
終身年金までの金融量販店を目指す
光陽ライフプランナーズ株式会社
代表取締役社長 宮﨑真一郎氏
今年3月から営業開始した「光陽ライフプランナーズ株式会社」(東京都中央区東日本橋)は、設立経緯とビジョンが異色な乗合代理店といえる。代表取締役社長である宮﨑真一郎氏は、生保会社勤務の時にこれからの時代における終身年金保険の必要性を知り、一生涯年金を受け取れる商品の提供こそ、多くの顧客に望まれると考えた。その熱い思いを光陽ホールディングスが応援し、設立となった。現在、東京本社と大阪営業部合わせて30名の営業力に長けた営業マンが活躍している。宮﨑さんに同社設立のビジョンとコンセプト、事業展開について聞いた。
インカムマネジメント ソリューションを提供
先ず、同社の代表取締役社長である宮﨑さんが、なぜ同社を設立しようと思ったのかを紹介しよう。
宮﨑さんは大学卒業後、某大手銀行に16年間勤務していたが、転勤を機に退職。外資系生保で直販やマネジャーを務め、その後、損保系生保に移り、変額年金保険の銀行窓販のホールセラーや営業企画・マーケティング部の仕事に携わった。
「損保系生保会社では、年金保険商品を運用目的ではなく、年金商品として真剣に売ろうとしていました。人間は何歳まで生きるか分からないため、老後資金をどれくらい準備したら良いのか分かりません。しかし、終身年金保険は生きている限り受け取れる仕組みであり、これからの日本人にとって重要な位置付けにあると発見し、衝撃的でした」
そして、営業企画・マーケティング部でプレゼン資料の作成をしている時に、ある思いに至った。それは一時払商品である年金保険は、お金がない人にとっては手が届かないもの。それならば、時間を味方につけることで年金の原資を確保する積立型の変額年金保険を商品化して、それを多くの顧客に提案することは社会的貢献度の高い仕事ではないだろうか──と。
「現実的に、マンパワーとシステムの問題で一保険会社では不可能でした。それなら、どこかの会社で保険事業部を立ち上げて、ビジネスモデルを作りたいと思いました」
光陽ホールディングス支援の下、設立の準備が進み、さらに設立メンバーに関しては、グループ会社である先物取引会社に所属する社員30名を投入するという提案もあった。
「いきなり30名もの社員と共に新しい会社を設立することができる話に感激しました。このようなチャンスはもう2度とないだろう。そこまで応援してくれるのだから、社員たちに営業理念をしっかり定着させ、期待に応えられるような新会社を作ろうと決意しました」
30名の社員は営業力が卓越している上に、平均年齢34歳という若いパワーも漲っていた。20代の女性社員も4名含まれていた。
宮﨑さんは同社設立のコンセプトを1)万一の備え(死亡保障)、将来の備え(老後資金確保)としての保険商品販売、2)お客さまの多様な運用ニーズに対応する、販売体制の整備と商品ラインナップ、 3)投資ニーズと投機ニーズにも対応、 4)一生涯に渡って受け取ることのできる年金のシステムプランアドバイス、並びにプラットホームのアドバイス──とし、コンサルティングセールスを展開する「金融の量販店」の実現を目指した。
循環型セールスプロセス実践
こうして新会社設立の準備に取りかかったが、特に重視したのは、30名の社員全員にビジョンをしっかり浸透させることだった。同時に宮﨑さん自身の熱い思いを理解してもらうことになり、マインドアップに繋がると確信したからだ。
ビジョンのキーワードは、「アセットマネジメントからインカムマネジメントへ」。運用から収入(年金)までの幅広い分野のコンサルティングやアドバイスができる会社を目指す。つまり、インカムマネジメントソリューションの提供ができる人材の育成に主眼を置いた。
「お客さまに最高の人生を送ってもらうには、お客さまが持っている金融の価値を上げることです。それは資産価値を上げることではなく、時間を味方につけて金融の価値を上げること。生命保険の最後の出口である終身年金の提案まで引き受け、真のインカムマネジメントソリューションを提供します。それは差別化にも繋がると読んでいます」
そして今年1月末から5週間に亘る研修を実施し、基礎知識や販売スキルを提供。この時、損保ジャパンひまわり生命の惜しみない協力もあった。研修所の提供や北東京支社のきめ細かな指導も社員たちの成長に役立った。2月末には、全員の保険営業に対するモチベーションが高まり、3月3日から営業開始となった。
◇ ◇
