セールスパーソン

きのうちみちこ

保険の一元管理で顧客守る

有限会社 きのうちエージェンシー
代表取締役 木之内美智子氏

 

損保マーケットに生保提案

 

2年前に神栖市から鹿嶋市に移転した同社のオフィスは、来店型機能を備えている。代表取締役の木之内美智子さんは、既存の顧客が気軽に相談に立ち寄れるよう、正面をガラス張りにして中の様子が分かるようにしたと言う。オフィス内には多くのグリーンを配置し、顧客がゆっくりくつろげるテーブルも設置した。


同社は現在、生損保合わせて13社を扱い、スタッフは木之内さんを含めて5名が在籍している。顧客の軒数は約1,100。鹿嶋市周辺では、一家に数台の車を所有しているため、1軒で平均3件くらい加入しているそうだ。従って、自動車保険その他を加えると、4,000件以上(生損保合わせて)もの契約を保有していることになる。


木之内さんは、「当社のモットーは、お客さまの保険を一元管理し、スタッフたちの組織力でお役に立てるよう努めることです」と言う。
◇◇
木之内さんが保険業界に足を踏み入れたきっかけから聞いてみよう。
木之内さんは姉からの誘いで、大学3年生の時に損保資格を取得し、卒業後に旧大東京火災海上保険(現あいおい損保)の一般代理店としてスタートした。


当初は火災保険や自動車保険を販売しようと、自宅近くの独身寮に訪問した。しかし、営業指導など全く受けていない木之内さんはアプローチ法すらよく分からず、活動量の割にはなかなか契約に繋がらなかったという。


その後、建ったばかりのニュータウンへの飛び込み活動を開始し、積立傷害保険を販売する。しかし、それも思ったようにいかず、消防署や当時の村役場等の官公庁を中心に職域活動を始めた。
「効果的なアプローチ法も分からず、様々な工夫や試行錯誤を繰り返しながらも馴染み活動をしました。休憩時間にお饅頭を持参して一緒にお茶をしたり。高校にも訪問しましたが、あまり業績は挙がりませんでした」


そんな不遇時代を数年過ごしているうちに、自動車保険の事故処理をしっかり覚え、それがスキルアップに繋がった。そして自動車保険の既契約者に積立傷害保険やゴルフ保険を勧めた。


「その時は、大した手数料にはなりませんでしたが、そんな活動を繰り返したことで、確実に人脈が広がりました」


ところが木之内さんに転機が訪れた。それまで生保の営業のあり方に少なからず不信感を抱いていた木之内さんだったが、一般代理店としてアリコジャパンの生保商品を扱うことにしたのだ。


「最初の研修の時の説明を聞いて、それまで私が思い描いていた生保営業とは全く違うと分かりました。生命保険の考え方、保険の仕組み、商品の説明を聞き、これは絶対お客さまの役に立つ。生保をやるべきだと思ったのです」


研修の帰り道、その感激を持ったまま姉妹の家に寄って話を聞いてもらった。するとその場で2〜3件加入してもらえ、手応えを感じた。そして、木之内さんは損保の既存職域に生保の営業を仕掛けてみることにしたのだ。


「当時は更新型の生命保険に加入しているお客さまが多く、『更新型は保障期間を過ぎると、保険料が倍増してしまうことをご存知ですか?』と話して回ると、知らないと言う人がほとんどでした」


加えて、誕生日の1日前なら保険料が安いとアピールする「誕生日作戦」も始めた。そして1997年、木之内さんは「㈲きのうちエージェンシー」を設立する。損保販売を始めた当初から、顧客の家計や将来設計を考えて、顧客にとって一番良い商品を提案してきた。


その姿勢を維持しながら、顧客のお役に立ちたいという思いで、時間を掛けて信頼関係を構築し、証券診断に繋げていこうと思った。そんな思いが顧客に通じてか、アリコジャパンのがん保険は月に40件以上売れたそうだ。その後、アリコの代理店仲間たちからAFP資格の取得を勧められ、さらにCFP資格取得のための勉強会も始めた。


「CFPは受かるまで5〜6年掛かりました。とはいえ、それがかえって幸いしました。1回で取得できたら知識を忘れてしまいますが、何度も勉強したことで、全て頭の中にインプットされましたから」


