マネジメント

拠点経営Q&A

 

リーダーとしての心構えは

 

 拠点長に就任して4年目。現在、県庁所在地で営業職員在籍25名の拠点を担当しています。昨年度、支社内異動し2場所目の拠点担当です。前任拠点でも初年度はそこそこの実績を残しましたが、2年目ガクンと落ち込みました。今の拠点でも全く同じパターンです。昨年度の業績は支社の中位グループでしたが、今年度は業績・組織ともに最下位に低迷しています。


これまでの取り組みを振り返ると、支社からいろいろと指示されたり、言われたことをこなすだけで頭が一杯になり、拠点の状況把握や職員への目配りなどができず、日々、余裕もなくただ数字を追っかけているだけという状況でした。幸いなことに、ラストチャンスとして、来年度も現拠点を担当させてもらえます。これを機に何とか、営業職員のために役立つ拠点長になりたい、と考えています。

 
支社長からは、拠点を引っ張るリーダーシップに欠けていると指摘されました。リーダーシップのある拠点長のあり方について、どのような点を意識して取り組んだらよいか教えて下さい。

 

ビジョンを具体的に示す 新しいノウハウも提供

今回の拠点長は総合職で入社。本社、支社を経験し、海外留学、その後本社企画部門を経て拠点長となった若手の有望株です。学生時代には弓道部に所属。非常に礼儀正しく、さわやかなタイプで、仕事への一途な取組み姿勢には好感が持てます。

 

しかし、年配の女性職員が中心の拠点という営業組織では、なかなか良いところが発揮できず苦戦しています。
いろいろ考えているようですが、やることすべてに営業職員からの認知を得られずに空回りしており、その結果、拠点を引っ張るリーダーとしての存在感が不足している状態です。

 

来年度も、同じ拠点を担当するのなら、早急に拠点長としての基本的な心構えを学ぶことが不可欠です。それでは、拠点長が知らなければいけないこと、意識すれば変わること、変えることができること、拠点をどのように引っ張っていくか、などリーダーとしての拠点長のあり方について解説していきましょう。

 

拠点長は拠点の業績遂行、組織拡大に向けて、目標を掲げ、やりたいこと、チャレンジするべきことを示して、職員を導いていく存在です。

 

 拠点をまとめるために、意識するべきポイントは次の4点です。
 1)拠点で実現したいこと、ビジョンや志を具体的に示す。
 2)拠点の職員を強力にまとめる求心力を身につける。
 3)仕事の手順、やり方を分かりやすくまとめ、システム化する。
 4)みんなが守るべきことを決め、ルール化する。

 

日々の連絡やスケジュール、そして業績、数字の管理だけをしていたのでは、役に立たない管理者であり、リーダーとしての存在価値はありません。拠点長失格です。

 

拠点長は目標を掲げて、その達成に向けて先頭に立って走っていく存在なのです。拠点経営は、同じことを繰り返していると必ず沈滞していきます。したがって、拠点長は周囲との摩擦を覚悟しても、拠点の変革を進めていかなければいけません。

 

そして、職員にこれまでにない成功体験、ノウハウを獲得させなくてはいけません。新しいものを習得させられず、業績のトレースだけをしている拠点長(このタイプは多く存在していると思いますが)は、まったく職員のプラスにはなっていません。

 

しかし、拠点長だけが勝手に突き進んでも、周囲の理解を得られにくく、拠点はうまく動いていきません。何かやる時は、必ず事前に支社スタッフなどに根回しをしたり、職員のリーダークラスに事前了解を取り、みんなを巻き込みやすくするなど、根回しや調整をすることは絶対に必要です。

 

そのステップをきちんと踏まないと、拠点長の独りよがりとなります。誰も理解してくれませんし、誰もついてきてもくれません。この点をしっかり理解して、事前の調整を絶対に忘れないようにしてください。
 

自分のスタイルに自信持て  立ち振る舞いで心動かす

拠点はでき上がったものを与えられるわけではありません。自分で作り上げるものです。前任者が作り上げたスタイルを少しずつ溶かしながら、少しずつ自分の色で染めていくものなのです。自分の色に染めるためには、まず、現在の拠点の姿を検証・分析することが必要です。

 

どの点が強く、どの点は改善しなくてはならないのか。この点をしっかりと把握した上で、自分のスタイルを作り上げてください。

 

そして、自分の好きなようにやってみてください。成功すれば最高ですし、仮に失敗したとしても、自分が好きなようにやった結果であれば、ある意味、あきらめもつくでしょう。

 

一方、自分の意に染まない形で拠点経営をして失敗したら、悔やみきれないでしょう。ただし、「全ての責任は拠点長が負う」という自覚が前提です。その気概を持って、自分が思った通りにやってみてください。

 

拠点長のリーダーシップとは、何事にも先頭に立って取り組むということです。自分の理想、やりたいことをはっきりと口にして、先頭に立ってみんなを引っ張っていくことです。

 

そして、職員に協力を仰ぎ、自分の信じる拠点のビジョン、夢を語ることです。本気でリーダーになろうとすれば、職員の心を動かせるだけの立ち振る舞いも身につけなくてはなりません。

 

例えば、次のようなことです。
1)誰かと顔を合わすときは、笑顔を心がける。
2)大勢の前でほめるときは、腕を上げながら話す。
3)喜びを分かち合うときは、言葉だけでなく握手して表現する。
4)相手に想いを届けるときには、手を胸から前に出して伝える。

 

このように、人を惹きつける表情や動作は拠点長として最低限必要なポイントです。そして、この立ち振る舞いは常に意識していないと身につきません。すぐに、実践してください。
 

1人ひとりと真剣に対話

優秀な拠点長は、一見何事もスマートにこなしているようですが、その実態は泥臭く、時間をかけて、指導・育成に取り組んでいるのです。そのために、何度も何度も職員と時間をかけて、話し合いをしています。

 

また、応援に、企業訪問に、と自ら必死に駆けまわる拠点長、それができる人がリーダーシップを持っている人なのです。

 

自分の想いを何としても職員に届けようとすること、そして、職員一人ひとりをよく理解しようとすること、つまり、全員と本気でコミュニケーションを取ることが必要なのです。そんな地道で泥臭い努力なしには、リーダーシップを発揮できる土台はいつまでたってもでき上がることはないと、認識してください。

 

最後に、拠点長としてリーダーシップを発揮して、拠点を上手に率いるための最大のポイントとは、高度な理論を学ぶことでも、高度なテクニックを身につけることでもありません。拠点長自身が、拠点の中を動き回って、真剣に職員一人ひとりとコミュニケーションを取ることなのです。
 (マネジメント経営研究所 芥藤 龍)

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