
市場からの支持を目標に
株式会社 ヒューマン&アソシエイツ
代表取締役 生島 秀一氏
常に勝ち残る代理店模索
生島さんの保険人生のスタートは、AIUの研修生。1982年から5年間の研修生時代、自動車保険や積立保険よりも建設業の賠償責任や労災の上乗せ補償をメーンに顧客拡大に尽力した。
5年後、取扱年換算保険料2000万円を達成した生島さんは研修生を卒業、1989年に保険代理店「ヒューマン」を創設。翌年に住友海上と乗り合い、大同生命を含めて生損保3社の商品を扱った。
93年に法人化し、徐々に営業マンを採用して拡大。生島さんは、同社の経営方針を「成功の鍵は人(Human)にあるとし、一人ひとりが徹底した戦略思考や保険のプロとしての資質を磨き、体ごとぶつかっていくような情熱を持とう」とした。
この頃から、勝ち残る代理店のあり方を模索し続け、差別化を図るためのヒューマンブランドの確立を目指した。2003年、同社が大きく飛躍する転機が訪れた。それは、ハワイの損保代理店「ノグチ&アソシエイツ」が主催する「ノグチアカデミー」の研修会への参加だった。
生島さんは第1期生としてハワイに渡り、4泊6日の研修を受けた。
「当時、日本の代理店は事業というよりも、家業のレベルだったので、研修内容はとても衝撃的でした」
驚いたのは、65名体制のうち営業担当者が17名で、残りの社員全員がバックオフィスだったこと。加えて、いろいろな部門の組織で構成されていたことだ。
「日本の代理店なら、圧倒的に営業担当者の割合を多くします。その構成は信じられないと思いましたが、そこに今後の代理店の方向性の確信を得ました」
同年、マーケットに支持されるサービスにスポットを当てた三位一体の構想をスタートさせる。これは、生命保険・損害保険・公的保険を総合的に考慮し、合理的な保障をプランニングする手法。従って、公的保険の仕組みや内容も説明し、3つを融合させた提案で無駄な保障を削除し、保険料の軽減も図る。さらに、法人開拓推進のために、社会保険労務士と提携し、賃金体系や人事、就業規則等の労務管理の相談窓口も設置した。
「これによって、当社1社だけで、全てのリスクマネジメントの相談ができるとアピールします。特に、労災部分は重なっている部分がありますから」
来店型ショップや損保サービス部門設置
常に勝ち残る代理店のあり方を模索していた生島さんに、耳よりな情報が入った。アイリックコーポレーションがFC展開する来店型ショップ「保険クリニック」だ。
「早速、アイリックコーポレーションを訪問し、説明を聞きました。使用するソフト『保険ナビゲーションIQ』もお客さまから十分満足していただけると思い、参画を決めました」
こうして、2005年に「保険クリニック」福岡中央店をオープン。当時、地方ではそれほど来店型ショップの展開が進んでおらず将来性のあるチャネルだと確信した。
「保険クリニック」は、完全予約制。見直し相談を希望する顧客は、電話や3つのWebから予約する。予約した顧客は証券を持参し、「保険ナビゲーションIQ」の流れに沿い、必要保障額の算出、予算に見合う商品の比較、見直し前と見直し後の総保険料の比較──等をディスプレイを見ながら説明を受ける。
「クリニックの知名度アップやブランド確立には、宣伝広告の量も影響します。今年は経費を掛けて、テレビやFMラジオでのCM、フリーペーパーでアピールしました」
一方、07年に損保サービス部門を設置し、オリジナルの事故管理ソフト「ロスコン」の活用をスタートさせた。これによって、事故受付から進捗状況、保険金支払管理、事故後の安全管理まで一括サポートが可能となった。
◇ ◇
同社の教育研修のスタンスは、みんな一緒にゴールまで走ろうというもの。全てマニュアル化されたセールストークの完全習得のための個別指導や、毎週月曜日の18時からの研修がある。
「研修では、個々に現在滞っている案件を報告し合い、それに対するアドバイスを受けたり、同行指導に繋げます」
また、同社の方向性を確認し合うための幹部ミーティングは毎週月曜8時から行う。以上のように、着実に顧客増大に成功してきた同社だが、顧客構成は法人が70%。特に、紹介の連鎖で拡大した地場の運送会社20社からの手数料収入は、全体の3割を占めるほど。
「ガソリン高騰時でも、リッター当たりのガソリンの走行距離を伸ばすことによる安全管理など、当社の活躍の場が多いマーケットになっています」
「保険クリニック」は今期初めて単年度黒字となり、2008年度の手数料収入は2億円を目指している。内訳は損保が約1億5000万円、生保が約4500万円、残りはコンサルタントフィーだ。
複数チャネル強化し安定化
一方、別会社「保険プラザ」の立ち上げという新戦略もスタートさせた。
それはキャリアの長いAIUの代理店10数店を束ねて、12社乗り合う代理店として再スタートさせるというもの。それによって、保険会社は管理しやすくなり、これまで1人で経営していた代理店は、スケールメリットを享受でき、多数社乗り合うことで、より顧客ニーズにマッチした提案が可能になる。
「彼らの多くは60歳以上でキャリアが長いため、良質なお客さまをたくさん持っています。その既契約者をもう一度洗い出し、保全をメーンに新商品の情報提供等を推進すればお客さまにも喜ばれます」
そのためのノウハウの提供や情報提供、さらに同行営業までヒューマン&アソシエイツがフォローする。最後に「当社の経営安定のため、(前述の)複数の販売チャネルそれぞれの専門性をさらに強化し、マーケットから支持されるよう展開していきたい」と結んだ。(本紙・樋口利子)
いきしま・しゅういち AIU研修生を経て、1987年「ヒューマン」設立。93年法人化。2005年「保険クリニック」オープン。07年「株式会社ヒューマン&アソシエイツ」と名称変更、自社社屋も完成させた。1955年福岡市生まれ。趣味はゴルフ。




