拠点経営Q&A
Q04 退職希望者への効果的な説得は?
「その人の人生に責任をもつ」気概で!
今回の拠点長は、支社の業務部門から拠点長に就任して2年目です。都心近郊の中型拠点を担当していますが、新任の昨年度は、さわやかな風貌、人柄が人気となり、支社で最高の8名の採用を実現し、組織拡大に成功され、支社トップクラスの成績を挙げることができました。
しかし、今年度に入り、昨年入社した新人の約半数は脱落、加えて、中堅の職員からも数名の退社希望が出されています。
組織の崩れは販売業績にも影響し、業績面でも精彩を欠く状況となっています。
この大きな原因として3つのポイントを指摘できます。
1)新人が多くなったため、十分な活動基盤が確保できずに、安定的な挙績ができなかった。
2)各組織が大きくなったため、新人育成にかかわる組織長の負担が過度に増加し、組織長がパンク状態になった。
3)拠点長の関心が採用拡大と新人育成に偏ったために、中堅やベテラン層に対する販売支援が不足した。
昔から「Sは七難を隠す」と言われているように、販売業績が良い時、拠点は雰囲気が良く、組織も安定し、すべてがうまく回転していきます。
反対に販売業績が悪くなると、いろいろな悪い面が出てきてすべてがうまくいかない、という悪循環に陥ります。
そこで今回は、退社を防ぐための職員管理のポイント、退社希望者に対する説得方法について説明していきましょう。
ポイント1 なぜ辞めたくなるのか
新人層と中堅層、退社の理由はそれぞれ異なります。
辞めたい理由として、保険が売れないことや家庭の事情、人間関係等いろいろ挙げるでしょう。
しかし、本当に辞めたい理由は、新人層では次のような「気持ちの要素」が多くなっています。
「仕事でプライドを傷つけられるいやなことがあった」
「家族や友人から辞めろと言われた」
「一生懸命説明したのに聞いてくれなかった」
1年以上経った人や中堅層は、「収入面の理由」が多くなります。
「実際の手取り収入が少なく生活ができない」
「販売先が枯渇した」
ポイント2 退社の予兆をつかむ
拠点長であれば、日々の観察、懇談の中で必ず把握できるはずです。
特に販売実績、給与明細、欠勤状況、顔色、活動日報、職員からの情報、新人層なら組織長からの報告などを確認していれば必ずつかめるはずです。
職員の顔色が少しでもかげっていたり、暗かったりしていたら、すぐに呼んで、話を聞いてあげてください。
ポイント3 退社説得方法
◆退社の意志をつかんだら、すぐに話すことが必要
どんな職員でも、引き止めるための拠点長面談は必須です。そして、各人の悩みを早めに聞いてあげれば(聞くだけで十分です)、それだけで2、3ヵ月はもちます。
さらに、具体的な対策やアドバイスを行えば、さらに1ヵ月は持ちます。
しかし、拠点長が相手の話をじっくり聞かずに、単に、「頑張れ、頑張れ」では説得できません。
◆退社をしそうな人に本気で説得
退社をしそうな人のなかでも、拠点長が本当に引き止めなくてはいけない人材とは、次のような人です。
「家庭環境、経済環境で当人が家計を支えるべく、働かなければならない人」です。
やる気もあり、一生懸命取り組んでいるのですが、家計を支えられるだけの稼ぎを挙げることができず、結果として退社せざるを得ないような人です。
拠点長が、絶対に説得し、支援して成功させてあげなければいけません。経済的な支援も含め最低2回は引き止めてください。
そして、拠点長が本気で退社の意思を変えさせようとするのであれば、上っ面だけではうまくいきません。相当の気概をもって行わなければ成功しません。
「その人の人生に責任をもてるのか」。
要はこのスタンスを取れるかどうかにかかっています。
高収入を目指して入社した人には、それを実現できるための目標とプロセスを示さなければなりません。
いまどきパートでも掛け持ちすれば月に15万、20万は稼げます。ですから、保険営業では少なくとも手取り20万以上なければ生活できない、と認識してください。
◆顧客のアポイントがあれば辞めない
顧客とのアポイントを継続的に取らせていれば、辞めることはありません。いつもアポイントがあり、忙しく動いていれば成果も上がり、気持ちも切れることはありません。
ポイント4 組織作りの前提
新人を採用して、全員が中核職員に育つことはありません。採用した3人のうち1人が中核層に育てば、平均以上ですし、最高です。
したがって、「全員を育て上げる」と思って取り組むとムリが出てきます。
新人については、採用時点から次のように分類するのもよいかもしれません。
1)3ヵ月続けばよい人
2)半年続けばよい人
3)1年以上続く人、中核に成長する人
これを念頭において、組織の計画を立てるべきです。このような育成を踏まえ、穏やかに組織の入れ替えをしていくことを考えることが必要です。
辞める時も順番に、入れ替えをしながら組織を穏やかな形で安定させていくのです。
お小遣い程度を稼げばよい人には楽しく働いてもらい、気持ちよく辞めてもらうことも必要です。
だいたい、1ヵ月も2ヵ月も出勤しなかったり、活動実態がなくなるといったことは、一般の会社ではありえない現象です。
ポイント5 退社時の工夫
保険業界を一番悪く言う人は、過去に営業職員として働いたことのある人で、辞め方がよくなかった人が一番多いのです。
そして、努力不足で成功せずに退社した人が、自分の中途半端を棚に上げ、あることないこと悪いことを言って回っているのです。そんな状態では、1人退社させるごとに、厄介な敵を作っているのと同じです。
退社した人を敵に回さないためには、気配りを忘れないことが重要だといえます。
具体的には、長期勤続者が退社をする時は送別会、それ以外の人も少なくとも退社の挨拶をさせて、暖かく見送る。こんな心配りをするだけで、味方のままでいてくれるのです。
退社後も協力者となってくれるかどうかで、顧客紹介、新人候補紹介を含めたマーケット確保に大きなプラスになります。
反対に、すべての面で大きな障害となる存在になることを、拠点長は心に刻んでおかなければなりません。
(マネジメント経営研究所 芥藤 龍)




