連載

 

支社長初場所物語

第7話 支社経営の信念を通してのマイナス


 森さんが着任してからあっという間に3ヵ月が過ぎていきました。森さんにとっては正しい政策で取り組み、拠点長や営業職員、スタッフ以下事務職員にも無理強いの仕事はさせていません。しかし残念ながら毎月の業績は前年同月比マイナスが続いていました。
  
 本社の販売担当役員からも電話がかかってきました。森さんは機先を制して「ご心配をおかけして申し訳ありません」と切り出しました。担当役員は嫌味たっぷりの口調で「おう、心配しとるよ」と切り替えします。
 
 森さんはご指導のお言葉を聴きながら、それでも何か自分に足りないヒントを探していました。確かに得るものはあります。その最大のものは人の動かし方です。
 
 人をいかに動かすかは支社長にとって重要なファクターです。本社役員から先輩支社長、同僚まで参考になるアドバイスをくれます。
 
 しかしなかなか自分のものとして消化し体現化できるものはありません。新入社員の頃「人を動かす」というベストセラーを読まされたことまで思い出してしまいました。
 
 人を動かすことに関して、この頃の森さんの頭にあったのは司馬遼太郎の「項羽と劉邦」です。その後森さんが支社長職を3場所続ける中で常に意識してきたエピソードがあります。
 
 随分昔に読んだその本のエピソードを天啓のように思い出したのですが、後々読書が人生のプラスになる一つの例だと拠点長やスタッフに語ることになります。

 

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