■事業者インタビュー
第2回
フローラル共済株式会社
仙台市青葉区を中心に葬祭業を営んでいる「株式会社 花祭壇」(曳地邦男社長)が、これまで行ってきた共済事業(「みやぎフローラル共済」)を継承する「フローラル共済株式会社」(高橋渉社長)は、2008年3月31日に東北財務局から少額短期保険会社として登録が認められ、4月21日より営業を開始した。事業の推進にあたっては、(少額短期)保険業が公共性の高い事業であることを認識し、「すべてはお客さまのために」を基調に、保険業の基本である相互扶助の精神と「お客さま満足度」の向上とコンプライアンスをベースにした商品や関連サービスの開発と営業政策を推進し、さらに強固な財務・収益基盤を確立することで顧客、そして地域社会からの信頼と安心を得るとともに、企業価値の永続的向上を追求していくという。「フローラル共済株式会社」のこれからを、同社の高橋社長(写真右)と大竹将司取締役、そして「株式会社花祭壇」の曳地邦男社長(写真左)に聞いた。
事業発足の端緒は新聞記事
本業とのシナジー効果等期待
最初に「フローラル共済㈱」の前身である「みやぎフローラル共済」の設立経緯について、同社の高橋渉社長に聞いた。
「04年12月14日付日本経済新聞に"〈小型保険会社〉に門戸"と題する記事が掲載されていた。
この記事の主旨は、他業種からの保険事業への参入をより容易にするために、新しい基準を設けようというものだった。それが〈小型保険会社〉なのだが、その条件として契約期間が1〜2年程度であることとともに、(保険)金額については見舞金ないしは葬祭費程度とされていた。
この記事を花祭壇(はなさいだん)の曳地社長が読んで、"これはぜひチャレンジしてみたい"と思ったのがその発端だった」という。同社の共済事業はまったくのゼロからのスタートだった。
花祭壇では、全国の葬祭業者約180社が加盟する、同業者団体が運営していた任意共済制度の代理店としてその普及活動を担ってきたこともあり、保険︱共済事業については、以前から葬祭業の関連サービスの一つとして、そして顧客囲い込みの手段として、さらに本業とのシナジー効果と保険事業の収益性の観点から、高く評価していたという。
前出の新聞記事で報じられた保険事業への参入規制の緩和は、曳地社長にとっては、保険業参入へのまたとないチャンスであった。この曳地社長の決断を契機に、保険事業への本格的な参入を目指すことになった花祭壇では、会員組織「みやぎフローラル共済会」を立ち上げるとともに、同共済会の会員とその家族に対して、「生命・入院」型の任意共済である「みやぎフローラル共済」を開発し、これまで提供してきた。
「みやぎフローラル共済」の商品コンセプトは、「年輩の人だけでなく、そのご家族にもご利用いただけるように、亡くなった時だけでなく、けがや入院にも幅広く対応できるものにしました」(「みやぎフローラル共済」の企画・開発を担当した大竹将司取締役)という。
商品は県民共済を意識し差別化
親近感・親密感で選ばれる会社に
この「みやぎフローラル共済」を継承したのが、本年4月21日に発売された「入院保障付死亡保険 フローラル共済」(以下、フローラル共済)だ(フローラル共済の詳細については次ページを参照)。
「フローラル共済」については、これまで同社が販売してきた「みやぎフローラル共済」の加入者の、いわば「受け皿」としての性格を持つ(大竹取締役)が、単にそれに止まらない。
少額短期保険会社には、その前身である特定保険業とは異なり、その販売対象に制限はない。従って、「フローラル共済株式会社」も、これからは不特定多数を対象に保険事業を行うことになるので、特にその販売商品については、競合する保険会社や各種共済との(価格=保険料や給付内容などでの)差別化や優位性を絶えず意識し、かつ確保していくことがこれまで以上に求められることになるのである。
その点について「フローラル共済」は、「たとえば良く売れており、かつ価格(掛け金)的にも近い県民共済などにも対抗できるように、病気・けがによる入院は1日目から保障するとともに、通常分娩についてもその入院を保障、さらに簡単な告知で加入(契約)できるようにしている」(大竹取締役)。
さらに販売商品とあわせて「親近感、親密感に基づいて、(お客さまから)選ばれる会社を目標にしている」(曳地社長)という。
これを実現するために地域密着型の企業を目指すことで、商品と企業コンセプトの両面で独自性を打ち出していこうとしている。
3年間で1万口の保有契約目指す
秋までに100代理店の設置急ぐ
特定保険業から少額短期保険会社として再出発した同社だが、前述のようにその販売対象は大きく広がることになった。これから「フローラル共済」をどう拡販、普及していくかについて聞いてみた。
