第3話 成約を挙げていくには
世の中色々な人がいます。興味を持つポイントが同じ人もいれば全然違う人もいるはずです。ところが、営業経験の少ない人や、成績のよくない人はどんな見込み客に対しても同じようなトークでアプローチしがちです。それでは一定の成約率でしか契約数は増えません。契約数を増やそうと思ったらひたすら多くの人に会い続けなくてはなりません……。
ちょっと工夫して成約率を上げる努力をしてみたらいかがでしょうか?ここで、最近私が経験した例をお話したいと思います。
ある日、営業経験の少ない新人から同行訪問を頼まれ訪問しました。そこは前職がらみの関係で利益も出ている法人でした。傲慢な社長と聞いていましたが、社長にアポが取れ伺いました。案の定、社長は「俺は保険にはもうすでに、いっぱい入っている。仕事の付き合いで入って辞められないのもあるし、お前のところからは入れない」と、全く聞く耳を持っていません。
それどころか、社長は私たちの席にもつかず、自分のデスクに座ったまま作業をしながら私たちの話を聞く(実際には何も聞いてはいませんが……)という状況でした。全く私たちを邪魔者扱いかご用聞き程度の態度です。それでも、新人は会社で教わったとおりの基本的なセールストークで話を続けています。
社長に話を投げかけてもほとんどリアクションはありません。隣でずっと聞いていた私はその傲慢な態度に頭にきて、こう切り出した。
「社長!社長の会社はかなり利益が出ているそうですが、全額経費で落ちて、解約したらほとんど戻ってくる保険があったら興味ありますか?」
社長は「ビクッ」として初めてこちらを向き「それはどういうことだ?」と問い返してきました。「実はこういう保険があるんです」と言ってある保険種類の話をしました。それがきっかけとなって話は進み、社長も会社の実情を話してくれ、ニードも把握できました。
結果的には聞き耳を立てた保険種類とは異なる、社長の今のニードに合った保険を販売できました。いきなり、節税の話から入ったり、保険設計書やパンフレットを提示するという方法は、私にとっては嫌いなやり方だし、ニードセールの本筋からいえば邪道です。
しかし、お客さまにもいろいろなタイプがいます。それを会社で習ったロールプレイングの通りやろうとしても、通じなくて当たり前です。
たまたまその話法に合ったお客さまなら契約になりますが、合わなかったら契約にはなりませんので、成約率は下がります。
昨今の厳しい環境下では会えるお客さまを増やすのは難しいでしょう。せめてお会いできたお客さまからの成約率を上げなくてはなりません。成約率を上げるには、様々なタイプのお客さま、様々な状況に対する切り口となる、営業の「引き出し」を考え、持っておく事が重要です。
お客さまの心のどこにフックが掛かるかを探り、掛かったところ(お客さまの興味のあるところ)を中心に話を展開すれば必ず聞いてくれます。聞く耳さえ持って頂けたら、後はじっくり話ができます。じっくり話しさえできればお客さまのニードも把握できますので、満足いただけるプランが提案できます。
ところが、回りの売れない営業を見ていると、毎回同じようなトークを繰り返しています。お客さまの興味の有る無しは関係なしです。これでは一種の押し売りですよね(ちょっと言い過ぎでしょうか?)。
うまくいかなかった時でも、なにが悪かったのか分析もせず、また次のお客さまにも同じようにセールスしています。
唯一やってることといったら、マネジャーと一緒にロープレをやり、ああでもない、こうでもないと言って重箱の隅を突くような言い回しの訂正程度です…そんな事をしても成約率は上がりません。
また、マネジャーは「とにかく多くの人に会え」とスケジュール管理をことさら強います。人に会うのは営業として最も大切なことですが、人に会って仕事をしている気になってしまっているのは問題です。そんな状況下でお客さまに会うと、会えば会うほど自分の見込み客をつぶしていることにもなります。頭を使って試行錯誤を繰り返して、引き出しを増やしていかないと営業成績はジリ貧になるのは火を見るより明らかです。
お客さまに会いに行く前から話す内容を決め、その話に終始していませんか?
その説明に必死になり、お客さまの微妙な反応を感知できなくなっていませんか?
興味が無いと感知してもそのまま用意した話を押し通していませんか?
話の中でこのお客さまは何に興味があるのか、フックが掛かるところを探そうという意識でアンテナを高くして商談に臨めば、また違った展開になると思います。



