2016年11月19日 2792号紙面から
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渡辺室長はまず、第一四半期の運用の特長を次のように指摘。
①確定利付資産では、ヘッジ外債の積み増しを約8000億円実施。
②リスク性資産(デリバティブ含む)では、内外株式とオープン外債の残高をともに約2000億円ずつ削減。
オープン外債の残高削減の理由については、こう述べた。
「今年は英国のEU離脱問題、米国大統領選など政治的不透明感が高く、円高に振れるリスクが相応にあるという見通しのもとで、期初の段階で残高を削減した」
一方、円債では20年債利回りが6月末には0・08%と限りなく0%に近い水準まで低下。足元でも0・5%の水準だが、円債の新規投資はしていない。渡辺室長は円債利回りの推移を示し、「保有しているストックの利回りは過去5年、2%弱を維持している。円債は相応に平均残存期間は長く、円債利回りはそう変動しない」ことを強調する。
では、下半期はどのような運用スタンスで臨むのか。
〈円債〉 下半期についても国債は引き続き償還により純減。クレジット投資は上半期と同じように継続するが、償還がある程度想定されるので、ネットでは純減の見込み。
〈ヘッジ外債〉 4月〜6月に大幅な積み増しをした。下半期は足元横ばい。
〈オープン外債〉 上半期は減少。下半期は為替水準しだいで残高をコントロールしていく。
〈オルタナティブ〉 上半期は横ばいだが、下半期はプライベートエクイティを中心に新規分野への投資を強化する。
超低金利環境が続く中で、どのように収益力を強化していくか。この答えとして、渡辺室長は2つのポイントを挙げる。
①外債やリスク性資産への機動的な資金配分
②新規分野への投融資の拡大
2013年度後半以降、円金利対比での投資妙味を勘案して、ヘッジ外債への投資を拡大してきた。しかし、国債10年債と米国10年債のヘッジコストを考慮した後の利回りは、足元ではほ同じように0%前後。米国の金利トレンドも低下基調で、ヘッジコストも相応に高くなってる。
これに対して、欧州周辺国や米国社債(BBB格)のヘッジ後利回りは、国債10年債よりも高い。「過去と比べると日本国債とのスプレッドは小さくなってきているが、グローバルに見渡せば、ヘッジ後利回りが相応に魅力的なところがある」と渡辺室長。
また、通貨分散では米ドルの比率は低下。61・6%(2012年3月末)から47・9%(2016年3月末)と5割を切った。その他が6・8%から16・5%に拡大。通貨分散を進め、32カ国22通貨となる。
セクター別でも国債は52%で、社債(32%)とモーゲージ債(17%)で半分を占める。「通貨やセクターを分散することで外債全体の利回りを確保している」
新規分野で今年度、重点的に取り組んでいるのが「インフラ投資」「航空機ファイナンス」。プロジェクトファイナンスないしアセットファイナンスと呼ばれる分野だ。
直接投資をする信託スキームとファンド形態での投資があり、それぞれのスキームを開発。世界のプロジェクトファイナンス市場は年間30兆円といわれ、「間尺に合う案件を質量の両面からアクセスしたい」と意欲を示す。
Q 下半期にヘッジ外債は横ばいになっているが、その理由は。
渡辺 新たに積み増す予定はないが、すでに投資しているポートフォリオは相応の残高がある。その中での通貨、地域の入れ替えは、金利の見直し、ヘッジコストの状況を見ながら、適宜エクスポージャーを変更していく。今日(10月25日)段階でヘッジコストはドル円で1・5%〜1・6%の水準だが、この水準なら大きく動かす必要はない。これが来年3月に向けて、米国経済は底固い成長が続き、政治的透明感も晴れ、段階的に利上げが織り込まれる中で、ヘッジコストが2%、さらに上昇していく状況になれば、必要に応じて通貨の入れ替えなどを含めて検討する。
Q 上半期の新規分野への投資額はどれぐらいか。今後、どの程度まで積み増していくのか。
渡辺 2015年度までは2000億円というメドで投資を行ってきた。今年度以降は「金額ありきの形」で投資は行わない、と方針を変更した。これまで投資をしている過程でも市場環境が大きく変わり、それまで割安の分野が急激に割高に進むことが散見された。
投資金額を強調し過ぎると、リスク分析が甘くなる可能性がある。リスクをしっかり見て、目線に合うものだけに投資していく。上半期の実績はインフラ投資、航空機ファイナンスで1000億円を超える新規投資をした。
Q 運用高度化の取り組みの中で、商品開発への貢献を上げている。一時払系の貯蓄性商品は売り止めになっているが、新しい貯蓄性の開発は何か進んでいるのか。
