支社長初場所物語
第12話 仕事に対するモラル高くも、本社に反抗的
機関長や営業職員、あるいは支社事務のメンバーとコミュニケーションが滑らかに進むようになった頃には、森さんが着任してから1年が過ぎ去っていました。
あっというまの一年です。業績のほうは目覚しい動きとはいえませんが、支社全体の雰囲気は様変わりになりつつありました。
年に一度は本社人事部から担当者がやってきて機関長や事務職員との個別面接が実施されます。最終日には人事の担当者から支社長に対して総合的指導があります。
森さんは面接が始まる頃から事務職に、「おい、頼むから俺の悪口は言わないでくれよ」と冗談を言うくらいでしたので大して気にもしなかったのですが、初めてのことでしたので一抹の不安もありました。
「支社長、感心しました。こんなに仕事に対してモラルの高い支社は初めてです」人事の担当者の最初の言葉は森さんの予想を超えたものでした。
その後のコメントには森さんも些か驚きましたが、実を言うと嬉しくもありました。
「しかし、ほとんど全員が本社のやることに批判的、反抗的ですね。」担当者は笑いながらでしたが、森さんは苦笑いです。
しかし、支社の数字に動きが出てきたのはこのころからです。しっかりした実働と成果、効率的な事務、森さんが言い続けてきたパーヘッド、個人能率は着任時の全国最下位レベルから毎月ベスト10に顔を出す常連支社になってきました。



