販売ノウハウ

悩める営業パーソンを救え
営業コンサルタント木戸一敏氏

 

File 1
お客さまが問題意識を持つ話法の組立を

 

Q 紹介されたお客さまと1度会い、面談をしたので2回目の面談をしようと思っていますが、アポが取れません。

1度目の面談終了時に、「次の面談をいつにしましょうか?」とお客さまに聞いたら、都合の良い日を後で連絡するからと言われました。待てど暮らせど連絡はないし、こちらから電話をするといつも留守で、メッセージを入れても返信がありません。それで、最初の面談の仕方が悪かったのか、と不安になってしまいました。

 

A 順に質問投げ掛け、回答に導く

そうですね。意外と初回面談よりその次のアポを取る時の方が、難しかったりしますよね。私もそんな経験が数え切れないほどあります。

 

「初回面談の時は、あんなに感触が良かったのに、一体どうなってしまったんだ!」と叫びたくなるくらい、2度目に訪問した時のお客さんの態度は急変。さっぱりワケがわかりません。

 

それじゃ「鉄は熱いうちに打て!」とばかりに初回面談で話を詰めようとすると、「うちは結構です」とキツく断られてしまう。後になって冷静になって考えれば、確かにあれじゃ単なる押し売り。うまく行くはずがありません。 ところが、あることを知ったことで次回訪問の約束がスムーズに取れ、さらには2回目訪問の時、「お待ちしてました」と言わんばかりにお茶を用意して迎えてくれるようになりました。

 

その、あることとは…。 これは7年前、私がリフォーム会社を経営していた時の話です。なかなか営業成績が上がらない営業マンのB君。いつも2度目のアポが取れず、やっとアポが取れてクロージングをしてもいつも保留…。B君は入社して半年です。そこで私は、B君が一体どんな営業をしているのか様子を見ようと、同行することにしました。お客さんに見積書を渡して、B君が説明を始めました。

 

「私どもの工事のやり方は、手抜きがないように下塗り・中塗り・上塗りの3工程それぞれ色を変えてやります。これを『3工程3色塗り』と言います。一度完成してしまうと本当に3工程やったかどうか確認することができませんので、工程ごとに色を変えてそれを写真に撮って提出することを実施しています」

なかなかどうしてB君はちゃんと説明をしています。実はこの『3工程3色塗り』は、他社にない圧倒的差別化を図る当社独自のシステムです。

 

ところが結果は、やっぱり保留。あれだけしっかりB君が説明したはずなのに、B君が次回のアポを取ろうとするとお客さんは逃げ腰。「お宅にお願いする時は、電話しますので」。結局は次回のアポが取れずじまいに。

確かにB君のトークはある程度できていますが、何かが不足しています。でも、それがわかるようでわかりません。 それから1週間後、見積書を提出したお客さん宅に再び営業マンのB君と伺いました。

 

「ごめんなさいね。すぐ近くにあるリフォーム屋さんでやってもらうことにしました」

「そうですか。わかりました。何か私どもでもお役に立てることがありましたらご連絡ください」

B君がそういって帰ろうとした時、私はその奥さんに聞きました。

「あっ、ちょっと参考にお伺いしたいのですが、そのリフォーム屋さんもやっぱり『3工程3色塗り』でしたか?」 「えっ、なんでしたっけ?それって?」

「えっ、営業のBが見積書の説明をした時、手抜き工事にならないように下塗り・中塗り・上塗りの3工程、それぞれ色を変えてやる方法のことですけど…」

 

何んと、お客さんの頭の中には、『3工程3色塗り』の「3」の文字も残っていない。記憶に残っているのは、見積もり金額が高いということだけ。これじゃ絶対、契約にはなりません。

 

「なぜ、あれだけちゃんと『3工程3色塗り』の説明をしたのに、全く記憶に残っていないのか?」 B君がいつも次のアポが取れない原因の全てがここに隠されている。私はそう確信したんです。記憶に残らない原因は多分、興味を十分に引き付けることができていないからです。