最初に販売チャネルだが、中心になるのは代理店である。これについては2008年の秋までに100代理店の設置を目標にするとともに、今後3年間で1代理店で100口を販売することにより、保有契約の10000口実現を目指す。、初年度(2008年度)は、旧「みやぎフローラル共済」の加入者約2000口の「フローラル共済」への切り替えを含め、保有契約3000口を目標に置く。
当面は、この秋までに100代理店の設置を急ぐことになるが、その委託先は、損害保険代理店、葬儀社、そして中小企業と士業(代理店や社会保険労務士など)が中心となる。もちろん、「花祭壇」も、代理店として「フローラル共済」の販売促進をその中心となって担うのはいうまでもない。
ところで、代理店の委託先として「フローラル共済株式会社」が重視する葬儀社、中小企業、そして士業については、同社のこれからの事業戦略と密接に関わっていることから、詳しく紹介しよう。同社では、現在販売中の「フローラル共済」に続いて、近く2つの商品を相次いで発売する予定だ。
2つの新商品を発売予定
中小企業、高齢者向けに
一つは福利厚生制度が十分に整備されていない、あるいは制度自体がない中小企業向けの福利厚生保険だ。見舞金、弔慰金制度の準備、あるいは補完に重点を置いたものだが、これを全国法人の99・7%を占める中小、零細企業を対象に販売していこうという。この福利厚生保険を効率的に、かつ多件数販売していくうえで、社員(従業員)を比較的多く抱えた法人代理店や、顧問先企業を多く抱えた税理士や社会保険労務士などの士業代理店はうってつけといえるだろう。
もう一つは主に高齢者を対象にした「葬儀保険」だ。これについても代理店を委託するなら「葬儀社」が最も適していることについてはいうまでもない。
「葬儀保険」の取扱(販売)代理店である葬儀社が、その契約者に万一の場合に、販売代理店である葬儀社にメリットが出るしっかりした仕組みを作り上げれば、結果的に販売した「葬儀保険」の契約者に対して、最後までその責任を全うすることができるというわけだ。
それだけに、「葬儀保険」の販売を委託する葬儀社は厳選されることになる。
具体的には「事業規模はたとえ小規模であっても、フロンティア精神のある葬儀社と提携していきたい」(高橋社長)という。
こうした施策をもって、「100代理店・100口・10000口」運動を強力に推進する同社だが、その目指すところは宮城県全県への販売組織の拡大と「フローラル共済」の拡販だ。
「100代理店・100口・10000口」運動は、いわば将来のさらなる飛躍に向けた準備期間、事業の足腰を鍛え磐石なものにするための準備期間(曳地社長)と位置づけ、やがては東北7県、さらには全国に販売組織を拡大していきたいと考えている。
事業共に育成できる出資・提携先募る
5年間の進捗次第で保険会社移行も
「フローラル共済株式会社」が少額短期保険会社への登録を目指して(東北)財務局との折衝を始めたのは一昨年の9月、特定保険業の届出と併せてのことだった。少額短期保険会社として登録が認められた経緯について、曳地社長と高橋社長、そして大竹取締役はこの間を振り返ってこう総括した。
「とにかく新しい状況にどう対応していけばよいのか? 今後はどんな手続きを、どんなプロセスで進めていけばよいのかを、虚心坦懐に(財務局に)照会し、確認し、かつ指示を仰いでその通りにやってきた。こういった当社のスタンスが(登録が認められるうえで)よかったのではないか」
ところで、これからは少額短期保険会社として、保険業法の規制のもと、金融庁、財務局の監督下に一定の規制、ルールに基づいて事業を運営していくことになるが、これについても「一定のルールのもとで事業を行う方が、そのことで、たとえば募集人についていえばその資質が底上げされることになるのだから、むしろ歓迎する」(大竹取締役)と、積極的に評価する。
さて、この秋までに代理店を100店設置し、マーケットと販売チャネルの特性を勘案した新商品の投入によって、将来的には全国展開を目指す同社にとって、事業の安定的な運営と成長・発展を保証するのは何よりも磐石な財務基盤の早期確立に他ならない。これについては、資本の増強(増資)を早急に実現するとのことだが、「単に投資するだけでなく、この事業とフローラル共済㈱を、ともに育成していってくれるような出資先・提携先を募っていくし期待もしている」(高橋社長)という。
最後に、免許制の保険会社への移行スケジュールについて質問したが、これについては、今後5年間の事業の進捗状況を勘案して、あらためて検討するとのことだ。当面は、この秋までに100代理店を設置すること、そして資本の増強が計画通りに実現できるかにかかっている。
(本紙 白根 毅之介)
- ■フローラル共済株式会社
- 登録年月日 2008年3月31日
- 東北財務局長(少額短期保険)第2号
電話 0120-873137
ホームページ http://www.hanasaidan.co.jp/floral/#miyagi



