販売ノウハウ

悩める営業パーソンを救え
営業コンサルタント木戸一敏氏

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見込度アップは究極の二者択一のトークで

 

Q 上司から『あなたは見込客の判断基準がいつも甘い』と言われます。良い感触だと即、見込み客だと思ってしまうのは、営業力がないからでしょうか?

 

生保営業2年目。保険の見直しをした方がよい条件のお客さまに会いました。そして、昔の保障内容をより充実させ、保険料はあまり変らず、という説明をしたら熱心に聴いてくれ、次回の面談の約束も取れたので、見込客の表に記入しました。しかし、上司からいつも上記のように言われているので、まただめかもしれないと不安な気持ちもあります。感触が良いので、どうしても契約にならないお客さまを追いかけ続けている傾向は確かにありますが…。思い切る度胸がないのかもしれません。

 

A 見込客の判断基準が分からない 確かに見込客の判断基準を持つというのは、簡単なようで難しいものです。

 

私も住宅リフォームの営業マン見習いの時、似たような経験があります。 訪問営業をしていると、ほとんどの人に「うちは結構です」と断られます。そんな中、必ず1人くらい愛想のいい人がいます。

 

「ごくろうさんです」ほとんどが即断られてきたので、こんなことを言われるだけで「もしかしたら、かなり見込度が高いかも」と期待してしまいます。 しかし、どんなに話をしてもなかなか進展しません。そうかといって断る素振りもないので「これはもっと話を続けて、商品に興味を持ってもらおう」と1時間くらい話し込んでも相変わらず。

 

そして、トークがネタ切れ。仕方がないので、次のアポイントを取ることに。すると、時間の約束をしてくれません。でも、そうかといって「うちは必要ないから」とは言いません。 アポが取れなかったので一週間後に、訪問してみました。そこでもそのお客さんは、断りません。

 

「やっぱり見込度の高いお客さんだ!」と期待に胸を膨らませながら話をしても、初回と同じように相変わらず煮え切らない。そしてまた、日にちを改めて訪問。結局、計6回の訪問をしても全く興味を持ってもらうことはできず終い。

 

「あのお客さんは、断りたくても断れない人。やらない人だよ。もっと早く見極めないと…」と、先輩から時間のムダだと言われてしまいました。 もう1つ私の失敗談があります。今度はこの例と反対です。

 

いつもと同じように1軒1軒、訪問していた時、「うちはリフォームの必要がないので」と即、断られました。それから2ヵ月後、その断られたお宅の前を通った時です。なんと、他の会社でリフォーム工事を始めているではないですか! 「うちはリフォームの必要はない」とあっさり断られた時のことを思い出したんです。その時、「このお客さんは本当に必要としない人だ」と判断した記憶があります。

 

でも、そうではなかった。リフォームがやりたい気持ちを持っている人だった。 そして6ヵ月後、ショッキングなことが起きました。それは私の営業エリア内に、リフォーム工事を始めた家が立て続けに5軒も発生。しかも全てに話をした記憶のあるお宅ばかり。

 

「リフォームをするお客さんだったんだ…」。後悔先に立たずとは、正にこのこと。 「この人は、リフォームをやる気がありそうだ」と思っていた見込客は、実は全くやる気がなかったり、その反対に「この人は、全くリフォームをやる気はないな」と思っていた人が、実はやる気十分だったり、全く予想ができない。

 

「やる客やらない客をどう見極めていけばいいのか?」。正直これから先、営業で本当に食べて行くことができるのか、この私の営業エリア内での5件リフォーム工事が始ったことで、一気に自信を失いました。 生気のない私の姿を見た先輩が、「それはちゃんと明確な判断基準がないからだよ」とアドバイスしてくれました。

 

「今の木戸君の話を聞くと、言葉の端はしに『やる気のある人だと思った』とか『やる気のない人だと思った』とか『思った』ことで判断している。これがうまくいかない原因かもね」 先輩の話では、このような客観視できない判断は、何の基準もないというのです。