 

会話に参加させ興味を引く

 

B君が商品の説明をしていた時のことを改めて思い出すと、一方的に話をしているように感じる点があります。B君の話に、お客さんが少し飽きた顔をするのは、そんなことが原因なのかもしれません。これを解決するには、簡単な話、お客さんと会話をするようにすればいいわけです。

 

「そのお客さんによりますけど、でも急に会話をしろと言われても…」

 

B君にとって、これがなかなかできないようです。確かにただ単に「会話をしろ」と言われて、「はい」というわけにはいきません。予め、何を話すかを決めておかないことには、行き当たりばったりの営業になります。そこで、私はB君と営業トークの組み立てを行うことにしました。

 

「お客さんが『3工程3色塗り工法』を知らないと、どうなると思う?」

「手抜き工事をする業者に引っかかってしまいます。その結果、後で塗装が剥がれたりとかのトラブルが起きます」

「じゃ、そういったトラブルに遭わないためには、どうしたらいいと思う?」

「信用できる業者に頼むことです」

「その信用できる業者がどこにあるのかわからないし、どうやって見極めればいいかがわからないんだけど、どうすればいいと思う?」

「見極め方ですか…」 「その見極め方が、当社の売りの部分だよ」

「あっ、わかりました!信用できるかどうかの見極め方は、『3工程3色塗り工法』をやって、工程ごとに写真を提出する業者に頼めば間違いないということですね!」

 

つまり、お客さんがなぜ『3工程3色塗り工法』が必要なのかがわかるようでわからなかった。だから、なぜ必要なのかがわかる順番で質問をしていけばいいわけです。そこで、私が質問した順番を組み替えて、トークを組み立てることにしました。 『3工程3色塗り工法』という答えが、一番最後に来るように。そこでできたトークがこれです。

 

「今、テレビや新聞で、リフォームのトラブルが問題になってますが、ご主人さんはこれをどう防ごうとお考えですか?」

「やっぱり信用のある業者に頼むことだよね」

「そうですよね。ご主人さんの言われるとおり、信用できることが何よりです。ところでご主人さんとしては、その信用できるできないをどう見極めようと思われてますか?」

「それがわからないから困っているんだよ」

「そうですよね。リフォームというのは、一度やってみないとわからないですから。もし、工事をする前に100%手抜きなしに工事をするシステムがあるとしたら、ご主人さんはお知りになりたいですか?」

「そりゃそんなシステムがあるんだったら知りたいよ」

「はい、それがあるんです」 「どんな?」

 

ここで初めて『3工程3色塗り工法』の話をするんです。 興味を引き付ける第一歩は、会話に参加させること。そして、ただ参加させるだけではなく、問題意識を持たせることです。

 

そのためには「リフォームトラブルの問題をどう防ごうと考えているのですか?」と質問を投げ掛けることです。 問題意識を持たせた次に、この問題を解決する答は何であるかをお客さんから質問を受けるように組み立てます。

 

答えは自分からは絶対に言わない。お客さんから聞かれて初めて答えるようにトークを組み立てるのがポイント。そうすることで十分お客さんに興味を引き付けることが可能になるわけです。

 

このトークを身に付けた営業マンのB君。次回訪問の約束が取れるようになったのはもちろん、契約本数もぐんぐん伸びてきました。何よりも顔が自信に満ち溢れてきたのが嬉しいです。

 

きど・かずとし モエル株式会社代表取締役 学習教材や住宅リフォーム等の営業マンを経て独立。住宅リフォームの会社を経営し、年商3億円まで業績を挙げるが7年後に閉鎖。2002年営業コンサルタントとして同社を設立。「小心者専用」の営業セミナー、メールによる営業相談、営業スキルのCDやビデオ制作、本の執筆等幅広く活躍中。
モエル(株)http://1-eigyou.com
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