渡辺 マイナス金利環境の中で、貯蓄性の設計はなかなかしにくい。団体年金と個人分野では別の対応をしている。特別勘定の「第2総合口」(3月末の受託実績約2000億円)、「債券総合口」はリスクをコントロールしながらリターンを上げていく。資産運用部門とアセットマネジメントOneやグループのリソースを活用している。一方、個人分野は商品設計上、将来にわたってしっかりと運用ができ、それを契約者にお返しできることが大前提になる。金利が下がると、それに応じて予定利率をある一定程度コントロールせざるを得ない。これが足元の状況だ。今後の対応については鋭意検討している。
Q 金融緩和が長期化し、低金利が続くなかで、国債の新規投資をしないと、資産サイドのデュレーションと負債サイドのデュレーションのギャップは拡大するのではないか。その対応は。
渡辺 デュレーションギャップのコントロールについては、派生型商品、具体的には金利スワップなど含めてコントロールしている。国債を買うとか、何かを売って国債を買うことをせずに、デュレーションギャップリスクを一定度コントロールできる。
「解約手続きは、正直に言って煩雑です。たとえばA社の既契約を見直し、A社の新商品に切り替えるときは事務手続きを含めてスムーズです」。顧客の利便性を優先するべきと考える。
高齢者の人口は2040年には約3800人万になる。人口=市場と捉えたとき、高齢者には消費のポテンシャルがどのぐらあるのだろうか。また、「使わない」を「使える」「使いたい」に変えるような市場からのアプローチも重要となる。
新契約募集のための活動基盤を確保、拡大するにはどうしたらよいか?ある営業職員は訪問先の事業所の人の流れや物の流れにアンテナを張り巡らせ、そこに触れた情報から見込客を発見していく。
A生命とB生命の営業職員がそれぞれ30年後の退職時に1億8000万円が支払われる生命保険を売り込み、医療法人が契約したとします。これが「退職金枠のダブル・ブッキング」です。
私は来年の2月に60歳になるのですが、定年が60歳です。希望すれば再雇用も可能ですが、給料は4割減となってしまいます。退職したほうがいいのか、まだ働いたほうがいいのか、どうでしょうか。
一定所得以上の利用者の自己負担を2割にするなど、今後、厳しくなる財政を反映した改正を進めています。将来、必要なサービスを十分に受けるには経済的な準備がますます必要になってきそうです。
「万一の備え」「環境変化への備え」を謳う変額終身保険。特約で介護リスクに対応し、500万円以上の保険金で高額割引対象となる。三菱東京UFJ銀行が募集する。
ふくおかファイナンシャルグループ傘下3銀行の自動車ローンの新規利用者向けで、死亡・高度障害状態はもとより、ガンと診断された時点でローン残高を保険金で支払う。
オリックス保険コンサルティングは10月27日、来店型ショップ「オリックス保険プラザ 柏モディ」をオープンした。
オリックス保険プラザは乗合代理店で、「女性が相談しやすい空間づくり」が特長。店舗責任者は女性が務め、女性を中心としたファイナンシャル・ナビゲーターを配置する。
イベントでは乳ガン予防のための知識習得講座、マネーセミナーなどを定期的に開催する。「保険だけでなく暮らしのヒントが見つかる身近な保険プラザをめざす」という。
オリックス保険プラザはすでに銀座店、大井町店、本八幡店を出店しており、柏モディは4店目。今後、全国30拠点の営業ネットワークを活用して、主要都市圏での出店を検討する。
チューリッヒ保険は損保ジャパン日本興亜と、企業向け賠償責任保険分野で業務提携を行った。対象は海外事業展開をしている損保ジャパン日本興亜の法人顧客。両社が世界200カ国・地域以上で有するグローバルネットを通じて、リスクを一元管理するソリューションを提供する。
チューリッヒ保険が提供するオンラインシステムを使うことで、国ごとに異なる税制や規制、海外拠点の保険契約情報、事故内容をオンラインでリアルタイムに確認でき、利便性がより向上するという。
日本興亜財産保険(中国)は、中国人向けに「健康診断医療保険」を外資系として初めて発売した。
同保険は、中国国内または海外での健康診断サービスを受け、ガンなどの恐れが指摘され、再検査が必要となった場合、再検査費用の補償をセットで提供する。年間保険料は100人民元(約1568円)。
「中間層以上の層は、高額でも質の高い医療サービスを希望するケースが多く、ここ数年で健診市場が急速に成長している」という。
三井住友海上(中国)と中国の太平洋保険は、訪日中国人旅行者向けの海外旅行保険「楽遊富士」を販売。両社は2004年から戦略資本提携をしており、「楽遊富士」は初の共同開発商品。
同商品は、旅行中のケガ・病気や第三者に対する賠償責任などを幅広く補償する。さらに、日本国内で使える各種お買い物クーポンも提供する。保険料は7日間の旅行で約1360円。
太平洋保険は1991年の設立で本社は上海。収入保険料は約3兆2000億円。従業員は約9万人。
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