販売ノウハウ

法人と個人の両方で挙績
将来の変動予測を織り込んでプランニング

 

定期的にウォッチングし商機狙う

 

■5年頑張れば

生命保険セールスは5年頑張れば、長続きすると言われている。5年経てば最初に契約してくれたお客さまのライフサイクルも変化していて、結婚した、子供が生まれた、入院日額を増額したい、などと相談があり、それに合わせたセールスができるし、新商品も発売されるからだ。


法人にしても、オーナーの息子が入社した、役員交代があった、社長が勇退した、前にセールスした逓増定期保険の解約返戻率がピークに達した、など定期的にウオッチしていれば効果的な提案ができる。


しかし、お客さまニーズの変動に応える提案をする前に、他社のセールスに契約をひっくり返されてしまうことが多いという営業職員が多いのが現状だ。以前に自分が勧めた提案の問題点を突いてくるから、常にお客さまと接点を持ち情報を収集し、他社提案の問題点を最大限アピールするなど対処方法には気を遣う。


ならば最初から「将来の変動に対応できる機動性を併せて提案」しておくのが、プロの提案だ。法人契約の定番は、逓増定期保険と長期平準定期保険だ。


逓増定期保険は、2008年3月に保険料の処理方法が改正され、全損タイプはごく限られた条件でしか成立しなくなったため2分の1損金話法での提案が中心となり、訴求力が弱くなったことは否めないが、被保険者の年齢が高くなると、解約返戻率の高さだけではなく、純粋な勇退退職金の準備としてのニーズもあり、短期間で勇退退職金に見合った解約返戻金額となる保険設計を行うことは重要だ。

 

相続対策も兼ねているからと訴求

 

■公私混同もあり

逓増定期保険で、高額契約をしてくれる中小企業オーナーの多くは、相続税も心配している点に注目したい。相続税対策は個人契約で対応するのが一般的だが、かならずしも相続税対策に適した個人契約に入っていないのが現状だ。

よくあるのは、保険種類が定期付終身タイプで相続発生時が想定される年齢での死亡保険金が数百万に過ぎず、支払う相続税のごく一部にしかならなかった、という例だ。


保険窓販で投資型年金を提案する銀行員は、70歳代で終身保険への加入をあきらめている中小企業オーナーに的を絞って提案していた。


中小企業オーナー自身の意識にも問題がある。「個人の金は俺のもの。会社の金も俺のもの」という公私混同だ。節税できる、社会的信用が得られる、などの目的で法人成りした零細・中小企業オーナーは会社の金も個人の金もほとんど区別していない。生命保険も、個人と法人が一緒くたになっており、実質的には同じ財布から保険料が支払われている。


■法人契約で対策を

相続対策には個人の契約で終身保険に加入するように勧めてもあまり乗ってこないが、「法人で契約する2分の1が損金の生命保険で勇退退職金の準備も相続税対策も打てますよ」と話すとこちらの提案に乗ってくる。

逓増定期保険に限らず、長期平準定期保険でも、一定期間(契約後2年または5年以上)経過していれば、終身保険に変更することができる。注意しておきたいのは、割増保険料のついた契約、保険料払込免除が適用された契約では、保険種類の変更はできないことくらいだ。


1本の契約がお客さまニーズに合わせてどのように形を変えていくか見てみよう。


□契約当初

契約者=法人
被保険者=社長
受取人=法人


とし、社長の勇退退職時に当該契約を解約し、受け取った解約返戻金を勇退退職金として支払うというプランを提案する。プロの提案は、さらに、


□社長勇退時

契約者=法人→社長
被保険者=社長
受取人=法人→社長

 

と契約者変更(生命保険証券に裏書き)し、生命保険証券を勇退退職金として現物給付することができることを説明。

名義変更された個人契約の逓増定期保険あるいは長期平準定期保険は、解約返戻金の全額または一部を使って一時払終身保険に保険種類を変更できる点をアピールする。

 

個人契約の変更も話法に組み込む

 

■伏線を引いた話法で

一時払終身保険は、契約後3〜5年程度経過すると解約返戻金が一時払保険料を上回るため、資産運用としても機能する。特に、予定利率変動型や有配当型などの終身保険ではインフレ抵抗力があるのも強みだ。後述するが、最近は、原油や穀物をはじめ物価の上昇を肌で感じる機会が多くなってきているだけに、一時は死語に近かった「インフレ」を前面に出しても違和感がなくなった。


法人契約の時……法人の借入金返済原資、オーナーの死亡退職金原資など
勇退退職の時……勇退退職金の原資
契約者変更の後……資産運用、相続(税)対策


と一粒で三度美味しい、契約となるわけだ。


中小企業オーナーに相続税対策として個人で終身保険への加入を提案するのが本筋ではあるが、法人契約で相続税対策という切り口はいまでも関心が高い。通り一遍の話では敬遠されがちな相続(税)対策も、損金処理できる法人契約を伏線に引きながら提案することで、契約の可能性が広がっていく。