AFP取得後から金融商品も扱うようになった木之内さんは、日本リスクコンサルタント協会でリスクマネジメントの勉強も始め、シニアリスクコンサルタントの資格も取得した。


「リスクマネジメントの勉強をしたことで、今の自分があると思っています。損保ではリスクコントロールを提案でき、公的保障の補完という形で生保が役立つことが提案できるようになったからです。それによってお客さまの損保、生保、資産運用まで一元管理ができるようになりました」


来店型機能備えたオフィスに 資産運用セミナーも開催

 

このように、既存の損保の顧客に生保商品を提案することで顧客拡大に成功してきた木之内さんだが、長くこの仕事を続けてきたことも大きな要因となっている。


「この仕事を30年以上やってきたことで、お客さまとの人間的な関わりが深くなりました。生保を始めた頃は、お客さまと旅行やゴルフ大会、釣り大会、納涼会等のイベントを開催して交流を深めました。それが今に繋がっています。紹介も知人や家族から枝分かれして広がり、法人へも繋がりました。今では枝葉の方が多く紹介してくれます」


同社が大きく生まれ変わったのは、2年前にテリトリー内での移動の短縮を考えて神栖市から移転してからだ。


「新しいオフィスは事務所というよりお店にして、既存のお客さまに来てもらうことをコンセプトにしました。お客さまが来店することは契約に繋がりやすいので、来てもらったらゆっくりくつろいでもらえるスペースも設置しました。実際に、40分くらい掛けて来てくれるお客さまもいます」


従って、同社は土曜日も平常通り営業している。同社の前を車で通る人がガラス張りの店舗を見て、来店する顧客が増えてきたという。


移転後から「きのうちAG便り」(写真右)を月に1度発行し、既契約者への情報提供を続け

たより
ている。毎月200枚郵送するバースデーカード(18歳以上の顧客)、暑中見舞い、年賀状等には、自分の言葉で金利や年金等の危機感を記しているそうだ。それらによって、相談客も増えているという。
◇◇
一方、同社では2年前からFPの仲間と提携して、月1回資産運用セミナーを開催している。既存の顧客20名を限定とし、チラシやハガキや電話で集客している。参加者は、ほとんど中高年のサラリーマンで、真剣に聞いてくれる。


「参加していただいたお客さまには、『保障と貯蓄を分けましょう。運用で貯蓄を膨らませ、その上でライフプランを考えましょう』と話します。そうすると、無駄やムラをなくすための保険の見直しに繋がるケースが増えてきます」


同社の今後の課題は、次の2点だ。


「今後、新規のお客さまを増加させていくためには、大手の来店型ショップと一味違うことを出していかなければと思っています。それは営業スタイルをがらりと変えるのではなく、自然体でいながら、絶えず足下を見ながら時代の変化に合わせて、お客さまには何が必要でどんな付加価値を求めているのかを考え提供していくことです」


もう一つは、バックオフィス体制をしっかり構築し、どのスタッフでも対応できるようにしておくこと。


「個々のスタッフをグレードアップさせ、みんながリーダーシップを取れ、且つ組織力も高めたい。また、当社の趣旨に合う損保代理店の人をスタッフに入れることも考えています」と結んだ。
(本紙 樋口利子)

 

きのうち・みちこ 大学卒業後、旧大東京火災海上保険の一般代理店に。その後アリコジャパン代理店登録、1997年同社設立。2000年CFP取得。1年日本リスクコンサルタント協会シニアリスクコンサルタント取得。その他、第1級ファイナンシャルプランナー技能士、宅地建物取引主任者、損保特級資格、認定生命保険士、特別会員証券外務員4種など取得。茨城県神栖市生まれ。
http://www.kinouchi-ag.com
拠点長読本
売れない時代のマネジメント術
少額短期保険情報
少額短期保険の動向・商品紹介
動画コメント
活動のヒントや最新事情を取材
連載
朝礼や訪問先での話題の引出し

ホーム本紙お申し込みサイトマップお知らせ販売ノウハウセールスパーソンアーカイブスショップ