拠点経営Q&A
Q02 組織長への指導が場当たり的
拠点長就任2年目です。2年間連続して販売成績も、組織の拡大も順調に推移しております。しかし、新人育成ができておりません。その主な要因は、育成を担当する組織長の指導力が不足している点にあります。組織長として新人層をどう育成するかを理解しておらず、自らの経験にもとづいた形で、場当たり的に対応しているだけといった感じです。
指導ポイントが不明確で具体的ではないため、新人も戸惑っており、やみくもに無手勝流で動き回っているのが現状です。なかなか成果に結びつくところまでには至らず、その結果、希望をなくして脱落してしまいます。会社としても、明確で精緻な営業マニュアルを示すこともないので、「〇〇〇すればできるはず」といった抽象的、観念的なスキル指導に留まっています。
組織長も新人職員の悩みや愚痴を聞くだけの受身的な指導か、「1〜10までやってあげてしまう」という過保護な育成スタイルしかできません。よく見ると、生き残った営業職員の全ては、組織長が世話をしなかったものばかりという皮肉な結果を生んでいます。
そこで、拠点長、組織長といった育成を担当する人は、どのようなポイントで指導していったらよいか、またそのためのツール等があれば、教えて下さい。
A
今回の拠点長は総合職で入社し、本社勤務、支社勤務を経て同期のトップを切って拠点長に起用されています。明るい性格のスポーツマンタイプで、懸命に努力している姿が営業職員にも受け入れられており、その姿勢は支社スタッフからも高い評価を受けています。
商品戦略など販売方法でもいろいろ工夫し、職員一人ひとりが目的を明確にした活動ができるような運営を実践しています。
しかし、組織作りについては組織長人材がいないため、多くの採用実績があるものの育成ができない状況が続いていました。昨年10月に若手を組織長に抜擢して、育成実績の好転を期待しましたが、現時点では思ったような育成成果が認められないようです。
今回、マネージメント教育研究所の育成マニュアルの全てを述べることはできませんので、特に効果的な育成方法とツールにもとづき説明します。
[効果的な育成方法と指導のポイント]
1 同行訪問で新人層の営業力を強化する
同行訪問、同行販売こそOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)の軸となるものであると認識して下さい。特に、営業職員の成績が下がっている時や迷っている時は、すぐに同行する必要があります。
そして、同行する中で、職員が行っている活動、事前準備、挨拶、話法などが適切かどうか、コミュニケーションがうまく取れているかどうか、商品情報などをきちんと提供しているかどうか、などを観察しなくてはなりません。
ここで注意することは、同行することは、職員の職務を代行することではないことをしっかりと自覚して下さい。本人の成長のためには、サポートに徹し、可能な限り黙って観てあげることです。もちろんクロージングなどで、最低限必要な支援をすることは当然のことです。
1から10まで、代わりにやってあげては、職員は自分の力で切り開くことをしなくなり、いつも支援されることが当たり前となって、甘えが出るだけで成長は止まってしまいます。本人主体の形で、職員の活動をしっかりと観察して、良い点と悪い点を見極め、良い点を伸ばし、悪い点を改善させることが本当に必要なことなのです。
営業のプロセスを理解させる
2 営業活動の流れをしっかりと理解させる
営業活動といっても、単に顧客と面談することだけではありません。次のような流れを、しっかりと理解させなくてはなりません。
◆営業活動の流れ
1)訪問前の事前準備をきちんと行う
2)訪問した時のアプローチをうまく行う
3)営業に当たっての展開を適切に行う(断わりには応酬話法を使い、タイミングを見てクロージングに入る)
4)成否にかかわらず当日の活動については見直す
3 ツール「営業活動分析表」の活用
育成ツールの中でも、同行訪問用の「営業活動分析表」を活用します。項目ごとにチェックし、指導すべき問題点を把握し、以降の指導に活かしていくことが重要です。営業活動のチェックポイントは別掲。
4 活動内容の評価と本人への指導
「営業活動分析表」の職員本人の評価と同行者の評価を見て、その職員の課題を把握します。項目ごとに、「十分出来た・○」「不十分・×」「どちらともいえない・△」という評価を記入することにより、その職員の具体的な強みや弱点が明確となります。
良い点は誉めてさらに伸ばしてゆき、不十分な点はどんな原因でそうなっているか相互に確認し合い、すぐに改善していくことが必要なのです。
つまり、この分析表にあげたチェックポイントは、そのまま指導のポイントとなるものなのです。30のチェックポイントを常に意識して取り組み、その8割に○がつくようになれば、まちがいなく一流の営業パーソンに育つということなのです。
営業活動のチェックポイント
(1)事前準備
1 訪問計画を立てて、訪問アポを取っていたか
2 顧客の情報、知識を十分持っていたか
3 商品知識を事前に整理しておいたか
4 ライバル社の動向をつかんでいたか
(2)アプローチ
5 服装・身だしなみに問題はなかったか
6 明るい挨拶で訪問できたか
7 話し方や態度などマナーはよかったか
8 切り出しの話法にスムースに入れたか
9 顧客とのコミュニケーションはうまくいったか
10 訪問のタイミングは良かったか
(3)商談展開
11 販売話法は予定通りうまくいったか
12 顧客を打ち解けさせることができたか
13 質問で仮定話法をうまく使い、顧客の真意・欲求をつかんだか
14 顧客のタイプに応じた商談を進めたか
15 顧客心理の段階を踏んで商談を進めたか
16 アプローチツール、資料などをうまく使ったか
17 パンフレット、見積書などの提示のタイミングはよかったか
18 反対に対する応酬話法はうまくいったか
19 テストクロージングのタイミングはよかったか
(4)クロージング
20 クロージングのチャンスのつかみ方に問題はなかったか
21 クロージング話法はうまくいったか
22 信念を持って売り込んだか
23 終始、明るい笑顔を絶やさなかったか
24 成約に対して心からの感謝の言葉を述べたか
25 成約時の書類に不備はなかったか
(5)総合反省
26 訪問先の選定に無理はなかったか
27 不調に終わった場合でも、次の訪問の約束をしてきたか
28 保険金額を変更するなど弱気の商談ではなかったか
29 押し込み販売ではなかったか
30 会社や自分を十分売り込んできたか
(マネジメント経営研究所 芥藤 龍)