 

「思った」で判断するのは、ただ単に自分にとって話しやすい人か、話しにくい人なのか──。こんな判断で営業をやっていたんでは、何年やっても契約は取れない。 先輩からのこの話を聞いて私は、穴があったら入りたいくらい恥ずかしくなりました。図星だったからです。まさに私は、ただ単に自分にとって話しやすかった人か、話しにくかった人なのかで判断していました。 しかし私には、何をどうすればいいのか解決策がまるで考えられません。先輩が言う、客観視できる判断基準というのが、全く想像できなかったんです。

 

ノーを強調して選択権与える

 

「実は判断基準なんてものすごく簡単なことで、難しく考えるから混乱してしまうんだよ。ただイエスなのか、ノーなのかを聞くことができれば、その答えで判断できる。そうすれば相手が、ある仕草をしたら話をし続けるなんて小難しいことをやる必要は一切ない。ただイエスなのか、ノーなのか2つに1つだからね」

 

「そんな感じで白黒をはっきりさせようとしたら、ほとんどの人が『ノー』になってしまいますよね」

「いや、そんなことないよ。この方法でやると極めて効率的な営業ができるようになる。買うお客さんとだけ話をすればいいわけだからね。反対にちゃんとはっきりさせないと、買わない客の家に何度も行く羽目になっちゃうしね」

「先輩は実際、どんなトークをしてますか?」

「例えば、次回訪問の約束をする時だったら『リフォームに興味がありましたら今度ご主人さんがいらっしゃる時にお伺いしますが、その必要はありますか? それともお伺いする必要はないですか?』という感じかな。これを、究極の二者択一トークっていうんだけどね」

 

先輩の話によると、この【究極の二者択一トーク】の秘訣は、ノーを強調することにあるというんです。 このトークの最後「その必要はありますか? それともお伺いする必要はないですか?」の部分の「それともお伺いする必要はないですか?」をしっかり言うこと。

 

これが「リフォームに興味がありましたら今度ご主人さんがいらっしゃる時にお伺いしますが、その必要はありますか?」のトークでは、ほぼ100%「ノー」の答えしか返ってきません。

 

実はこのトーク、相手に選択権を与えているようで与えていない。相手は、売込みをさせられているように聞こえてしまうんです。 「その必要はありますか?」イコール「必要ですよね」とお客さんは売り込みをされてるように感じ取ってしまいます。

 

そうならないように「その必要はありますか?」の後に、「それともお伺いする必要はないですか?」と相手が断りやすいようにしてあげる。こうすれば相手に本当の選択権を与えるトークになります。 さらに先輩は、相手が断りやすいように、「もし必要ないようでしたらご遠慮なく言ってください」と付け足すと言うんです。

 

実際にこの【究極の二者択一トーク】を使ってみて驚きました。 「リフォームに興味がありましたら今度ご主人さんがいらっしゃる時にお伺いしますが、その必要はありますか? それともお伺いする必要はないですか? もし必要ないようでしたらご遠慮なく言ってください」と話すと、それまで話をしていても、あまり興味がなさそうな素振りだったお客さんが、「えっ、必要ないってわけではないんですけど。そろそろとは考えてるんですけどね」というではないですか!

 

この【究極の二者択一トーク】は、判断基準を明確にすると共に、本音を引き出すトークでもあります。営業マンの都合だけを押し付けようとする判断基準を持つのではなく、お客さんに選択権を渡す究極の二者択一トークで、お互いをハッピーハッピー関係にしていきましょう!

 

木戸 一敏きど・かずとし モエル株式会社代表取締役 学習教材や住宅リフォーム等の営業マンを経て独立。住宅リフォームの会社を経営し、年商3億円まで業績を挙げるが7年後に閉鎖。2002年営業コンサルタントとして同社を設立。「小心者専用」の営業セミナー、メールによる営業相談、営業スキルのCDやビデオ制作、本の執筆等幅広く活躍中。
モエル株式会社 http://1-eigyou.com
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