人だから」と安心を買うところがある。ただ、Z世代の不思議なのところは、アイドルと握手をするためにDVDを購入したりする。では、保険に対してはどうか。少しずつ変化が見らる。

Z世代は何が違うか。レコメンド世代で、レコメンドを見ながら判断をする。ブランドよりも質を重視する。同じ値段なら、私はブランドで買ってしまうが……。そのようなZ世代の特徴があるので、オチオチしていられない。このことをあえて言いたい。

樫井 スライド質問ですが「LINEほけんは失敗という記事を見ました」とありますが。

小澤 どのような記事を見たのか分からないが、件数は着実に右肩上がりで伸びている。損害率もそれほど高くない。

この面白さは保険のネーミングだ。ゴルフ保険なら「奇跡の一打」とか、ネーミングで保険の内容が分かる。興味本位で開いてみると、ワンコインで加入できる。「新年会○○○保険」があると100円で入れるとか、たまに無料の保険もある。このような部分が若者には親近感があるのだろう。

 

 

 

 

 

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