 

■3つのポイント

個人契約でも同様に保険種類の変更を積極的にアピールする例が増えている。
収入保障保険(家計保障定期保険、年金払定期保険などの名称もある)をメーンに販売する外資系生保などでは、契約当初は収入保障保険として契約し、途中で終身保険(または定期保険)に変更できる点を強調している。生保会社によっては終身保険に保険種類を変更した後、さらに個人年金への変更が可能となっているようだ。

 

収入保障保険で保険種類を変更するプランの提案ポイントは、より割安な保険料プランの提案、インフレ抵抗力のアピール、多様なニーズ対応の3点だ。


景気が回復基調にあるとはいえ、零細企業の20〜30代の賃金は低く、必要保障額を算出し最適プランを提案しても保険料が高すぎるとなかなか契約に至らないケースがある。高い保険料を安くするには、保険金額を下げる、保険料支払期間を延ばす、保険種類を掛け捨ての定期保険型に変えるの3方法がある。

 

収入保障から終身、定期保険に

 

■葬儀費用を確保

従来の平準定期保険から収入保障保険にすることで保険料を割安にしても、まだまだ保険料を引き下げるためには、葬式代をカバーする終身保険の保険金額を下げるか、終身保険を提案しない方法しかない。

遺族生活費に比べて葬式代は20代・30代に限らず現実感に乏しい。なら保険料を引き下げるために終身保険を提案しないが、将来不安になった時には収入保障保険を終身保険に変更できるオプションも併せて提案しておくわけだ。


「よくお年寄りが息子や娘には迷惑を掛けたくないから、葬式代だけは手当しておきたいといいますよね。50歳代で子供の教育費も不安がなくなったら、この保険を葬式代をまかなう終身保険に変更できますよ」と一言添える。


変更にあたっての要件は、収入保障保険の受取年金額を年金現価で割り戻した金額が終身保険の保険金額の上限となること、80歳以前で保険期間満了前であること、割増保険料のついた契約と保険料払込免除が適用された契約では変更できない点に注意しておこう。


ちなみに、年金現価とは、将来発生する利子を割り引いて算出した現在の保険契約の価値を言い、個人年金などを一括受取する場合などにも使われる係数である。


収入保障保険は終身保険に変更する以外に、定期保険に変更することも可能だ。景気回復でインフレが生命保険提案に与える影響も無視できなくなるだろう。

 

将来に余地残すクロージングで

 

■インフレ対応を

収入保障保険は、「遺族の生活費―公的年金」で計算された不足額を年金として受け取る提案を行うが、インフレについては考慮されていない。かつて批判を浴びた定期付終身保険では、遺族生活費は時間の経過とともに減少していく(右肩下り)が、インフレがあるため、その目減り分を勘案すると保険金額は大幅に右肩下がりの設計はできないから平準定期保険を提案していた。

その後、デフレ時代が続き、インフレを無視して、必要保障額の右肩下りだけが強調されてきた。そのデフレも景気回復とともに終焉を迎え、いよいよインフレ対応を生命保険設計にも反映させる必要が出てきたわけだ。


収入保障保険に契約したが、インフレの影響で「収入保障保険の受取年金額が、必要保障額を下回る」ことが想定される時には、その時点での収入保障保険の受取年金額を年金現価で割り戻した平準定期保険に保険種類を変更できるわけだ。


要件としては、収入保障保険の受取年金額を年金現価で割り戻した金額を定期保険の保険金額の上限とすること、変更前の残存保険期間を下回らず、かつ変更後の保険期間が10年以上あること、割増保険料のついた契約と保険料払込免除が適用された契約では変更できない、などがある。


■借入金対応以外にも

収入保障保険を法人契約した場合もチェックしておこう。
法人が収入保障保険に加入するのは、借入金の返済原資とするのが一般的だ。収入保障保険の年金は受取年金総額を年金現価で割り戻した金額を一括で受け取ることが可能だ。


収入保障保険の一括受取額は時間の経過とともに逓減していくため、法人の借入金返済額の逓減に近い形となり、合理的な提案となる。

保険料を引き下げたいというニーズはまだまだ強い。中小・零細法人のニーズが借入金の返済原資確保に向いてはいても、将来のオプションとして「借入金の返済にめどがついた時は、この収入保障保険を勇退退職金の準備に使えるタイプの保険に変更できますよ」と一言添えるわけだ。


中小・零細企業の場合、長期平準定期保険での提案もあるが、バランスシートを棄損させず含み益も作れる終身保険にメリットを感じるケースもある。その時点で選択する保険種類は今決めなくても良いことを話しておけばよい。

 

(ご注意)税務は執筆時点のままとは限りません。各商品の約款上の取り扱いに関する部分は各社ごとによって異なります。

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