明治安田生命は4月25日、東京都千代田区丸の内の本社において、2023年度の資産運用計画と、あわせて同社が現在、積極的に推進している責任投資についての取り組みについての説明会を実施した。
コロナ禍も「5類」に変更されるなど、収束に向けての道筋が見えてきた。一方で、長期化するウクライナ情勢等の“地政学的リスク”による資源・エネルギー価格の高騰、わが国、欧米による金利政策の動向、などコロナ禍以降も不透明感をもたらすものと思われる。
内外の経済情勢が激変する中にあって、機関投資家としての生命保険会社の資産運用政策にも大きな影響を与えているのが現状だ。このような情勢下での明治安田生命の今年度の資産運用計画について、その概要をとりまとめ紹介する。
なお、当日は同社の北村乾一郎財務企画部長が説明にあたった。
当日の説明会では、最初に2022年度のポートフォリオと含み損益(速報値)の状況についての説明と、その後、2023年度の経済・市場見通しとこれを踏まえた2023年度の資産運用計画とあわせて、同社が現在、積極的に推進している「責任投資」についての説明があった。
昨年度のマーケットをひと言で振り返ると、不確実性が高く先行きが不透明、見通しにくいマーケットであった。市場ごとの年度末の数値水準は、年初と比較して内外の金利はともに上昇、為替については一たん円安に進み、その後円高に推移している。
「簿価ベース」の純増減
投資資産は簿価ベースで増加しており、貸借対照表上の計上額は43兆円を上回る水準となっている
資産ごとの状況
・一般貸付
一般貸付は「ESG投融資」に関連する企業の資金需要を捉え実行額を積み上げてきたが、返済額が貸出額を上回ったことで残高は200億円の純減となった。
・公社債
公社債2023年度以降日銀の金融政策の正常化を見据え、国内における金利の上昇を見込みつつ、年度内に平準的な入れ換えを行った。年度内の償還を差し引くと、残高は400億円の純減となっている。
・株式
株式については200億円の純減となった。
・外国公社債
外国公社債のうち、ソブリン債については金利水準や為替水準を見ながら、為替オープンによる投資を進めた。海外クレジットへの投資では、米国の金利上昇局面で積み増しをしている。
年間を通じた為替ヘッジコストの上昇を受け、利回りの低いヘッジ付き外債を売却しており、その結果として、外国公社債全体としては決算取引前ベースでプラス5500億円となった。
・外国株式等
外国株式等については、当社のニューヨーク拠点を活用しながら推進している。プライベートエクイティ等を積み増した結果、1000億円のプラスとなった。
・不動産
立て替えや既存の物件のリニューアル化などに取り組んだが、原価償却の影響により、残高はほぼ横ばいとなった。
・その他の証券
国内の投資信託が中心となっており、残高は700億円の純増となった。
2021年度末と比較すると、公社債と外国公社債は内外の金利上昇を受け、含み益は大きく減少した。株式については増加の一方で、外国株式についてはやや減少。その結果、2022年度末の有価証券の含み益は前年度末からマイナス1兆3800億円となったが、依然として3兆6800億円の含み益を確保している。
・国内10年金利
日銀がイールド・カーブ・コントロール修正等の金利政策の正常化に向けた見直しに着手すると想定しており、国内10年金利は年度末にかけて上昇すると見込んでいる。
・米国10年金利
FRBによる金融引き締めによる景気の減速、将来の利下げを折り込む形で、米国10年金利は低下すると見込んでいる。
・日経平均株価
日経平均株価は、世界経済の動向等に左右され、一時的に下落する可能性はあるものの、インバウンド需要等が引き続き景気を下支えするものと考えており、堅調に推移するものと見込んでいる。
・ニューヨークダウ
NYダウは、米国経済の減速懸念から、当面は上値の重い展開が続き下落するものの、その後は利下げ期待の高まりから徐々に持ち直すと見込んでいる。
・為替:ドル/円
日銀の金融政策の正常化に向けた動きや米国の利下げによる日米間の金利差の縮小を受け、年度末にかけて円高方向に進むと見込んでいる。
・為替:ユーロ/円