では、具体的にどんな営業活動を開始したのか。
新規開拓のターゲットは、法人なら特に設立5年以内の企業を重点的に訪問した。設立5年以内の企業では多様なニーズが潜在しているだろうと読んだからだ。研修中に結成した5グループで、エリアを限定し飛び込みとテレアポの2つの活動スタイルを併行して行った。
飛び込みは、グループごとに担当エリアに現地集合し、「砂漠に圧倒的な水を撒く」スタンスで、ビラ撒きからスタート。グループリーダーは時間を限定し、一斉に飛び込み活動を開始した。
「当初の半年間は固定給を保証し、それ以降はコミッション制にしたので、固定給の期間はあえて新規開拓することにしました。私の経験から、ベースマーケットから始めるとどうしてもそれに頼ってしまい、結局紹介に繋がらず先細りしてしまいがちです。従って、新規開拓から始め、時期を見てベースマーケットと併行することにしました」
実際に、先物取引の経験のある彼らの営業力は卓越していた。1日500件アポ取りの電話を掛けてもめげない程の根気と精神力の持ち主であり、活動量も半端ではなかった。精神的にも肉体的にもタフな人材だった。活動開始3ヵ月目の現在、かなりの手応えを感じていると言う。
次に、テレアポトークはどうだろうか──。
1)会社名と自分の名前と簡単な紹介を告げる。
2)売り込みでないアプローチを心掛け、「保険の販売目的でご連絡したのではありません。御社の近くに行った時に、お役立ち情報をお持ちしてもよろしいですか?」と話す。お役立ち情報とは、保険会社が作成している1枚もののツールが多く、たとえばBMIや男性の死亡率のデータ等が記載されているもの。
3)了解得て、定期訪問。
特筆すべきは、定期訪問による情報提供を継続的に行い、顧客と良好的な関係を構築することを心掛けること。つまり、循環型(農耕型)セールスプロセスの実践だ。それに伴い、訪問時に断られることによる精神的ストレスの軽減がはかれ、次の訪問への意欲の原動力にもなってくる。
「社員たちの話には、お客さまを説得する言葉はありません。あくまでも納得していただくことを心掛けて『3つの心理的ハードル』を乗り越えて話を進めていきます」
3つの心理的ハードルとは、感情のハードル(聞く気になるか)、理解のハードル(理解できるか)、興味のハードル(興味を持てるか)。
「5〜6回定期訪問し、3ハードルを乗り越えられれば、保険と何らかの接点ができます。お役立ち情報の提供からお客さまが保険に関心を持ってくれたら、『何のために保険に入っていますか?』まで話を進められ、さらに年金の話までできたら関心を惹けるでしょう」
扱い保険会社もこの6月からは生保5社、損保2社に増えた。これによって、顧客に提供できるプランのバリエーションも増え、よりベストに近いプランニングが可能になったわけだ。
早くも単月黒字達成の見込み
一方、同社は大阪にも拠点を設置。「当初の数ヵ月は収益を見込めないため、2名の優秀な営業マンを大阪に配置しました。大阪に設置したのは、東京との活動拠点の重複を避けるためです」
加えて、月に20件以上挙績し、MDRT会員でもある先輩営業マンの存在を、彼らのモチベーションアップの要素にしたかったとも言う。
宮﨑さんが新たに考えている経営戦略は次の2点。1つは、東京に営業部長のポジションの人材を迎えること。現在は宮﨑さん1人がマネジメントを行っているが、組織拡大を考慮すれば経験者でマネジメントができる人材が必須。また、各グループリーダーがマネジャーに育つような環境も整備していきたいとも。
もう1つは大阪拠点の陣容を6〜7名に拡大し、1人当たりのANPを300万円以上にアップさせること。
同社の将来像を「単月黒字を目指すことですが、おそらく来年の1〜2月には実現できるでしょう。当初より業績アップを意識して取り組んできましたから。このまま順調にいけば、社員1人当たり一時払変額年金を月5〜10件くらい販売できるようになり、2年後には保有ANP50億円を目指せるでしょう。保険の未経験者がここまでやってこれたというビジネスモデルを作ることも実現できると思います」と言う。
さらに、3年後には名古屋、下関、札幌地区での地方展開も視野に入れていると結んだ。
(本紙 樋口利子)
みやざき・しんいちろう 16年間、メガバンクに勤務した後 、外資系生保と損保系生保に転職。生保会社では直販、マネジャー、企画部を経験し、その後インヴァスト証券株式会社に転職し、総合企画部長になる。2008年より現職。