ドル/円為替と同様に、年度末にかけて円高方向に進むと見込んでいる。
※米ドル/円のヘッジコストについては、米国の利下げにより年度末にかけてやや低下するものの、ならせば高止まりするものと見込んでいる。
・2023年度の資産運用の基本的な考え方は、2025年度の経済価値ベースの資本規制導入による経済価値ベースの財務の健全性を維持・向上させる観点から、円債の積み上げによる金利リスクの削減や株式の売却による株式リスクの削減について、今年度も着実に実施する方針である。
・マーケットの変化に対しては機動的に対応し、不透明な金融環境が継続するという見通しのもと、デリバティブを活用しながら収支の“下ブレ”リスクを抑制する運営を実施していく。
・収益力の向上については、ニューヨーク拠点を活用しながら海外投資を拡大することで、収益力の強化に取り組んでいく。
・2023年度資産運用計画は、こうした取り組みを通じて、総合的収益力の向上を図ることで、全体として健全性と収益性のバランスを両立させた計画としている。
資産別の配分計画
・円建て債券
金利リスク削減に向けて積み増すので残高は増加する見込みである。なお、国内金利が上昇した局面ではさらに積み増す計画だ。
・国内貸付
国内貸付は、企業の脱炭素化に向けたESG投融資への取り組みを強化していくが、貸出を上回る返済が見込まれるため、残高は減少する見通しだ。
・ヘッジ付外債
ヘッジコストの高止まりを受け投資を抑制する計画のため、残高は減少する見通しだ。
・オープン外債
オープン外債については、為替と金利の見通しに着目のうえ、通貨を選別した投資を進める計画で、現時点では増加の見通しだ。
・外国債券(クレジット)
ニューヨークの運用拠点を活用しながら米国を中心に積み上げる計画で、残高は増加する見通しだ。
・外国株式(外国投資信託等)
外国株式と投資用不動産は、長期的な収益力を強化する観点から、ニューヨークの運用拠点と連携して進める。なお、外国株式の残高は増加する見通しだ。
・投資用不動産
投資利回りの低下傾向が続いているが、当社の条件に見合った物件を対象に選別投資を行う。残高は現在のところ増加する見通しだ。
・国内株式
国内株式は、国内株式リスク削減(簿価削減計画)の観点から、売却を進める計画であることから、残高は減少する見通しである。
・2023年度のマーケット環境は不確実性が高く、景気の見通しが立てにくい状況が続くものと見ている。したがって、適宜・適切に資産運用計画を見直しつつ取り組んでいく方針だ。
・当社はESG投融資を通じた社会的価値と経済的な価値の創出に向けて、2022年度にESG投融資の重点取り組みテーマとして「脱炭素」「生物多様性」「ソーシャル」を設定し、当社が投融資した企業との対話活動を行いながら責任投資を推進してきた。当初、2021年度から3カ年でESG投融資5000億円、うち「脱炭素ファイナンス」3000億円の目標を設定していたが、2022年度末までにESG投融資約7000億円、うち「脱炭素ファイナンス」約3500億円を実行済みであり、3カ年での目標を1年前倒しで達成している。
こうした実情を踏まえ、3カ年計画を8000億円に引き上げるとともに「脱炭素」「生物多様性」「ソーシャル」に加え、当社として特に注力する優先課題として位置付けている「健康寿命の延伸」「地方創生の推進」を追加した計5つのテーマをターゲットにして、ESG投融資と対話を両輪とする投資をさらに推進していく計画である。
・「ESG投融資」市場については、環境や社会にポジティブなインパクトをもたらし、そのインパクトの測定・管理までを行う「インパクトファイナンス」がESG投融資の発展型として拡大傾向にある。
長期の機関投資家である生命保険会社にとって親和性が高いことから、当社においては2021年度以降、脱炭素分野を中心にインパクトファイナンスに取り組んでおり、2022年度末までに200億円を実行済み、2023年度はより広範な資産を対象に、前記の「5つの重点取り組み事項」をターゲットにインパクトファイナンスの残高を積み上げていく計画だ。
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